手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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怪談話の延長

十代がデュエル


第9話

オベリスクブルーが気恥ずかしさと一緒に住みやすくなって数日、遊来はオシリスレッドの十代の部屋にお邪魔していた。

 

初夏に近い時期ではあるが、少し汗ばむ。差し入れに購買で買ったジュースを三人に渡し、自分もジンジャーエールを飲む。

 

「大徳寺先生が言っていた廃寮に行ってみようぜ!」

 

「十代、話を聞いた瞬間にそれかよ」

 

「アニキらしいっす」

 

「なんだな・・・」

 

それぞれが好みのジュースを飲みながらハイテンションの十代を見ている。遊来は苦笑しつつ、新しいデッキの構想をしていた。

 

「(最近、ドラグニティを基盤にしたあのカードのデッキが浮かぶんだよな)」

 

遊来が思い描いているあのカードとはカイザー亮とのデュエルで使用しなかった、とあるシンクロモンスターである。

 

ドラグニティではなく派生した姿が多いカード郡だ。なぜ浮かぶのか?そう疑問に思うと亮とのデュエルが切っ掛けなのだと考える。あの時から自分の中で何かが燻っているような感じを受けるのだ。

 

「遊来も行こうぜ!」

 

「え?ああ・・・出かけられるチャンスがあればな」

 

そう、遊来は今現在、エリートとされるオベリスクブルーの所属だ。単位や学生としての問題行動を起こせばペナルティを受けてしまう。

 

だが、やはり学生。好奇心を抑えられない十代に影響を受けているのか、自分もコッソリ行こうという考えが出てきていた。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、復習も明日の予定も大丈夫という状態で遊来は外で夜の空気を吸っていた。単なる気分転換だが、相棒であるルインと共に散歩も楽しんでいる。

 

デュエルアカデミアは孤島にある為、その全てを探索したいという気持ちは入学当初からあったのだ。

 

『マスター』

 

「どした?ルイン」

 

『あれ、天上院さんじゃありませんか?』

 

ルインの向けている視線の先には明日香が確かにいた。何処かへと向かっている様子で遊来は気になり、距離を開けつつ、後を付いていく事にした。

 

『あ、見失ってしまいました!』

 

「大丈夫、此処までくれば向かった先はこの中だろう」

 

そこは十代達と話題にしていた廃寮であった。物陰に隠れながら様子を伺っていると十代、翔、隼人達もコッソリと立ち入り禁止の札をかけているワイヤーをくぐり抜け、中へと入っていってしまった。

 

「俺達も行こう、ルイン」

 

『はい、ですが気を付けてください。中から何かしらの気配が感じられます』

 

ルインの忠告を受けつつ、遊来も廃寮の中へと入っていく。中は暗いが常に小さな懐中電灯はキーホルダーのようにして持っていた為に役立った。自分の警戒心が強い事にこの時ばかりは感謝だ。

 

「此処では一体、何が行われていたんだろう?特待生専用だって聞いているけど」

 

夜の廃墟というのは雰囲気もあってとてつもなく不気味だ。廃病院が心霊スポットに代表されるように人が何かしらの形で関わっていれば、それだけでも違うのだから。

 

遊来自身も宗教とはほとんど縁は無いが、言霊や思いは残るといった話は好きな方だ。少々ロマンチスト的な所もある。だからこそ、デュエルモンスターズの精霊の話も信じていた。

 

『マスター、この先でデュエルが行われているようです』

 

「なんだって?」

 

直ぐに先へ向かうと、そこでは何かが行われていた形跡があり、その広場らしき場所で十代とロングコートを着込んだ男がデュエルしていた。

 

「おい、どんな様子だ!?」

 

「うわああああ!?って・・・遊来くん!びっくりさせないでよ!」

 

「心臓に悪いんだな・・・!本当に」

 

「ああ、悪い。って・・十代がデュエルしてるのか?」

 

「そうなんだな、今の状況は十代のターンが終わって、相手が『万魔殿-悪魔の巣窟』を発動して『インフェルノクインデーモン』を召喚した所なんだな」

 

「あの闇のデュエリストとか言ってる男、明日香さんを人質にしてるんだよ!」

 

