一方的なアンティルールのデュエルを挑まれて以降、陰口などはあるがほんのり平和な状態が続いていた。
十代には授業の後にそちらの部屋にお邪魔するという旨を伝えたらぜひ来てくれと返事を貰ったのでそのまま授業に専念し、放課後を迎える。
オシリスレッド寮の到着し部屋の扉をノックすると十代からの返事が返ってくる。ドアノブを捻ってドアを開けるとそこには十代の他に二人の生徒がいた。
「待ってたぜ!遊来!!」
「ああ、ところでその二人は?」
恐らくは三人で一つの部屋を使っておりルームメイトなのだろう。二人はこちらに振り返ると近づいてきて自己紹介を始めた。
「丸藤翔っす!十代のアニキから話は聞いてるっす!」
「前田隼人なんだな、よろしくなんだな」
「龍谷遊来だ。よろしく」
「遊来くんは珍しいカテゴリーを使うって」
「ああ、ドラグニティの事か?」
「興味深いんだな、そのデッキを見てみたいんだな」
「別に構わないさ」
そういって遊来は部屋の中に入り、三人が話し合いで使っているテーブルの上にドラグニティのデッキを広げた。
コアラのような体格の隼人はドラグニティのカードを一枚一枚、丁寧に見ている。翔の方は使い方が難しく感じているようで頭をひねっている。
「鳥獣族とドラゴン族の混合なんだよな。ドラグニティは」
「ああ、展開力はあるけどまだ押しが足りないんだよ」
「あれ?アニキはこのデッキを知っているの?」
「知ってるもなにもアカデミアに入る前から対戦してるぜ!」
十代の自慢げな笑顔に遊来は苦笑する。このドラグニティデッキで十代のHEROデッキに完敗した事もあるのだ。
「十代のHEROは爆発力がすごいからな」
「アニキ羨ましいっす。けど、こんな難しそうなデッキを使う遊来くんもすごいっす」
「まぁ、属性は統一されてるけど種族が混合してるから難しく感じるよな。ん?どうした隼人?」
「いやぁ・・・このドラグニティってカードを見てたら色々なアイディアが浮かんでくるんだな」
「へぇ・・・」
と、会話をしつつデュエルばかりじゃなく勉強面でも話をした。勉強の話になると三人は聞きたくないと言いたげだったが軽くやるだけでも違うとだけ話した。
しばらくして、遊来は自分の寮に戻ると言ってドラグニティデッキを回収して、部屋へと戻っていった。
◇
「やっぱり、デミスルインデッキにシンクロを入れるのは難しいかぁ・・・」
『無理もありません、儀式特化にしてしまうとEXデッキとの併用は難しいですから』
「そうだよなぁ・・・せめてコイツを使えば良いんだろうけど・・・そうなると不味いからなぁ」
そうルインと会話しつつ遊来は一枚のカードを見る。まるで宇宙を背景にしているような黒いカード。それはこの世界では使う事を極力避けているカードである。すぐに決着をつけてしまうデッキと同じで使わずにデッキケースの中で封印している。
このカードをペガサスに見せたが、ペガサスからも使用する事を禁じられている。使用する時には余程の事がなければならないと。別の黒いカードも研究用に渡している為、使用する事はできない。
「無い物ねだりをしても仕方ないな、とにかくデッキを仕上げよう」
そう呟いてデッキを調整しているとデュエルディスクから着信音が鳴った。この機能はIDを交換した相手同士なら携帯電話のように通信出来る機能である。相手は十代だった。
「遊来!翔が攫われた!すぐに湖の方に来てくれ!」
「分かった、すぐ行くよ」
僅かに記憶にある事によればこのイベントは恐らく、あの人物との邂逅になるだろう。今回はデミスルインデッキを手に十代が指定した場所へと向かった。
◇
「遊来!来てくれたか!!」
「今日な呼び出しだったから驚いたけどね」
向かい側に視線を向けると少し大きめなボートの上に翔が縄で縛られて乗せられており、その他にオベリスクブルーの女子生徒三人が乗っている。一人は見覚えが有る、この世界・・・つまり遊戯王GXのヒロイン、天上院明日香だ。元の世界でも遊戯王ヒロインの中でトップクラスの人気を誇っていた。
実在の人物としてみれば本当に同年代か?と疑問に思ってしまう。女性としてモデルと言っても通用しそうな高身長、手入れを欠かしていない事を伺わせる長く美しい金髪、そして女性の特徴とも言える豊満なバスト、これらの要素をしっかりとクリアしているのだ。だが、彼女は普段、強気な性格を表に出している様子が分かる。優しくはあっても気品に満ちている雰囲気を態度に出しているからだろう。
