戦姫絶唱シンフォギアFM~奏者と機兵の円舞曲~   作:D-ケンタ

5 / 7
今回はヴァンツァー出てきません!


STAGE3 接触、二課

「あったかいもの、どうぞ」

「あったかいもの、どうも」

 

そう言って彼女、立花響は手渡されたカップを受け取って、中身を啜る。

あの後、無事ノイズの殲滅は完了し、響や少女は無事、一課所属の辰川達ヴァンツァー隊にも目立った被害は出ずに終わった。

後はもう安心。飲み物を啜り終わり、ホッと一息つく。

 

「にゃはぁ〜……え?」

 

一息ついたと思ったら、突然彼女の纏っていたモノが解除され、普段の制服姿へと戻った。それに驚いた響はバランスを崩してしまった。

 

「うわ、わわわっ!」

「おっと」

 

倒れそうになった響だったが、誰かの腕に支えられたことで事なきを得た。

 

「あ、辰川さん!無事でよかったです」

「お互いにな。あの娘も怪我一つない、よく頑張ったな」

「ありがとうございます」

 

チラと、視線を助けた少女へと向けると、母親と思しき人物に抱きしめられていた。

 

「本当、よかった……」

「ああ……ところで、訊きたいことが」

「おいおい、早速口説いてんのか」

 

声の方を向くと、こちらに向かってくるパイロットスーツを着た人影が確認できた。

 

「お前じゃないんだから、そんなことするわけ無いだろう」

「へいへい。さっきぶりだな、嬢ちゃん」

「え、ええと……」

 

急に話しかけられ、困惑する響。

 

「おいおい忘れちまったのか?」

「あ!もしかして通信機の人ですか!?」

「そうそう。俺は片支那健治、立川の同期だ。ちなみに階級は曹長。ま、よろしくな」

 

そう言ってニッと笑い右手を差し出した片支那に、響は戸惑いつつもその手を握りかえした。

 

「わ、私は立花響です。助けてくれてありがとうございます」

「いいってことよ。そういや響ちゃん、辰川から無線を預かってたろ?」

「あ、はい。ええと……」

 

響はゴソゴソとポケットを探り、預けられた通信端末を取り出し、辰川へと返す。

 

「すみません、借りっぱなしで。ありがとうございました」

「いや、俺もすっかり忘れてたからな」

「お前なあ。今回は仕方ないけど、一応軍の備品なんだからな」

「スマンスマン……ふむ」

 

受け取った端末を起動し、角度を変えながらチェックする。先の戦闘時、端末の反応が途切れた原因がわかればと思ったが。

 

(パッと見、どこも故障はしていないな……)

 

いくら調べても、何処にも異常は見られない。どうだ?とアイコンタクトを送る片支那に向け、辰川も軽く首を振って異常がないことを伝える。

 

「あの〜私そろそろ」

「あ、ああ、そうだな。いつの間にか、こんな時間だしな」

「本当は送っていきたいんだが、後処理が残っているからなぁ」

 

そう言いつつ視線を向けた先では、一課の隊員が瓦礫の撤去など、戦闘の痕跡の後始末を行っている最中であった。

 

「あはは、気にしないでください。それじゃ、失礼します」

「ああ。気をつけて帰れよ」

「じゃあな嬢ちゃん」

 

そして響は帰路につき、彼女を見送った辰川達は本来の仕事へと戻った。

 

「さて、ちゃっちゃと済ませるか」

「だな。ところでよお、俺が頼んでたCDは---」

「うえええっ!?!?」

「「っ!?」」

 

しかし突然、先程別れたばかりの響の悲鳴が聞こえてきた。

咄嗟に振り向いた先では、大勢の黒服の人間に囲まれ、手錠を掛けられた彼女の姿があった。

それを確認するやいなや、二人は彼女のもとへと向かった。

 

「おいあんたら!何をしてるんだ!」

 

僅かに先に駆けつけた片支那が彼らに向かって叫んだ。

 

「あなた方は?」

「俺達は……うへあああっ!?」

 