「なんだって!?」

 

驚きつつ、軽くデュエルの状況を見ると隼人の言っていた通りの盤面のままだ。遊来の姿に気付いた十代がこちらに視線を向けてきた。

 

「お、遊来!やっぱり来てたのか!」

 

「気になった事があったから来ただけだ、それよりもデュエル中だろ?」

 

「おっと、そうだった!」

 

「ふむ・・・お友達が来たようだなぁ。私はカードを一枚伏せ、ターンエンドだぁ」

 

十代は再び視線を対戦相手へと向ける。対戦相手のコートの男、タイタンは独特の口調でデュエルの続きを始めターンを終えた。

 

「俺のターン、ドロー!遊来、お前から貰ったカードのうち一枚を今、此処で使わせてもらうぜ!」

 

「!ああ、ヒーローは強くなるからな。存分にやってやれ」

 

「俺は『E・HERO エアーマン』を攻撃表示で召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、2つの効果から1つを選択して発動できる。1つはこのカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。二つ目はデッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える効果だ。俺は二番目の『HERO』を手札に加える効果を使うぜ!この効果により『E・HERO リキッドマン』を手札に加える!」

 

『十代さんのドロー力にエアーマンのサーチ効果、まさに鬼に金棒ですね。リキッドマンも遊来が差し上げたカードでは?』

 

「おかげで負け続きだよ。属性系も渡したのは塩送りだったかな?」

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「私のタァン、ドローォ!」

 

遊来は隼人から聞いたカードの名称から、ある程度のデッキの中身を把握していた。恐らくはデーモンデッキの一つ『チェスデーモン』だろう。オベリスクブルーの女生徒の一人とデーモンメインのデッキを話題にしていた時があったのを思い出した。

 

「このスタンバイフェイズ時に『インフェルノクインデーモン』の効果発動ぉするぅ!『デーモン』と名のつくモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップさせるぅ!『インフェルノクインデーモン』で『エアーマン』へ攻撃ぃ!!」

 

「罠発動!『ヒーロー・バリア』!このカードは自分フィールド上に『E・HERO』と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

 

「ならばぁ、カードを一枚伏せ、ターンエンドだぁ」

 

状況的に有利なのはタイタンのようだが、今の十代のデッキはキーカードさえ揃ってしまえば爆発的に攻めて来るデッキになっている。それでも、デュエルというものはなにが起こるか分からないと言えるのがこの世界だ。ルインも俺の隣で興味深そうにデュエルを見ている。

 

だが、『チェスデーモン』には厄介な効果がある。それを重要な場面で出されなければいいけど。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

十代が力強くドローし、手札にカードを補填し笑みを見せた。何故か十代は此方に笑みを浮かべている。どうやら俺に視線を向けている様子だ。

 

「遊来!お前がくれた力を今ここで出すぜ!!」

 

「俺が与えた力?」

 

「ああ!俺は手札から『融合』を発動!!手札の『E・HEROバーストレディ』と『E・HEROリキッドマン』を融合!!」

 

「バーストレディとリキッドマンを融合!?」

 

「そんな組み合わせで出でくるE・HEROなんて知らないんだな!」

 

「なるほど、アイツを呼ぶ気か!十代!!」

 

遊来の言葉に十代は頷いて答える。炎の女戦士と自らを液体にする戦士の融合、赤と青の光が一つとなって現れたのは炎を体現したような赤と黄色のアーマーとマントを身に付けた戦士であった。

 

「友情の炎を体現したヒーロー!来い!!『E・HEROノヴァマスター』!!」

 

 

『E・HEROノヴァマスター』融合・効果モンスター/星8/炎属性/戦士族/攻撃力2600/守備力2100

 

 

「え、E・HEROノヴァマスターだとぉ!?そんなカードは知らんぞぉ!?」

 

「これは、俺に遊来が与えてくれた力!そして、友情を誓い合った証でもあるんだ!」

 

「恥ずかしすぎるから止めてくれよ・・・」

 

