手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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最高学年卒業

カイザーへ心理フェイズの洗礼をする為、悪人かつ社長状態に。

遊来が秘密の一部をカイザーに話す。



第29話

日数が過ぎ、学校の最大行事の一つ卒業式の日が来たのだ。三年生は大学やプロリーグ入りなど、それぞれが目指す場所へ向けての準備をしているようにも見える。

 

そんな中、デュエルアカデミア最大の卒業イベント、卒業模範デュエルが行われた。生徒達の間では竜騎士こと遊来が相手だろうと噂していたが、カイザーが指名したのは遊城十代であった。

 

 

遊来が選ばれなかったのは在学中に何度もデュエルしており、シンクロ召喚を抜いたデッキでも対戦しており、それ以前にカイザー自身が自分の中で遊来以外に注目している相手が十代だったのだ。

 

そして、その卒業模範デュエルは『決闘融合-バトル・フュージョン』を二人が発動し、『サイバー・エンド・ドラゴン』が『シャイニングフレア・ウイングマン』の攻撃力を上回りカイザーの勝利と思われている時まで遡る。

 

「やっぱ、カイザーは強ええ・・・パーフェクトだぜ!」

 

「それは違うぞ、遊城十代」

 

「え?」

 

「俺はパーフェクトではない、相手を倒せる戦術を効率的に選んでいるに過ぎない」

 

「カイザー・・・?」

 

「俺自身もまだまだ発展途上、それを気付かせてくれた奴がいる」

 

「遊来・・・」

 

「そうだ、俺もお前も可能性を秘めている。更なる強さへ目指せる可能性を!パーフェクトなど幻想に過ぎない!その幻想を打ち破れ!」

 

「ああ!サンキュー、カイザー!卒業生の言葉、しっかりと受け取ったぜ!在校生代表として、俺から卒業の記念だ!受け取れ、カイザー!!罠、発動!『決戦融合-ファイナル・フュージョン』!!」

 

「!?そのカードは俺が遊来とのデュエルで使った、負けず嫌いめ!」

 

「効果は知っているよな?このカードは自分フィールドの融合モンスターが相手フィールドの融合モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その融合モンスター2体を対象として発動する事が出来る。その攻撃を無効にし、お互いのプレイヤーはその融合モンスター2体の攻撃力の合計分のダメージを受ける。行くぜ、カイザー!」

 

「来い!!」

 

『サイバー・エンド・ドラゴン』と『シャイニング・フレア・ウイングマン』が中心でお互いを攻撃した瞬間爆発と共に強い光に包まれ、二人はその場で倒れている。結果は引き分けになったが、デュエルを見ていた観客席の生徒達や教員が立ち上がり、拍手をし始めた。

 

「大丈夫か?」

 

「ああ、カイザーこそ大丈夫かよ?」

 

「デュエルは良い」

 

「ああ、アンタとのデュエル最高だったぜ!!」

 

「後は任せたぞ!在校生!!」

 

「おう、任せろ!卒業生!!卒業おめでとう!カイザー!!」

 

「ああ!」

 

お互いに健闘を湛え合う事と在校生へ卒業生から、バトンを渡された事を意味するハイタッチをすると二人は寝転び笑いあった。それはお互いに全力を出し合った事による喜びから来るものだ。

 

「「アハハハハ!」」

 

「羨ましいな、全く・・・(さて、準備するか)」

 

誰もが十代とカイザーの熱戦に目を奪われている中、遊来はコッソリとデュエル場から出ていき、ある準備を始めている。

 

 

 

 

「サイバー・ダークは止めておこう・・・うーん、デッキ破壊と許可をもらったのと・・・どっちが良いかな?」

 

そう、遊来は模範デュエルが始まる前にプライベートメールをカイザーから受け取っていた。

 

『模範デュエルが終わった後、午後18:00に灯台へ来て欲しい。そこで、デュエルをしたい』

 

