東方続夢郷   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回は、地底編となっております。次次回辺りで0,5章を終えようかと思っている次第です。本編に入る際、また投稿頻度についてお知らせするかと思いますので、その際に上げる活動報告を見ていただければと思います。

そして、お気に入り登録:雪の進軍さん、お気に入り登録ありがとうございます。

では、御伽をお楽しみ下さい。



御伽.陸 旅路行く者の記録 〜幻想の裏側に〜

[地底]

 

 

「ふぅ…桶に入った女の子が降ってきた時はどうしようかと思ったよ……」

 

 

地底についてまず初めにそう語るのは、いつもの如く廻羅だった。神妙奇天烈な事を言っているように聞こえるだろうが、残念ながら事実なのだ。彼の言う桶に入った女の子というのは、キスメという少女だった。彼女は地底に来る者らを迎撃(?)しているらしく、今回も例外ではなかったようだ。

 

彼は今地底についており、目の前には橋がある所にいる。そこには何者かがいるが、どうやら互いに気付いていない様子。

 

 

「…さて、見た感じ結構栄えてるみたいだし、色々と見て回ろうかな?」

 

 

そのためには橋を渡る他ないので、彼は橋を渡り始める。すると、橋にいた人物を初めて認識する。あちらも同様に気付いたのか、廻羅に向かって言葉を放ち始めた。

 

 

「…待ちなさいよ。私を無視して通り過ぎるなんて…妬ましいわ」

 

 

「…橋姫、ねぇ」

 

 

どうやら発言と容姿、その他諸々で橋姫であると判断した模様。正解しているあたり、並みならぬ推理力をしている。それには橋姫の方も驚いているようで…?

 

 

「…貴方、どんな動体視力と推理力を持ってるのよ、妬ましいわ」

 

 

「まぁ、結構生きてるからね。それなりには良くなるさ。それに、外の世界で橋姫とか聞いてたしね」

 

 

そう、と言いながら、今度は妬ましい発言をせずに川の方に目をやるその人物は、水橋(みずはし) パルシィ。彼が言う通り橋姫であり、現在ではかつて日本に存在していたとされる妖怪の一種である。様々な伝承がある中、彼女がここまで相手を妬むのは、恐らく宇治の橋姫の伝承が強く刻まれているのではないかと思わせる。…ただ単純にそういう性格だとも考えられるが。

 

 

「…ん?邪魔したりしないのかい?てっきり攻撃してくると思ってたんだけど…」

 

 

「しないわよ、勝てるか悪意のある奴でもない限りね」

 

 

「…驚いた、今まで会った人らは基本血気盛んなのが多かったからねぇ」

 

 

「幻想郷は基本そっちのが多いわよ。私の考え方の方が少数派なんじゃない?…妬ましい」

 

 

取ってつけたように言わなくても良いんじゃないかな、と言おうとした彼の口は、言う直前で理性によって止められた。わざわざ言う程のものでもないと判断したのだろうか。そして彼は、彼女の表情を見て、とある事に気付く。

 

 

「…パルスィ、1つ良いかな?」

 

 

「……何よ」

 

 

「…君、寂しいのかい?」

 

 

「…………はぁ!?」

 

 

彼の一言に、顔を紅潮させるパルスィ。図星だったのだろうか、その紅い顔を両手で隠し、顔を背ける。そうして、あまりの恥ずかしさに廻羅に対しこう告げた。

 

 

「さ、さっさと行きなさいよ!妬ましいわ!!」

 

 

今回の妬ましいは、どこか本音のようにも感じられる。図星をつかれたのが悔しくて出た一言なのか、はたまた洞察力に妬ましさを覚えたのか、真相は彼女のみぞ知る、と言ったところだろうか。

 

彼女がそう告げてから流石に申し訳なく思ったのか、彼の姿は橋の向こうにあった。それを視認した彼女は……

 

 

「……バカ」

 

 

──そう、ポツリと一言呟いたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、賑わってるねぇ。地底って聞いてこんな情景は浮かばないよなぁ……」

 

 

彼は変わらず、観光中。地底と言う言葉とは裏腹な賑わい様に、彼も驚かざるを得ない様子だ。あちこちにある建物を、興味津々な目で見続ける。さながら、あの時団子屋を見ていた時の目だろうか。

 

と、彼が相も変わらず観光を続けていると、鬼が数人近付いてくる。

 