十代の恥ずかしくなるセリフを聞きつつも、デュエルの場面に視線を戻す。ノヴァマスターが出た事でタイタンは一気に追い込まれている。ノヴァマスターには相手モンスターを戦闘破壊した時、デッキからカードを一枚ドロー出来るドロー加速の効果を持ち、更には上級クラスの攻撃力も兼ね備えている。

 

「そして、素材に使った『E・HEROリキッドマン』の効果を発動!このカードが「HERO」融合モンスターの融合召喚の素材になり、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる!カードを2枚ドロー!そして、1枚を墓地へ送るぜ」

 

手札交換にも等しいが、ノヴァマスターで戦闘破壊が出来ればそのデメリットはプラスマイナスゼロとなる。

 

「すごい、一枚墓地に送らなきゃいけないけど、アニキは手札の消費を最低限に抑えてる」

 

「融合の弱点を出来るだけ抑えているんだな・・・これも遊来のアドバイスのおかげなのか?」

 

「まぁ・・・十代はドロー力が凄いけど、デッキ消費が激しいからな。ドロー系のカードがない場合を想定して戦うっていうのをアカデミアに来る前に散々やってたからさ」

 

「そうだったのかぁ」

 

十代は手札を確認した後、眼付きを鋭くし攻撃態勢に入った。だが、そこでタイタンが宣言をする。

 

「『インフェルノクインデーモン』の効果発動ぉ・・!スタンバイフェイズに攻撃力を1000ポイント上昇させるぅ!」

 

「それでも行くぜ!ノヴァマスター!インフェルノクインデーモンを攻撃!!『ブレイズ・ノヴァ!!』」

 

ノヴァマスターが掌に炎のエネルギーを集中させ、それをインフェルノクインデーモンへ向けて発射し、インフェルノクインデーモンは焼き尽くされるようにして砕け散った。

 

「ぬううううう!!」

 

タイタン:LP 3300

 

「戦闘でモンスターを破壊した事により、ノヴァマスターの効果発動!カードを一枚ドローするぜ!」

 

「ぬぅわぃ!?ドロー加速の効果があったのかぁ!だが、ここで私はリバースカードオープン!『デーモンの雄叫び』ライフポイントを500支払い、先程倒されたインフェルノクインデーモンを守備表示で蘇生させるぅ!!」

 

「それでも攻撃は続行するぜ!!エアーマンで攻撃!『エア・ブラスト』!」

 

「んぐうう!!」

 

タイタン:LP 2800

 

インフェルノクインデーモンはスタンバイフェイズの時に攻撃力上昇効果が適応される。よって、インフェルノクインデーモンは僅か攻撃力900のモンスターでしかない。そのため守備表示で召喚したのだろう。

 

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「私のタァン、ドローォ!」

 

タイタンがドローすると同時に翔と隼人がうろたえ始めている。どうやら、十代の右腕や左足が消えていると騒いでおり、遊来には別の場所が消えているように見えていた。

 

「(俺には右足だな・・・催眠術かなにかか?)」

 

『恐らくは』

 

遊来が平気でいられた理由はルインがそばに居た為である。ルインは曲がりなりにも女神の名を持つモンスターであり、上位の精霊でもあるため単純な催眠術は通用しない。また、前世で死にかけた経験も一役買っていたのだろう。タイタンが千年パズルに似た物を取り出し、それによって暗示を生じさせ催眠術をかけていたのだ。

 

「(ルイン、あのパズル繋ぎ目ある?見てくれないか)」

 

『少し待ってください、うーん・・・ありませんね』

 

「(偽物確定だな。前世で漫画は読んでたから知ってるけど本物は、エジプトの地で眠ってるから)」

 

遊来自身も架空の存在と認識していたとはいえ、この世界に来てから一度だけ出会った千年パズルの所持者だったデュエルキング武藤遊戯。その闇の人格とされたもう一つの魂、名も無きファラオと呼ばれた、古代エジプトの王子アテム。それが正体であった。それも今や伝説となっており自分も一度は戦いたいと思ったことは何度もあった。

 

「私はぁ、手札から『強欲な壷』を発動し、二枚カードをドローぉ!!更に魔法カード『二重召喚』を発動ぉ!、これにより私はぁ、このターン中に通常召喚を二回行えるぅ!!更に『早すぎた埋葬』を発動ぉ!ライフポイントを800支払う事で、このカードを墓地に眠るモンスター1体に装備し特殊召喚できるぅ」

