今回もオリキャラが登場します。登場した際に後書きに挿絵を出す形にしようか、設定集を作るかで悩んでいます。因みに、登場するオリキャラは、10体以上います。前話からアンケートを貼っておりますので、是非回答していただければと思います。
では、御伽をお楽しみ下さい。
[無名の丘]
「…っと。…ん?2人はどこに…」
話の中にあった無名の丘に着いたようで、そこにいるはずの2人がいなかった事を確認したために、辺りをキョロキョロと見渡しだす廻羅。その当人らは、左奥辺りで何か打ち合っているようで、廻羅が既に来ている事に気付いていないように見える。
ここ無名の丘は読んで字の如く、幻想郷の民にもほぼ忘れられているレベルで誰も寄り付かない。ここには辺り一面に鈴蘭が咲いており、綺麗でありながらもメディスン・メランコリーという妖怪がいる。この妖怪が人間に対してそこまで友好的でないとの噂と、ここに名無しの赤子を鈴蘭の毒で安楽死させるという過去のせいか、人間はおろか妖怪までもが近寄らなくなっていった。
そんな中、廻羅はここにいる話に上がった人物の事を想起している。その顔はどこか懐かしさを帯びており、表情も自然と優しいものになっている。そうしている内に決着がついたのか、2人が廻羅の方にやってきた。
「お、終わったのかな?」
「か、廻羅様!?申し訳ありません!お見苦しいところを…」
「別に構わないさ。さて、行こうか」
そう音頭を取り、一行は歩を進める。廻羅と紫を見ると、何やら話をしている。これから会いに行く人物についてだろうか。はたまた、全く別の話題だろうか。
一方の霊夢はというと、こんな気味が悪い場所に来させられたからか、ブツブツと何か呟いているように見える。恐らく、文句か何かの類いとも感ぜられる。
[???]
「霊夢、ここよ」
「…こんな所に……神社?益々不気味ね」
相も変わらず警戒を解こうとしない霊夢の前にあるのは、所々傷付いており、老朽化が著しく進んでいる木製の神社らしき建物。その立たずまいは、ホラー映画にでも登場する建物を彷彿とさせんばかりだ。
「まぁまぁ、気持ちは分からないでもないけど…寧ろそうしたからその反応が普通なんだけど……ま、入ろうか」
"寧ろそうしたから"と、何気にとんでもない事を何でもないかのように挟みながら、我先にと言わんばかりの勢いで入っていく。
「ちょ、ちょっと!!」
置いてかれると思ったのか、焦りながらも霊夢が後に続き入る。勿論の事、紫もついて行っている。さて、鬼が出るか蛇が出るか……
[??? 室内]
「おぉ…懐かしいなぁ」
外装程不気味さもなく、されど生活感はこれっぽっちも感じ取れないその部屋を見て、懐古の念を込めた一言を放ったのは、紛れもなく廻羅だった。
「…中と外の見た目が合ってない気がするのだけど?」
「やっぱりそう思う?もちっとしっかり偽装魔術組み込んどけば良かったかなぁ?」
は!?、とポンポンとんでもない事実が飛んでくるのに、驚きを隠せない様子の霊夢。廻羅様なら当然よ?、等とまるで自分の事の様に霊夢に言う紫。それらをスルーするように、彼は声を張る。
「おぉーい!
「…主様、戻っていたのですか」
彼の呼び掛けに反応したかの如く、何も無い空間に突如黒い煙が現れ、それはやがて人の形となり、徐々に姿が露になる。その姿はこの地ではあまり見かけない、黒いフードに模様の入った白い仮面を付けている。
「…もう驚かないわよ」
先程までの流れで慣れたのか、何が来ても受け入れると言わんばかりの態度を見せる。紫の方はというと、少し嫌そうな顔を浮かべている。
「…ん?紫か、何用で来た」
「…霊夢にあなたを紹介しようかと廻羅様が仰ったのよ」
「…そうか」
紫も妖怪なので、どちらかと言えばこうした堅物系はあまり友好的に感じない方なのだ。妖怪自体、案外おちゃらけた性格の輩が多い為、自然とそうなってしまうのも無理はないが。
「そうそう、彼女が現在君の役割を担ってる博麗 霊夢だ」
「現代の博麗の巫女…ですか。…成る程、実力は中々ですね」
一見して実力をあっさりと見極めてしまう宵月は、恐らくそれ相応の実力を持ち合わせているのだろう。それに加えこれ程の冷静さ。これこそ、強者の余裕といったところだろうか。
「…主様、他に何か用はあるのですか?」
「あ、バレた?」
どうやら宵月の紹介以外にも、何やら目的があるようで。何も聞かされていない2人は、首を傾げる事しか出来ない。その目的は、彼の口からあっさりと告げられるのだが。
「実は、霊夢と手合わせをしてもらいたくてね」
「…手合わせ、ですか」
「うん、直に戦ってみないと分からない事もあるだろうしね。あるかは分からないけど、後に共闘する事になって、互いの事が分からないのは致命傷だしね」
考え無しに放たれたと思われたその提案は、以外にもしっかりとした理由があった。それに納得したのか、宵月も頷いており、肯定的にとっているように感ぜられる。
そして、宵月は「来い、主様が所望している」と、霊夢に準備をするように催促する。「上等よ、叩き潰してやるわ」と意気込んでいる霊夢。
「……では…………」
──始めッ!!
