遊作と詩乃が『Cafe Nagi』で話をしてから一週間。
既に遠藤達の一件は話題に挙がることは無くなり、今まで通りの日常が戻って来ていた。
遊作も例に漏れず、普段通り階段で昼食を取っていた。
詩乃との距離が縮まっていないことに不満を口にするAiを窘めつつ、普段通りの生活を過ごしていた。
詩乃もまた、概ね普段と同じように過ごしていた。
ただ一つ違うのは、休み時間や放課後に『LINK VRAINS』について調べるようになったことだ。
図書室に置いてある新聞やネットゲーム関連の雑誌を読み漁り、MMOトゥデイを遡って『LINK VRAINS』についての記事を検索し続けた。
最近の記事では専らカリスマデュエリストと呼ばれるプレイヤーの特集ばかりだったが、5月末から6月の中旬までの記事では、そのほとんどで一人のプレイヤーに焦点が当てられていた。
『Playmaker』
それがそのプレイヤーの名前。
ハノイの騎士というハッカー軍団を壊滅させ、『LINK VRAINS』を救った英雄。
「・・・・」
この『Playmaker』の正体が遊作なのかどうかは詩乃にはわからなかったが、恐らく間違いないだろうと思っていた。
(・・・見てみたいな、戦ってるところ)
遊作がPlaymakerであるのなら、いや例えそうでなかったとしても、遊作がデュエルするところを見てみたいと詩乃は思っていた。
過去の事件を追っていく中で、多くの敵を前に遊作がどのように立ち向かっていったのか。
それが今詩乃最も関心がある事柄であり、疑問だった。
ただ一つ問題なのは、
(・・・話しづらいのよね)
そう。『Cafe Nagi』で会ってからの詩乃に対する遊作の態度は何も変わらなかった。
遊作からは決して関わろうとはせず、詩乃が話しかければいつものように無表情で返事をする。
自分の過去を知って態度が何も変わらないというのは詩乃にとっては新鮮なことではあったものの、逆に遊作に対しどう接すれば良いのかわからず困惑していた。
(・・・変に考えないで真正面から行った方がいいわよね、たぶん)
変に気を使い、回りくどい言い方をするよりも、真正面からはっきりと言おうと決める詩乃。
(そもそもむこうの態度は何一つ変わってないんだしそれで私が接し方を変える必要は無いわけであってなんならそこまで気を使うことこそおかしいっていうかそれじゃまるで私が変に意識してるみたいで滑稽というか・・・)
普段の冷静沈着な詩乃からは想像できないほどの迷走っぷり。
心のなかで理論武装しながらも、顔は努めて平静に保つ詩乃。
昼休みのこの時間なら例の階段で昼食を取っているだろうと、絶賛強固な理論武装を構築しながら向かって行く。
(・・・あ、でも話すならホットドッグ屋さんにいる時の方が良いかしら)
あと少しで目的地という所で頭によぎる。
ここで話しかけたとして、他の生徒に聞かれたらどうするのかと。
いくら人通りが少ないからといっても偶然誰かに聞かれるという事は十分あり得る。
自分はともかく遊作があれこれ聞かれるようなことになるのは不味いと、詩乃は行き先を教室へと変更した。
~~~~~~~~~~~~~~
帰りのHRも終わり、遊作は駐輪場へと向かっていた。
『あ~あ、今日も見せ物デュエルかぁ~あんなの放っておいて詩乃ちゃんの所行こうぜ』
「お前はそればかりだな」
相変わらず詩乃との距離を縮めさせようとするAiにいい加減遊作もうんざりしていた。
「遠藤の一件については全て話した。もう彼女が俺達と関わる理由は無い」
『そうだけど、そうじゃなくてさぁ~』
駐輪場で自転車を出しながらAiと話す遊作。『Cafe Nagi』に向かおうと自転車を漕ぎ出そうしたその時。
「ねぇ、藤木君」
「!?・・・浅田詩乃」
詩乃が遊作のそばまでやって来ていた。少し息が荒いところを見ると、駆け足でここまで来たらしい。
「何か用か?」
「・・・あのさ、今日時間ある?」
