東方続夢郷   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回辺りから本格的に異変解決が始まります。幻想郷の強者達が厄介と唸る今回の異変の首謀者は、果たしてどんな者なのでしょうか?まぁ、今回で明らかになるとは限りませんが。ですが、今回のこの東方小説、今までの世の東方小説とは多少違うものとなっています。今回の異変も例外ではない、とだけ伝えておきましょうか。

では、御伽をお楽しみ下さい。



御伽.拾 弱小と、侮るなかれ

[森の上空]

 

 

「…で?ここからどうするの?このままの人数で攻め入る訳にもいかないでしょう?」

 

 

「そうだね、この人数で攻めるのも…相手にとって格好の的になるだろうし、妖精の処理が追い付かなくなりかねない。人はなるたけバラけさせるのが定石だろう。…ここで別れてもらおうかな」

 

 

まとまってここまでやって来た面々は、幽香と廻羅のやり取りを聞き、皆は彼の指示を待っている。

 

 

「…僕は単独で遊撃をしようと思ってる。恐らく、ここまで広範囲に動けるのは僕と紫くらいだろうし、紫には妖精の相手をしてもらいたいからね」

 

 

「…失礼ですが、私が妖精を相手取る必要はあるのですか?」

 

 

いつもは是非を問わない彼女であれ、今回の立案は疑問を持ったようだ。まぁ、無理もない。いくら妖精が強くなっているとは言え、紫が出る程になっていたのなら、並みの者では太刀打ち出来るか危うい。そうでないのなら、彼女を妖精の相手に宛がうのは、少々非合理的にも思える。

 

 

「本当は霊夢と宵月と一緒に首謀者の方に行ってもらおうかとも思ったんだけどね?僕がそっちの方に行く事も考えないといけない。そう考えると、妖精遊撃の人材はここにいてもらわないと、妖精班がキツいと思ってね」

 

 

「成る程……わかりました。状況を見て、遊撃と撃退をやり分ける、というのが私の役割ですね?」

 

 

「そうなるね。…いけるかい?」

 

 

やってみせます、と、強く意気込む彼女の顔を見るに、出来ないだろうと思う者は、そこにはいなかっただろう。

 

そんなやり取りの後に、各場所毎に振り分けがなされた。因みに、人里班は幽々子と妖夢、魔理沙。妖怪の山は紫とアリス、幽香で、霧の湖近辺は紅魔組と天子。そして、ネチューレ討伐には、霊夢と宵月、早苗となっている。で、廻羅が妖精討伐の遊撃隊といった具合だ。尚、ネチューレのいる場所への道は宵月が知っているため、案内役は不要である。

 

 

「それじゃあ、各々役割を全うしてくれる事を祈るよ。…結構骨が折れると思うけど、気を付けてね」

 

 

その一言を機に、メンバー全員が行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[人里]

 

 

「幽々子様、どうやら人里の人は避難が終わってるようです」

 

 

「報告ありがとうね〜妖夢。魔理沙?一応言っておくけれど、家まで壊す勢いで暴れるのはナシよ〜?」

 

 

「流石にわかってるぜ。……加減がメンドッチィけどな」

 

 

人里組。人里の人は予め、藍が避難させた為、現在の人里は閑散としている。……が。

 

 

「…げっ、おいおい、あれが雑魚妖精か?……ふざけてんのか?」

 

 

そう言う魔理沙の目線の先には、いつも見かけるよりも一回り背丈が伸びた妖精がわらわらと。ソレを見た妖夢はしかめっ面を浮かべ、幽々子は少し面倒そうな表情を。

 

 

「…幽々子様、あれが……我々が相手する()()()()()ですか?」

 

 

「…そうね~、あれが、いつも見かける妖精ね~」

 

 

その一言を聞いて、2人は嘘であってくれ、とでも言わんばかりの苦い顔をする。そんな三人だったが、どうやら妖精は三人に気付いたようで、攻撃を仕掛けてきた。…いつも以上に強力で、厄介な攻撃を。

 

 

「…おいおい、そんな活発的に攻撃しないみたいな事言ってなかったか?私の視覚が狂ってなかったら、バンバン攻撃してるように見えるんだが?」

 

 

「前回の時はここまで攻撃性はなかったのよねぇ。今日までに色んな性格の妖精が生まれたわけだし、攻撃的な妖精が増えたとしてもおかしくはないかしら~?」

 

 

「…取り敢えず、あれを倒さない事にはどうしようもないです!」

 

 

そんな妖夢の一言を境に、人里で激戦が幕を上げる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[妖怪の山]

 

 

「紫、こっちの方に天子がいた方が良くない?アイツの攻撃なら範囲も広い気がするし、殲滅には向いていると思うのだけど?」

 

 