 

「私はライフポイントを800支払い、再び『インフェルノクインデーモン』を攻撃表示で特殊召喚ん!!」

 

 

タイタン:LP 2000

 

 

「更に装備魔法『堕落(フォーリン・ダウン)』を発動ぉ!このカードを貴様の場のノヴァマスターに装備するぅ!!」

 

「なんだって!?」

 

「!『堕落(フォーリン・ダウン)』!?デーモンデッキが使ってきたのならマズイぞ!!」

 

遊来の声に隼人もマズイと言った表情をしており、翔は何がマズイのか分からず首を傾げていたが、紫色のオーラに包まれてしまったノヴァマスターがタイタンの場に向かった事によって状況を理解したようだ。

 

「ああっ!?アニキのノヴァマスターが相手のフィールドに!?」

 

「更に『ジェノサイドキングデーモン』を一回目の通常召喚で召喚ん!」

 

タイタンの手札は1枚、ここで攻める気だ。遊来がそう予測するとタイタンは迷いなくバトルフェイズへと移行した。

 

「ノヴァマスターで貴様の場のエアーマンを攻撃ぃ!『インフェルノ・ノヴァ!』」

 

「うあああ!?」

 

遊城十代:LP 3200

 

「ノヴァマスターの効果ぁ発動ぉ!カードを一枚ドローぉ!んふっふふ!!更に『ジェノサイドキングデーモン』のダイレクトアタックゥ!!『炸裂!五臓六腑ぅ!!』」

 

『ジェノサイドキングデーモン』が自分の内臓を蟲に変えて十代へ襲わせる。その手に持っている剣は飾りなのか?と遊来は思うがあんな攻撃、ソリッドヴィジョンとはいえ受けたくはない。

 

「へへ!そうはいかないぜ!!罠カード発動!『ドレインシールド』!!このカードは相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ自分はLPを回復する!」

 

十代の罠の宣言と同時に『ジェノサイドキングデーモン』が杖にしていた剣を掲げ、蟲達の攻撃を停止した。

 

「?なんだ?」

 

「ふふっ『ジェノサイドキングデーモン』の効果発動ぉ!このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振り、2か5が出た場合、その効果を無効にし破壊することができるのだぁ!」

 

そう言ってタイタンは懐からサイコロを取り出し、十代に向けて受け取りやすいように投げつけ十代はそれを難なくキャッチする。

 

「なんのつもりだよ?」

 

「サイコロの確認だぁ・・・デュエルにおいてだけはイカサマはしないと決めているのでなぁ?確認を終えたらこちらへ返せぃ」

 

「ん、分かった!」

 

いや、だったらなんで・・・。ああ、商売だからねと遊来が一人で納得する。前世は社会人であった為にお金の必要性を理解しており、タイタンも雇われてインチキデュエリストにならなければ生活できなかったのだろう。

 

「世知辛い世の中だなぁ・・・」

 

「どうしたんだな?遊来」

 

「なんだか、疲れた顔しているよ?」

 

「ああ、大丈夫だって・・・」

 

十代はサイコロを一通り確認し終えるとキャッチしやすいようにタイタンへサイコロを投げ返した。それを受け取ったタイタンは、イカサマはしていないと見せつけるようにサイコロを見せた後、地面に落下させた。

 

サイコロが転がり、目が止まる。出た目は5だ。よって『ジェノサイドキングデーモン』の効果は成功となってしまった。

 

「出た目は5だぁ、よって貴様のドレインシールドは無効化され、破壊されるぅ!」

 

「何!?うわっ!」

 

十代を守っていた光の盾が砕け散ってしまい、蟲達が一斉に飛びかかっていく。

 

「『ジェノサイドキングデーモン』の追撃ぃ!」

 

「うあああああ!」

 

遊城十代:LP 1200

 

「ああ!アニキのライフが残り僅かに!?」

 

「十代、気張れ!!」

 