「無い」
「・・・・・・」
無表情のまま、淡々と答える遊作。
あっさり無いと言われてしまい、詩乃は次の言葉が出なかった。
遊作はただ詩乃の質問に答えただけで、それに関してはなんら非はない。
ただ言い方が良くなかった。ここで何か気のきいたことを言えれば良かったのだが、あいにく遊作にはそんなスキルは無い。
だが、詩乃は諦めなかった。
「無いって、何かあるの?」
「・・・『Cafe Nagi』に行く用事がある」
「行った後は?」
ぐいぐい来る詩乃に遊作はたじろぐ。これまでの印象とは違った詩乃の勢いに圧されていく。
「・・・今日はずっと『Cafe Nagi』にいる」
「じゃあ後で行くから待ってて」
「・・・?わ、わかった」
そう言って詩乃は足早に校門に向かって行った。
『おぉ~!アクティブだなぁ詩乃ちゃん!なぁ遊作?』
「・・・なんなんだ?」
詩乃がアプローチしてきたことにAiは大興奮していたが、遊作は詩乃の意図を計りかねていた。
『何でも良いじゃねえか。それより早く行って詩乃ちゃん待ってようぜ!』
「・・・・・」
詩乃の意図はわからないものの、遊作はAiに促されるまま『Cafe Nagi』へと漕ぎ出した。
~~~~~~~~~~
『Cafe Nagi』に着いた遊作はAiと一緒に詩乃を待っていた。
詩乃の意図は計りかねるものの、待っていると言ってしまったため、詩乃の到着を待っていた。
『詩乃ちゃんの用事って何だろうな?』
「・・・さあな。本人に聞けばわかるだろう」
「だが遊作、あまり時間をとってられないぞ。今日は・・・」
「ああ、わかっている。イベントデュエルだろう?彼女の話がなんであれ、時間までには済ませるさ」
『お!来たぞ、遊作』
草薙を含めて三人で話しているうちに制服のままの詩乃が『Cafe Nagi』にやって来た。
「・・・ごめん。待たせたかしら?」
「別に、問題はない」
『おい、そこは全然待ってなぁーいって言うところじゃないのかよ』
待ったことを否定しない遊作にAiがツッコミを入れる。それを見ながら詩乃はイスに腰を下ろす。
「いらっしゃい詩乃ちゃん。これ、よかったら」
詩乃が座り一息いれたところで、草薙がコーヒーを差し出した。
「こんにちは。せっかくですけど頂けませんよ。この前だって頂いたのに」
「気にしないでくれ。せっかく遊作の友達が来てくれたんだ。俺も少しはもてなしたいからな」
「・・・ありがとうございます」
そう言って詩乃はコーヒーを受け取った。
「それで、俺に用とは何だ?」
「その・・・Playmakerってあなたのことよね?ハノイの騎士を倒したっていう」
「・・・そうだ」
詩乃は始めに自分の憶測が正しいかを尋ねた。恐らく言いづらいであろうVR内での自らの情報。
それを遊作は濁さず答えた。一瞬躊躇したものの、自分の過去を知る相手には隠しても仕方ないからと。
「やっぱりね。それで、その・・・お、お願いがあるというか」
「お願い?」
「その・・・君がデュエルしてるところ、見せてほしいんだけど・・・」
「・・・?」
「いや!別に変な意味で言ってるんじゃなくて!ハノイの騎士とどんなふうに戦ってたのかなって気になっただけで」
首を傾げる遊作に慌てて説明する詩乃。あたふたしながらも自分の意図を懸命に伝えている。
『おぉ、丁度良いじゃん!今日のイベントデュエル見てもらえばさぁ!』
「イベントデュエル?」
Aiの提案に詩乃は首を傾げた。
『そう!LINK VRAINS でやってる公式のデュエルのことだ。それに今日遊作が出るんだ』
「見たい・・・けど、私LINK VRAINSのアカウント持ってないし」
「じゃあこれを使うと良い」
アカウントが無いため直接見られないと残念そうにする詩乃に草薙はログイン用のアミュスフィアとデュエルディスクを差し出した。
「予備で用意してるものだ。アカウント登録はしていないけど、初心者モードなら面倒な登録作業なしでログインできると思う」
