誰が為の《物語/運命》   作:音佳霰里

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と、言う名前のBADEND集です。

注意点
・この回は、本編に全く関係がありません。せいぜい主人公が各週の1話目と同じくらいと考えていてください。
・この回は本編に全く関係が無いため、伏線なども一切ありません。その点を踏まえてお読みください。


おまけ 〜ありえたかもしれない世界線のお話〜

 

 END⒈『ガン患者に良く効く赤いお薬』

 

 ―――まずい。

 魔女の結界の最深部に入ると飛び込んできたのは、目の前には、お菓子の魔女にマミられそうになっているマミさんという光景。

強化、開始(トレース、オン)―――!」

 俺は急いで足に魔力を込め、身体強化の魔術を使い、一気にお菓子の魔女の側まで飛んでいく。

「え、ちょ、まどか!?」

 さやかの焦ったような声が後ろから聞こえて来るが、今は人命救助が最優先なので、少しくらいは許して欲しい。

「っ! 間に合わない……!」

 そう判断を下した俺は、マミさんの眼前に近づいているお菓子の魔女目掛けて、投影した干将・莫耶の2振りを、同時に投げ込む。

「―――ふッ!」

 大きく弧を描くようにして飛んで行った干将・莫耶は、お菓子の魔女の口元に近づき―――

 

 ―――噛み砕かれた。

 

「なっ―――!?」

 どうやらお菓子の魔女は、目の前にいる戦意を砕かれた天敵よりも、たった今自身に害を加えてきた雑草の方が気に障ったようだ。

 そのまま頭をこちらに向けると、その大きな口を一瞬で目の前へと運んで来て―――。

 

 ―――俺は体制を整える暇もなく、お菓子の魔女の()として、跡形もなく噛み砕かれたのだった―――。

 

DEAD END  

 

 

 END⒉幻惑の朱槍

 

「っ、さやか……」

 さやかが魔法少女の真実を知り、狂ったように魔女退治を始めてから2日が経った。

 俺は今、さやかを探しながら、ある魔法少女の手助けを借りる為に、この見滝原の町中を、昼夜問わず走り回っていた。

 その魔法少女とは、『佐倉杏子(さくらきょうこ)』。

 決まった住処を持つことのない、流浪の魔法少女で、なおかつ魔法少女歴が少なくとも5年以上という、巴マミに次ぐ大ベテランの魔法少女であり―――

 ふと俺が誰か(読者)に向けてそんな説明をしていると、裏路地に向かって、綺麗な赤色のポニーテールが入っていくのが見えた。

 ―――見つけた。

 そう思うと同時に、俺は先程杏子と思しき人物が入っていった裏路地に向かって走り出した。

 俺がその路地に入った瞬間に感じたのは、微かな違和感。

『何が違うのか』と言われるとなかなかに表現が難しいのだが、一般人ではわかることの無い、魔術に関わる者のみが感じ取ることの出来る、本当に小さな違和感が、そこにはあった。

「―――? 何が……」

 疑問に思っていると、背後から鎖の音が響いてきた。

 ―――しまった、誘い込まれた!? 

 急いで後ろを振り向くと、そこにはくすんだ赤色の、鎖の壁が。

 向こうには先程まで俺の歩いていた大通りがあり、普通に通行人がいるのが見えている。

 しかし、認識阻害か何かの魔術を使われているのか、明らかにおかしいこちらに、意識を向ける素振りすら見えない。

 焦りながら前を向くと、そこには、俺の捜し求めていた魔法少女が、戦闘服ではない、私服姿で佇んでいた。

「……アンタかい? 鹿目まどかってのは」

「……そうだとしたら?」

 俺は、額に冷や汗をかきながら、そう聞き返す。

 しかし杏子はこれっぽっちも堪えた様子はなく、むしろ楽しそうに、笑顔を深めながら、言葉を続けている。

「いや何、さっきからアタシの縄張りをウロチョロされてて鬱陶しかったからさ、軽く意識を逸らさせてどっか行ってもらおうと思ってたんだ。でもあんたが鹿目まどかなら、そんなことはしなくても大丈夫みたいだ」

『そんなことはしなくても大丈夫』? 

 一体どういう意味なのだろうか……? 