「バトルフェイズ終了、メインフェイズ2においてノヴァマスターを生贄にし『迅雷の魔王-スカル・デーモン』を攻撃表示で二回目の通常召喚の権利で召喚するゥ! 」

 

 

『迅雷の魔王-スカル・デーモン』効果/星6/闇属性/悪魔族/攻撃力2500/守備力1200

 

 

「上手い!『ノヴァマスター』のドロー効果を利用した上で、上級モンスター引き当て更に『堕落(フォーリン・ダウン)』を処理してを出すとは!攻撃力は若干下がるがそれでも盤面は完全に逆転した!(けど、プレミしてるな)」

 

タイタンの戦法に遊来は素直に称賛したがミスも見つけ出していた。これだけの実力があるのにこの後、良い様に利用される。遊来はルインにある頼みをしようとしていた。

 

「(ルイン、タイタンを助けられないか?)」

 

『あの者を狙っている闇の欠片がありますから、それを消滅させない限りは』

 

会話している中で、タイタンの様子がおかしくなってきていた。声がくぐもって来ておりデュエルを中断しようとはしない。更には不気味な雰囲気を拡散させている。だが、乗っ取られる前にもタイタンは致命的なミスをした。

 

「た・・・ターン、エンドォ・・・!」

 

『いけない!あの者が闇の欠片に取り込まれて、このデュエルが闇のゲームになってしまっています!』

 

「(マジかよ!?ど、どうすればいいんだ?)」

 

『遊城十代にデュエルで勝利して貰うしかありません!そうすれば欠片を引き剥がす事が出来ます。それと同時に私が消滅させますので、彼に伝えてください!闇のゲームは勝利しなければ命を落とすと!』

 

「(分かった!)十代!今、タイタンがとんでもなくヤバイ事になってる!今、このデュエルはルイン曰く闇のゲームらしい!必ず勝て!勝たなきゃ死ぬぞ!!」

 

「闇のゲームってなんだ?」

 

「とにかく勝て!あとで説明するから!!」

 

「わ、分かった!俺のターン、ドロー!」

 

十代がドローを終えると手札を眺めている。今現在の手札は5枚、ここから逆転の手を引いてくるのが十代の強さだ。手札に手をかけるとカードをデュエルディスクに装填する。

 

「俺も強欲な壷を発動!カードを二枚ドロー!更に『E・HERO バブルマン』を召喚!このカードが召喚された時、自分の場に他のカードが無い時、デッキからカードを二枚ドローできる!」

 

「・・・ぬ・・・ぅ」

 

「はぁ!?四枚もドローしたのかよ!?(おいおい、アニメ効果の方のバブルマンなのか!?OCGだけかと思ってた!)」

 

「よし!手札から融合回収(フュージョン・リカバリー)を発動!墓地にある『融合』と『E・HEROリキッドマン』を手札に戻し、そのまま『融合』を発動!手札の『E・HEROクレイマン』と『E・HEROリキッドマン』を融合!」

 

「クレイマンの融合となると、マッドボールマンを召喚するつもりなのか?それだと、防御重視になって勝てないんだな!」

 

「いや、隼人。マッドボールマンは素材が決められてるから今だと無理だ。だけどE・HEROはエレメント・・・すなわち元素をモチーフにされていて、デュエルモンスターズでは五つの属性を担っている。ノヴァマスターが炎属性の上位なら、その他の属性だって上位クラスはいる」

 

「え?それってどういう意味なんだな?」

 

「見ていれば分かるさ」

 

「大地の名を持ち、今その力を見せてくれ!『E・HEROガイア』を融合召喚!!」

 

『E・HERO ガイア』 融合・効果/星6/地属性/戦士族/攻撃力2200/守備力2600

 

『E・HEROクレイマン』と『E・HEROリキッドマン』が融合の渦に飲まれていき、二体が合体しその光の中から無骨で力強く、何者をも寄せ付けない漆黒の鎧を身に纏った巨人のような戦士が姿を現した。十代の手札は六枚、まだまだ攻められる状態だ。

 

「そして『E・HERO ガイア』の効果発動!このカードが融合召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力を半分にし、このカードの攻撃力はその数値分アップする!俺は『迅雷の魔王-スカル・デーモン』を選択し、その攻撃力の半分をガイアに吸収させる!!」

