ドラゴンボール BraveSun   作:白い雲

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消失

 日向が目を覚ますと、そこは漆黒だった。

見渡す限りの闇…それは今の日向の心のようだった。

そして日向は考える"ここ"にいるという事は自分は今、眠っているという事だ。

 

「そっか…アンニンが」

 

日向は自分の首筋を擦り、"気を回してくれた"人物を思う。

日向が立ち上がると、視界に一筋の光が現れた。その光は徐々に映像になっていくが…

 

「いや!!視たくない!!」

 

日向は叫び、目を瞑ると首を振った。

それはあんな思いはしたくない、もう傷つきたくないという純粋な拒絶だった。

光は日向の周りを暫く漂っていたが、やがてスッと消えていった。

 

(何やってるんだろ…わたし…)

 

死ぬはずのなかった人を巻き込んで、闘いでは肝心な所で動けなくなって、挙げ句の果てに自分の"原点"でもある力を拒んだ…

 

「あの時…どうすればよかったんだろう…」

 

日向一人しかいないこの漆黒の空間に、日向の問いに答える者はいない……はずだった。

 

 

 

 

 

「キィ、ギギ!!」

 

聞き覚えのある嫌な声を聞き、日向が振り向くとそこにはこの空間と同じ色をした真っ黒の栽培マンがいた。

 

(な、なんで此処に!?)

 

驚愕しながらもすぐに構える日向だったが、そこで自分の異変に気付いた。

 

「ハァ、ハァ…な…んで!?」

 

まだ闘ってもいないのに日向の呼吸は乱れ、手足は震えて力が入らない。

そんな事は知らない栽培マンは日向との距離を一瞬で詰めてくる。

 

(右に蹴りがくる、避けなきゃ!)

 

しかし避けようとした日向の体は僅かに動いただけで止まり、栽培マンの蹴りをまともに食らった日向は受け身も取れずに吹き飛ばされた。

 

(来る場所は分かってるのに、なんで体が動かないの!?)

 

混乱する日向は追撃して来ない栽培マンを不審に思い、視線を向けると栽培マンは左手を右手に添えて気を溜めていた。

すると栽培マンの右手にバスケットボールほどの気弾が出来上がると、それを日向に向けて投げつけた。

 

「…っ!…がぁっ!?」

 

気弾を転がりながら避けた日向だったが栽培マンが腕を動かすと、気弾は来た軌道を戻り日向の背中に直撃した。

それだけでは終わらず前に倒れそうになったら腹を、後ろに倒れそうになったら背中を攻撃し、日向が倒れるのを許さない。

だがやがて栽培マンは気弾を消すと、ボロボロになった

日向が倒れ込んだ。

それを見た栽培マンは掌を上に向け、円盤状の気を作り出した。

 

「ハハ、罰が当たったのかな…クリリンさんを死なせた

わたしへの…」

 

力のない笑い声を上げた日向に栽培マンは気円斬を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やれやれ見てられんな」

 

声が聞こえるといつの間にか日向と栽培マンの間に青い服に赤い髪、そして骨を繋ぎ合わせた様な杖を持った男が立っていた。

栽培マンの放った気円斬は男に届く前に何かに阻まれるようにぶつかると、まるで皿が割れた様な音をたてて霧散した。

 

「手酷くやられたものだ…今治してやろう」

 

男は屈むと倒れている日向に手を翳す。

すると男の後ろで栽培マンが男に飛び掛かろうとするのが見える。

 

「ぁ…う、後ろ…」

 

か細い声で警告する日向だったがそれは杞憂に終わった。

男は後ろ向きのまま杖を一振りすると栽培マンの頭は爆散し、生命活動を停止させた。

その光景を呆然と見ていた日向だったが、体の痛みが無くなったのに気付き立ち上がった。

 

「助けてくれてありがとう、ございます…」

 

「気にしなくていい、偶々だ」

 

男は安心させる様な笑顔を浮かべているが、日向は何処か禍々しい気配を感じていた。

 

「それより君は何か悩んでる様だったが…」

 

「………」

 

「話すだけでも楽になると思うが?」

 

「…実は…」

 

日向はポツポツと話し出す。

本来見ず知らずの人物に話すことではないが、この時の

日向は疑う事無く全てを話していた。

全てを聞き終えた男は一言、失礼、と呟くと日向の頭に手を乗せた。

 

「君が生まれつきだと言った予知夢だが、これは後天的に備わった能力だな」

 

「……え?」

 

男の言葉に日向は驚く。

ずっとそうだと思ってたことを否定され、日向にとっては正に目から鱗である。

 

「傷は塞がってるが微かに歪みがある…時を越えた者に攻撃でもされたか?」

 

「…分からない」

 

日向は記憶を探るがそのような人物に心当たりはない。

自分が攻撃を受けたのはラディッツと栽培マンだけだ。

栽培マンは生み出されるのを見たし、ラディッツも何か違う気がする。

 

「…まぁいい、本題に入ろう。君はその力を無くせると言ったらどうする?」

 

男の言葉に日向は目をぱちくりさせた、そんな事は考えた事がなかったからだ。

 

「正直言って今の君には過ぎた力だと思う、何かある前に手放した方が賢明だと思うがね。」

 

「わたし…は…」

 

「君だけじゃない、他の誰かが傷つくかもしれない。それとも君はその力で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また誰かを殺すつもりか?」

 

「…ッ!?」

 

男の言った言葉が日向の胸に突き刺さる。

そして思い浮かぶのはクリリンと大好きな父が死んでしまった光景。

 

「…すまない、傷つけるつもりはなかったのだ。

…ただ君はそんな力に頼らずとも闘えると思っただけだ」

 

「わたし…が?」

 

「そうだ、君の父、孫悟空はそんな力がなくても仲間を救ってきたのだからな」

 

「わたしもお父さんみたいに…」

 

日向の様子を見た男は小さくほくそ笑むと、持っている杖が閃いた。

すると日向の瞳から光が消える。

 

「…渡してくれるかな?」

 

「…うん、お願い。わたしは自分の力だけで守ってみせる。」

 

その言葉を聞いた男は日向の頭に手を置くとその手が赤く輝いた。

 

「っわたしは何を…」

 

日向の目に光が戻ると、先程自分が言った言葉が信じられないといった様子だった。

そして日向の意識は白く霞始める。

 

「では孫日向、また会う日が来る事を祈っているぞ。」

 

「待って!あなたは一体!?」

 

「私か、私の名は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"ドミグラ"だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日向が消えた世界で杖を持った男、ドミグラは一人立っていた。

だがそんな彼に背後から声が掛かる。

 

「…よろしいのですか?

接触するだけではなく、名前まで渡してしまって。」

 

「構わんさ。

厄介な力は奪った、ここで起こった事などどうせ覚えてなどいないさ。

…それに…」

 

「……?」

 

「ククク」

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