と思ったら、今度は素っ頓狂な声を上げていた。狼狽する片支那の視線の先には、彼の推しである風鳴翼の姿があった。

 

「お、おい辰川!つば、つば、翼ちゃんっ、生翼ちゃんが!?」

「落ち着け片支那。俺達は一課の人間だ。あんた達は?」

「我々は二課の者です。彼女にはある理由から、ご同行をお願いしております」

 

辰川の問いかけに、響に手錠をかけたと思しき男性が一歩前に出て答えた。

 

「ある理由、だと……もしかして」

 

思い浮かんだのは先の事。再会した響が身に纏っていた装束、それこそが二課が彼女を拘束した理由なのではないかと、辰川は予想した。先に合流し、事情をよく知っているだろうと思われる片支那は、いまだ狼狽えている為話をきけない。

 

「……なるほど。そういうことなら筋は通っている、か」

「ご理解いただけましたか?」

「ああ。だが、どんな理由があろうと、子供に手錠をかけるのは見過ごせないな。二課というのは、レディのエスコートの仕方も知らない奴らばかりなのか?」

「これは、耳が痛いですね。ですが、これも彼女の為なのですよ?」

 

肩をすくめながらもそう答えた男性に、辰川は言葉を詰まらせる。視線を響へと向けると、彼女は困惑したような、少し怯えたような目でこちらを見ていた。

 

「かと言って、こんな強引なやり方はやはり見過ごせん。彼女を連れて行くなら、俺も同行させてもらおうか」

「……それは」

「ちょっと待て!辰川、お前」

 

とそこで、推しとの不意な遭遇による混乱から立ち直った片支那が、辰川へと詰め寄る。

 

「お、やっと正気に戻ったか」

「正気に戻ったか、じゃねえよ!お前、司令から言われてること忘れたのかよ?」

 

片支那は辰川の肩を掴み、周りの人間に聞こえないように問いかけた。

 

「二課には必要以上に関わるな、だろ」

「分かってんなら何で?こんなことして、始末書じゃ済まねえぞ」

「それでも、彼女を一人で向かわせられん。それに俺自身、奴らに訊きたいことがある」

「……二年前の事か」

「ああ」

 

それを聞くと、片支那はガッシガッシと頭を掻き、溜息を一つ吐いた。

 

「分かった。それが目的で、一課に異動したんだもんな」

「悪いな」

「気にすんな。だがそういう事なら、俺も行かせてもらうぜ」

 

突然の申し出に、辰川は思わず目を丸くする。

 

「お前ばっかり翼ちゃんとお近づきになろうったってそうはいかねえぞ」

「お前なあ……」

「それに、俺だって知りてえんだよ。奏ちゃんのことをよ」

「……そうだな」

 

話を終えた辰川と片支那の二人は再び二課の面々へと向かい合う。

 

「すまない、コイツも追加で」

「……確認を取ります。少しお待ちください」

 

男性はそう言って懐から通信端末を取り出し、どこかへと連絡をとる。

そして辰川も、自身の端末を操作し、仲間へと通信を繋いだ。

 

『辰川か……話は外部マイクから拾って聞いていた』

「宮山さん、御迷惑をおかけします」

『気にするな。やっと巡ってきたチャンスなんだろ?後始末は任せろ』

「すみません、ありがとうございます」

 

言い終えて通信を切ると同時、向こうも確認を終えたようで、端末をしまいつつ辰川達へと話しかけてきた。

 

「お二人の同行の許可が出ました。二課本部へとご案内します」

「おし!丁寧なエスコートを頼むぜ」

「無理言ってすまないな。よろしく頼む」

「ではこちらに」

 

先導して歩き出した男性に続き、辰川達も歩き出した。

 

(何が起こるかわからないが、最悪のパターンは想定しておかねばならない、か)

 

そっと、腰のホルスターに収められたハンドガンへと手を添える。一体何が彼らを待ち受けているのか。




次回【突撃!隣の特異災害対策機動部二課本部!】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。