東方続夢郷   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回から、(実質的)本編開始となります。今回から文量も多くなりますが、同時に投稿頻度も遅くなる事が想定されます。ですので、投稿頻度や文量について何か要望がありましたら、コメントや私の別小説に掲載しますアンケートにご回答下さい。

では、御伽をお楽しみ下さい。



1章 東方精戯譚
御伽.捌 自然の騒めき


[博麗神社]

 

 

「…何で暇になったらここに来るのよ?私だって忙しいのよ?」

 

 

「いいじゃないか、相変わらず器の小さい奴だな~」

 

 

黄色の髪をした見てくれ通りの魔法使いである霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)がそんな事を言う中で、霊夢はダルそうにうっさいわね、なんて返している。その光景だけを切り取れば、単にのほほんとした日常の1ページにしか見えない。霊夢はと言うと、いつもは神社内でゴロゴロしているのかと思えば、今日は神社内の掃除をしている。どうやら今日は一週間の中でも掃除と鍛錬をする日らしく、そんな日に面倒な友人の来客は、霊夢には結構こたえるようだ。

 

 

「なぁ霊夢、最近異変らしい異変なくなったよな」

 

 

「そうね、それが続く事に越したことはないけど…幻想郷でそれはないわよね」

 

 

「だな。寧ろ、平和が続く方がらしくないぜ」

 

 

そうよね~、等と溜め息まじりに言う霊夢達の言い分は最もであり、ここ幻想郷は異変と言う所謂様々な規模の事件がしょっちゅう勃発している。大規模になるものもあればショボいものもある。しかも、この異変は幻想郷にいる妖怪だったりが主に首謀者となる為に、人間に被害が行く事もあったりする。だからこそ迅速な解決が求められる故に、頻発されると勿論の事、大規模なものが起こった暁には、面倒極まりないのである。

 

 

「そうも言ってられないかもしれないわよ?」

 

 

「紫まで……何の用よ?」

 

 

2人が会話をしていると、2人の後ろに突然スキマが出現し、そこから紫が出てくる。相も変わらず、日傘を差しながら微笑んでいる彼女は、どこか不思議な雰囲気を醸し出している。彼女がやって来る時は、大体厄介事が持ち込まれるのが通例らしく、霊夢だけでなく魔理沙も嫌そうな顔を浮かべている。そんな2人の表情を見た紫は、顔をほころばせた。

 

 

「あらあら、酷いわね。私が疫病神みたいじゃないの」

 

 

「実際にそうじゃないの。いつもとは言わないけど厄介事持ってくる事多いじゃないの。大体アンタ、用件も無しにここに来ない事の方が多いじゃない」

 

 

良く分かってるじゃないの、等と言う紫に対し、霊夢は少し引き気味。一方の魔理沙は空気の様である。それでも、2人の話に耳を傾けている。そんな雰囲気は、紫の一言によって打ち砕かれる事になる。

 

 

「まぁ、今回は正解よ。どうやら規模が大きい異変の予感がするわ」

 

 

「…はぁ、一体どこの誰が起こしたのよ」

 

 

紫から告げられた規模が大きい異変というワードに反応する霊夢。それに呼応するように魔理沙も表情を曇らせる。霊夢だけでなく、こうして神社に来ている魔理沙の方もそうなのだろうか、霊夢と似通った表情を浮かべている。それを置き去りに、紫は言葉を紡ぐ。

 

 

「今回は謎な要素が多いのよ。いつも分からない事はあるけど、今回はホントに謎要素が多くて。藍にも調査を頼んでるけど、一向に進捗がないのよ」

 

 

「…藍でも?そんな厄介な異変、結構な規模になるんじゃないの?」

 

 

「いえ、隠すのが上手いだけの可能性が無いわけじゃない以上、そう断定するのも早計よ。それに、そろそろ廻羅様もお気づきになっていると思うわ」

 

 

