今回は見ての通り、そして前回の最後の通りとなっております。さて、旅人の放浪は、穏やかなソレとして終わりを迎えるのでしょうか?
では、御伽をお楽しみ下さい。
「…あら、私の花畑をそんなに余裕そうに歩くなんて、一体何処の誰かしら?」
廻羅が歩を進めるのを、とある女性の声が止める事に。何気なく廻羅が振り向くと、そこには赤と黒のチェックで、白色も混じったドレスを身に纏い、右手には薄いピンクの日傘を持って佇む女性がいた。……どこか、不敵な笑みを浮かべているように見える。
「花畑を歩くのに、余裕も何もなくないかい?」
「……ククッ、それは私への皮肉かしら?」
「どうしてそうなるかなぁ?」
自身に対する皮肉だと思っているのにも関わらず不気味にも思える笑みを浮かべ続けるその女性は、本当にそれを皮肉ととっているかも怪しいところ。その場で互いを見つめる時間が過ぎていく。…そんな中、その沈黙を破ったのは、彼女の方だった。
「そうね、自己紹介をしておいた方が良いかしら?私は
「へぇ、全部かぁ…凄いねぇ。っと、僕は廻羅さ、宜しく頼むよ」
と、廻羅が握手をしようと手を差し出す。しかし、それに対して返ってきたのは、数多の高密度の弾幕だった。
「っとと、随分ダイナミックな挨拶だね…!」
焦りながら言っているように感じられるも、その弾幕を容易く
「あら、私の弾幕をそこまで余裕に避けるなんて……楽しくなってきたじゃない!」
ビビるどころが、寧ろ興奮気味になっている幽香。それを見た廻羅の方は戦慄する。それでも尚、ヒョイヒョイという擬音が付きそうな感じに避けていく。それに対して幽香が興奮し、廻羅が戦慄し……の繰り返しになっている。一種の無限ループだろうか。
「普通に会話したいんだけども…ねぇ!」
負けじと数個の弾幕で応戦の意を示す廻羅。しかし、彼女の表情は良いものではないようで……?
「…貴方、ふざけているのかしら?貴方が実力を持ってるのはわかっているのよ?本気を出さないなんて、随分と舐めてくれるじゃないの?」
如何にも怒ってますとでも言いたげなオーラを醸し出している幽香に、どうしたものかと顔を歪ませる廻羅。と、どうやら廻羅の方に何やら変化があった模様。
「…本当に、本気で良いんだね?」
「えぇ、勿論よ」
そうかい、と一呼吸置いてから、廻羅は今まで隠していたオーラを全て曝け出した。…その光景を目にした彼女はと言うと……
「……貴方、いったい何者なのかしら?私ですら足が震えるレベルなんて……まだ幻想郷にこんなのが居たなんてね……ゾクゾクするわね」
それに怖気づくと思いきや、寧ろ戦意が向上しているようだ。先程出ていたオーラは、今はもうある程度引っ込んでいる。廻羅の方は…集中しているのか、幽香の声には耳を傾けていない様子。
そうして、戦闘狂と旅人の戦いに、第2ラウンドが幕を開ける事に……。
[幽香の家]
「貴方、相当な手練れね。…人間ではないんでしょう?」
「一応はね。…僕からしたら、君の方が余程人に感じなかったけどね。…主に戦闘意欲とかね……」
「あら、女性に対してそんな事を言うなんて…失礼しちゃうわ」
等と強めの会話のドッヂボールをしているここはと言うと、幽香の家であった。「幽香が人を家にあげる?そんなの滅多に聞かないわね…。まぁ、幽香に認められてるのは確実なんじゃないの?」とは、紫の発言。
幻想郷の猛者がそう言うあたり、トンデモない事に違いないのだろうが、廻羅自身それには気付いてない模様。それに、
「まぁ、私を負かしたやつに出会えて、今の私は上機嫌だし、今のは大目に見てあげるわ」
「上から目線なんだよねぇそれ。僕としてはそんな砕けた感じの方が接しやすいから良いんだけどねぇ」
そう静かに言いながらせせら笑う廻羅。それを見た幽香もフフフと自然と笑みが零れる。ここだけ切り取れば、ごく普通の日常なのだろうが…先程あんな戦闘を繰り広げていたという事実が、それを容易く崩壊させる。
そんなこんなで、どうやら話題が変わっているようで……?