『ナイス草薙!用意が良い~』
遊作と詩乃の話の流れからログイン用の機材を揃えてきた草薙にAiがサムズアップする。
「良いんですか?」
「ああ。遊作のデュエルはLINK VRAINSで直接見た方が絶対に良い。初めてなら尚更ね」
「ありがとうございます」
草薙の計らいに笑みをこぼす詩乃。
「・・・じゃあ、詳しいことは草薙さんに聞いてくれ。俺は先にログインする」
「わかった・・・その、頑張ってね」
「・・・・・・・・・」
LINK VRAINSにログインしようと席を立った遊作だったが、詩乃の『頑張れ』という言葉に足を止めた。
これまで草薙以外に背中を押されたことが無かったため、詩乃の言葉を聞いた遊作は不思議な気分だった。
遊作にとって詩乃は、闘う目的を同じとする同士でも、共通の敵と闘った戦友でもない。
詩乃の言葉で闘志が沸き上がったわけでも、奮い立ったわけでもない。
ただ。
ただなんとなく。
「・・・・・・ああ」
その期待を、蔑ろにしてはいけないと。
そう思った。
~~~~~~~~~~~
「・・・よし。あとは言った通りにログインすれば、遊作のデュエルが見られるはずだ」
「ありがとうございます。草薙さん」
草薙から一通りの説明を聞き、詩乃はログインする体勢に入る。
「ふぅ~」
初ログインに対する緊張と、ようやく遊作のデュエルが見られるという期待感で一杯になりながら、詩乃はLINK VRAINSへとログインした。
「イン・トゥ・ザ・ブレインズ!」
一瞬で視界が白に染めるものの、すぐに別の景色が視界に入ってきた。
「・・・うわぁ~」
空中に浮かぶ大小無数の島々。その一つに降り立った詩乃はLINK VRAINSの景色に見入っていた。
「シノン、聞こえるか?」
「は、はい。聞こえてます、草薙さん」
「そろそろPlaymakerのデュエルが始まる時間だ。その座標の近くで行われる筈だから」
現実世界からの草薙の通信で我に帰るシノン。
見ればこの浮島にはシノン以外にも多くのプレイヤーが訪れていた。
「おお!来たぞ!」
「Playmakerだ!」
「今日も熱いデュエルを頼むぜぇ~」
すると突然歓声が上がった。Playmakerの登場にどよめく観客達だが、シノンはそのPlaymakerを見つけられないでいた。
観客の視線の先に目をやると、そこにはLINK VRAINSの空を翔る二つの影。
その内の一つは、雑誌やネット記事で見かけた姿。
この目で見たいと望んだ、LINK VRAINSの英雄。
「あれが、Playmaker」
~~~~~~~~~
『おお!あれ詩乃ちゃんじゃね?赤い服装のアバター』
「・・・・・どうだろうな」
Dボードで遊作が移動していると、浮島にいる観客の中から詩乃らしきプレイヤーをAiが見つけた。
だがPlaymakerはチラリと視線を向けるだけですぐに目の前の対戦相手に集中した。
『もぉ~愛想がないんだからぁ。せっかく応援してくれてるんだぜ?』
「・・・彼女の望みはデュエルを見ることだと言った。なら俺は全力で戦うだけだ」
『そうだけどさ~』
Aiの話を適当に流していると、相手も準備が整ったのかPlaymakerと向かい合った。
特徴的な仮面を着け、近衛兵のような服を着た男性プレイヤーは威勢良く口を開いた。
「待たせたなPlaymaker!さあ、俺とデュエルだ!」
「・・・良いだろう。受けて立つ!」
そんな相手に対し、Playmakerも真剣な眼で応対する。
「「スピードデュエル!」」
オベリスク・ガード:LP4000
VS
Playmaker:LP4000
スピードデュエルの仕様はマスターデュエルとは幾らか異なる部分がある。
最初の手札は4枚。
互いのライフは4000。
メインモンスターゾーン及び魔法・罠ゾーンはそれぞれ3つずつである。
「俺の先攻!俺はフィールド魔法【