 後ろからの奇襲に警戒しながら、俺はさっきの言葉について聞き返す。

「どういうことだ……? そんなことはしなくても大丈夫って……」

「ん? あぁ、キュウべえのやつに言われたんだよ。『鹿目まどかは要注意人物だから、もし出会うようなことがあったら、殺してしまっても構わない』ってね」

 ―――思考が止まる。

 俺が要注意人物? 殺してしまっても構わない? 俺はとてつもない才能を秘めているんじゃなかったのか? それをこう易々と殺してしまってもいいものなのか? 

 そんな思考が、頭の中で堂々巡りを続ける。

 だが、俺自身が混乱の最中にあったとしても、戦場において、敵が律儀に待ってくれるなんて保証はどこにも無い。

 杏子が魔法少女の姿に変身し、槍を構えるのがぼんやりとした視界の中に映る。

 俺は条件反射で、使い慣れた干将・莫耶の投影を行い、それらを構える。

 それと同時に、杏子は人間には出せない様なスピードで、こちらへと突撃してくる。

 それを俺は、手に持った二振りの剣で受け流す―――

 

 ―――ことは出来なかった。

 

 俺の胸から、朱い槍が生えてきたからだ。

 杏子の扱う、朱色をした、多棍槍が。

「ガハッ……!」

 倒れゆく視界の中、俺が立っていた場所を横目で見やると、そこには何故か、先程まで俺と話していたはずの杏子の姿が。

「―――なん、で……」

 死にかけの俺の、そんな声が聞こえたからだろうか。杏子は、冥土の土産だとばかりに、種明かしをしてくれた。

「なんでさっきまで前にいたアタシが後ろにいるのかって? 簡単さ、アタシの固有魔法は『幻惑』、だからアンタは幻のアタシと仲良くお喋りを続けてるって言う幻覚を見せられてる間に、本物のアタシにグサッと刺されたってわけ。……ねぇ、聞いてる?」

 仲良くなんかなかっただろ、そう言いたくなる所だが、生憎とこの体はもう何も言うことが出来ない。

 杏子によるマジックの種明かしが行われている間に、俺の体はすっかり冷たく、物言えぬ体へと変えられてしまったからだ。

 それっきり杏子は俺の死体に興味を無くすと、どこからが現れたインキュベーターを肩に乗せ、裏路地の奥へと入り込んでいってしまった―――。

 

 

 ―――次の日、見滝原市内にて、1人の女子中学生の遺体が見つかったとのニュースが流れていた。

 警察によると、その遺体は胸を後ろからかなり大きく、そして鋭利な刃物のようなもので一突き、否、貫かれていたという。

 しかし、程なくして警察の捜査は打ち切られることとなった。

 捜査が打ち切りになった理由、それは、犯人が見つかることがなく、迷宮入りしてしまったからなのか、それとも―――

 

 ―――程なくしてやってきた大災害で、街が壊滅に追い込まれたからなのか―――。

 

真相は、誰も知らない。

 

DEAD END  

 

 

 END⒊ワルプルギスの夜

 

 ―――とうとうこの街に、ワルプルギスの夜がやってきた。

 しかし、ここの戦力は俺とほむらの2人だけ。

 それ以外は、まるで原作アニメをなぞるかの様にして、全員が死んでいってしまっていた。

「来たな……」

「えぇ、来たわね。……まどか、勝つわよ」

「あぁ、もちろんだ……!」

 本番前の軽い作戦会議を終えた俺たちは、すぐさま作戦で決めてある、指定のポイントへと移動した。

 指定のポイント、と言っても、それ程細かく決めてある訳ではなく、『余裕のあるうちは左右からワルプルギスの夜を挟み込んで攻撃を続ける。だんだん厳しくなってきたら、ワルプルギスの夜の進行方向前方で落ち合い、総攻撃を仕掛ける』と言う、某なんたらゲリオンの作戦部もビックリの、猿でも出来るような脳筋攻撃を行い続ける、といった形のものになっている。

 だが、このような作戦もどきが最強の魔女相手に通用するはずも無く、戦い始めて五分で、俺たちはワルプルギスの夜の前方に立っていた。

「強いな……こりゃ道理でほむらも勝てないわな……」

「……同情は良いわ。それよりも今はワルプルギスの夜をどうするかよ」

 俺はその言葉に頷くと、あるひとつの提案を行った。

「なぁほむら。30秒だけでも時間を稼げないか?」

 その言葉に対してほむらは、いつものようにクールに髪をかきあげると、こういった。

「いいえ、構わないわ。まどかは何か策があるのでしょう? なら私はそれを優先するわ」

「……ありがとう」

 クールに、それでいて信頼出来るように返してくる、俺の相棒(せんゆう)