その隣にいる取り巻きの二人にも見覚えが有る。一人は枕田ジュンコ。ミーハーな性格でゲームではハーピィレディ系のデッキを使っていたはずだ。もう一人は浜口ももえ、お嬢様キャラが使うような口調をしている事からお嬢様育ちなのだとわかる。イケメンに目がなく、カードもイケメンを使うがゲームだとトンでもない物を使ってきてびっくりした覚えがある。
明日香を除けばこの二人も人気はある方だった。ジュンコはギャル系っぽいし・・・ももえも計算タイプの天然系って感じだけど態度が柔らかくなってからは凄かったもの。
「アニキ~、遊来くん!やっぱり来てくれたんだね~」
「翔、本当に女子への覗きをしたのか?」
「冤罪だってば~!」
「そもそも、いきなり呼び出しがあったり手紙が来たりしても好意の可能性は低いって考えなかったのか?」
「だ、だって~」
「はぁ・・・とにかく、女性の誘いっぽい呼び出しでも少しは疑ってかかれよ」
『マスターは厳しいんですね?』
「実体験だからな・・・真面目に」
『ええ・・・・』
そんなルインと遊来の会話を尻目に十代は明日香に声をかけていた。どうやら翔を解放する条件を話し合っているようだ。
どうやらオシリスレッドの中でも、オベリスクブルーに匹敵する実力者である十代とのデュエルを望んでいたようだ。
「それじゃ、行くぜ?俺が勝ったら翔を返してもらうぜ」
「ええ、良いわ」
「「デュエル!!」」
◇
結果は十代の勝利だ。明日香は『サイバー・ブレイダー』をエースとしたデッキを組んでいたけど、十代の融合戦術に徐々に追い込まれ、最後はクレイマンとスパークマンを融合させた『サンダー・ジャイアント』がフィニッシャーとなって決着がついた。
翔を約束通り返してもらい、こちらのボートに乗せる。
「ありがとう、アニキ」
「へへ、別に構わないぜ」
「俺、何のために呼ばれたんだよ?」
遊来の気持ちも最もだが、気にされてはいない。目的を果たした事で帰宅しようとした時だった。
「待って、嬉しい誤算だわ。龍谷遊来、私とデュエルしてくれないかしら?」
遊来は明日香からの言葉にキョトンとするが、遊来は口を開く。
「もしかして、シンクロ召喚を見たいのか?今持って来てるデッキはドラグニティでもシンクロ召喚をメインにしたデッキでもないから、シンクロ召喚を見せる事は出来ないよ?」
「構わないわ、シンクロ召喚はまた別の機会に見せてもらうから。私は貴方とデュエルしてみたいの」
「明日香さんがお願いしてるんだから!」
「女性の誘いを断るなど、殿方としてよくありませんわよ?」
「うーん、分かった。そのデュエル・・・受けて立つよ」
「ありがとう」
明日香にお礼を言われた後、十代と翔に視線を向ける。どうやら二人もデュエルを見たい様子だ。
「悪いけど、時間を貰うからな。十代、翔」
「おう、構わないぜ!」
「遊来くんのデュエル、楽しみッス!」
「それじゃ、行くぜ」
「ええ、いつでも良いわ!」
「「デュエル!!」」
龍谷遊来:LP4000
天上院明日香:LP4000
手元を見るとまたもや遊来の先攻からだ。最近先攻が多くないかと、心の中で愚痴りながらデッキに手をかける。
「先攻は俺だな、ドロー」
[ドローカード]
※エンドレス・オブ・ザ・ワールド
[現在の手札・6枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※ブレイク・オブ・ザ・ワールド
※魔神儀[デビリチャル]-キャンドール
※終焉の覇王デミス
※攻撃の無力化
※エンドレス・オブ・ザ・ワールド
うーん、これは重いぞ。儀式デッキの宿命だけど、展開は出来るから大丈夫だと思いたい。そう考えながら俺は手札に手をかける。
「俺は最初にフィールド魔法『ブレイク・オブ・ザ・ワールド』を発動。このフィールド魔法は1ターンに1度、自分フィールドの儀式モンスター1体を対象として発動でき、手札の儀式モンスター1体をターン終了時まで公開する事で一つ目の効果を発動できる。その公開した儀式モンスターのレベルはターン終了時まで、対象のモンスターのレベルと同じになる」
「二つ目は1ターンに1度、自分フィールドに「破滅の女神ルイン」または「終焉の王デミス」が儀式召喚された場合、2つのうちの効果から1つを選択して発動できる。一つは自分はデッキから1枚ドローする効果。もう一つはフィールドのカード1枚を選んで破壊する効果だ」
