SAO×VRAINS(仮題)   作:灰色パーカー

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2.少女との邂逅

『LINK VRAINS』でのイベントデュエルを終えた翌日、いつものように遊作は高校で授業を受けていた。

 

教師の話を半分に聞きながら黒板の内容を提出用のノートに写していく。

 

そうやって午前中の授業を終えると、遊作は人気の全くない校舎隅の階段で昼食をとっていた。

 

教室は他の生徒達の声がうるさいため遊作は昼休みは基本的にこういった人気の無い場所で過ごす。

 

『それにしても、昨日のデュエルは楽勝だったな』

「・・・そうだな」

 

ちなみに今日はAiも遊作と一緒に登校していた。ただ学校では人型のボディを晒さずに専らスマホの画面上に自身の目玉だけを映して会話している。

 

『ま、俺様にかかればあれくらい当然なんだけどな!アハハハハ!』

「・・・・・」

 

実際にデュエルしたのは遊作であり、Aiは特に何もしていなかったのだが、敢えて何も言わない遊作。

 

Aiの言葉にすら無関心なのか、それとも何か別の思いがあるのか、、、、

 

『で、これからどうすんだ?まだ休み時間結構残ってるけど』

「そうだな。予鈴がなるまではここで休んでおく。教室に戻っても喧しいからな」

『あ~あ、もっと他の奴らと関われよ。ペアワークの時、お前の相手気まずそうだったぞ』

「気にしなければ良いだけだ。ペアワークと言っても所詮教師の指示通りに作業するだけなんだからな」

『ハイハイ。言われた事やってれば良いもんな、高校は』

 