無論、遊来はOKを出した。だが『ドラグニティ』は完全に対策されており、通用しない。『ルイン』も最近は機嫌が悪く上手く回らない。『レッドデーモン』を主軸にしたシンクロデッキは使うのを拒まれており、使う事ができない。

 

そこで二つのデッキが候補に挙がったのだ。一つはデッキ破壊を可能とし、ビートダウンも可能なデッキ。もう一つは扱う許可を貰った『ブルーアイズ』デッキだ。

 

「・・・・」

 

遊来は迷いに迷い、デッキをへと手を伸ばす。そこへ誰かの手が重ねられたような感覚を味わった。それは男性ではなく女性の手の柔らかさだ。

 

「え?」

 

それはほんの一瞬だった。青みがかった銀髪に白い肌の女性が一瞬だけ頷いて消えたのだ。それは間違いなく『青眼の白龍』を宿していた女性、キサラだった。

 

「キサラさん・・・本当に良いんですか?貴女の魂の欠片を使う事を。あの人以外・・・許さないと思ってたのに」

 

遊来は瀬人とキサラの因縁を『前の世界』で知っていた。だからこそ、自分の世界から持ち込んだ『ブルーアイズ』を使わないと決めていた。だが、此処でその封印を破ろうとしている。

 

「貴女は優しいから・・・構わないというでしょう。けど」

 

迷っている中、3枚のカードが光を帯び始めたデッキを確認にすると『青き眼の乙女』『青き眼の賢士』『青眼の亜白龍』のカードが光を帯びている。

 

「『青き眼の乙女』『青き眼の賢士』それに『青眼の亜白龍』のカードが・・・なんで?」

 

『それは迷わず使えって事じゃないのかい?』

 

「レヴァティン?」

 

『「青き眼の乙女」はさっきの女の人、「賢士」はきっと社長さんだろう。「亜種の白龍」はこの世界の「白龍」が姿を変えて使えって言ってるのかもな』

 

「・・・・よし、使うか!」

 

遊来は『ブルーアイズ』デッキを広げて自分なりに組み直し始める。そのままでは瀬人の使うデッキ(遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS)のコピーとなってしまう。

 

それではバレた時に「俺のコピーを使うなど貴様には過ぎたものだ!」と怒号を貰うのは当たり前の出来事だ。

 

そう思いながら組み直そうとすると同時に一枚のカードを手に取る。

 

「銀河眼・・・」

 

そう、銀河眼。何度も何度も見る夢の中に出てくるカードだ。その能力の強力さは知っている。今はまだ封印されているが、エクシーズ召喚で現れる『もう一体の銀河眼』も居る。

 

「俺のデッキは組み合わせタイプにしよう。それで差別化出来る」

 

遊来はチラリと、エクシーズモンスターが封印されているデッキケースに視線を送る。そのデッキケースは人間から見れば、なんの変哲もないデッキケースだが『ルイン』と『エアトス』が厳重に行った封印が施されている。

 

これが解放される時は遊来が大きな絶望に堕ちた時だろう、彼にとってエクシーズは『闇』の象徴でもあるのだ。

 

「カイザー、貴方だけには俺の秘密の一部を教えます・・・」

 

デッキを整え、使うことを決めている時に収めるデッキケースへ『ブルーアイズ』デッキを収める準備する。約束の時間になるまで何度も組み直しながら。

 

 

 

 

「来たか」

 

「ええ、あの時以来ですね・・・」

 

「やり残しを残しておく訳にはいかないからな」

 

「・・・行きます」

 

「「デュエル!!」」

 

龍谷遊来:LP4000

 

丸藤亮:LP4000

 

「先攻は俺ですか・・・ドロー!」

 

[現在の手札6枚]

 

[ドローカード[ドラゴン・目覚めの旋律]

 

※青き眼の乙女

※伝説の白石

※銀龍の轟咆

※星雲龍ネビュラ

※ガード・ブロック

※ドラゴン・目覚めの旋律

 

