東方続夢郷   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回は妖怪の山での戦闘となります。さて、今回の妖精は意外や意外、最近登場したあの妖精となりますので、最近知った人も楽しめるかと思います。今回は多対一なので、解決組の方が有利になりそうですが、果たしてどうなるのでしょうか……?

では、御伽をお楽しみ下さい。



御伽.拾弐 舞いたるは極彩の蝶

[妖怪の山]

 

 

「あら?紫がヤバめのが来るって言っていたから気を張っていたのだけど、貴女新顔じゃないの」

 

 

「…虚勢でも張っているのかしら?表情に余裕なさそうだけど?」

 

 

「………チッ」

 

 

いつも通り、強者の余裕故の発言をしていたのかと思えば、その妖精には今回のソレが虚勢だった事を看破される。それが癪に障ったのか、小さく舌打ちをする幽香。

 

アリスに関しては、先程幽香が相手取っていた妖精まで再度相手取る事となり、再び顔が険しくなっている。

 

 

「私はエタニティラルバ。蝶の妖精ね。貴女達に特段の恨みはないけど……力が増えてから少し変なのよね。だから……」

 

 

幽香とエタニティラルバ。対峙する二人の顔は全く別の性質を写す鏡で合わせたように真逆であった。そんな状況に、極彩の蝶は……

 

 

──取り敢えず、倒させてもらうわ

 

 

 

 

 

──幻想郷最凶に、宣戦布告をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!やっぱり幽香のアシストがないと、ここまでキツいのね……!人形だけじゃ追いつかなくなるのも時間の問題ね……」

 

 

方や、強化された雑魚妖精を一人で捌ききっているアリスにも、地獄絵図の中にいるのではないかと言わんばかりの険しい表情をしていた。

 

一体一体が強化前のチルノらより少し下の実力で、ゆうに三桁超えているであるだろうそれらを一人で相手取っているのだ。愚痴や弱音が出るのも、無理はない。と言うか、これが普通の反応であるだろう。

 

 

「…ッ!上海!」

 

 

「シャンハーイ!!」

 

 

彼女は魔法使いの中でも少し変わったカテゴライズに位置している、人形使いである。自身が作った人形に魔力を通して、ソレで戦うと言う戦法をメインにしている。

 

一見、人数が増えて多人数戦に有利ではないか?と思うだろう。しかし、よく考えて欲しい。()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

とどのつまり、アリスは全ての人形の指揮を同時にせねばならない。長年人形使いであるアリスであっても、この数の妖精を相手取る数の人形を指揮するのは、かなりの無理難題である事が解る。

 

アリスは、自律する人形を作る事を目標としているが、それは未だ成就には至っていない。ソレさえあれば話は少し変わるのだが、今はそんな空想に縋っている暇はない。だからアリスは脳を、指を、魔力を動かす。死に物狂いで。…が、そんなアリスに……

 

 

「ふぅ…ようやくこっちに来れたわ!アリス!私も加戦するわ!」

 

 

幻想郷最強と謳われる、妖怪の賢者の増援が来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女の攻撃、タイマンには少し不向きに見えるけど?」

 

 

「そうかしら?まぁ、殲滅戦の方が楽なのは認めるわ」

 

 

アリス側に増援が来た一方で、幽香はエタニティと弾幕勝負をしていた。どうやらタイマンで戦っているお陰か、先程より幾分か余裕が出てきたようで、今では敵に軽口を叩く程にまでに。

 

エタニティも余裕が出ているのか、幽香同様に軽口を叩きながら、数多くの弾幕を放っている。そして、エタニティも例外なく強化されているのが……

 

 

「ちっ!何気にその鱗粉がウザったいわね……!」

 

 

そう、能力の強化である。どうやら威力だったりパワーが上がったりというのは微小らしく、その代わりに能力が過大強化されている模様。

 

元のエタニティの能力は〖鱗粉をまき散らす程度の能力〗という、何とも微妙極まりない能力であるのだが、この鱗粉が強化兼魔改造されている。

 

 

「爆破に状態異常、オマケに自身を強化ですって?…何でもありね?腹が立って来るわ」

 

 

そう、鱗粉に様々な効果を付属させてまき散らすという、面倒極まりない能力と化しているのだ。

 