そんな何て事ない会話をしながら遊作とAiは残りの休み時間を過ごしていった。

 

~~~~~~~~~~~~

 

放課後になり、いつものように『Cafe Nagi』に向かおうと遊作が駐輪場に向かう途中、

 

 

「・・・良いだろ朝田ぁ~友達なんだからさぁ~」

「そんなに持ってるわけない」

 

と、下足場の隅で複数の女子が話し込んでいた。一人はどこか嘲るような声音で、片やもう一人は困ったような、どこか呆れているような声音だった。

 

遊作は靴を履き替えながら然り気無く様子を窺った。そこに居たのはメガネを掛けた女子と彼女を囲む3人の女子だった。

 

見たところ全員同じクラスの生徒だと遊作は分析した。

 

メガネの女子はともかく、他の3人はクラスでいつも喧しくしている女子だったからだ。

 

『おぉ!なんだなんだ、かき揚げか?』

「・・・Ai、それを言うなら喝上げだ。それと今は黙っていろ」

 

Aiの言葉を訂正しつつ静かにさせながら遊作は女子達の様子を窺っていた。

 

「良いじゃんかよぉ~うちらカラオケで歌いすぎてさぁ~金無くなっちった。明日返すからさぁ、こんだけ貸してよ」

 

そう言ってメガネを掛けた女子生徒『朝田詩乃』に、金銭を要求する『遠藤』。右手の人差し指を立てて金額を示している。

 

(あれは一万という意味か?金をせびっているあたり、まさか千円ではないだろう)

 

などと考えつつ遊作はその場を離れていく。間違っても彼女達の視界に入らぬように。

 

喝上げの現場を目撃してしまった手前、何もせずに立ち去るのは少々気が引けるものの、自分には関係ないという意思を貫く遊作。

 

しかしここで遊作にとって予想外の事が起きる。

 

『学校が今さっき終わったのにカラオケで歌ったとかおかしくね?電車代無いって鞄に定期ぶら下げてるしさぁ。それに電車代で一万円って九州にでも行く気かよ』

「なっ!?お前!」

 

Aiが遠藤の言葉の矛盾点を一挙に並べ立てたのだ。それを聞いてか詩乃を囲んでいた遠藤達三人が焦ったように振り返り遊作を睨み付ける。

 

だがこれに一番驚き焦っているのは遊作自身だった。

 

「Ai、お前!」

『フフーン(プイッ)』

 

遊作が小声で胸元にしまっていたAiに抗議するも当のAiはプイッと視線をそらした。

 

「誰こいつ」

「あいつだよ、同じクラスの陰キャの」

「何だよ藤木。何か文句でもあんのかぁ?」

 

他の二人はともかく遠藤は遊作の事を知っていたらしい。語気を強めながら遊作に食って掛かる。

 

(Aiのやつ、面倒なことを)

 

今のはAiが言ったなどと正直に言うわけにもいかず、どうするか逡巡する遊作。

 

結局碌な言い訳も思いつかなかった遊作は思ったことをそのまま伝えることにした。

 

「別に文句がある訳じゃない。ただ・・・発想が貧しいなと思っただけだ」

「はぁ~?お前なに言ってんの?陰キャのくせに」

 

普段から主張が少なく、他人との関わりが少ない遊作を陰キャと罵る遠藤だったが、遊作は意に返さずに言葉を続けた。

 

「発想が貧しいと思った理由は3つある。1つ、他人から金を巻き上げるなんて下らない事をしている。2つ、そんな方法でしか金を得る方法が思いつかない。3つ、朝田詩乃が警察に訴えた時点で自分達が終わりだという認識を欠片も持っていない」

「・・・なっ」

 

遊作が淡々と述べたことに対し遠藤達は数多の感情が沸き上がっていた。

 

下らないと言われた事への苛立ち。警察、訴えるという言葉への動揺。単純にバカにされた事への怒り。

 

その他多くの感情で遠藤達の顔が穏やかではなくなっていく。

 

「藤木、お前よぉ調子に乗って「ハイハイ!あんた達そこ退きなさい。掃除の邪魔よ!」」

 

遠藤が遊作を脅そうとした時、下足場の掃除に来た教師によってそれは遮られた。

 

教師の後ろには掃除係りの数名の生徒もいる。

 

「・・・チッ、冷めたわ」

 

そう言って遠藤達三人は下足場を出ていった。すれ違い様、遊作に対して敵意がこもった目を向けながら。

 

遊作もまた、ようやく厄介事が済んだとばかりに駐輪場へと足を向ける。だが、

 

「ね、ねぇ藤木くん」

 

今度は詩乃が遊作を呼び止めた。

 

「・・・何か用か?」

「用というか・・・その、ありがとう。助けてくれて」

 

無表情で振り替える遊作に対し、やや戸惑いつつも礼を述べる詩乃。

 

「別に助けた訳じゃない。結果的にそうなったというだけだ」

「あ、、、そう」

 

ぶっきらぼうに返答する遊作に戸惑う詩乃。

 

実際、遊作はAiが勝手なことをしなければそのまま立ち去るつもりだったのだ。それでお礼を言われてもこまるだろう。

 

互いに黙りのまま数秒が過ぎた。以外にも先に口を開いたのは遊作だった。

 

「・・・いつもこんな目にあってるのか?」

「え?」

「あの3人のことだ」

 

遠藤達の様子から詩乃が受けていた喝上げは今日が初めてという訳では無いだろうと遊作は考えていた。

 

「・・・以前よりはマシよ」

「・・・・・・そうか」

 

詩乃の言葉から遊作は自身の予測が間違っていないと確信した。

 

だか、ここで更なる疑問が生まれた。

 

「両親や教師には、相談しないのか?」

 

こういったケースの場合、真っ先に大人に相談するのがベストだろう。色々な理由で言葉にしづらいというのはあるだろうが、学生にとっては大人に頼るのが最も楽で、確実な打開策である。

 

「・・・家族に迷惑をかけたくないから。それに・・・教師はあてにならない」

 

〈教師はあてにならない〉

 

この言葉に遊作は引っ掛かった。確かに生徒間のトラブルやイジメに関わる事を嫌う教師は一定数いる。

 

だが、それでも家族が側にいない以上真っ先に白羽の矢が立ちそうなものなのだが、、、、

 

「一度相談してダメだったのか?なら別の、例えば生活指導の教師とかなら・・・」

「無駄なのよ。教師は皆、私を避けてるの。関わりたくないのよ、私と」

 

詩乃のこの言い様に遊作はますますわからなくなった。生徒に寄り添う立場にあるはずの教師が生徒を避けているという。

 

よほどの事がなければそんな事にはならないだろうに。

 

「・・・何かあったのか?」

「・・・・・・知らないの?」

 

遊作の3度目の質問に、何かあったのかという言葉に、詩乃は驚いたような顔を遊作に向けた。

 

まるで誰もが知っている事を知らないのかといったような表情で。

 

「何の事だ?」

「・・・・・・そう。()()を知らない人がまだいたのね」

「?」

 

一人納得した様子の詩乃だったが、遊作は何一つ理解できていなかった。

 

詩乃が教師を信頼していない理由も、詩乃が言っていた〈アレ〉が指す内容についても。

 

「今日は本当にごめんなさい。帰る邪魔をしてしまって。助けてくれてありがとう。それじゃ」

 

そう言って詩乃は早足で下足場を後にした。

 

結局遊作は詩乃が遠藤達に金をせびられているという事以外何もわからなかった。

 

『何か訳ありなのか?アイツ』

「・・・そのようだな」

 

先ほど以降ずっと黙っていたAiが再び口を開いた。遊作はAiに対し勝手に喋った事への批難の視線を向けながら肯定した。




~次回予告~
少女に宿る心の闇。過去に起こった事件によって植え付けられたトラウマは、今尚彼女を苦しめる。

日常にまで及ぶ運命の毒牙を前に、希望など疾うの昔に捨て去った。そんな少女にPlaymakerが一縷の望みを照らし出す!

「人の過去を暴き、晒し上げるような輩を俺は許さない!」

次回SAO×VRAINS(仮題)
「現状打破!」

イン・トゥ・ザ・ブレインズ!
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