東方続夢郷   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回から異変解決編となっております。今回は人里班の視点(相も変わらず第三者視点ではありますが)となっています。さて、この異変はどのような結末を迎えるのでしょうか?どんな敵が登場するのか、どんな絡みをするのか、是非お楽しみ下さい。

では、御伽をお楽しみ下さい。



御伽.拾壱 脅威の悪戯三妖精

[人里]

 

 

「くっそ!一体一体が強力なせいで、いつも通りにいかないぜ!!」

 

 

「幽々子様!これじゃキリがないです!ジリ貧になりそうです!!」

 

 

「私もちゃんとやってるわよ~?ただ、妖精って言ってしまえば概念みたいなものだから、個体を倒したところで次が出てくるだけなのよ~」

 

 

人里で妖精と応戦している魔理沙らは、どうやら苦戦を強いられている様子。三人の能力が妖精の特徴と相性が悪い以上、こうならざるを得ないとも言えるのだが。その現状に、全員が表情を歪ませている。この三人は幻想郷の中でも弱い部類ではなく、幻想郷の猛者にも多少渡り合える程の実力は持ち合わせている。そんな彼女らでさえここまでの状況に陥っているのである。

 

 

「今まで色んな異変を解決してきたが、ここまで道中が厄介なのは初めてだぜっ!!」

 

 

「えぇ!こんなに攻撃が通用している感覚がない相手も…初めてですっ!!」

 

 

魔理沙と妖夢は、現在に至るまでに多くの異変を解決した、(変な言い方ではあるが)異変解決常連であり、弱い者から強い者まで数多くの者と対峙してきた。だからこそ、今回の異変がいかに狂った程の厄介具合なのかも解るのだ。

 

幽々子も異変解決に沢山赴く身ではないものの、幻想郷の中では重鎮的立ち位置に座している為、戦う機会も少なくない。

 

更に、幽々子はかつて異変を起こした張本人でもあるため、他人と戦う事は避けられない身でもある。それ故、幽々子も戦いについてはある程度熟知している。その幽々子でさえも、自身らが不利的状況であると判断している。つまりはそういう事である。

 

 

「どうしましょう〜。はっきり言うと、この状況を打開する手段が無さそうなのよね〜」

 

 

「ホントにはっきり言うじゃねぇ……かっ!!」

 

 

そんな状態からの幽々子のこの発言。魔理沙が焦燥と少しの憤怒を込めてそう言ってしまうのも、無理はない。そんな中、それを更に悪化させる事態が舞い降りる事に。

 

 

──あら?人がいないと思って来てみたら、面白そうな事してるじゃないの!

 

 

──ホントね。……あれって、魔理沙と妖夢と幽々子……じゃない?

 

 

──いつもコテンパンにされるから、今日は逆に出来そうじゃない?

 

 

「……幽々子様、魔理沙、今度はホントに不味そうですよ?」

 

 

「げぇっ!?三妖精まで来やがったか!!流石にキツいぜ!!」

 

 

「恐らく、能力も通常より強化されてると考えた方が良さそうね……廻羅に来てもらった方が良いかもしれないわ」

 

 

思いもよらない伏兵の登場に、全員の表情は絶望に染まっている。それに対し三妖精は、いつも実力が実力なのでコテンパンにされている事を気にしているのか、この力の差では自身らが返り討ちにする側に回れるのではと考えている模様。そう思うのも無理はない。何故なら……

 

 

──そうね!何せ、私達の能力が強力なものになってるみたいだし!

 

 

三妖精が一人、サニーミルクがこう発言したように、妖精は今回の異変中能力をはじめ様々なものが強化されている。それは全妖精に該当するのではないのか、という懸念が現実となった事を意味する。名無しのみの強かであれば、まだよかったものの、名有りの妖精が強化されるとなると、普通に強い妖怪なりを相手取るようなものであって、それがこの現状下にある彼女らを絶望させるのには、事足りすぎる程だろう。

 

 

──理由は解らないけどね。まぁ、これで今まで以上に行動の幅が広がるなら、それに越したことはないわね。

 

 

ただ、今のスターサファイアの発言も聞き捨てならないものであり、注目すべきところは、()()()()()()()、だ。仮にこの発言が真であるならば、少なくとも名有りの妖精は黒幕と繋がっていない妖精がいる、もしくは誰も繋がっていない可能性が出てくる。それだけでも、十分な成果と言える。……が、

 

 

──なら、早速やってみる?