その効果というのがこれまた多岐にわたっており、鱗粉下の者を強化/弱体化、状態異常付与、爆破鱗粉、筋力弱体化等、挙げればキリがない程の効果の種類がある。一度の鱗粉放出で何種類もの効果を付与させる事が出来ないのが、幽香にとって不幸中の幸いだろうか。

 

 

「まとめて吹き飛ばせるレベルではあるけど…その中でも面倒くさい方ね。勝った後にお仕置きでもしてやろうかしら」

 

 

いよいよストレスが頂点に達していってるのか、エタニティをお仕置きする事を考え始める始末。眼やオーラを見るからに、ガチで思っている事だろう。ただ、負ける気がないのか、エタニティはそこそこ余裕そうにしている。その証拠に、幽香相手に戦々恐々するどころか、寧ろ勝つ気でいるようで……

 

 

「怖いわね。じゃあ負けないように新しいコレを試してみましょうか」

 

 

そうして取り出したのは、一枚のスペルカード。エタニティの発言に体をこわばらせていた幽香も、何だただのスペカか、と油断しているその時だった。幽香は何かを察し、すぐさま警戒態勢に移る。

 

 

──極彩「夏彩る極彩の生」

 

 

幽香が見たソレは、視界を彩る無数の蝶型の弾幕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫!幽香の様子は!?」

 

 

「大丈夫だとは思うけど、今は苦戦してるみたいね。しかもあの妖精、新しいスペカも会得してるみたいよ。…ホントに難易度が狂ってるわね……ッ!」

 

 

方や、雑魚妖精の多さと一体一体の強さにタジタジなアリスと紫。紫が加戦したものの、それでも幽香の方を援護するまでの余裕は生まれない。アリスはおろか、先程まで妖怪の山の別方向の妖精を相手取っていた紫でさえも、息が上がっている。

 

 

「ねぇ紫!廻羅に助力は頼めないの!?」

 

 

「あの方は()()()()()()()()()とおっしゃっていたわ!それが答えよ!」

 

 

「まだ助けるまでの窮地じゃないっての!?アイツの感覚バグってんじゃないの!?」

 

 

そう、作戦の打ち合わせの際、紫は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という彼の意図を汲んでいたのだ。鬼よりも鬼な気もするが。そんなネタバラシに、思わず霊夢のように口を悪くしながらその場にいない廻羅に悪態をつく。

 

 

「アリス!いくらあの人の感覚がズレているのが事実だからと言って、悪態をつくのは許さないわよ!?後でボコボコにしましょうか!?」

 

 

「今そんな事言ってる場合じゃないでしょうが!!てか、あんたも遠回しに悪態ついてるじゃないの!」

 

 

アリスの、廻羅に対する悪態に反応したのか、遂には戦いながら口論をする始末。正直、こんな事をしてるから廻羅にこんな相手は余裕だ、と伝えているようなものだという事に、二人は気付く事はない。かなりの極限状態に、最早いつもは冷静である二人も段々不安等の感情に支配されつつある。そんな二人に、もっぱら賢者としての威厳や魔法使いの面影など、とうに世界の果てにでも失せてしまったこの如く、微塵も感じない。

 

 

「…ッ!いえ、今はそんな口論なんてやってる余裕ないわね!紫!そっちにも援護飛ばしてみるから、そっちもお願い!」

 

 

「そうね…今回は不問にしてあげるわ!それと!援護なら任せなさい!」

 

 

何だかんだ、仲は良いのだろう。状況が危ういと再認識したのか、今回は口論を見送り、再び共闘する事を選んだ。…これは余談なのだが、彼女らが和解し、状況が良くなりつつあった事がキッカケで、廻羅は助力しなくても倒せると判断したそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら?最初とは打って変わって余裕がなさそうに見えるけど?」

 

 

「チッ……妖精風情が…ちょこざいのよ!!」

 

 

「そんな怒りに任せた攻撃、当たる訳ないじゃないの。そんな事、貴女なら良く解ってる事だと思うのだけど?」

 

 

そんな紫らと比較してこちらは、状況がよりよろしくない。何せ、幽香が過度のストレスなのか、少々感情に任せた攻撃をしている為に、いつもの様な相手を翻弄したり、冷静に状況を判断した攻撃を欠かしている。そんな状態では、流石の妖精でも避ける事は幾分か楽にはなる。その証拠に……