「そうだ、貴方、紫は知ってるのかしら?」
「紫?勿論知ってるさ。少し前に話してきたばっかりだしね」
そうなのね、とは幽香の反応。どうやらもう少し違う反応を見たかったようで、少し期待はずれな雰囲気を醸している。…想像したものよりもずっと変化球な回答が投じられる事も知らずに。
「いやぁ~紫の敬語、いつになったら抜けるのかな?幽香にも敬語で話してたりするのかい?」
「…………は?」
その一言に、今まで平静としていた彼女が豹変し、驚きを隠せない唯の女性のそれとなった。
そも、彼は
幻想郷にいる者の中では、紫は強者の中の強者であり、そんな彼女が誰かを敬うなんて事は、間違っても無いものだというのが通説。それが、いとも容易く崩れ落ちた瞬間だった。
「あれ?違うの?」
「……あいつ、貴方以外には敬語なんて一切使わないわよ。…貴方、本当に何者なのかしら?」
そう言い放つ彼女の顔には、驚愕と共に、興味の表情が浮かんでいたそうな。
[魔法の森]
「幽香だったっけ、面白い人だったなぁ」
先程の下りを全て引っ括めてこれである。感性がズレているのか、はたまたこれが普通なのか、我々には判断しかねるものの、そんな事は露知らず、魔法の森を闊歩する廻羅。
どうやらまたまた、何かが起こる模様で……?
「…貴方、どうしてここに?」
「んえ?」
少しピリついた女性の声に対し、廻羅の声は随分と素っ頓狂なものである。それでも尚、女性は態度を変えることは無い。
「貴方は1度も見た事ないわ。百歩譲って人間じゃなかったり外の世界の人であるにしろ、ここの瘴気に耐性のない者は来るべき場所じゃないわ。なのに貴方は何事も無さそうにしている。……怪しい事この上ないわ」
「あらら、確かに空気が違うとは思ったけど…まさか瘴気が漂ってるとは……昔はそんな事なかったのになぁ」
昔は、という言葉に身体をピクリとさせるその女性の表情は、鋭さを帯びていながらも、多少の驚きが混ざり始めていた。
「…昔?貴方、昔のここを知ってるとでも?」
「知ってるとも、昔はこんなに瘴気なんてなかったし、何なら結構普通の森だった筈だよ。…瘴気の正体はその辺に生えてる茸っぽいね、前はなかったし」
「……貴方、自分の言ってる”前”がどれくらい前かわかって言ってるの?」
「アバウトにならね、確か……数百年前じゃなかったかな?あれ?それってあっちの時間感覚かな?あれれ?」
等と、遂には眼前の女性を置き去りにしながら思考に暮れてしまう始末。これには目の前の女性も呆れの表情。
「……もう良いわ、何だか馬鹿々々しくなってきたわ…」
「あり?もう良いのかい?」
「えぇ、少なくともここでならやっていけそうみたいだしね」
そう結論づけたのは、アリス・マーガトロイド。この魔法の森に住む
どうやら、当人である2人も自己紹介を終えたみたいで…?
「それで?ここに何しに来たの?」
「いやぁね?特別ここっていう目的は無くってね。久々の幻想郷だし、色々見て回ろうかなってね」
再び溜め息を漏らすアリス。幻想郷を旅というのは、余程の強者でない限りは自殺行為に値する。
というのも、ここには魔女や妖怪を始め、吸血鬼や神がその辺にいる世界。そんな世界の旅など、実力なしには不可能だろう。
「…もうすでに疲れてきたわ。で?次はどこに行くのよ」
「そうだねぇ……妖怪の山って、相変わらず警戒心強い?」
「そうね、基本的に侵入者は排除の精神っぽいわ」
やっぱりかぁ~と悠長に述べる廻羅。…が、少しすると何かを閃いたようで……?
「あ、解決したかも」
「…はい?」
そう言った瞬間、そこには既に彼の姿はなかった。この場に残された彼女は、ただ静かに驚きながら、彼が立っていた場所を見つめる事しかできなかった。
という事で、御伽.肆が終わりました。
今回は太陽の花畑、魔法の森編でした。幽香とアリスが登場しましたが、先にお伝えすると、全キャラが登場する訳ではありませんので、悪しからず。
次回『御伽.伍 旅路行く者の記録 ~数多の種が蔓延るその山は~』
オリジナル要素について
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設定集出して!
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その都度書いてくれれば良い