 こいつといれば、どんな奴が相手でも、勝てるような気がする。

「じゃあまどか、後は頼んだわよ」

 そういうと、ほむらはその場から重火器の類を打ち続ける。横目でソウルジェムを確認すると、じわじわと濁り始めている事から、ちょこちょこ時間停止を使用しているのだと考えられる。

「……ほむらがこれだけ頑張ってくれてるんだ。俺もやってやらなきゃな……!」

 小さな声でそう自分を鼓舞すると、俺は()()()()()()()()()()魔術回路を起動する。

 すると、キィンという、鉄と鉄がぶつかるような、そんな甲高い音が、俺の体の中から響き出す。

「ワルプルギスを倒せ、なんざ……全く―――贅沢な注文だな……!」

 ―――キィン。

 再び俺の体が高く響く。

 ―――キィン。

 俺の魔術回路が、悲鳴を上げている。

 ―――キィン。

 それすらも捩じ伏せて、俺は『あるひとつの物事の成就』の為だけに、魔術回路を回し続ける。

「―――まどかっ!? まだなの!? ―――っグッ!?」

 俺の魔術回路が暖まるまで耐え続けてくれていたほむらが、とうとう弾き飛ばされてしまう。

 それを俺は優しく、労わるように受け止める。

「ありがとうな。―――もう、大丈夫だ」

「まどか……」

 俺はゆったりとした足取りで前へ出ると、手にひと振りの日本刀を出現させる。

「―――真髄、解明」

 俺の魔術起源を、その一振の刀に染み込ませるように、繊維のひとつから作り上げて行く。

「―――完成理念、収束」

 これこそが、俺の短い人生をかけ、再現させようとした、とある刀鍛冶の宝具。

「―――鍛造技法、臨界」

 どれだけバカにされようと、どれだけ蔑まれても構わない。

 この刀には、人生をかけてでも、作り上げるだけの価値があるのだから―――! 

「冥土の土産に拝みやがれ! これがオレ(俺/儂)の―――『都牟刈村正(つむかりむらまさ)』だぁ!」

 大声で気合を入れながら、一息で刀を振り下ろす。

 ただ『斬る』、その思いだけを込めて。

「―――綺麗……」

 ほむらのそう呟く声が聞こえてくる。

 そうだ、この刀は、打った奴の想いが込められているからこそ、綺麗なのだ。

 振り下ろした跡は魔法少女の強化された視力を持ってなお見えず、残心と共に、斬ったワルプルギスの夜がずり落ち、魔力が爆発していく様がハッキリと見えた。

 勝った、そんな気分と共に、手にしていた刀を消す。

 

 ―――刹那、衝撃。俺は吹き飛ばされる。

 

 立っているだけでも吹き飛ばされそうな衝撃は、斬り落としたはずの、ワルプルギスの夜によるもの。

 斬って半分になっているはずのワルプルギスの夜は、何故か元通りになっており、しかも、ゆっくりとだが、元々の体の位置から()()()()()()()()のが、遠目からでも見えてくる。

「なっ―――!?」

 吹き飛ばされ上空に打ち上げられながらでも、それが確認できたのだ。ほむらにも確認できないはずがない。

 ほむらに、先程のあれは何なのか、そう聞こうとして顔を上げた時、視界に飛び込んできたのは、

 絶望した顔でこちらに向かって手を伸ばすほむらと―――

 

 ―――鼻先にまで近付いてきていた、トラック大の大きさを持つ、即死級のビルの破片だった―――。

 

 この後、ワルプルギスの夜とほむらとの戦いがどのような結末を迎えたのかは、勿論、途中退場した俺が知るわけも無いだろう。

 だが、こんな俺でも、言えることは一つだけあった。

 あのほむらの絶望。あの心情、あの恐怖が、この先のループに深く影響してくることは、間違えようが無いのだろう―――。

 

DEAD END  

 

 

 END⒋三十六計逃げるに如かず

 

 ―――ワルプルギスの夜が、この見滝原へとやって来る。

 