そう断言する紫の表情は、そう確信していると言っているかの自信があった。相変わらずの紫の廻羅に対する絶対的な自信に、もし本人が居たらと考えてしまう2人であった。…それが杞憂で終わればよかったのだが。

 

 

「いんや、そこまで期待されると困るんだけどねぇ」

 

 

そんな事を言っていると、まさかの本人登場。これには3人も驚きである。3人が話していた内容が聞こえていたのか、どこかやりにくそうな雰囲気を出している。

 

 

「廻羅様!幻想郷はいかがでしたか?」

 

 

「うん、中々楽しそうな場所になってるね。これからの楽しみが増えた気がするよ」

 

 

その一言に、顔を綻ばせて嬉しそうにしている紫を他の面々が見たら、一体何を思うだろうか。そう思わざるを得ない2人。それを置いて、彼は霊夢に向けて話し続ける。

 

 

「今回ここに来たのには理由があってね……紫から話があったかもしれないけどね?変な胸騒ぎがしてね、もしかしたら異変ってやつかなと思ったんだけど…」

 

 

「それについては既に伝え終えています。後、私の式にも調査を依頼しているところです」

 

 

「相変わらず仕事が早いねぇ」

 

 

幻想郷の事を愛している彼女だからであろうか、異変とあらば行動はとても早く、一早く異変解決の手掛かりを掴まんとする。いつも部屋に籠っていたり、何かと式に任せがちな紫の面影は、今はとうにない。

 

 

「手掛かりらしい手掛かりがないのが少し引っかかるけど、大体見当はついてるんだよねぇ。ただ、本当だったら厄介な事この上ないから、この人数じゃ動けないかなぁ」

 

 

「もう首謀者が誰かわかったのですか!?」

 

 

紫らしからぬ大声が上がる。霊夢達も声に出さなかっただけで、紫と同等並みに驚いている。ただ、廻羅は驚いている紫に対して、少し不思議そうにしている。

 

 

「あれ?彼女の事、もしかして頭になかった?」

 

 

「……あっ」

 

 

どうやら紫が思い出したようで、ハッとしてからすぐに、苦虫を噛み潰したような顔をする。今の紫を一言で表すなら、百面相と言ったところだろうか。

 

 

「忘れてたみたいだね。まぁ彼女自身、何かをする動機が基本僕に関係してるから、いつもは大人しいんだけどね」

 

 

まるで自身の事のように話す彼は、些か気だるそうにもみえる。それを見かねた魔理沙が、すぐさま紫に尋ねる。

 

 

「なぁ、一体誰なんだ?分かったならパパっと倒して解決すれば良いんじゃないか?」

 

 

「…魔理沙、私も勘づいたから言うけど、ソイツはそんな簡単な奴じゃないわ。下手したら、幻想郷屈指の厄介者よ」

 

 

「……紫もそうだが、霊夢が言うって相当だな。んで?結局ソイツって誰なんだ?私は分からないままだぜ?」

 

 

皆がいる空間の雰囲気で、相手が只者でない事を察するのは容易いものの、果たしてそれが誰なのかまでを推測するには至らない。そんな中、廻羅が話を切り出した。

 

 

「…ネチューレ・アロマ。それが、今回の異変の首謀者だ」

 

 

「……確かに、改めて考えたらアイツが首謀者だとすると、辻褄が合うわね」

 

 

ネチューレ・アロマ。廻羅が口にしたその名主は、只者ではない。と言うのも、その名主は妖精の類にある者であり、その中でも()()()()()と言う妖精のトップのような能力を持っている。その能力に見合う実力も兼ね備えている上に、妖精に共通する悪戯好きな性格が、それに拍車をかけている。

 

 

「悪戯好きにあの能力はマズいんだよねぇ~、僕でも少し手を焼くしなぁ」

 

 

「廻羅様が旅に出た後も、私達で落ち着かせるのも大変でしたわ」

 