「俺はモンスターを1体セット、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「(基本通りの先攻の動きだな?逆にそれが不気味だが)俺のターン、ドロー!俺は手札の『プロト・サイバー・ドラゴン』を召喚!『サイバー・ドラゴン』と手札『融合』!現れろ!『サイバー・ツイン・ドラゴン』!!」

 

「通常融合?」

 

「俺が毎回『パワー・ボンド』を手札に引き込んでいると思うのか?」

 

「思います」

 

「・・・・」

 

遊来の断言に亮は意外そうな顔をしている。だが、遊来は容赦なく言葉を紡いだ。

 

「テーブルデュエルで毎回、攻撃力5600の『サイバー・ツイン・ドラゴン』で後攻ワンキルしてきたの、覚えてますから」

 

「む・・・」

 

「ですが、それはあくまで学園での事・・・カイザー・・・貴方に俺から試練をプレゼントします」

 

「試練だと?」

 

「ええ、まだカイザーのターンですよ」

 

「俺は『サイバー・ツイン・ドラゴン』でセットモンスターを攻撃!エターナル・ツイン・バースト!」

 

セットされたモンスターの正体は巨大な白い石だった。『サイバー・ツイン・ドラゴン』は貫通効果を持っておらず、その為、通常破壊しかできない。瞬間、遊来が口を開く。

 

「『伝説の白石』の効果発動。このカードが墓地へ送られた時、デッキから『■■の■■』を1枚手札に加える」

 

「(!?上手く聞き取れず、カードも夜の暗さで上手く見えなかったが、強力なカードを手札に加えたか)『サイバー・ツイン・ドラゴン』は二回攻撃が可能!エターナル・ツイン・バースト!第二打!!」

 

「伏せカード、発動!『ガード・ブロック』!相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!カードを1枚ドロー!さらに戦闘ダメージはゼロだ」

 

「流石に防いだか、更にカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

後輩からの試練という言葉を聞いて亮は警戒する。相手は自分と同等・・・否、それ以上の実力を持ち『竜騎士』の異名を持つに至った決闘者。シンクロ召喚のテスターであり、あらゆる召喚を使ってくることもあり得るからだ。

 

「俺のターン、ドロー」

 

[ドローカード [太古の白石]

 

[現在の手札6枚]

 

※青き眼の乙女

※銀龍の轟咆

※星雲龍ネビュラ

※ドラゴン・目覚めの旋律

※青眼の白龍

※太古の白石

 

「俺は手札から魔法カード『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動」

 

「『ドラゴン・目覚めの旋律』だと!?あのカードは手札1枚をコストに攻撃力3000以上、守備力2500以下のドラゴン族を2枚までデッキから手札に加えるカード!龍谷のデッキにはそれがあるのか!」

 

「・・・・カイザー、此処からは学生じゃなく、プロレベルの戦いを見せますよ」

 

「!?」

 

「手札を1枚『太古の白石』を捨てて、俺がデッキから手札に加えるのはこの2枚だ!」

 

遊来は『ドラゴン・目覚めの旋律』によって手札に加えたカードをしっかりと見える位置にかざした。そのカードを見て亮は戦慄と同時に驚愕した。

 

「ブ・・・『青眼の白龍』!!バカな!?更には『青眼の亜白龍』だと!?」

 

1枚は幻と言われ、アカデミアのオーナーであり、海馬コーポレーション社長である海馬瀬人だけが所持しているとされている『青眼の白龍』。さらにもう1枚は自分の知らない『青眼』の名を持つカードだった。

 

「この程度で動揺してどうするんだ?」

 

「何!?」

 

「動揺や熱くなりすぎれば勝てる勝負も勝てないぜ?この言葉の粗さが俺の試練だよ、先輩」

 

遊来の態度が急に変わり、まるで嘲るようで相手を貶めてくる。先程までとは違い、徹底的にだ。

 

「・・・・っ」

 