 ―――この地域に住む魔法少女は、私たち協力してこれを討伐して欲しい。

 

 そんな知らせを、インキュベーターを通してこの近隣に住む魔法少女へと伝えてもらった。

 そうして、10人以上もの魔法少女が集まった。

 

 ―――たった1人、見滝原の魔法少女をまとめるキーマンである、『鹿目まどか』を除いて―――。

 

 

 10年前のあの日、最凶最悪の魔女である、ワルプルギスの夜が、俺の故郷である見滝原市へとやって来た。

 本来の鹿目まどかよりもだいぶ適正の落ちてしまっていた俺だが、決戦の舞台である見滝原から遠くへ、群馬県を飛び出し、大阪へと逃げる事で、何とか()()()()()被害を免れることとなった。

 ―――そう、俺一人だけ。

 あの後ニュース等で見た話なのだが、見滝原の住民はほぼ全滅、また近隣の市にも甚大な被害が及んでおり、見滝原を中心とした、半径70キロメートルは、ほぼ全ての住宅が壊滅したとされている。

 後に『見滝原大災害』と名付けられたそれは、死者述べ約100万人、行方不明者約90万人、負傷者はなんと約240万人にも上ったそうだ。

 そして今、見滝原大災害の唯一の生き残りである俺は、再び見滝原へと向かっていた。

 車の窓から見える、久しぶりの見滝原の景色は、10年前のものとは似ても似つかなくて、自業自得とは言え、少し悲しくなってくる。

 今回の目的である県立の図書館へと車を走らせながら、俺はこの大災害の裏で起きていた、ワルプルギスの夜と魔法少女達との戦いについて、思いをめぐらせる。

 

 ―――ワルプルギスの夜と戦う前の日の夜、俺の部屋にはインキュベーターが来ていた。

 そこで俺は、今までの魔法少女達と、ワルプルギスの夜との戦いの様子を、記憶に直接流し込まれるような形で、閲覧させられていた。

 そこで俺は、地獄を見た。

 人が潰れ、焼けただれ、終いの果てには、ワルプルギスの夜の使い魔に四肢を引き裂かれ、そのまま衰弱死していく、魔法少女達の様子を見た。

 そして、俺の心はポッキリと、飴細工のように折られてしまった。

 戦う前にインキュベーターによってすっかりトラウマを植え付けられた俺は、親にも友達にも学校にも、そして何より集まってくれた魔法少女達にも内緒で、とにかく西へと逃げたのだ。

 俺が見滝原から離れた事によって、ワルプルギスの夜の進路が変わるなど、イレギュラーが発生する可能性があったが、奴はほむらに反応していたのか、こちらには一切目もくれず、予想通りの進路を進んでいってくれた。

 

 ―――そこからの展開は一瞬だった。

 おそらく勝てなかったのであろう魔法少女達のソウルジェムは、一部を除いて大抵が魔女化し、見滝原は壊滅。

 そのままの勢いで近隣の市をいくつか巻き込み、魔女たちはどこかへと散っていったという。

 これらは全てインキュベーターの奴から聞いた事だし、特に戦闘に関わった訳でも無いから、これ以降は俺の与り知らぬところとなっている。

 

 そんなことを考えている間に、2年前に見滝原にまた新しく出来た、県立図書館へと車が到着した。

 車をだだっ広い駐車場に停め、歩いて図書館の中へ入っていく。

 お目当ての本は、特設コーナーが設けられていたため、すぐに見つかった。

 

 ―――『見滝原大災害 死亡者名簿』

 

 厚い皮のカバーに、金色の字で物々しくそう記されているその本は、字の通り見滝原大災害によって死亡した人の名前と年齢が、一人一人記されているものとなっている。

 俺はなんの感情も持つことが出来ずに、その本の表紙を開き、知っている名前が出てくるまで、ひたすらにペラペラとページをめくり続けた。

 

 ―――きっとこれからも、俺は逃げ続けるんだろうな。

 

 知っている名前を探している最中、俺はふとそんな事を思った。

 インキュベーターによってトラウマを植え付けられ、それだけで故郷を見捨て、友達を見捨て、何よりも家族を見捨て、逃げてきた様な人間だ。強いショックでも無ければ、そう簡単にこの生き方を変えられることは出来ないのだろう。

 そう自嘲していると、ふと、ある名前達が目に止まった。

 