 

「なっ・・・!?だが『迅雷の魔王-スカル・デーモン』の効果発動ぉ!このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振り1・3・6の目が出た場合、その効果を無効にし破壊するぅ!」

 

再びサイコロを振り、目が出る。出た数字は4だ。これにより『迅雷の魔王-スカル・デーモン』の効果が不発となり『E・HERO ガイア』が両腕で地面に拳を撃ち込み、隆起した地面へ『迅雷の魔王-スカル・デーモン』の下半身が大地へと飲み込まれていく、それによって攻撃力の変動が起こった。

 

 

『迅雷の魔王-スカル・デーモン』攻撃力2500→攻撃力1250

 

『E・HERO ガイア』攻撃力2200→攻撃力3450

 

 

「攻撃力の半分を吸収する効果!?おまけに攻撃力3450になったよ!」

 

「ノヴァマスターと同じ属性融合のヒーロー、あのガイアってカードも強力なんだな!」

 

「更にこのターン、素材に使った『E・HEROリキッドマン』の効果により、カードを二枚ドローして一枚を捨てる!」

 

「おいおい、まだドローする気か!?やっぱり、十代に属性HEROを渡したのは塩だった」

 

「俺の融合はまだ終わらないぜ!更にもう一枚『融合』を発動!場に居る『E・HERO バブルマン』と手札の『E・HERO ワイルドマン』を融合!」

 

「更に融合召喚!?」

 

「ま、まだ何か別のHEROが?」

 

「水属性とHEROの融合・・・アイツか!十代はこのターンで決める気だな」

 

場に居たバブルマンと野性的な風貌を持つワイルドマンの二体が再び融合の渦に飲まれていき、その姿を変える。

 

十代は嬉しそうにそのカードを手にする。アカデミアに初めて向かった船の中で遊来から渡された大切なカード、それを親友の前で披露する。遊来自身もHEROカードの中でお気に入りの一体であるあのカードを。

 

「来い!極寒の力を持つ氷のヒーロー!『E・HERO アブソルートZero』融合召喚!」

 

光の中から雪の結晶が舞い落ち、十代の目の前に『E・HERO ノヴァマスター』と酷似した純白のアーマーとマントを靡かせながら着地してきたヒーローが立ち上がる。

 

『E・HERO アブソルートZero』融合・効果/星8/水属性/戦士族/攻撃力2500/守備力2000

 

「な、なななな・・・!!」

 

十代の場には攻撃力の増加した『E・HEROガイア』、新たに召喚された『E・HEROアブソルートZero』属性融合HEROのうちの二体がおり、タイタンの場には攻撃力を半減させられた『迅雷の魔王-スカル・デーモン』そして『ジェノサイドキングデーモン』『インフェルノクインデーモン』の三体がいるが、2体の属性融合のHEROを呼ばれる前に『迅雷の魔王-スカル・デーモン』の召喚を優先的に考えてしまった為に勝利を逃してしまい、更には攻撃力が足らず、このターンでの決着は火を見るよりも明らかであった。

 

「行け!ガイア!迅雷の魔王-スカル・デーモン!攻撃!『コンチネンタルハンマー!』Zeroも続け!ジェノサイドキングデーモンへ攻撃!『瞬間氷結(Freezing at moment)!』」

 

「ぬわああああああああああ!!!」

 

タイタン:LP0

 

「ガッチャ!!楽しいデュエルだったぜ!」

 

ライフポイントがゼロになった瞬間、タイタンの内側から闇が吹き出し、彼を飲み込もうとしている。

 

「な、なんだこれはぁ!?嫌だ、嫌だァああ!!」

 

「(ルイン!!)」

 

『お任せ下さい!破滅の最光!』

 

ルインの光がタイタンを貫き、闇の欠片を彼から引き剥がし、消滅させたが突然現れた彼女にタイタンが目を丸くして驚いている。

 

「は、破滅の女神ルインだとぉ!?なぜこんな所にぃ!?」

 