先攻はドローができないため初手4枚から展開しなければならないが、対戦相手はそんな事は気にせずプレイしていく。
「続けて魔法カード【
【
星8/地属性/機械族/攻3000・守3000
「更に破壊された【
【
星9/地/機械族/攻3000・守3000
「どんどん行くぜぇ!手札から魔法カード【
発動された【
「古より伝わりし機械の巨人よ、旧時の魂を受け継ぐ猟犬どもの力集わせ、混沌にして絶大なる力を得るが良い!現れろ、レベル10【
【
星10/地/機械族/攻4500・守3000
『えぇ~~!デカァ~~~!!!』
光の渦から現れた、高層ビルほどにもなろうかという巨大なモンスター。
そのあまりの大きさに堪らずAiが絶叫する。
「なっ・・・で、でかい」
デュエルを見守るシノンもまた、モンスターの大きさに腰が引ける。
そしてその絶大な攻撃力にも驚いていた。
いくらデュエルモンスターズを熟知していないシノンでも、攻撃力4500という数値がどれ程高いかくらいはわかる。
「どうするの・・・Playmaker」
心配するシノンだったが、Playmakerの表情には変化が無い。
「更に俺は永続魔法【
【
攻4500→攻4800
【
攻3000→攻3300
オベリスク・ガード:LP4000
手札 0枚
EXモンスターゾーン:【
メインモンスターゾーン:【
魔法・罠ゾーン:【
VS
Playmaker:LP4000
手札 4枚
EXモンスターゾーン:
メインモンスターゾーン:
魔法・罠ゾーン:
「俺のターン!ドロー!」
『どうするんだ、Playmaker様よ?攻撃力4800と3300って結構ヤバくね?』
Aiの不安をよそに、Playmakerは自分の手札を見つめ勝つための最善手を頭の中で組み立てて行く。
「俺は【サイバース・ガジェット】を召喚!」
【サイバース・ガジェット】<攻撃表示>
星4/光/サイバース族/攻1400・守300
「この瞬間、永続魔法【
「・・・現れろ、未来を導くサーキット!」
そう言ってPlaymakerが翳した手の先、空中に青白く光るゲートが出現する。
「アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター2体。俺は【サイバース・ガジェット】と手札の【マイクロ・コーダー】をリンクマーカーにセット!」
そしてゲートに浮かぶ9つの矢印の内、上下の矢印に2体のモンスターがセットされる。
「サーキットコンバイン!現れろ、リンク2【コード・トーカー】!」
【コード・トーカー】
LINK2/闇/サイバース族/攻1300
「なっ!手札のモンスターをリンク素材にするだと!?」
「【マイクロ・コーダー】はフィールドのモンスターを【コード・トーカー】モンスターのリンク素材にする時、手札のこのカードもリンク素材にできる」
「くっ、そんなカードを!」
まさかの手札のモンスターをリンク素材にするという離れ業に対戦相手も苛立ちを見せる。
「【マイクロ・コーダー】の効果!このカードが【コード・トーカー】モンスターの素材となった場合、デッキから【サイバネット・コーデック】を手札に加える。更に【サイバース・ガジェット】の効果で【ガジェット・トークン】を特殊召喚。そして【サイバネット・コーデック】を発動!」
【ガジェット・トークン】<守備>
星2/光/サイバース族/攻・守0
【サイバネット・コーデック】
永続魔法
「手札の【リンク・インフライヤー】の効果!このカードはフィールドのリンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに手札から特殊召喚できる!」
【リンク・インフライヤー】<守備表示>
星2/風/サイバース族/攻0・守1800
「現れろ、未来を導くサーキット!俺は【リンクインフライヤー】とリンク2の【コード・トーカー】をリンクマーカーにセット!現れろ、リンク3【トランスコード・トーカー】!」