「俺は手札の『青眼の白龍』を相手へ見せる事で『青眼の亜白龍』を特殊召喚!!」

 

「何!?」

 

『ドラゴン・目覚めの旋律』によって手札へ加えられた『青眼の白龍』を晒す事で特殊召喚されてきた『青眼の亜白龍』。特定のカードを公開しなければならないデメリットを既に公開した物を見せる事で、回避している。

 

「更に手札の『星雲龍ネビュラ』の効果発動!このカードと手札のドラゴン族・レベル8モンスター1体を相手に見せて発動できる!俺はこのカードを公開する」

 

「二枚目の『青眼の白龍』!?バカな!」

 

「『伝説の白石』の効果で1枚目を手札に加えたんですよ~?最も見えない位置だったようですけどね~?」

 

「ぐっ・・!」

 

「『星雲龍ネビュラ』と公開した『青眼の白龍』をそれぞれ守備表示で特殊召喚!ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、この効果の発動後、ターン終了時まで俺は光・闇属性のドラゴン族モンスターしか召喚・特殊召喚できない!さて、カイザー先輩?『サイバー・ツイン・ドラゴン』を出してきたなら、こちらも同じタイプのモンスターを出さないと、返戻になりませんね?」

 

「同じタイプだと?」

 

「はっ・・・!俺は場の2体の『青眼の白龍』を墓地へ送り」

 

「!?バカな、2体の『青眼の白龍』は場に居ないはず!?まさか!」

 

意味がわからない、わざわざ召喚してきた『青眼の白龍』を墓地へ送るなどと、それと同時に2枚目の『青眼の白龍』が居ると言うのが不思議だ。だが、その疑問はすぐに氷解した。確かに居るのだフィールドに守備表示ではない『青眼の白龍』が。

 

「気づいたか『青眼の亜白龍』はフィールド上では『青眼の白龍』として扱う!2体を墓地へ送り、現れろ!『青眼の双爆裂龍』!!」

 

『青眼の双爆裂龍』融合・効果/星10/光属性/ドラゴン族/攻撃力3000/守備力2500

 

『青眼の白龍』+『青眼の白龍』

 

このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。

 

●自分のモンスターゾーンの上記カードを墓地へ送った場合にEXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)

 

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

 

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

 

(3):このカードの攻撃で相手モンスターが破壊されなかったダメージステップ終了時に発動できる。その相手モンスターを除外する。

 

それは『サイバー・ツイン・ドラゴン』と同じように双頭を持った『青眼の白龍』の姿だった。攻撃力と守備力は単体の『青眼の白龍』と変わらないが特殊効果を併せ持っている。

 

「っ!?」

 

「『青眼の双爆裂龍』の攻撃!!滅びのツインバースト・ストリーム!!『サイバー・ツイン・ドラゴン』!粉砕!」

 

「うああああ!?」

 

『サイバー・ツイン・ドラゴン』が双頭を持つ『青眼の双爆裂龍』の攻撃によって倒され、その余波が亮へ襲いかかる。

 

丸藤亮:LP4000→3800

 

「『青眼の双爆裂龍』の追撃!滅びのツイン!」

 

「二回攻撃だと!?」

 

「なーんてね?『青眼の双爆裂龍』はモンスターだけにしか二回攻撃はできないんだよ。カードを1枚伏せてメインフェイズ2からエンドフェイズへ、エンドフェイズ時に墓地にある『太古の白石』の効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「ブルーアイズ」モンスター1体を特殊召喚する!俺は『白き霊龍』をデッキから特殊召喚!」

 

「っ・・・!?デッキから高レベルモンスターを特殊召喚しただと!」

 

「このカード名はルール上「ブルーアイズ」カードとしても扱うから何の問題もありませーん」

 

『白き霊龍』効果/星8/光属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力2000

 

このカード名はルール上「ブルーアイズ」カードとしても扱う。

 

(1):このカードは手札・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

 

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

(3):相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードをリリースして発動できる。手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「更に『白き霊龍』の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する!!」