 

 

最も、生きて皆に伝えられれば、の話なのだが。

 

 

───

 

 

 

 

 

 

 

「…ありゃ、人里班が想像以上にキツそうだねぇ。人選ミスったかな?反省反省」

 

 

一方、遊撃部隊(単体ではあるが)だが、余裕そうに妖精をあしらいながら、全体の状況把握をリアルタイムで行っていた。流石の廻羅、強くなっているであろう妖精も何のその。ただ、その表情は少々曇っているようで……?

 

 

「…マズそうだ、あっちを援護しないと瓦解しかねないね。正直、三妖精の登場を想定できなかった僕に落ち度があるのは否定できないし…」

 

 

そう、妖精は悪戯が好きな性格の者も多く、その中でも三妖精は特に悪戯が好きなのだ。それは人に限った話ではないのだが、人に悪戯する姿も見られる事があったり。その上自身の能力の上昇に気付いてしまったら……と、こうなるのは意外にも容易に想定できるのだ。

 

 

「…よぅし、じゃあパパっとやっちゃおうか!僕の汚点は僕が拭うしかないしね!」

 

 

その一言を機に、そこにいた廻羅の姿はなくなっていた。……そして、そこいらにかなりの数いた妖精の姿も、微塵もなかった。

 

 

───

 

 

 

 

 

 

「くっそ!デタラメ過ぎる…んだよッ!!」

 

 

「あらそう?でも…こんな事だって出来るのよっ!」

 

 

「ぬおっ!?…チッ!つえぇな……」

 

 

普段なら空元気を見せてでも弱気な発言は殆どしない魔理沙も、今のサニーミルク相手には、思わず本音が漏れてしまう。それもそのはず、サニーミルクの〖光を屈折させる程度の能力〗が強化されているのか、屈折できる光の量が歴然で、太陽光でのレーザー攻撃が可能になっている。普段のサニーとは全くと言って良い程違う火力に、魔理沙もタジタジである。

 

 

「しかも太陽光って事は…()()()()()()()()()()()()()()()()じゃねーか!?くっそ!」

 

 

そう、今のサニーにおける最大の留意点はそこである。火力に関しても注意がいるが、何せ太陽光をまんま使ったレーザー。当たれば焦げる以上の事態にもなりかねない。虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がす実験と、メカニズムは似ているだろうか。まぁ、規模は天と地程の差がある訳だが。

 

 

「……一か八かだ」

 

 

「ふふん!手も足も出ないでしょう?降参する?」

 

 

サニーが疲弊した魔理沙を見て、調子に乗り出す。が、形勢だけを見ると、魔理沙が圧倒的に不利なわけで、こうも驕るのは仕方ないとも感ぜられる。…が、魔理沙はそこを突いた。

 

 

──彗星「ブレイジングスター」!!

 

 

そう、彼女は長期戦になる事を恐れ、超短期決戦を仕掛けようとしているのだ。あんまりにも強引で大体の者にはその意図が勘づかれかねない大博打であるのだが、今回はサニーがかなり油断している為、その意図には気付いていないようで、寧ろ……

 

 

「……へ?」

 

 

──魔砲「ファイナルスパーク」!!

 

 

そこに、彼女の最大火力を放つ。本来ならこんな無茶苦茶な戦法は、成り立つ事はないのだが、サニーの油断が、そんな大逆転劇を起こしたのだった。その当人であるサニーは、地面へと急速に落下していったのだった。

 

 

───

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、私の能力ってばここまで出来るのね」

 

 

「……っ!音が…」

 

 

ルナチャイルドと対峙するのは、妖夢である。こちらもどうやら妖精の強化能力に苦戦しているようで、ルナの能力は〖(周りの)音を消す程度の能力〗なのだが、今回はそれが強化されており、微細な音すらも消えており、その範囲も広くなっている。更に、ルナと妖夢はお互いの言葉が聞こえていない。どっちにもメリットでありデメリットでもある状況。そこで動いたのはルナであった。

 

 

「それじゃあ…攻撃しちゃおうかしら?」

 

 

そうして攻撃を始めるルナに対し、何かを察したのか、刀を構え、防御の構えを取る妖夢。どうやら、ルナの方を見て、攻撃を開始する旨を悟ったらしい。こうも簡単には言うが、その業は達人並みのものであり、素人には到底できない御業である事を忘れてはいけない。

 

 

「加減が難しいわ…ホントに手あたり次第って言葉が似合いそうなくらいざっぱな攻撃ね。いっかり使えるようにしないと、相手が相手だし、すぐにやられそうね……見た感じ、能力で多少動きも鈍そうにはなってるけど……」

 

 

攻撃を開始するも、自身の欠点と冷静な状況把握を試みる辺り、サニーとは根底が違うのだろう。サニーの様な負け方はしなさそうだ。

 

