今回で0,5章は終わりの予定です。今回は、前回の後書きにも示しました通り、紅魔館回です。はてさてどんな出来事が待ち望んでいるのか、皆様の目で、どうぞご確認していって下さい。
では、御伽をお楽しみ下さい。
[紅魔館前]
「うっひゃあ~…話には聞いてたけども、ホントにデカいねぇ。目にも良くないねぇ」
廻羅の前にある、真紅に染まりながらも堂々と存在を誇張せんとばかりの存在感を放つその館は、幻想郷の間では"紅魔館"と呼ばれ、人間からは恐れられている。それは無理もなく、この館の中には魔法使いや悪魔りはじめとした存在が蔓延っており、挙げ句の果てには吸血鬼がここの長を務めているときた。
廻羅もそんな噂を人里の人間がヒソヒソと話しているのを聞いていた為、知っているはずなのだが……
「…う〜ん。僕の場合、恐怖だの緊張だのよりも好奇の方が先行しちゃうからねぇ…正直楽しみだ」
この有り様である。あらゆる魑魅魍魎ですら、彼の好奇を押し殺す事は出来そうにない。それ程好奇に満ちた心の持ち主……と言えば聞こえは良いかもしれない。
「取り敢えず入りたいんだけど……」
ここで廻羅は、ここに来てから視界にチラチラと映るソレへと視線を向けながら、バツが悪そうに一言。
「……
…そう、ここに来る者の中ではよく話のタネになるそれであった。廻羅の視線の先で寝息を立てながら夢の世界にご執心な様子の彼女は、この館の門番である
実力は一流であり、幻想郷の中でもそこそこの強さを誇っているのだが、ご覧の通り、彼女は職務の最中だろうがお構い無しに眠っている。
「…はぁ。このバカ美鈴!」
そんな怒号と共に、いつから投げられたのか、幾千ものナイフが矛先を美鈴に向けている。それは間もなく、美鈴の至る箇所に刺さり、美鈴は眠りながら気絶するという、何とも不可解な状態になりながらも地面に倒れる。
…それはさておき、廻羅が目線を向けたソコには、1人のメイドが立っていた。
「廻羅様ですね。さとりから聞いていますので、ご案内します」
「ご丁寧にどうもね」
最早気にすまいという意思からか、廻羅も既に美鈴の惨状に目を留めていない。…誠に、自業自得である。
2人はと言うと、既に門をくぐり、その紅い館に身を運んでいた。
[紅魔館 館内]
「一応どこに行くにはどう行くかは教えてもらったけど……広過ぎない?まともに見て回させる気ないでしょ」
館について一通り教えてもらい、先程のメイドもとい
「…流石に弄ったらダメだろうし、歩く羽目になるんだよねぇ」
一応弄れなくもないそうだが、ここは彼女らのテリトリーであるため、招いてもらった身としてはある程度弁えないといけないのは自覚している模様。その後も彼は終始、愚痴を漏らしながら歩いて回る事になるのは、言うまでもないだろうか。
「ありゃま、広いねぇ」
彼が歩いてどのくらい経ったろうか、辿り着いた場所は、数多くの書物が存在する地下空間、所謂、地下図書館だった。その数はと言うと、数えるのも馬鹿になる程であり、数えきるのにどれだけの日を要すかも計り知れないとも言えようか。
等と廻羅が関心していると、奥から1人やって来る。
「あ、咲夜さんが言っていた廻羅さんですね?はじめまして、私はこの図書館の長であるパチュリー様の使い魔の
「相分かった」
彼女の長い言葉に対し、微笑みながらそう一言だけ返す廻羅。その返答を聞いた小悪魔は踵を返し、パチュリーとやらがいるとされる方向へと向かっていった。そして、それを追うように彼も歩き始めた。
「パチュリー様、廻羅さんをお連れしました!」
「そう、ご苦労だったわ、こあ。貴女は仕事の方に戻って頂戴」
「はい!パチュリー様!」
小悪魔に連れられやって来たのは、紫色の髪をした1人の女性の座す場所だった。ここまで案内をした小悪魔はどこかに行ったようで、その場には廻羅とその女性のみが残る。少しの静寂が空間を支配する中、それを破ったのは、彼女の方だった。
「…で、ここに来たのは観光?らしいわね?」
「そうさな、その解釈で合ってる」
「…こんな所を観光なんて……実力さえ知らなかったらバカと言っているわよ?」
さっきの気まずそうな雰囲気とは一転し、友達同士のからかいみたくの様になっている。…まだ出会って数瞬だが。
「知ってるんだね、僕の実力」
「幻想郷に来る際に耳にたこができる程聞いたからよ。まぁ、一部は忘れてるみたいだけど」