 ―――『美樹さやか(13)』―――『巴マミ(15)』―――『佐倉杏子(年齢不詳)』―――『暁美ほむら(13)』―――。

 

 その名前たちを見て、少しの懐かしさと、罪悪感を感じていると、また別の、とても大切だった人達の名前が見つかった。

 

 ―――『鹿目詢子(34)』―――『鹿目知久(35)』―――『鹿目タツヤ(3)』―――。

 

 この家族だった人たちの名前を見て、胸が痛む自分に対して、無意識に『あぁ、まだ割り切れてないんだな』なんて考えている自分に嫌気が差してしまう。

 

 ―――こんな性格のままなんだから、俺は逃げ続けてしまうんじゃないか。

 

 そう結論づけて、俺は結局、逃げる様に死亡者名簿を閉じたのであった。

 

BAD END  

 

 

 END⒌因果応報

 

 ―――それは、原作が始まる数ヶ月前のことだった。

 

 放課後、もうとっくに通い慣れた中学校と自宅との通学路を、仁美やさやかと一緒に下校していた時の事だった。

「それでは皆さん、ご機嫌」

「バイバーイ、仁美!」

「じゃーなー、気をつけて帰れよー」

 俺たちの声が夕暮れの通学路に響く。

「んじゃ、俺達も帰りますかね」

 そう言って、俺とさやかは一緒に歩き出す。

 五分ほど歩き、そろそろさやかと別れる所まで来た時、不意に分かれ道の奥、誰も使わないような裏路地に影が差した。

 普段の俺なら気にすることなどないのだろうが、何故だろうか、今日だけは妙に影のかかった所が気になって仕方がなかった。

「まどかー? どしたの?」

「いや……気の所為ならいいんだけどな……」

 仕切りに影のかかっているところを確認している俺に対し、さやかは首を傾げている。

「……気の所為か?」

「そうじゃない? なんにも無いでしょ、あそこ」

「―――それもそうだな」

 これは俺の気の所為だ、そういう結論を出すことにして、俺達はそそくさと家に帰ろうとした。

 こういう思い込みの類って言うのは、とにかく『何も無い』って分からないと、恐怖だけがあとを引いてくるからな。

 そんなこんなで、俺達は路地に背を向けた。

 すると、

 ―――パァン。

 と言う軽快な破裂音が、この辺りに響いた。

 音はすぐ近くから聞こえてきたように思えた。

『さやかはどう思う?』なんて聞こうと、俺は横を向いた。

 そこで目にしたのは、

 

 ―――腹から血を流して、倒れ込むさやかの姿だった。

 

「―――!? さやかっ!」

 驚き、思わずさやかの方へと駆け寄ろうとすると、もう一度、

 ―――パァン。

 と音が響き、今度はさやかの額に、真っ赤な輪っかと共に穴が空いた。

 そこからは血と一緒に、血とは違うベクトルでドロドロとしている液体が流れ出ていて、それが余計に俺の恐怖を誘った。

 

 ―――さやかが死んだ。

 

 その事実を認めたくなくて、さやかに声をかけようとする。

「―――さ、や―――」

 すると三度、

 ―――パァン。

 と音が響く。

 今度はそれと同時に、腹部への激痛が走り、思わず先程のさやかのように倒れ込んでしまう。

 拳銃で撃たれたことにより、それまで、普段よりも早く回っていた思考が、一瞬でゼロになった。

 思わず拳銃で撃ってきた方を見ると、そこには何故か()()()()()()暁美ほむらが、未だに硝煙の立ち上るピストルをコチラに向け、小声で何事かを呟いていた。

 3回の発砲音を受け、多少痺れている耳でほむらの呟いている言葉を聞き取ろうと、耳を澄ます。

 そして聞き取れたのは、何度も繰り返される

「ごめんなさい」

 の言葉と、辺り一帯に響く発砲音。

 

 ―――俺が聞き取れたのはそこまでだった。

 最期まで俺の心中を占めていたのは、『何故ここに暁美ほむらが』という疑問と、いきなり彼女に殺されるという理不尽に対する、怒りだけだった―――。




たまには息抜きにこういうのを書いてみるのもいいのかもしれないと思った、作者でした。

あと感想ください(普段ははっちゃけられない分、こっちでふざけようとする作者の図)。
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