 

「何っ!?」

 

『白き霊龍』が亮の伏せカードへ小さな光の球を口から放ち、亮の場にあった伏せカードがゲームから除外されてしまった。

 

「伏せカードを一枚、除外だと!?(リビングデッドの呼び声が・・・!)」

 

「俺はこれでターンエンド、フフフ・・・」

 

「くっ、俺のターン!ドロー!」

 

今の遊来はからは生真面目さが抜け落ちており、臨時教員を倒したあの時と雰囲気が酷似している。更に亮は自分の身体の様子に気づく。

 

「(震えている?俺が?)」

 

「怖くなったのかい?負けるのが」

 

「!」

 

「そうだよな?リスペクトを謳っているサイバー流継承者が負ける訳にはいかないものなぁ?」

 

「お前・・・!」

 

「もっと本心からデュエルしなよ?勝ち負けは関係ない?相手をリスペクト?そんなもんかなぐり捨ててさ!」

 

「何を・・・言っている!」

 

「隠している本心をこのデュエルで出せって言ってんだよ!勝ち負けは関係ない?そんなもん、幼稚園生までしか通用しねえよ!」

 

「!サイバー流を愚弄するのか!お前は!!」

 

「はっ!怒ったかい?だが事実だろう?勝ち負けは関係ない、相手をリスペクトする事が出来れば問題ない・・!ちゃんちゃらおかしくてヘソで茶が沸かせるわ!!」

 

「貴様・・・!」

 

「そんな考えでプロリーグに入ったら、アンタ・・・一発で終わるぞ?」

 

「!?」

 

「プロの世界はどんなジャンルでも勝利こそが全て!!勝って勝って、勝ち続けなければ転がり落ちる世界!上位ならば例外で負けても取り戻せる。だが、上位にすら入れないプロは廃れるだけ!!」

 

年上に対して敬語を使わず話す遊来の本心は、まだ学生の状態である亮に甘さを断ち切れというものだ。だが、普通に説得した所で聞く耳を持つ相手ではない。

 

だからこそ、圧倒的な差を見せる他はないのだ。今の遊来は自分の中で押し殺していた『前の世界』での戦略を惜しみなく使っている。

 

『前の世界』のデュエルは、この世界においてデュエルでは無いと言われても文句が言えないものばかりだ。パーツさえ揃えば1ターンで逆転も可能だし、攻撃できない先攻であってもビートダウン以外の方法で勝利をもぎ取ってしまう。ビートダウンにしても攻撃力は3000以上は当たり前且つワンショット狙い。

 

無論『ドラグニティ』『ルイン』『シンクロレッドデーモン』などのデッキもワンターンキルは可能だ。だが遊来はオベリスクブルーのトラブル以降、それらの戦略を封印していた。十代などは気にする事はないだろうが、他のメンバーから指摘されるのが怖かったからだ。

 

だが、今は違う。自分自身を偽ったままの目の前の相手を完膚なきまでに叩きのめす。そうしなければ絶対に強固な殻を破る事は出来無いと確信を持てているから。

 

「さぁ、どうした?そちらのターンはまだ続いてるぞ?」

 

「っ!俺は『サイバー・ヴァリー』を召喚!ターン終了だ」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

[ドローカード 『カオス・フォーム』]

 

[現在の手札2枚]

 

※青き眼の乙女

※カオス・フォーム

 

「『白き霊龍』で『サイバー・ヴァリー』を攻撃!」

 

「『サイバー・ヴァリー』の特殊効果!このカードが攻撃対象に選択された時、このカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、その後バトルフェイズを終了する!」

 

『サイバー・ヴァリー』が光の中へ消えて行き、亮はデッキからカードを一枚ドローする。

 

「メインフェイズ2で『青き眼の乙女』を召喚!更にレベル8の『白き霊龍』にレベル1の『青き眼の乙女』をチューニング!」

 

「チューニングだと!?しかもレベル9のシンクロ召喚!」

 