 

そう言う紫はと言うと、どこか遠い目をしている。当時を思い出しているのだろうか。

 

話を戻すと、妖精は自然そのもの…ではないのだが、自然の一部分を切り取ったような存在とも言える。その中でも、ネチューレの能力は妖精の存在源を司るというのは、妖精の存在そのものを統べているとも言えるのだ。この能力は、その能力の簡潔な内容とは裏腹に、とんでもない能力でもあるのだ。

 

 

「その能力故に、彼女は妖精女王とも言われているからねぇ」

 

 

「妖精って言ったら、チルノにルーミア、大妖精に…そいつらの長って事か。…想像以上に面倒くさそうな奴だな」

 

 

改まってそう言う魔理沙と、そうとは言わないもののやはり戦慄している霊夢と紫。厄介な子供の相手をするかの様な顔をするのは、廻羅であった。

 

 

「紫様、調査が一段落しました……廻羅様もいらっしゃったのですか!?」

 

 

「僕の事は空気とでも思ってくれれば良いよ。それはさておき、紫に報告する事があって来たんじゃないのかい?」

 

 

そう言ってすぐ、藍はハッとし、紫に対して報告を始めた。それは、廻羅が言ったような事(首謀者についてだの、ソイツが厄介である事)が殆どだったが、気になる事もあった。

 

 

「……妖精の様子がおかしい?」

 

 

「はい、何やら活動が活発化している印象がありました」

 

 

「あっちゃぁ〜……やっぱりかぁ」

 

 

その報告を聞いた途端、廻羅が頭を抱える。それに疑問を持つ霊夢と魔理沙のうち、霊夢が廻羅に説明を促す。すると、さっきの事を絡めてこう言う。

 

 

「ネチュは自然を司る能力持ちで、そのネチュが積極的に活動したら、自然の一部分である妖精が力を増したり、悪戯心が増長されたり、個体によっては姿が変わる事もあるんだよ。この異変、妖精全員が強化された状態で敵に回る事になるね」

 

 

「うわぁ……話を聞くだけでも面倒極まりないわね。道理で今の戦力じゃあ戦うのに野暮って事なのね」

 

 

その説明を聞き、藍を除く3人が納得の表情を浮かべた。対し、藍はまだ考察の最中なのか、顎に手を当てている。

 

 

「取り敢えず、相性云々はともかくとして、それなりの戦力確保が必要になるね。そうだなぁ……僕と紫、霊夢で声をかけに行くとしよう」

 

 

そう冷静に分担する彼は、さることながら軍師のソレを彷彿とさせる。彼のその言葉に異を唱える者はおらず(魔理沙が不満そうな顔を浮かべている事を除いて)、各々は行動を開始した。

 

廻羅は毎度の事ながら空間を裂き、霊夢は空を飛んだり、紫はスキマを使ったりと、行き方は多種多様であったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[輝翠の風林 最奥部]

 

 

「うふふ、ようやく彼が戻って来たわ」

 

 

1株も枯れる気配が一向にない木々1つ1つが、翡翠の如き緑色をしており、またそこに吹く風も、生ある者にとっては心地良さを感じる。そんな隠れた森林の奥深くで、ある者が呟いていた。

 

 

「あぁ、廻羅。会いたくて仕方ないの。…貴方の顔を見せて?そして……」

 

 

そんな彼女の呟きを聴いている者がいないが故に、そうであるかは定かでないのだが、恐らくそこに誰かがいたとしたら、その者はまずこう思うだろう。

 

 

 

 

 

──貴方のその力で、私を蹂躙して?

 

 

その想いは、()()()()()()()()()()()と。

 




という事で、御伽.捌が終わりました。

文量についての報告をいたしましたが、今回のように長くなりそうにない回は今まで程の文量で1話、という風にしますので、悪しからず。

次回『御伽.玖 予想外には用心』

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