紫のその一言に、穏やかだったソコは、戦場へと変貌した。相対する2人の眼光は、相手を討たんとする眼そのものであった。方や光彩を放つ弾幕が、方や暗黒を孕んだ弾幕が飛び交い、衝突した後に相殺されていく。そしてそれを眺める2人。
「…あの時に宵月の実力は見ましたけど……あの時より強くなっていますね」
「人にしろ神にしろ、誰でも同じ強さにはならないしなれない。ただ、宵月は強くなったってだけだよ」
その一言に納得の意を示す紫。その納得は、強さにおいて過敏である者々が数多蔓延る幻想郷の賢者だからこその納得なのだろうか。そんなやり取りをし終えてから2人は辺りに腰掛け、紫が張った結界の中で観戦の続きをしている。
「…廻羅様、霊夢は強いですよ」
「だろうね、一目見ればわかるさ」
そうして2人の戦闘を見ている彼は、どこか慈しむような雰囲気を漂わせていた。隣の紫は、ただそれを眺めているだけだった。そんな会話の中でも、2人の戦闘は一向に止まりそうにない程激しさを増していた。一見均衡状態にも見えるが、少し目を凝らして見ると少し霊夢がおされている。と、それを見た廻羅は大きく一声。
「そこまでにしようか!」
鶴の一声と言うべきだろうか、彼の声を聞いた2人は聞き分けよく手合わせを止め、下に降りてきた。「…あんた……どうしてピンピン…してんのよ…」と、息を切らしながら恨めしそうに言うのは博麗の巫女。それに対してどうとも言う気配もない宵月。
「さて、僕はこれから宵月とちょっと話す事があるけど……2人はどうする?」
「私達はここで一旦戻ろうかと思います。…霊夢はどうするの?」
「境内の掃除するわ。それに今日はやる事あるし」
そうかいと廻羅が言ったところで、「失礼します」と告げて紫と霊夢がスキマに消えていった。それを見た2人は、無銘の丘を歩き始めた。
「ゴメンね、宵月。急な話で」
「いえ、主様の命ですので」
少し時間が経過し、そんな一言同士で始まった会話。しかし廻羅の顔を見ると、どこか儚げな表情をしていた。
「…僕はね、君が心配なんだ」
「私が…ですか?何がですか?戦闘能力とか…」
「いやいや、そういう事じゃなくってね」
試行錯誤に耽りそうになる宵月を止める。宵月は何がなんだかわかっていないのか、少々戸惑ってるようにも見える。そんな宵月を差し置いて、廻羅は言葉を続ける。
「君に、もっと色んなものを知ってほしいんだよ」
「…知る、ですか」
そうして発せられた答えは、大層普遍的な解答だった。ただ、彼が述べた"知る"とは少々違うようで……
「宵月はさ、物に興味がないでしょ?」
「そうですね、主様と幻想郷以外には感心はないですね」
「…それが心配でね……」
生きている以上、何事にも興味がないのは致命傷になる。知らない事は戦うことにおいても、人生においても傷になる。そう考えての発言なのか、はたまた単なる心配なのか…。
「とりあえずね、宵月には色々と知っていって欲しいんだ。作った側の責任としてさ」
「…そう、仰るのであれば」
善処してみますと釘を打ちながらも了承する。それが聞けたからか、廻羅も安堵の息を漏らした。
「そろそろ僕も戻るとするよ、久々に見て回りたいからね」
「わかりました、私もあそこに戻ります」
そう告げ、2人は別れた。がしかし、少し歩いたところで廻羅は止まる。そうしてポツリと一言、
「……本当に、ゴメンね」
そう呟いて、彼は再び歩き出した。その背中は、悲しさを帯びていた。
という事で、御伽.弐が終わりました。
執筆中の小説が一段落したので、こちらの小説の本格的な執筆が始めました。尚、投稿頻度等につきましては活動報告をあげましたので、そちらを御確認ください。ここでもお知らせしますが、弾幕の表現はかなり厳しいものとなりますので、今回はあまり期待しないで下さい。
次回『御伽.参 旅路行く者の記録 ~人の行き交う場~』
宵月
【挿絵表示】
オリジナル要素について
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設定集出して!
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その都度書いてくれれば良い