「あー、それはおいおい話すから!それと仮面のオッサン!!アンタにも手伝ってもらう!そんだけガタイが良いんだから明日香を運んでくれよ!それから、なんでインチキ紛いな事をやっていたのかも話してもらうからな!?それが助けた交換条件!」

 

「わ、分かったぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

遊来は脱出する前に気になった物があり、それを回収すると同時に古くなっていたのか周りが崩れ始めていた。急いで走って外へ脱出するとタイタンは改めて彼らに名を名乗り、話によれば明日香は眠らせただけとの事でじきに目を覚ますと言っている。

 

「十代、翔、隼人、悪いけど明日香とこの写真を頼む。俺、タイタンと話があるから」

 

「おう、任せておけよ!」

 

「遊来君・・・後でちゃんと話を聞かせてよ?特にルインさんの事」

 

「任されたんだな」

 

三人からの返事を聞き、タイタンと共に少し離れた場所で話をする事にした。距離もあるので会話を聞かれる事もない。

 

「それじゃ、お互いに聞きたい事を交換しながら話そうか。先ずは俺からで、どうしてアカデミアに居たんだ?」

 

「依頼を受けたのだぁ・・・遊城十代を二度とデュエルが出来んようにしてくれとなぁ」

 

「依頼相手がなんとなく想像つくけど・・・。はい、そちらの番」

 

「うむぅ、これから私をどうするつもりだぁ?それに破滅の女神ルインが居た事も気になるのだぁ」

 

「とりあえず、依頼主に連絡して契約破棄してアカデミアを去ってくれ。それと破滅の女神ルインに関してはデュエルモンスターズの精霊を信じるか信じないかの話になる」

 

「デュエルモンスターズの精霊だとぉ!?噂だけが独り歩きして胡散臭いとばかり思っていたが」

 

お前が言うなというツッコミをグッと堪えて、遊来は自分のデッキケースからカードを取り出して見せた。今のタイタンならばインチキ商売などしなくともこれらを活用して立ち直ってくれると信じて。

 

「精霊の話は一旦切って・・・タイタン、連絡先との交換でこのカードをアンタに渡すよ」

 

「む?こ、これはぁ!?『伏魔殿(デーモンパレス)-悪魔の迷宮』と『トリック・デーモン』のカードではないかぁ!私にとっては探し求めていたカードだぁ!」

 

タイタンにとってこのカード達はかなりの戦力になるカードである事に違いはない。特に『トリック・デーモン』はデーモンと名の付く魔法、罠までもがサーチ可能な為、彼からすれば喉から手が出るほど欲しいカードだ。

 

「だから、渡す条件はアンタの連絡先、ちゃんとしたやつのね?教えてくれればちゃんと渡すよ」

 

「連絡先だけで良いのかぁ?対価としてはそちらの方が不利な気もするのだがぁ?」

 

「だったら買い取りにする?依頼主は検討が付いてるから、仕事を依頼された時に支払われた依頼料で売るよ」

 

「むぅ・・・なら、連絡先と依頼料の三分の一を支払うとしよう」

 

タイタンの条件も学生にしては破格だが、遊来は首を横に振った。タイタンの手に『伏魔殿(デーモンパレス)-悪魔の迷宮』と『トリック・デーモン』のカードを渡すと立ち上がった。

 

「今回のお金は振り込むなりして返した方がいいと思うよ」

 

「む・・ぅ、依頼料は振込で返すとしよう。貴様ぁ・・・名前は?」

 

「俺の名前?俺は龍谷遊来、遊来と呼んでくれればいいさ」

 

「龍谷遊来・・・私は本土に帰り、真っ当な道を進むとしよう。もし、機会があれば私とデュエルしてくれるか?今の私ではない、生まれ変わった私とだ。それと、これが私の連絡先だぁ・・・お前からの連絡なら如何なる時でも受け付けよう」

 

「ああ、もちろん。内緒にしとくから早く帰ったほうがいいよ」

 

「恩に切る。それと眠らせた少女や他の者達にも伝えといてくれるかぁ?済まなかったと・・・」

 

「分かった、必ず伝えておくよ」

 

「では、さらばだぁ・・・龍谷遊来」

 