 

「おい、そこの奴」

 

 

「ん?僕の事かい?」

 

 

「そうだ、お前だ。ここで俺と戦え」

 

 

突拍子もないそんな提案に一瞬驚くも、鬼の"強者と戦いたい"という特性を思い出したのか、納得の表情を浮かべる廻羅。

 

 

「おい、あいつまさかあの鬼の大将と戦うのか?」

 

 

「らしいぞ、あんなヒョロっこい奴、すぐに倒されるだろうに」

 

 

等と話をするガヤの声には耳を傾ける様子もない2人は互いに見合い、静寂の時が流れる。

 

──そして……

 

 

「よっと」

 

 

「ぬんっ!」

 

 

両者、動き出した。互いに互いの間合いに入り、怒涛の殴り合いが始まる。廻羅はいつも手に持っている両刃剣を使っていない。鬼相手に素手で戦うつもりのようだ。

 

それを見た鬼らは無茶だのなんだのと野次を飛ばす。鬼の大将はこの地底の鬼の中では強い部類に入り、それ故に皆そちらが勝つと確信している。

 

 

「おや、動きが鈍いんじゃないかい?カスリもしそうにないじゃないか」

 

 

「……ちっ」

 

 

少し経過し、廻羅は攻撃の手を止め回避に専念している。だからだろうか、鬼の大将の攻撃が彼に届く事も無さそうなくらい被弾も回避のムラがない。一方の鬼の大将は攻撃が当たらない事に苛つきを覚えているようにも見える。

 

ガヤは逃げてばっかじゃねぇか!等の野次を飛ばしているが、真剣勝負の中にある2人には届きそうにない。そんな中、鬼の大将の攻撃が激しさを増し始める。

 

 

「よっ、ほっ……多少はマシになってるねぇ。ま、当たりはしないけど」

 

 

それでも尚、まだまだと言わんばかりの表情で避け続ける廻羅。すると、途端に攻撃を止める鬼の大将。攻撃を止めたと思えば、廻羅にこんな提言をした。

 

 

「……お前の一撃を、俺に当てろ」

 

 

「…それで実力をみたいって事かい?」

 

 

静かに頷く鬼の大将。それを見た廻羅は快く了承し、少し距離をとる。そして、こう告げた。

 

 

「……一撃だけ、ある程度の力で殴るとする。それで君含めてここにいる全員が実力を把握出来るだろう」

 

 

その一言を放った途端、今までの彼とは全く異なる異質なオーラが放出される。それは鬼の大将のみならず、観客までもが足を踏ん張らねば留まれない程のものであった。

 

 

「……行くよ」

 

 

そう言った彼の姿はとうに無く、気付けばその姿は鬼の大将の前に。その時間は、瞬きよりも遥かに速い。これには観客も鬼の大将も驚いた。それを許さないと言うように、彼から一撃が放たれる。

 

 

──天拳 【穹貫き】

 

 

彼が放った一撃は、拳術の中でも異端なものだった。それは純粋な拳術にあらず、それには神術(主に神が行使する魔術)を併せたものなり。通常ならばこれをマトモに喰らおうものなら、肉体は愚か、灰までも残るかどうかのものだが……

 

 

「─ガバァ!?」

 

 

廻羅がしっかりと微調整していた為に、それは免れた。が、当然遥か先に吹き飛ばされる事にはなるのだが。

 

 

「あり?やり過ぎた?」

 

 

彼が呑気にそう言うと、ガヤから1人出てきた。その人物は一見人に見えるが、額の角を見るに、恐らく鬼なのだろう。

 

 

「あんた、やるねぇ!まさかアイツがあそこまで完封されるなんてね!名前はなんて言うんだ?」

 

 

「んにゃ?廻羅だけど」

 

 

それを聞いた瞬間に、周辺がザワつく。今までの態度から一変、マジかよだのあの実力ならだのの言葉が飛び交い始める。

 

その豹変ぶりに驚く他ない廻羅に対し、その人物星熊(ほしぐま) 勇儀(ゆうぎ)が続ける。

 

 

「良かったら私と一勝負しないかい?」

 

 

「あぁ~…確かにアリかもしれないけど、もう少し観て回りたいからなぁ」

 

 

「おや、そうかい?残念だね」

 

 