一方の妖夢はと言うと、音が消えた中で目をいつも以上に駆使しながら、どうにか攻撃をいなし、現状の打破についての思考を巡らせ続けている。音がない分、妖夢もいつも通りの実力が発揮できておらず、本人は非常は焦っている。

 

 

「…っ!防戦で手一杯な上に、いつも通りじゃないからうまく動けない……っ!」

 

 

この状況を俯瞰して見てみると、圧倒的にルナの方が有利に見えるだろう。実際、このままいけばルナが勝つ未来が見えるのは、火を見るよりも明らかかもしれない。…しかし、それは()()()()()()()()()()()()、の話である。

 

 

「…よく見たら、攻撃がまばら……もしかして、本人も力の把握と制御が出来ていない……?」

 

 

戦闘の優劣が、この瞬間に少し揺らぐ。妖夢は、自身の勝利に近づく為のカギを一つ、手に入れる。そして、そこからの妖夢は、いつもの妖夢らしからぬものとなる。

 

 

「……ここっ!」

 

 

「っ!」

 

 

その状況を鑑みた妖夢は、魔理沙同様超短期決戦に持ち込む事を決めた。自身の疲弊感と状態の善し悪しから見た判断だろうが、かなり合理的でもある。

 

しかし、その判断を下した以上、ここで倒しきれなければ自身は敗北する事をも意味している。それでも、そうするしかないというのが、今回の判断だろう。

 

 

「くっ!あっちの順応が速い!能力を使ってるのは私の方なのに!」

 

 

最もである。

 

 

「これで……終わらせる……っ!!」

 

 

その一言と共に放たれた一撃は──

 

 

──人鬼「未来永劫斬」!!

 

 

──見事と言わざるを得ない程、綺麗に相対する妖精を斬っていた。

 

 

───

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら~?貴女の生物感知能力って、私は含まれてないと思うのだけど~?」

 

 

「本来ならそうね。ただ、今回は能力の届く範囲が上がってるのよ!」

 

 

どうやらこちらも大幅に増強された能力に驚いている模様。本来のスターサファイアの能力は〖動く物(生き物)の気配を探る程度の能力〗であって、死者には本来働くことはないのだが、スターも例外なく能力が強化されている模様。

 

 

「…困ったわね~。どうしたら良いのかしら~」

 

 

普段なら探知されるはずのない自身ですら探知されるのだ、不意打ち等の策は通じないとみていいだろう。そうなると、勝ち筋が段々と狭まっていく。それに、幽々子の攻撃は、死に関してのものばかりで、妖精に死の概念はあってないようなもの。つまり、能力でなく、弾幕のみでどうにかせねばならないのだ。他の二人と比べ、その点が妖精とは不利とも言える。……ただ、

 

 

「…あっ、これならいけそうだわ~」

 

 

ここで、幽々子も何かを思いついた様子。それに早くもスターが気付いた。

 

 

「何をするのかは知らないけど、今回ばかりは勝たせてもらうわよ?」

 

 

「…この状況でも、同じ事が言えるかしら~?」

 

 

「何を言って……ん?」

 

 

ここで、スターの様子が変化する。先程まで自信に満ちていた顔が、段々と焦りの意思を表面化し始めた。

 

 

「どうして!?どうして()()()()()()()()()()()()の!?」

 

 

そう、幽々子の位置情報が途端に分からなくなったのだ。あまりにも突然の出来事であったソレは、スターを驚愕させるのには十分すぎた。何せ、相手の能力をほぼ完全に把握していないと出来ない所業である。

 

種明かしをすると、彼女の能力が強化されており、今回の彼女は幽霊、所謂死者までも探知が可能になっている。それが強力なのはそうなのだが、この能力には、元からデメリットが存在しており、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。探知できる物が多くなれば、それだけデメリットが目立つとも言える。幽々子はそれを逆手に取り、()()()()()()()()()()()()()()()のだ。能力の強化である程度探知可能上限も増えてはいるが、冥界の主が呼び寄せる死霊の数がキャパを超えてきた、という事である。

 

 

「くっ!?これじゃあ何が何だか……」

 

 

こうなってしまったスターが成す術もなかった事は、最早語らずとも察しが付くだろう。こうして三者は、何とか三妖精を撃退したのだった(廻羅は彼女らが有利になってるのを見て参戦するのを止めたそうな)。

 




という事で、御伽.拾壱が終わりました。

今回は人里にて、三妖精との戦闘回でした。相性が良かったり悪かったりと、色々波乱がありましたね。今回の異変では、いつも倒しがいの無い妖精が、ここまでの強敵となって一同の前に現れてきますので、どんな戦闘が繰り広げられるのか、お楽しみに。

次回『御伽.拾弐 舞いたるは極彩の蝶』

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