【トランスコード・トーカー】
LINK3/地/サイバース族/攻2300
「【サイバネット・コーデック】の効果発動!【コード・トーカー】モンスターがEXデッキから特殊召喚された場合、同じ属性のサイバース族1体をデッキから手札に加える。この効果は属性が違えば1ターンに何度でも発動できる。俺は地属性の【コード・ジェネレーター】を手札に加える!」
「あの永続魔法はモンスターを手札に加えるためのものか」
「【トランスコード】の効果!墓地からリンク3以下のサイバース族を自身のリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。甦れ、【コード・トーカー】」
【コード・トーカー】
LINK2/闇/サイバース族/攻1300
「俺はリンク2の【コード・トーカー】と手札の【コード・ジェネレーター】でリンク召喚!来い、リンク3【エクスコード・トーカー】!」
「くそ、そいつも手札から素材にできるのか!」
【エクスコード・トーカー】
LINK3/風/サイバース族/攻2300
「【サイバネット・コーデック】の効果!デッキから風属性【パラレルエクシード】を手札に加える。素材となった【コード・ジェネレーター】の効果!デッキから攻撃力1200以下のサイバース族【ドット・スケーパー】を墓地に送る」
「次から次へと!」
Playmakerによる展開・手札補充・墓地肥やしに苛立ちを見せ始める対戦相手。
だがPlaymakerのデュエルはこんなものではない。
「【エクスコード・トーカー】の効果発動!EXモンスターゾーンのカードの数まで相手のメインモンスターゾーンを仕様不能にする。EXモンスターゾーンには【トランスコード・トーカー】と【古代の機械混沌巨人】がいる。よってお前の2ヶ所のモンスターゾーンを仕様不能にする。≪グラスプゾーン≫!」
【エクスコード・トーカー】の両手から光弾が放たれ、着弾したモンスターゾーンが封じられる。
「俺のモンスターゾーンが!」
「墓地に送られた【ドット・スケーパー】はデュエル中に1度特殊召喚できる!」
【ドット・スケーパー】<守備表示>
星1/地/サイバース族/攻0・守2100
「俺は【ドット・スケーパー】と【ガジェット・トークン】でリンク召喚!リンク2【コード・トーカー・インヴァート】!」
【コード・トーカー・インヴァート】
LINK2/光/サイバース族/攻1300
「【サイバネット・コーデック】の効果でデッキから光属性【レディ・デバッガー】を手札に加える。更に【インヴァート】の効果で【レディ・デバッガー】を特殊召喚!」
【レディ・デバッガー】<攻撃>
星4/光/サイバース族/攻1700・守1400
「【レディ・デバッガー】の効果発動!このカードが召喚に成功した場合、デッキからレベル3以下のサイバース族1体を手札に加える。俺は【バックアップ・セクレタリー】を手札に加える」
ここまで展開しておきながら、Playmakerの手札は初手の枚数からほとんど減っていない。
「現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件はモンスター2体以上。俺は【レディ・デバッガー】とリンク3の【エクスコード・トーカー】をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」
【レディ・デバッガー】と3つに別れた【エクスコード・トーカー】が4つのリンクマーカーへとセットされていく。
「なっ、リンク3のモンスターを素材に!?まさか!」
「リンク召喚!現れろ、LINK4【ファイアウォール・ドラゴン】!」
【ファイアウォール・ドラゴン】
LINK4/光/サイバース族/攻2500
「・・・すごい」
ここまでのPlaymakerのデュエルを見ていたシノンはその言葉しか出て来なかった。
