アナハイム・エレクトロニクス社
フォン・ブラウン工場
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
諸君はカリフォルニア州アナハイム市に本社を置くアナハイム・エレクトロニクスを知っているだろうか?
アナハイム・エレクトロニクスは、月を主な拠点として活動する巨大軍産複合企業である。「スプーンから宇宙戦艦まで」をキャッチフレーズとしており、一般家庭で使う家電製品から地球連邦軍で使う宇宙艦艇までありとあらゆるものを取り扱っており、その規模は宇宙世紀の世界でアナハイムと関わりの無い企業は無いと言っても良いほどだ。
今日はそのアナハイムから、連邦軍の最新鋭艦であるマゼラン級戦艦の進宙式に招待されたので、敵情視察を兼ねて月まで来ている。
決して、ハマーン様の事件以降、アイナが事務的な口調でしか口を利いてくれないので家に居づらかったからとかではない。
さて連邦が本格的な宇宙艦隊の増強を進めているが、実は我がジオンでも既にムサイ級(後期型仕様)の設計と試作は完了している。
だが、現時点で本格的な量産に入ると連邦を刺激してしまうため、今はムサイ級に容易に改造できるように設計した輸送船アルカナ級を量産し、新興企業のGNCで運用を始めている。
GNC(ギレン・ネットワーク・カンパニー)は安い、早い、うまい…ではなく簡単な手続きを売りに立ち上げた私設物流企業である。
本来軽巡洋艦として開発されたアルカナ級の足の速さと、モビルワーカーの運用による大幅な作業効率の改善、更に職権乱用による手続きの簡素化が売りとなり、他のサイドからも問い合わせがくる程の人気ぶりとなっていた。
それはさておき、今日の主役は将来連邦の主力となるマゼラン級戦艦である。まだ連邦ではメガ粒子砲が完成していないため主砲はレールガンとなっており、それによって主砲の形状が俺の知っているマゼラン級戦艦と多少違うものの、それ以外はほぼ同じ設計となっていた。
連邦の大艦巨砲主義に大きな変化はないようなので俺が内心ほっとしていると、アナハイム社のビスト会長が話しかけてきた。
「自分で招待しておいて何ですが、まさかギレン閣下にお越し頂けるとは思いませんでした。どうですかな?このマゼラン級戦艦は?」
「素晴らしい艦だな。宇宙海賊に対抗する為に開発されたと聞いたが、どんな海賊がこの船に対抗できるというのやら。私としてはあの強大な砲口が我が国に向くことがないよう祈るばかりだ。」
まだ計画段階のようだが、将来的にはマゼラン級戦艦だけで50隻近く、サラミス級巡洋艦やレパント級ミサイルフリゲートを含めれば400隻を超す艦艇を建造する予定だという。
そしてそれらを、各サイドへ増税したコロニー税から造るというのだから、サイド3のみならず、スペースノイド全体から抗議の声があがるのもやむ無しというものだろう。
「ハハハ。そのような事にならぬよう、今後はジオンとも仲良くしていきたいものですな。」
く、人事だと思って余裕ぶりやがって……。ん?そういえば確かこいつは……。
「私もアナハイム社とは仲良くやっていきたいと思っている。そういえば、ビスト会長のフルネームはサイアム・ビストでよろしかったか?」
「? はい。そうですが…それが何か?」
間違いない。こいつが「箱」を持っているサイアム・ビストだ。
「クク……。やはりそうでしたか……。『箱』の力を以ってすればアナハイム社は今後も安泰。そういう事ですかな?」
「!!? な……。は、箱とは何の事でしょう?」
「ほう、このように人目のある所で『箱』について語っても良いのかね? 『羊飼い』殿。」
「!!!! ……。いったい何処まで知って……。いえ、よろしければ場所を改めてお話しさせて頂ければと思います」
「そうですな。では場所を移すとしましょう。」
フフフ……。混乱しているな。自分以外に知る者のいないハズの秘密を、もっとも知られてはならない人物に知られていたのだからそれも当然というものだが。
「ここならば大丈夫です。」
応接室らしき部屋へ場所を移すと、早速「箱」について切り出してきた。
「単刀直入にお伺い致します。ギレン閣下は何処まで『箱』についてお知りになっているのですか?」
「ウム。私が知っているのは『箱』を貴方が握っていること。『箱』の正体。そして貴方が羊飼いとして『箱』を入手した経緯位のものだ。」
「いったい何処でそれを……?」
フム。「箱」をネタに脅して従える事も可能だろうが、ユニコーンでみた限りサイアムは味方にできる可能性がある。ここは一つ賭けに出るとするか。
「サイアム会長。貴方は『夢』を見たことはおありかな?」
「? 夢……。ですか?」
「そうだ。一つ目の巨人が宇宙を飛び回り、我等の母なる大地であるコロニーが地上に向け落下していく夢だ。」
「!! ……。まさか……。」
「そう、私は夢の中で見たのだ。軌道上の首相官邸ラプラスが砕けちり、貴方が『箱』を入手する姿を。そして我らがコロニーの大地が地上へ落下して砕け散る瞬間を。
初めは可笑しな夢を見たものだと思った位だったが、繰り返し同じ夢を見る事で次第に夢の内容について興味を持つようになり調べ始めた。その中で貴方の存在を知り、私は単なる夢を見ていたのではなく、過去や未来を覗き見ているのではないかと思い至るようになった。
