誰が為の《物語/運命》   作:音佳霰里

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第二話 それはいつもの日常で

 ___いつもと同じようにかけてある目覚まし時計のアラームで目が覚める。

 

 ___いつもと同じように家族に挨拶をし、父さんと一緒に朝食の用意をする。

 

 ___いつもと同じように家族全員で朝食をとる。

 

 ___いつもと同じように母さんを見送ってから、俺も学校へ向かう準備をする。

 

 ___いつもと同じように家を出て少しの間空を見上げ、学校へ向かう。

 

 

 ______でも、そこには“私”(原作まどか)と違って、キュウべえ(非日常)だけが居なかった。

 

 

 

 

 一人で学校に向かう間、俺は昨日(原作第一話)の相違点について考えていた。結局昨日は暁美ほむらに追い掛け回されていた(であろう)キュウべえから何を言われるでもなく、魔女の使い魔に会って絶体絶命のピンチに陥るようなことも起きず、先輩魔法少女でもある巴マミに会うこともなく一日が過ぎていった。

 いつも通りと言えればそれでいいのだが、俺が鹿目まどかであり尚且つ、暁美ほむらが眼鏡をしていない、いわゆる“クーほむ”状態である時点で、周りから何らかのアクションがあるだろう、そしてそれを上手く切り抜けてハッピーエンドへともっていければ万々歳だろう。()()()()()()()

 だが、この考えも改めなくてはいけないだろう。昨日の時点であの絶対少女契約させるマン? ウーマン? (どちらでも良い)であるインキュベーターから何のアクションも来なかった時点で、俺というイレギュラーによって、この“鹿目まどか”に何らかのバグが起こっていて、それによりキュウべえに話しかけられることが無かった……と考えてもいいだろう。

 

 

 

 

 

「おはようございます、まどかさん」「おはよーまどか」

「あぁ、おはよう、二人共」

 それまで長々と続いていた思考は、仁美とさやかの快活なあいさつによっていったん打ち切りとなった。もちろん原作のように肩にインキュベーターを乗せていない為、さやかが驚きによって挨拶を途切れさせることもない。むしろ、

「どしたの? まどか。なんかさっきから難しい顔してるよ」

 なんて、さやか(思考の原因の一端)に心配される羽目になってしまった。これではいけないと思考を切り替えて、学校につくまでの数分間、三人で雑談をしながら歩いて行ったのだった。

 追記、どうあがいても原作通りに俺とさやかの間にキマシタワーは建つみたいであった。

 

 

 

 

 全校の生徒が一斉に騒ぎ出す、授業一時間分の休み時間である、昼休み。俺は、少しのリアルマミさんを見られるかもしれないという欲望と、状況と考えを整理する時間が欲しいということで、ひとり弁当を持って学校の屋上に来ていた。また、もう一つの思惑もあるのだが……っと、そんなことを考えているうちに、目当ての人物が釣れたようだ。

「インキュベーター……いえ、キュウべえには会った?」

 なんて扉を開けてこちらを見つけるや否やそう言ってくるのは暁美ほむら。おそらくは今までの(鹿目まどか)がこのタイミングでインキュベーターと接触することが多かったのであろう。しかし、あいにく今の俺はイレギュラー。いまだにこの世界ではその存在を知っていたとしても見たことはないため、こう答えるしかない。

「イン……? きゅう……? 何だそれ?」

 そう俺が返すと彼女は、

「!? そう……まだ……」

 なんて驚きながら小声でぶつぶつ言っている。そして彼女は真剣な表情に変わり、こちらへと歩み寄ってくると、俺にこう問いかけた。

「昨日の話……覚えてる?」

「……あぁ」

「そう……なら、忠告が無駄にならないように祈ってる」

 それだけ言うと、彼女は屋上を去ろうとした。……今ここで、彼女に聞かなければ……

「……っ! なぁ! 暁美さん!」

「ほむらでいいわ」

「えぇ……」

 ここで呼び方変えさせるかよ普通……てか調子狂う……

「な、なら……ほむら!」

「ほむらはさ、(鹿目まどか)についてどう思ってるんだ?」

 そう聞くと彼女は立ち止まり、一度こちらを振り返ってから、屋上を去っていった。

 

 ___その時の彼女は、とても悲しそうな眼をしていた。

 

 

 

 

 

 

 それからというものの、放課後の魔法少女体験コースなんて危険な催しがあるはずもなく。これからの自身の立ち振る舞い方について思考を巡らせながら、きょうもまた、眠りについたのである。

 ___“何か”がこちらを見ていることなど、知ることもなく。




【次回予告】《center》
ナレーション:巴マミ(cv:水橋かおり)

魔女に出会うことがなかったという、原作との乖離を痛感した鹿目まどか。
原作の鹿目まどかとの違いに悩む彼女の前に、"それ"は現われた――

《center》「大丈夫かしら? あなたたち?」


次回、第三話
『もう何も恐れない』

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