彼の実力に関しては、この幻想郷にいる者は必ず一度は耳にするのが、この幻想郷での鉄則。原因は紫の熱弁にあるのだが。彼女が初対面の者に会う際は、必ず廻羅の事を語る。そのおかげ?も相まってか、彼の事を聞いたこともない人はいない。
「まぁ、もしかしたら何か読みに来るかもしれないから、その時は宜しくね〜」
「本を盗ったりしないなら、私は歓迎するわ」
何故いきなり本を盗るなんて話に飛躍したのかは、あえて触れない廻羅。何か訳があるのだろうとだけ悟り、話を進めていた。
「やっと来たわね、廻羅。歓迎するわ」
「そうかい、わざわざ頭首が歓迎とは、光栄な事だねぇ」
廻羅が彼女のいる部屋に着くと、奥の玉座に座る彼女から歓迎の意を表した一言が放たれる。それに対し、廻羅はいつも通りの呑気な感じである。彼女の横にいる咲夜も、何やら苦笑いを浮かべている。
「…本当にただの観光目的なのね。何か別の目的を持ってるとずっと思ってたわ」
「その警戒心、頭首としては見事だね。ただ、今回はアテが外れたみたいだね」
そう言い、悪戯心を醸し出すかのように笑う廻羅の姿は、さながら子供の様である。
「……まぁ、そうね。…で?観光は終わったのかしら?」
「ん~、
そう、と静かに言い放つ彼女は、何やら神経質になっているようにも感じる。…と、ここで彼女がある事に気付く。
「…そういえば、まだ私の名前を言ってなかったわね」
「んにゃ、確かに聞いてないねぇ」
彼女のその一言に、それとなく乗っかる廻羅。コホンと咳き込み、彼女は続ける。
「私はこの紅魔館の館主、レミリア・スカーレットよ。以降関わりがあるかはわからないけれど、取り敢えずよろしくと言っておくわ」
「うん、宜しく」
彼らはそんな雑多な挨拶を交わし、互いに固い握手をする。互いが互いを見つめる目には、何やら強者の闘志が宿っていた。
こうして、廻羅の幻想郷観光は、一先ず幕を閉じる事に。
─────
「……咲夜」
「はい、お嬢様」
さとりから連絡がきた時は、正直衝撃を受けた。何せ、あの妖怪の賢者が
正直、彼の実力については私自身疑っていた。あの紫がわざわざ嘘何てつく必要もないとは思っていたが、この目で判断しない限りは信用できない…と思っていた。結論から言えば、紫の言わんとする事は本当だった。隠していたのかわからないけど、あの洗練された力に、つけ入る隙が微塵もなかった。何せ、
だから、私は従者に対し、釘を打つようにこう言った。
「…あれは、死んでも敵に回してはいけないわ。私はおろか、貴女でもわかるでしょう?彼の強さは」
「……はい、とても同じ生命体とは思えない程に」
この幻想郷には、数多の種族が存在する。悪戯好きの妖精や実力主義的な鬼、信仰を募ろうとする神から、東洋で伝承されていた妖怪までもが存在してはいるが……
「…
寧ろ、クトゥルフ神話…だったかしら?そこに出てくる邪神か何かの様な、私達の理解に及ばないソレと言ってくれた方が、私としては安心できるのだが。
「しばらくは大人しくした方が良さそうね……」
頭首らしからぬそんな弱気な発言を、私は静かに零していた。
「ふいぃ、ちょっとばかし疲れたねぇ」
幻想郷の何処かにて、観光に多少の疲れがあったのか、静かに家と思われる場所で腰を下ろす。しかし、何やら楽しかったと言わんばかりの表情をしている。
「……んにゃ?」
そんな感傷に耽っている中、廻羅は何やら異変を感じた様子。しかも、その表情は何やら神妙である。
「…嫌な予感がするね」
そんな予感が、果たしてどう向くのか。それを知る事になるのは、また後日の事である。
という事で、御伽.漆が終わりました。
今話を持ちまして、0,5章は終了となります。ここまでは、所謂導入編であるとお考えいただければと思います。ここからが実質的な本編開始です。本格的に物語が動き始めますので、皆様も楽しめるかと。ここから戦闘描写が増えると思いますが、散々言っております通り、弾幕の表現につきましては、原作未プレイですので、描写はないとお考え下さい。そして、投稿頻度についての活動報告をこの後上げますので、そちらもご確認ください。
次回 東方続夢郷 1章『御伽.捌 自然の騒めき』
オリジナル要素について
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設定集出して!
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その都度書いてくれれば良い