「あっちもいくら魔法があるからと言って、それ以外に広範囲をカバーできるメンツはあまりいないわ!それに、こっちは個々の戦力と知力が高いから良いでしょ!?それに……貴女、余裕そうじゃないの!そんな余裕ぶった事出来るなら、私の方も支援して頂戴!」

 

 

妖怪の山では、紫が別行動をとり、幽香とアリスが共闘しているという構図になっている。紫は、自慢の行動力(スキマ)を駆使しながら、2人が担当している場所以外の妖精の殲滅をしている。方や2人の方はと言うと、余裕そうに弾幕で妖精を倒していた。一方のアリスは、妖精の強さにタジタジの様子。人形を駆使しながら、ようやく倒しているといったところだろうか。アリスは人形を操って戦うのが主流であるため、それ以外に気力を割くのが大変で、現状、いつもより強く厄介な妖精相手に、いつも以上に余裕がなくなっている。

 

 

「確かに、私はこれでも少し物足りない位だけど……妖精一体一体がここまで強いと、並みの奴じゃあ大変ね。彼が今までの異変よりも難易度が高いって断言しただけあるわね」

 

 

並みの奴では大変、という一見すると皮肉にも聞こえるソレに少し反応するアリスだが、幽香の表情を見て、それが皮肉を込めている言葉でない事を確信する。そうして自身の脳内で自己解決すると、再び妖精の方に意識を向ける。

 

 

「幽香!余裕なら私の分を少し相手してもらえるかしら!?こっちもホントに手一杯なのよ!」

 

 

「そうねぇ、別にいいわよ。丁度数を増やしたかったところだし。…さぁ、こちらに来なさいな」

 

 

その言葉を聞いた妖精らは、一斉に幽香の方へ攻撃を開始する。気分屋な妖精がここまですんなりと言葉を聞き入れる事態に、アリスはおろか、言葉を放った本人である幽香さえも驚いている。

 

 

「…ここまで来るとは思ってなかったけど。ま、これで丁度良いくらいね…。……にしても、ここまで言う事を聞くなんて、相当な興奮状態ね?」

 

 

「下手なバーサーカーよりバーサーカーしてるわね……じゃあ、この間に体勢を立て直させてもらいましょうか」

 

 

そう、各々が再度体制を整えようかとしていた時、スキマが開き、紫が焦った声で言う。

 

 

「貴女達!そっちに強力な妖精が向かってるわ!私も早めにそっちに向かうから、足止めを頼むわ!」

 

 

強力な妖精。紫は確かにそう言った。これでも十分であるのに、それよりも強い妖精が来る事を想像したアリスは、身震いする。方や幽香の方はと言うと、表情に余裕がなくなっている。紫の一言を聞いてからだろうか。

 

 

「…強いのと戦いたいとは思っていたけど、こんな状態で戦いたいって訳じゃないのよねぇ…!」

 

 

無限に湧く妖精に、流石の戦闘狂の幽香も余裕がなくなり、苛立ちを見せ始める。……ただ、そんな2人を、その妖精は待つ事はなく……。

 

 

──あら?妖精達がやられてると思って来てみたら、貴女達だったのね?

 

 

…そんな一言を放ちながら、2人の前に現れたのは、とある虫の羽を携えた、一匹の大人びた並みならぬ力を持つ長い青髪の妖精であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[霧の湖付近]

 

 

「…ちっ!数が多いったらありゃしないわね!」

 

 

「私の魔法も一応効いてるみたいだけど…焼け石に水程度っぽいわね」

 

 

こちらは霧の湖。先程の妖怪の山班同様に、中々の苦戦を強いられている模様。今回の異変では、どうやら魔法は妖精に効き辛いらしく、パチュリー本人も苦虫を嚙み潰したように、顔をしかめている。他の面々も中々に進展がない様子。

 

 

「あら?あんなに言うもんだからどんなものかと思ってたけど、大した事ないわね!私の攻撃ってば、今回相性が良いみたいね!!」

 

 

方や、今回の相手との相性が上手く噛み合ったのか、自身の思う以上に敵を屠る天子。天子自身が持つ能力である大地を操る程度の能力は、さほど有利対面には関係しないのだが、彼女の持つ緋想の剣の能力である気質を見極める能力が、どうやら妖精にも効くようで、緋想の剣をぶん回しながら戦っている彼女の一撃は、妖精に効いている、という仕組みとなっている(当の本人はそこまで考えていない模様)。

 

 

「…悔しいけれど、私達より通用しているのは目に見えて事実ね。…咲夜も、時を止めてやっとって感じみたいだし……天子がいなかったら危なかったかもしれないわね」

 

 

「んもぉ~!!お姉様!あの妖精達動きが変で破壊出来ない~!!」

 

 

「…これは、想像以上の敵ね」

 

 

頼みの綱兼紅魔館の秘密兵器のフランでさえも、妖精のすばしっこさに苦戦を強いられている(能力自体はかなり有効)。そんな現状に対し、思わず溜め息を零すレミリア。そして、それを更に悪化させる事態が起きる事になる。

 

 

──あたしの縄張りを荒らすなんて、氷漬けにされたいの?