雷が落ち、大地に走っていく。そんなフィールド魔法の背景に遊来以外の全員が震える。ソリッドヴィジョンと分かっていても天災は怖いのだ。発動した本人はすまし顔のままである。
「更に手札にある魔神儀[デビリチャル]-キャンドールの効果を発動する」
『魔神儀[デビリチャル]-キャンドール』星4/光属性/炎族/効果/攻撃力0/守備力0
「このカードには3つの効果がある。だが、この効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。一つ目は手札の儀式魔法カードを1枚を相手に見せて発動できる。『魔神儀[デビリチャル]-キャンドール』以外のデッキにある「魔神儀」モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する効果」
「二つ目はこのカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる効果。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える事が出来る。最後に三つ目はこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は融合デッキからモンスターを特殊召喚できないデメリット効果だ」
「儀式召喚デッキ、かなり珍しい系統のデッキもあるのね?」
「このデッキは俺の相棒の為に組んだデッキだからな」
「儀式召喚も使うんすね、遊来くん」
「ああ、あのデッキもかなり強いぜ。ドラグニティと違ってあまり闘わなかったけどな」
明日香と遊来、十代と翔の会話がそれぞれ聞こえてくる。ジュンコとももえは儀式という扱いの難しいデッキを使う遊来にまだ懐疑的な感情を持っている様子だ。
「俺は手札にある『エンドレス・オブ・ザ・ワールド』を見せて、『魔神儀[デビリチャル]-キャンドール』とデッキから『魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ』をそれぞれ特殊召喚!」
『魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ』星6/闇属性/植物族/効果/攻撃力0/守備力0
マンドラゴラに似たモンスターとキャンドルに点った炎がモンスターとなった二種類のモンスター達に驚く。
「レベル6のモンスターを生贄無しで召喚!?それに、モンスターもデッキから特殊召喚するなんて!」
「で、でも両方とも攻撃力と守備力が0ッス!!」
「壁モンスターじゃないの?」
「違和感がありますわね?」
「いや、遊来の奴、狙ってるぜ!」
遊来はそれぞれの会話を聞きつつ、さらにモンスター効果の発動を宣言する。
「『魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ』の効果、このカードがデッキから特殊召喚された事で儀式モンスターを一体手札に加える。俺は『破滅の美神ルイン』を手札に加える。そして手札から儀式魔法『エンドレス・オブ・ザ・ワールド』を発動する!」
「儀式魔法、先程加えたモンスターを出してくるの?」
「『魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ』と魔神儀[デビリチャル]-キャンドール』を儀式の生贄とする。そのレベルは・・・10だ!」
「レベル10の儀式召喚!?」
「破滅という名の破壊、終焉という名の終わり・・・今こそ新たに世界を作り出す柱となれ!儀式召喚・・・!終焉の覇王デミス!!」
重厚な鎧に戦斧、更には悪魔とも覇者とも呼ぶにふさわしい強大なオーラが見えている。何も言葉は発さないが、見るもの全てに与える重圧は限りなく強い。
『終焉の覇王デミス』儀式/効果/星10/闇属性/悪魔族/攻撃力3000/守備力3000『エンドレス・オブ・ザ・ワールド』により降臨。