タイタンは連絡先を教えてくれた後、背を向けて去っていった。遊来は十代達と合流し、明日香も目を覚ました様子だ。

 

「あ、遊来!あれ?タイタンは?」

 

「本土へ帰ったよ、自首するって。それとみんなへ伝言、済まなかったってさ」

 

「そっか、いつかまたデュエルしてえなぁ!」

 

十代は相変わらずだなと遊来は苦笑したが、翔はジト目で睨んでおり隼人は笑っていた。そんな中、明日香だけがその場で何かを見続けている。

 

「なぁ、十代?明日香の奴どうしたんだ?」

 

「ああ、なんだかお兄さんの写真を見つけたとかで」

 

「?明日香のお兄さん?」

 

遊来は明日香に声をかけると明日香が気づいたように振り返り、手にした写真を見せてくれた。かなりのイケメンな男性が歯を光らせているように見える爽やかでイケメンなスマイルをサムスアップをししている姿を撮影されたもののようだ。

 

「10・・・JOIN?じゅう?それともテン?」

 

「10JOINと書いて天上院と読むのよ、こうしたおふざけは兄さんの十八番だったの」

 

「ああ、そういうことか」

 

10JOINで天上院と読むのだと聞いて納得し、これが明日香のお兄さんである吹雪さんだと聞かされた。その後、夜明けが近くなってきたのを確認し、全員がそれぞれの部屋に戻った。

 

 

 

 

 

夜が開ける数時間前、一つの星が小さく形を成し遊来の部屋のデッキケース向かって来た後、その上に輝いていた。

 

『やはり、お前は違った次元に転生していたのか・・・通りでいくら探しても見つからないはずだ』

 

小さな星は人の形を成し、顔はまるで仮面に覆われた姿をしていた。声からして男性とわかるが遊来のデッキケースを開き、その中から宇宙を体現したような黒色のカードを一枚抜き出して手にし、それが光に包まれていく。

 

『この力はお前にとっては悪であり、闇となるだろう。それと対となす力をお前は得られるか?』

 

光に包まれたカードに名称とイメージイラストが浮かび上がってくる。そのイメージイラストはドラゴンでありながら鋭角的かつ機械的なフォルムをしており、カラーは黒紫色と赤を基調として、胸の宝石や翼など体の各所が輝いているように見える。

 

『対となる力を得なければお前は、闇に飲まれる。人とは光と影を持って生きているのだから』

 

光が収まり、カードをデッキケースに戻すと彼が使用している机に向かって言葉を発した。

 

『アルタイス・・・我が唯一の友であった竜騎士。かつて私はお前との友の誓いを裏切ってしまった・・・。そしてお前はそんな私を許し海へ恋をし・・・その想いを抱き、破滅への道と知りながら自らの恋に殉じた。■■■を守るために。いつか、再会できれば良いと思ってしまうのは我侭か?お前の想い人はこの世界には居ないだろう・・・だがその半身は姿を変えてお前の傍に居る。それを忘れるな・・・そしてこのカードは私からの絆の証だ』

 

その人物は今は居ない部屋の主に向けて語られたものであった。再び星に姿を変えると銀河へと帰っていった。

 

たった一枚のカードに力を残して・・・。




最後の現れたのは一体誰なのか?エクシーズに関連している人物である事は間違いありません。

ドラゴンであり、鋭角的かつ機械的なフォルムを持っていてカラーは黒紫色と赤を基調にしていて胸の宝石や翼など体の各所が輝いているエクシーズモンスター。察しが良い人かOCGを現役でプレイしている人は使っているかもしれませんね。答えが分かっても名前は伏字でお願いします。

エクシーズに関しては遊来くんの闇の力の代わりになり、しばらく制御できません。

闇と対になる『ある境地』に達すれば制御できます。その『ある境地』はなんでしょうか?

アルタイスとは星座にあるりゅう座の恒星で3等星の星の名前であり、遊来くんの出来事に関わってくる名前です。

このアルタイスが恋した相手は女性で遊戯王に登場しており、GXの世界よりも先の時代に生きている女の子です。ヒントは出ていますから簡単かと思います。


※追伸

更新遅れてすみませんでした。

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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