だがそれは、これから先コロニーが地上に落ちるような大戦争が起きる可能性があるという事だ。」
「何と……。まさか…、あれが未来の姿だとお考えなのですか?!」
「ラプラス事件が真実であった以上、それ以外の部分も真実として考えるべきであろう。だが、過去と違い未来はまだ変える事が出来る。
少なくとも今の私にはコロニーを地球に落とすような戦いをする気はない。しかし、我がジオンが独力で連邦軍に勝とうとするならコロニーを落とす位の事をせねば勝ち目がないのもまた事実だ。故に私に貴方の力を貸してほしい。サイアム・ビスト。」
「私の力……ですか?」
「そうだ。我らジオンに巨大複合企業アナハイムと連邦すら恐れる『箱』の力が加われば、コロニー落としなどせずとも連邦と渡り合う事が可能になるかもしれん。」
「……。我らアナハイムは連邦と深く関わり過ぎております。閣下の望まれるような全面的な協力をさせて頂くのは困難かと思いますが……。」
「無論当面は陰ながらの支援でかまわない。わがジオンの製品をアナハイムでも積極的に導入する等のな。」
「その程度の事なら私の裁量でも可能ですが……。」
「それから先はまた互いに誠意を示し、信頼関係を築いてから改めて相談できたらと思う。」
「……。いいでしょう。ではまずはそのような形で。」
なんとかサイアム・ビストとのファーストコンタクトは無事に終了した。
これでアナハイムがジオン規格の製品を多く使うようになれば、今後アナハイムと協力するのも容易になるだろう。
それでは最後にひとつ取引を提案してからボロが出る前に帰る事にしよう……。
一一一一一一一一一一一一
side サイアム・ビスト
宇宙世紀元年、貧困のため報酬目当てでテロに加わった私は、仲間とともに作業艇で逃亡する最中、艇内に仕掛けられていた時限爆弾により船を爆破されてしまう。
たまたま外で作業中だった私は、その衝撃で吹き飛ばされ宇宙を漂う中であり得るはずがない幻を見た。
それは、一つ目の巨人の群れが宇宙を飛び回り、空に浮かぶコロニーが地球に向けて落下していく地獄の光景だった。
幻が去って我に帰った私は、爆破されたラプラスの残骸の中に漂う不思議な箱形の物体を発見して民間船に救助され今に至る。
その後「箱」の話をした事はあっても、それ以外の事を語った事は一度たりともなく、故にその事を知る者は誰もいないと思っていた。今日までは。
「まさか私の過去を知る者が現れ、それがかのギレン・ザビだとは……。だが……。」
だが、それ以上に一つ目の巨人とともに地球に向かって落下していくコロニーの姿が幻ではなく未来だというのなら、「箱」はその未来を防ぐ為に私の所に来たのではないだろうか?
そして同じ幻を見たギレン・ザビは、その未来を変える為のカギとなる存在だとでもいうのか……?
「わからんな……。まあとりあえずジオンと取引を増やす位なら問題なかろう。問題は……。」
最後にギレンが提案してきた技術情報の裏取引についてだ。
現在連邦軍が運用している61式戦車とミデア、それに開発中の次世代戦闘機セイバーフィッシュの設計データと引き換えに、チベ級と次世代兵器のメガ粒子砲の設計データをジオンが提供するか…。
チベ級はともかく、次世代兵器のメガ粒子砲の設計データは喉から手が出るほど欲しい。
それさえあればマゼラン級の次に予定されているサラミス級の建造についても、わが社で独占する事が可能になるかもしれん。
ここは一つ提案にのってみるとするか……。
エピローグを読みたいのは次の中どれ?
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イグルー
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ジオニックフロント
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MS08小隊
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戦慄のブルー
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ミッシングリンク
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ガンダム戦記
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ポケットの中の戦争
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0083
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Zガンダム
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ユニコーン
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サンダーボルト
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ルーデル閣下