「勝利をもたらす青き龍よ、白き祈りの導きによりその姿を昇華せよ!シンクロ召喚!現れよ『青眼の精霊龍』!守備表示!」

 

『青眼の精霊龍』シンクロ・効果/星9/光属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力3000

 

チューナー+チューナー以外の「ブルーアイズ」モンスター1体以上

 

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いに2体以上のモンスターを同時に特殊召喚できない。

 

(2):1ターンに1度、墓地のカードの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にする。

 

(3):S召喚したこのカードをリリースして発動できる。エクストラデッキから「青眼の精霊龍」以外のドラゴン族・光属性のSモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。そのモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「っ!?」

 

「特殊召喚の制限効果持ちだと!?」

 

「お互いにな!ターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札にはそれを倒せるカードが来ている。だが、この状況の遊来はすぐに逆転のカードを引き込んでくるだろう。

 

「・・・だ」

 

「ん?」

 

「嫌だ・・・」

 

「嫌だ?」

 

「嫌だ!俺は・・・負けたくないィィィーーーッ!!」

 

「ククク・・・やっと、やっと本心を見せたか!!そうだ、それでいい!!どんな形であろうと勝ちたい!それがアンタの本音だ!」

 

「ああ、今ようやくわかった・・・俺は飢えている、渇いている!勝利に!!」

 

「そう!勝負の世界へ行くのなら、勝ち負けは関係ないなどという甘っちょろい考えを此処へ置いていけ!」

 

「ああ、そうだな、その通りだ!俺は手札の『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚!更に魔法カード『エヴォリューション・バースト』を発動!『青眼の双爆裂龍』を破壊!」

 

『サイバー・ドラゴン』から放たれた光線が『青眼の双爆裂龍』を飲み込み、破壊されてしまう。

 

「ぐううう!」

 

「まだだ!魔法カード『エヴォリューション・バースト』第二打ァ!『青眼の精霊龍』を破壊!ターンエンドだ!」

 

「俺の場を・・・ガラ空きに!」

 

「!?っくくく・・・これが・・・殻を破るという事か!なにを耐えていたんだ俺は!」

 

「それなら、サイバー流は自分の原点だという事を忘れなきゃ良いのさ。人から何を言われようと無様を晒そうと関係ないんだからな!俺のターン!ドロー!メインフェイズで伏せカード発動!『銀龍の轟咆』!『白き霊龍』を攻撃表示で復活させる!蘇生時の効果は使わない!」

 

[ドローカード 『青眼の混沌龍』]

 

現在の手札2枚

 

※カオス・フォーム

※青眼の混沌龍

 

「俺は手札から儀式魔法『カオス・フォーム』を発動!」

 

「儀式魔法だと!?その手札の枚数では召喚する儀式モンスターしかいないはず!コストになるモンスターは!」

 

「確かに『カオス・フォーム』は「カオス」儀式モンスターの降臨に必要でレベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターを生贄にしなければならないが、生贄の代わりに自分の墓地から『青眼の白龍』または『ブラック・マジシャン』を除外する事で、手札から「カオス」儀式モンスター1体を儀式召喚する事が出来る!!」

 

「墓地にある『青眼の白龍』・・・!『青眼の双爆裂龍』のコストか!」

 

「ご名答。墓地の『青眼の白龍』を除外し儀式召喚!!降臨せよ!!『青眼の混沌龍』!!」

 

『青眼の混沌龍』儀式・効果/星8/闇属性/ドラゴン族/攻撃力3000/守備力0

 

『カオス・フォーム』により降臨。

 

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

 

(1):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

(2):『青眼の白龍』を使用して儀式召喚したこのカードの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。この効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。このターン、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「バトルフェイズ!『青眼の混沌龍』の攻撃!『青眼の白龍』を使用して儀式召喚したこのカードの攻撃宣言時に効果発動!!相手フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更し、この効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力は0になる!」

 

「何っ!?」

 