 

 

「…今なら本当に倒せるかも……?…フフッ、ならコレでおしまいね!」

 

 

──飛天「舞うは神の近き天なりて」

 

 

新たなスペルカードが放つ数多の蝶型の弾幕に、ただ飲まれる幽香が、そこにはあった……

 

 

 

 

 

「まさか、君に助力する事になるとはね」

 

 

「……貴方」

 

 

「取り敢えず落ち着きんしゃい?いつものペースでいかないと、勝てる試合も勝てないよ?」

 

 

…はずだった。が、意外や意外、幽香の前に現れたのは、廻羅であった。廻羅本人も、かなりの実力者である幽香にこうして助力をするとは思わなかったのか、発言の中に本音らしきものが垣間見える。

 

 

「…そうね、私とした事が、随分とらしくない無様を晒してしまったわ。あのウジムシ、勝った後のお仕置きを三倍にしてやろうかしら」

 

 

「…大丈夫そうだね」

 

 

「えぇ、もうこんな醜態は晒さないわ。いえ、誰かが望んでも晒してやらないわ」

 

 

幽香にいつもの余裕が戻る。それは表情にも、纏う雰囲気にもハッキリと示されている。それを見て勝てると確信したのか、そこに廻羅の姿はとうになくなっていた。廻羅がいない事を確認した幽香は、未だ勝てると確信しているエタニティに、こう告げた。

 

 

「待たせたわね、ウジムシ。さぁ、ここからは私が貴女を蹂躙する番よ」

 

 

その瞳は、かつてない程の殺意と、決意が込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫、そっちの妖精の数はどう!?」

 

 

「大分減ってはいるわね。そっちも減ってるみたいだし、そろそろスペカで倒し切りましょうか…!」

 

 

「紫、妖精って倒し切るのって不可能って言ってなかったかしら!?」

 

 

「良いのよもう!面倒なんだから!」

 

 

幽香が体勢を持ち直したその頃、紫とアリスもいよいよ余裕がないのか、妖精をスペカで殲滅しようと試みる。それ自体は悪い案ではないのだが、いかんせん、妖精は自然の概念そのものであるために、倒すことはできない(厳密に言うと、倒してもまた湧く)。何にせよ、紫達もかなり焦っているのは確実だろう。そんな中でアリスと紫が見境なく殲滅を始めようとしたその時だった。

 

 

「っ!このマスパみたいな砲撃……まさか!?」

 

 

「そのまさかよ。あっちは片したから、私も殲滅を手伝ってあげるわ」

 

 

まさかの増援、先程までエタニティを相手していた幽香だった。顔にはいつもの余裕が戻っており、王者の風格さえも取り戻していた。味方であるにも関わらず、その雰囲気にアリス達も一瞬顔を強張らせる。

 

 

「私がアレを叩き落したんだから、貴女達ももう少し根性見せなさいな」

 

 

「さっきの貴女にそれを言ってやりたかったところだけど…今はそうしましょう」

 

 

どうやら幽香の参戦に、二人も幾分か焦りや苛立ちが収まってきた模様。

 

 

「油断してやられるのは止めなさいよ?」

 

 

「あら、私を誰と思っての発言かしら?これくらいの妖精にこのメンツなら、寧ろお釣りが返ってくるわよ」

 

 

「えぇ、妖怪の賢者として、これ以上の恥を晒すわけにもいかないわ。…妖怪の山の妖怪にまで被弾するかもしれないと少しセーブしていたけど……」

 

 

彼女ら三人と対峙した妖精らは、後にこう言っていたそうな。

 

 

──さぁ、成す術無く野垂れ死になさい?

 

 

「あれは、修羅そのものだった」と。

 




という事で、御伽.拾弐が終わりました。

今回は東方の中でも比較的新参なエタニティラルバとの戦いでした。エタニティついて色々調べていると、妖精の割にわりかしカッコいい二つ名を付けられているようで、少し愛されているキャラなのかなと、ふと考えた事もありました。気になる二つ名は、自身で是非調べてみて下さい。

次回『御伽.拾参 かつては幼き絶対零度』

オリジナル要素について

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