「このカードは4つの効果がある。一つは目はこのカードのカード名は手札・フィールドに存在する限り『終焉の王デミス』として扱う効果。二つ目の効果は儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の儀式モンスターは戦闘では破壊されない効果。三つ目は儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードの効果を発動するために払うLPは必要なくなる。四つ目は1ターンに1度、2000LPを払って発動できる。フィールドの他のカードを全て破壊し、破壊した相手フィールドのカードの数×200ダメージを相手に与える効果だ。今現在は戦闘破壊耐性と名称のみが永続だけどな」
「攻撃力、守備力共に3000・・・!」
この世界での攻撃力、守備力3000は驚異的に映るだろう。何しろ攻守共に3000以下のビートダウン型のデッキがこの世界の主流なのだから。最もその常識に当てはまらないデッキを使う人間もいるのだが。
[現在の手札・3枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※攻撃の無力化
※破滅の美神ルイン
「『ブレイク・オブ・ザ・ワールド』の効果を発動。『終焉の覇王デミス』はフィールドでは『終焉の王デミス』として扱うため、カードを一枚ドロー」
[ドローカード]
※破滅の女神ルイン
おいおい、此処で女神の方のルインか。デミスは簡単にはやられないだろうけど・・・雲行きが怪しくなってきたぞ。
『マスター?何か、ご不満が?』
ルインが睨んでくるが、デュエルの戦略としての考えは今の状況で必要ではない。だが、遊来は次のターンであのカードを引ければと強く思う。
「俺はカードを一枚セットして、ターンエンド」
[現在の手札・3枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※破滅の美神ルイン
※破滅の女神ルイン
「私のターン、ドロー!」
「私は手札から融合を発動!手札の『エトワール・サイバー』と『ブレード・スケーター』を融合!プリマの舞台に立つ、氷上の踊り手!『サイバー・ブレイダー』!召喚!!」
まるでフィギュアスケートの選手のように優雅で力強く、そして美しく現れた女性の戦士。これこそが明日香のエースであるサイバー・ブレイダーだ。
「サイバー・ブレイダー・・・相手フィールドのモンスターの数によって、カードの効果が変わるカード。1体なら、そのカードは戦闘では破壊されない。2体ならカードの攻撃力は倍になる。3体ならば相手が発動したカードの効果は無効化される効果・・・だったかな?」
「ご明察、よく知っているわね。先ずは一番目の効果『パ・ド・ドゥ!』」
「戦闘破壊耐性が付いたか、それでもまだデミスの数値には届いて居ない」
ものすごくフラグっぽいことを口走ってしまった。それを聞いた明日香は薄く笑みを口元に浮かべて答えた。
「これで終わりではないわ。速攻魔法『スター・チェンジャー』を発動!」
「ええっ!?」
遊来は此処で驚愕する。『スター・チェンジャー』はこの世界では未来のカードだ。それを此処で使ってきたという事は本来のGXの世界とは似て異なる世界なのだろう。もしくは自分というイレギュラーが現れた事で僅かながらに世界の軌道がズレたのかもしれない。
「速攻魔法『スター・チェンジャー』はフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、二つの効果から1つを選択して発動できる。一つ目はモンスターのレベルを1つ上げる。二つ目はモンスターのレベルを1つ下げる。私は二つ目の効果で『サイバー・ブレイダー』のレベルを7から6に下げるわ」
「更に装備魔法『フュージョン・ウェポン』を装備!『サイバー・ブレイダー』の攻撃力と守備力を1500ポイントアップ!」
「今の『サイバー・ブレイダー』は攻撃力が3600、守備力が2300。デミスを上回った!?」
「お互いに戦闘破壊はされないけど、ダメージは受けてもらうわ!『サイバー・ブレイダー』!グリッサード・スラッシュ!!」
フュギュアスケートのスピンを披露しつつ、デミスに向けて遠心力を加えたキックが炸裂した。デミスは自身の効果で戦闘破壊されないがその余波が遊来を襲う。
「ぐっ・・うううう!」
龍谷遊来:LP3400
「カードを一枚伏せて、ターンエンドよ」
「手札を使い切ったか・・・」
「ええ、そうしないと貴方を攻める事が出来なかったから」
「なるほどね」