「更にこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える!」

 

「守備力を0にした上での貫通効果だと!?」

 

「『青眼の混沌龍』で守備表示の『サイバー・ドラゴン』へ攻撃!!混沌のバースト・ストリーム!!」

 

「うあああああああ!」

 

丸藤亮:3800→800

 

「『白き霊龍』の攻撃!ホワイト・バースト!強靭!無敵!最強!!」

 

「うおおおおお!!」

 

「粉砕!玉砕!大喝采!!アハハハハハ!!!」

 

丸藤亮:800→0

 

デュエルが終了し、亮は片膝を付いている。遊来は亮へ近付き手を差し出したデュエルの時にあった粗暴さが消えている。

 

「負けた・・・か・・・これが・・・俺の行く世界の厳しさ」

 

「その通り、そして貴方にだけ打ち明けましょう。俺が何故『青眼の白龍』のカードを持っているか。その理由は簡単です。俺はこの世界の人間じゃないからです(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「!どういう事だ!?」

 

「カイザーは次元の違いや平行世界を信じますか?」

 

「SFの話などにある別世界の事か?にわかに信じられないが」

 

「そうでしょうね。俺はこの世界とは異なる世界から来たんです。その世界、俺が『前に居た世界』ではデュエルはただの娯楽で、『青眼の白龍』を始めとするカードも子供のお小遣いで買えるレベルの値段でしか無い所でした」

 

「なんだと・・・!」

 

「無論、ワンキルなんて当然ですしデッキ破壊、特殊勝利、ビートダウンに至っては攻撃力が8000を超えるなんて当たり前の環境でしたよ」

 

「・・・・」

 

亮は驚きと同時に納得と腑に落ちた気持ちが自分の中で出ていた。目の前にいるこの相手はワンキルに関してなんの抵抗も示さず、使っていた。コンボも一度決まってしまえば相手に何もさせずに勝利してしまう凶悪なものを勧めてきた事も。

 

「信じられんが別世界から来たのなら、凶悪コンボを知っているのも納得できる・・・カードの事もな」

 

「この事は内密でお願いしますよ?貴方に話したのは、強さの要因とカードを持っている理由を知ってもらうためなんですから」

 

「ああ、分かっている」

 

「それと、俺からプロでの要注意を一つだけ」

 

「ん?」

 

「マネージャーが有頂天になってもすぐに海外へ行かない事。本場のアメリカなどでは俺がやっていたような煽りは日常茶飯事、最短で二年、最長で四年は日本のプロリーグで力を蓄えてから行ってください」

 

「肝に銘じておこう」

 

「それに、もう貴方は自分の殻を破った・・・人からなんと言われようとも叩き潰すスタイルを貫いてください。それとコレを、俺からの卒業祝いです」

 

「ん?こ、これは!?」

 

亮が遊来から手にしたのは『サイバー・ドラゴン』に関連するカードだった。新規の『サイバー・ダーク』も含まれており、驚愕する他なかった。

 

「それを使って日本で腕を磨いてください、俺が教えたコンボも使って良いんじゃないですか?」

 

「つくづくお前は恐ろしいな・・・だが、俺はもう負けん!」

 

その翌日、カイザーはアカデミアから卒業していった。その目には地獄であろうと荒野であろうと歩き続けるという信念を持った目をしながら。

 

 

『ようやく見つけたえ、我らの主殿』

 

『やっと見つけ出す事が叶いました』

 

アカデミアに和装をした二人の人物が向かっている事を誰も知る由もなかった。




粉砕!玉砕!大喝采!!を言わせたかったので「ブルーアイズ」デッキを使いました。

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンは後に出します。

今後カイザーはヘルカイザーとなりますが、デュエルスタイルを『徹底的に相手を倒す』に変えただけです。

遊来くんの「ブルーアイズ」はこれ以降、儀式『ブルーアイズ』に特化します。

最後に出てきた二人・・・何デッド族の精霊なんだ?

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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