そういう勇儀の顔は、どこか惜しそうな表情を浮かべている。それを見て、若干罪悪感を覚える廻羅ではあるが、それでも尚幻想郷に対する好奇心の方が勝っているのだろうか、もうすでにどこかに行ってしまいそうだ。

 

 

「たはは!相当観光したいみたいだね!!良いさ、アンタならここの奴にゃ遅れはとらんだろうしね!」

 

 

それを見て、勇儀は憂さを忘れたように豪快に笑い飛ばす。あの強さがあれば、ここの観光は問題ないと踏んだ故だろうか。しかし、それでも戦いたいという雰囲気は消え切っていない様子。

 

 

「…また時間があったら、一勝負するかい?」

 

 

「良いのかい?そうしてくれるなら是非とも戦いたいねぇ!!」

 

 

そんなやり取りをし終えた2人はそこで別れを告げ、互いに別の方向に歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[地霊殿]

 

 

「…で、貴方は何者ですか」

 

 

「廻羅っていう者だよ。いやぁ、この子が町中に1人でいるもんだからね、迷子かと思って連れて来た次第さ」

 

 

あれからしばしの時が経ち、現在地霊殿にいる廻羅。どうやら町で観光していた廻羅が、町にいた女の子を見つけ、聞いた場所に連れてきた模様。しかし、それはどうやら普通でないようで…?

 

 

「…私は古明地(こめいじ) さとりです。この度はこいしを連れてきて下さり、ありがとうございます」

 

 

廻羅が連れてきた人物は、彼女の口から明かされた通り、古明地(こめいじ) こいしであった。そう、何が普通じゃないかはもうわかったであろうか。

 

 

「…()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

通常、姉がこんな質問を投げるのはおかしな話だが、こいしの件に関しては、この疑問はある種普通の疑問でもあった。何せ、こいしは()()()()()()()()なのであり、これを見破れる者は中々いない。こいしが本気になれば、見つけられる者がいるのかどうかもわからない程に。

 

 

「いや?普通に街中歩いてたし服装も目立ってたし…結構気付きやすくないかな?」

 

 

「…そういう事を聞いてるんじゃないんですよ。こいしの能力がありながら、どうして貴方が初見でこいしを見つけたのかって話です」

 

 

そういう事ね、と呑気に答える廻羅。そうして答えなおした廻羅だが、理由は至って単純、()()()()()()()()()との事。…結構なぶっ壊れな気もするが、そこは流すとして……

 

 

「……色々疑問は増えますが、今は置いておきます。ともかく、妹を連れてもらい、ありがとうございました」

 

 

「いんや、別に感謝される事はしてないさ。…そうだ、1つ聞きたいんだけど、良いかな?」

 

 

「…何でしょうか」

 

 

未だに警戒されているのか、はたまた引かれているのかはわからないものの、少し警戒気味のさとり。気にしないが吉とふんだのか、それを気にも留めずに話す廻羅は、結構肝が据わっている。

 

 

「どっかここ行くべき、みたいなとこないかな?何分少し前に来たばっかりでね、色んなところを見て回りたいのさ。あぁ、どこに行ったかは君の能力で確かめてもらえると手間が省けるかな?」

 

 

「…私の能力まで知っている事についてはもう詮索しませんが……そうですね…………」

 

 

能力を使い終わったらしく、さとりは何かを考え始める。廻羅もそれが終わるのを待っているのか、何か考え事をしているように見える。それが暇なのか、今まで黙っていたこいしが、廻羅に話しかけた。

 

 

「ねぇ廻羅さん!廻羅さんってどんな能力を持ってるの?」

 

 

「ん?僕かい?」

 

 

そう!と健やかに返事をする彼女は、年相応の反応とも言える程明るく、子供らしさがあった。しかし、解答にどもる者が1人。

 

 

「ん~、申し訳ないね。その質問には答えられないかな?何分、答えるのに難しい上に……」

 

 

その後に、彼が述べたソレは……

 

 

──まだ、その時じゃあないからね

 

 

…誰もが予想しえぬ、誠に奇妙な解であったのだった。

 




という事で、御伽.陸が終わりました。

遅くなりましたが、次回は紅魔館編となります。次回も0,5章が続くやもしれませんが、近いうちに本編に入りますので、もう少しお待ち下さい。近々投稿頻度についての活動報告を上げるかもしれませんので、どうかそちらの確認もお願いします。

次回『御伽.漆 旅路行く者の記録 〜紅きを謳う者よ〜』

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