遊来の中で僅かに変化があった。この学校に来て十代以外に初めてライフポイントを削られたのだ。それに対して僅かに嬉しさがこみ上げてきていた。忘れていたデュエルへの情熱、それが僅かに戻ったのだ。
「俺のターン、ドロー」
[ドローカード]
※トレード・イン
[現在の手札・4枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※破滅の美神ルイン
※破滅の女神ルイン
※トレード・イン
ここでドローカードが来てくれた。だが、このターンで決める事はできない。一応、伏せカードはあるが守り切れるとなると怪しい、ならば此処は。
「俺は手札から魔法カード『トレード・イン』を発動!手札の『破滅の女神ルイン』を墓地に送り、二枚ドロー!」
[ドローカード]
※エネミーコントローラー
※儀式の準備
此処で念の為と入れていたカードが来てくれたのだが、相手は『サイバー・ブレイダー』二体目のモンスターを出してしまえば、攻撃力がさらに上昇し手に負えなくなってしまう。
「仕方ない・・・俺はカードを一枚伏せて魔法カード『儀式の準備』を発動。デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加え、その後に自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。俺はレベル7の儀式モンスター『古聖戴サウラヴィス』をデッキから手札に加え、墓地にある『エンドレス・オブ・ザ・ワールド』を手札に加える。更にデミスを守備表示に変更。ターンエンド」
[現在の手札・4枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※破滅の美神ルイン
※古聖戴サウラヴィス
※エンドレス・オブ・ザ・ワールド
「私のターン、ドロー!手札から『強欲な壷』を発動!デッキからカードを二枚ドロー!」
「ここでドローカードか」
似て異なる世界とは言えど、この世界はGXの世界。当時のルールだからまだ『強欲な壷』が現役で生きているのか。
「更に『天使の施し』を発動。カードを3枚引いて、2枚を捨てるわ」
「手札を回復させたか・・・」
明日香は手札をゼロの状態から回復させた。これはまさしく賞賛すべき事だろう。遊来自身も油断はしていないが、明日香の粘り強さに感服せざるを得ない。まさしくデッキが勝たせようとしているのではないかと思ってしまう。
「私は『サイバー・チュチュ』を召喚!」
「『サイバー・チュチュ』だって!?この状況でそのカードはヤバイ!」
『サイバー・チュチュ』効果/星3/地属性/戦士族/攻撃力1000/守備力800
「貴方は本当に知識が豊富ね?ならば、この子の効果も知っているでしょう?」
「相手フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力が、そのカードの攻撃力よりも高い場合、相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる・・・・」
「ご名答よ。『サイバー・チュチュ』!ダイレクトアタック!」
「流石にさせない!リバースカード、オープン!『攻撃の無力化』」
「っ、流石に防いできたわね。ターンエンドよ」
「俺のターン、ドロー」
[ドローカード]
※マンジュ・ゴッド
[現在の手札・5枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※破滅の美神ルイン
※古聖戴サウラヴィス
※エンドレス・オブ・ザ・ワールド
※マンジュ・ゴッド
ルインの加護かモンスターの数の調整に役立つものが来てくれた。これでやれる事が出来るのだが、美神の方のルインを召喚出来れば勝てると予想する。だが、ルインの効果は儀式モンスターを使って儀式召喚しなければ効果を得られない。ならば・・・。
「俺は手札から儀式魔法『エンドレス・オブ・ザ・ワールド』を発動!」
「また、儀式召喚。次は何が!?」
「終焉の覇王と対を成す、破滅の美神よ。世界の柱となれ!儀式召喚!『破滅の美神ルイン』」
「デミスを儀式召喚の生贄に!?」
明日香はデミスを犠牲にしてきた遊来の考えに驚愕する。攻撃力及び守備力3000のデミスを生贄にするなど自分の常識では考えられなかったからだ。
『破滅の美神ルイン』儀式・効果/星10/光属性/天使族/攻撃力2900/守備力3000「エンドレス・オブ・ザ・ワールド」により降臨。