 

 

「……はぁ」

 

 

予想だにしなかったソレの登場に、遂には頭を抱える始末。ただ、四苦八苦しているこの状況下、こうなるのも無理はない。ソレは、現状を悪い意味で崩壊させかねない存在であり、ここ辺りで行動していると時たま突っかかってくる。

 

 

「……()()()じゃないの。妖精も成長するのね?」

 

 

そう、そこにいたのは、水色の髪を携え、いつもよりもずっと荘厳な雰囲気と氷の羽を晒し、威風堂々たる態度で他者に立ちふさがる氷の妖精。その名も、チルノ。身長もいつもに比べて伸びており、我が儘な子供を思わせる面影や雰囲気はなく、冷酷で傲慢な氷の女王を思わせる。

 

 

「…悪いけど、こいつ等どうにかしてくれないかしら?ウザったくて仕方ないのよ」

 

 

「あら?ここの妖精を屠り続けてるその手に、私にもなれと言うの?ジョークが過ぎると思うのだけど?」

 

 

「……IQまで上がってるのかしら?これは厄介ね…」

 

 

いつもなら乗ってくるであろう皮肉を込めてレミリアがそう言い放つも、ジョークをジョークで返すチルノ。チルノの頭がさえているという信じたくない事実に、レミリアは思わず舌打ちしながら距離を取る。それを見ているチルノは、不敵な笑みを浮かべている。

 

 

「アガッ!?」

 

 

その悲鳴(と言って良いものか)を上げたのは、チルノでなくレミリア。不敵な笑みを零していたのは、こうなる事を予見していたのか、はたまた。

 

 

「あら?運命云々とか言っておいて、ソレすら分からなかったのかしら?紅魔の長も落ちぶれたものね」

 

 

「…貴様……ッ!!無事で済むと思うなよッ!!」

 

 

煽りに乗るレミリアと逆に淡々とした口調で煽り散らかすチルノを見て、煽る者煽られる者が逆ではないかと思う構図。普段は見られないであろう光景が、そこにはあった。

 

 

「二度とそんな口を叩けないようにしてやる!!」

 

 

「もう少しクールダウンしたらどう?ま、そうした所で、勝てる見込みがないのは変わらないけど!」

 

 

両者の怒号と共に、そこは激しい攻撃の雨が降り注ぎ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[輝翠の風林 最深部]

 

 

「…道中、妖精に会わなかったわね」

 

 

「私の能力が働いたんでしょうきっと!えぇそうでしょう!!」

 

 

そう大声で、フンス!との鼻息を漏らしながら、体を反る早苗の姿は、さぞ子供っぽさを彷彿とさせる事だろう。ただ、霊夢も宵月もさしてリアクションを取らない方なので、全力の無視をかまされている訳だが。

 

 

「…ついでにこの異変を、そのお得意の能力で解決できれば、及第点なんだがな」

 

 

「そ、それは流石に無理です!!出来たら最初からやってますって!」

 

 

「そう、使えないわねぇ」

 

 

んなぁ!?、等と女性らしからぬ悲鳴(?)を上げ、その場に倒れ込む早苗。それに溜め息を漏らすのは、博麗の巫女であった。

 

そんなギャグ漫画の様な雰囲気が三人を支配していたその時だった。三人の態度が一変する。それと同時に、三人の声色でない声が、突然三人に対して語り始めた。

 

 

「あら?誰か来ているの?廻羅は……いないじゃないの」

 

 

そんな落胆の声が、その場に響く。対して三人は、三者三様な反応を示している。自身の事が眼中にないと取ったのか少しイラつく博麗の巫女然り、一向に警戒の表情を緩めない宵月然り、首謀者の姿を見ている早苗然り。ソレらを無視し、彼女は続ける。

 

 

「…はぁ、まぁ良いわ。さぁ……」

 

 

──どいて頂戴?私を倒すのは、廻羅ただ一人しか許さないわよ?

 

 

その言葉を最後に、この煌めいた緑の森はかつてない程の戦場となるのだった。

 




という事で、御伽.拾が終わりました。

今回は第一の異変の導入にあたるパートとなっております。次回以降に本格的な異変の描写がありますので、お楽しみに。そして、オリジナルキャラのイラスト(今回だと成長した妖精達)についてですが、イラストに注力する時間がない為、描き終わり次第初登場回に投稿、あるいは新しく設定集を設けてそこにあげる形をとります。

次回『御伽.拾壱 脅威の悪戯三妖精』

オリジナル要素について

  • 設定集出して!
  • その都度書いてくれれば良い
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