何度モンスターを呼び出したのか、何度デッキからカードを手札に加えたか。
もはやシノンにはわからなかったが、Playmakerの流れるようなデュエルにすっかり見とれていた。
「【エクスコード・トーカー】がフィールドを離れたことで≪グラスプゾーン≫の効果は切れる。【トランスコード】の効果!このカードが相互リンクしている場合、このカードとリンク先のモンスターの攻撃力は500アップし、効果の対象にはならない」
【トランスコード・トーカー】
攻2300→攻2800
【ファイアウォール・ドラゴン】
攻2500→攻3000
「・・・い、いくらモンスターを並べたところで攻撃力4800の【
「誰が倒すと言った?」
「はは・・・は?」
攻撃力で勝っていることに高笑いする対戦相手はPlaymakerの一言で思考が止まる。
「【ファイアウォール・ドラゴン】の効果発動!このカードが表側表示でいる限り1度だけ、相互リンクしているモンスターの数まで相手フィールドのカードを手札に戻す!」
「何!?」
「相互リンクしているのは【トランスコード】と【インヴァート】の2体。よってお前のモンスターを全て手札に戻す!≪エマージェンシー・エスケープ≫!」
【ファイアウォール・ドラゴン】から放たれた
「そ、そんな・・・」
攻撃力に絶対の自信があった対戦相手はモンスターが手札に戻ってしまったことに驚愕している。
そして壁となるモンスターがいなくなった今、Playmakerの攻撃を阻むものは何もない。
「バトルだ。【トランスコード・トーカー】で
「うわあぁ!」
オベリスク・ガード
LP4000→LP1200
「【ファイアウォール・ドラゴン】で攻撃!≪テンペスト・アタック≫!」
「ぐ、ぐわぁー!」
オベリスク・ガード
LP1200→LP0
≪テンペスト・アタック≫の衝撃でDボードごと吹き飛んだ対戦相手は、危険状態と判断されそのままログアウトしていった。
『いぇーい!あ、これがぁ!サイバースのぉ!ちぃかぁらぁー!』
歌舞伎のような言い回しで勝ちどきを上げるAiを無視し、Playmakerは観客達の方に視線を向ける。
誰もが歓声を上げ盛り上がる中、1人立ちすくむ少女を見つける。
先ほどAiが詩乃ではないかと言った赤い服装のプレイヤーである。
「・・・・・・・」
そのプレイヤーを一瞥しPlaymakerはログアウトした。
~~~~~~~~~~
「・・・あの状況を、たった1ターンでひっくり返すなんて」
Playmakerのデュエルを見届けたシノンはその姿に驚嘆していた。
巨大なモンスターにも動じず、毅然として立ち向かい、そして勝利したPlaymaker。
あれが、自分の過去と戦い続けてきた人間の姿なのだと、シノンは理解した。
その強さを手に入れるのに、どれ程の苦難、どれ程の試練があったことか。
心に傷を持つシノンだからこそ、その道程がいかに険しいものであったのかがわかる。
それ故に、Playmaker/遊作のあの『言葉』の意味が、重さがよく分かる。
「・・・繋がり、か」
1人ではここまで来られなかった、1人では答えを得られなかった。
繋がりがあったからこそ、遊作はあの強さを手にいれることができた。
ならば自分はどうするべきか。
これまでのように、他人を寄せ付けず自分の殻に籠ったままでは、変われない。
自分の力だけではきっと、遊作のように強くはなれない。
「・・・ありがとう(ボソッ)」
誰に言うでもなく、シノンはそっと呟きLINK VRAINSを後にした。
~次回予告~
目の当たりにしたPlaymakerの実力。
繋がりこそが前へ進む力になると、彼の雄姿が物語る。
さればこそ、よりその強さを知りたいと思うのは、心を持つ人間の性。
その探求心は少女を新たな世界へと誘っていく。
次回SAO×VRAINS(仮題)
「Please tell me 」
イン・トゥ・ザ・ブレインズ!