「このルインも4つの効果がある。一つ目はこのカードが手札・フィールドに存在する限り『破滅の女神ルイン』として扱う効果。二つ目は儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターは効果では破壊されない効果。三つ目は儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる効果。四つ目はこのカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える効果だ」
「更にフィールド魔法『ブレイク・オブ・ザ・ワールド』の効果を発動。『破滅の美神ルイン』はフィールドでは『破滅の女神ルイン』として扱うため、カードを一枚ドロー」
[ドローカード]
※奈落の落とし穴
[現在の手札・4枚]
※魔神儀[デビリチャル]-タリスマンドラ
※古聖戴サウラヴィス
※マンジュ・ゴッド
※奈落の落とし穴
『マスター、貴方に勝利を・・・』
「ああ、頼む」
「召喚したは良いけど、私の『サイバー・ブレイダー』の攻撃力は3600。更には戦闘破壊も出来ないわ!」
「ああ、そして俺はマンジュ・ゴッドを通常召喚」
「?どういうつもり!?これで『サイバー・ブレイダー』の攻撃力は倍になるわ『パ・ド・トロワ!』」
『サイバー・ブレイダー』の攻撃力が倍となり、7200というとんでもない数値となった。だが、遊来の狙いはそこではなかった。
「マンジュ・ゴッドを召喚・反転召喚に成功した時デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺は『終焉の王デミス』を手札に加える。さらに速攻魔法『エネミー・コントローラー』を発動」
「エ、『エネミー・コントローラー』!?」
「このカードの効果は二つの効果から1つを選択して発動できる。一つは相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。二つ目は自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る効果」
「俺は一番目の効果を選択し『サイバー・ブレイダー』を守備表示に変更!」
「そんな、しまった!?」
「そして、美神ルインはデミスを使って召喚された為に三つ目の効果で1度のバトルフェイズ中に2回攻撃が可能。四つ目の効果でこのカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える効果を持つ」
「!じゃ、じゃあ!」
「ああ、ルインで『サイバー・ブレイダー』に攻撃!破滅の閃光!」
「ああああっ!」
『サイバー・ブレイダー』は守備表示であった為に戦闘ダメージはない。だが、ルインのバーンダメージ効果は適応されている。
天上院明日香:LP1900
「ま、まだ!」
「いや、このターンで終わりだよ。そっちの場には[攻撃表示]になっている『サイバー・チュチュ』が残っているんだからな」
「あ・・・」
それに気づいた明日香はあっけにとられたような声を出していた。遊来は容赦なく攻撃宣言する。
「ルイン、『サイバー・チュチュ』に攻撃!」
「きゃああああ!」
天上院明日香:LP0
デュエルが終了し、明日香が伏せていたカードを聞くと『誤作動[マルファンクション]』だったそうだ。あの時『攻撃の無力化』を無効にしていても戻っちゃうから、使わせる意味で使わなかったのかと考えた。
「ありがとう。良いデュエルだったわ」
「こちらこそ」
「次はシンクロ召喚を見せてくれると嬉しいわ」
「機会があればね。それじゃあ・・・えっと」
「天上院明日香、明日香と呼んでくれれば良いわ」
そう言って遊来は十代と翔と共に戻っていった。敗北はしたが明日香は遊来に対する違和感があったのを感じていた。確かに強いのだが彼からはデュエルに対する熱意が僅かしかないと。
次回は試験と昇格
デュエル描写・・・難しいです。はい
「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?
-
登場させる
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登場させない