やあ…諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。
時が経つのは早いもので、いつの間にか冬が終わり新しい年を迎えていた。
年末はア・バオア・クーがアステロイドベルトから地球に向けて出発した他は大きなイベントもなく、平穏な時間が流れていた。
ジオンの絆については、GNC主宰の全国大会の影響もあってか順調にプレイヤー数を増やしており、もう少ししたらランキング上位の人材を親衛隊にスカウトしようかと考えている。
……というかこのランキング1位のハンス・ウルリッヒ・ルーデルとか言うやつガンダムにいたっけ?
さて今日はYMS-03 ヴァッフで得られたデータをもとに開発していたYMS-04 ザクが完成したとの報告があり、ジオ・マッド社を訪れていた。
「あれがザクか?ミノフスキー博士?」
「はい。ギレン閣下。YMS-04 ザクはヴァッフに比べて機動性や運動性の面で多少劣っている部分がありますが、耐久性や整備性、運用性といった戦場で必要とされる要素を高い水準で備えております。
また、閣下から要望のあった脱出装置についても、脱出装置を兼ねた球形コックピットを採用する事で実現しており、高い生存性の獲得にも成功しています。」
「ふむ。それ以外にも私の出した要望を叶えてくれたようだな。」
見上げた機体には、本来機体内に無理やり収められていたはずの動力パイプが姿を覗かせていた。
「はい。閣下が言われたとおり動力パイプを無理に機体に納めると、廃熱問題により稼働時間に影響が出る事がわかりました。
そのため、必要に応じて動力パイプを機体の外に出すよう再設計し、あわせて背部のランドセルに火器類の保持や使用も可能なサブアームを装備することで利便性も向上しています。」
「これならば基地の警備や補給作業に使うには十分な性能だろう。至急量産に向けたテストに入れ。」
「承りました。」
俺がザクに組み込みたかったあるシステムを組み込めておらず、ジェネレーターの出力がまだ不足しているといった問題もあるので完璧とは言えないが、数を揃えるには少しでも早く量産に入った方が良いからな。
「今後はこのザクをベースに改良し、一般兵向けの一つの機種で様々な局面に対応させる事が出来る汎用機と、エースパイロット向けのピーキーな性能ながら圧倒的な機動力をもつ宇宙専用機の二種類を開発せよ。」
「このザクでもまだ閣下のご期待に添えませんか?」
「そんな事はない。それならそもそも正式に量産を命じたりなどせん。
だが強大な連邦軍と事を構える可能性を考えればより高い性能を求めるのは当然の事だろう?
それにまだこの機体にはモビルスーツ用のOSを搭載できていないしな。」
「それは…そうかも知れませんが……。」
「汎用機については旧ジオニック社のメンバーに、高機動機について旧ツィマッドのメンバーにそれぞれ開発させるのが良いかもしれん。
そう言えば新しい戦闘車両の開発についてはどうなっている?」
「……はい。ご案内します。」
ミノフスキー博士の後ろについて歩くと、目の前に何処かで見たような車両が姿を現した。
「こちらがMBT-01 マゼラタンクになります。」
アナハイムとの裏取引で入手した61式戦車の設計図をベースに開発されたのがMBT-01 マゼラタンクである。
「ベースとなった61式戦車との大きな違いとして、155ミリ滑腔砲を1門にする代わりに高射機関砲を砲塔の左右に一門ずつ搭載しています。」
「ウム。例の件についてはどうなっている?」
「はい。外観は61式戦車と大分違いますが、中の部品は80%以上61式戦車と共通となっております。」
よし。これで破壊した連邦の61式戦車から部品取りする事で、現地で部品調達が可能となり補給線に優しい兵器になる。
「この車体についてはこれ以上性能向上を図る必要はない。次は、セイバーフィッシュの設計をベースにした汎用戦闘機を開発せよ。」
「……はい。そう言えばMS用のOSは我々の方で開発を進めてよろしかったですか?」
「いや、それについては私の方で手をうっておく。なので博士は機体の開発に集中してくれ。」
「了解しました。ではそのように。」
そういうと私はメイ嬢にOS開発を頼むためその場を立ち去るのであった。
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side メイ・カーウィン
「えーっ。今度はモビルスーツ用OSを開発して欲しいーっ!?」
「ウム。メイに作って貰ったモビルスーツ操縦シミュレーターは素晴らしい出来ばえだったのでOSについても是非とも頼みたくてな。」
プログラマーとして自分の仕事を誉められるのは嬉しかったけど、操縦シミュレーターを作る時の苦労を思い出すと気軽には引き受けられない。
「やっと操縦シミュレーターのプログラム作るのが終わったばかりだよ?ちょっとは休ませてよー。」
「それは…そうなんだが……。」
思わず私が抗議すると、ギレンさんは困った顔で眉をひそめてしまう。
あ、眉はなかった。
「よし。取引しようメイ。」
「取引?」
「そうだ。モビルスーツ用OSがある程度形になったら、OSのテストもかねて地球に連れていってやろう。」
「!?やる!」
思わず引き受けてしまう。それくらい私達スペースコロニーの住人にとって地球に行くことは憧れのひとつなのだ。
まあ操縦シミュレーターのデータを使えば一から作るよりは簡単に作る事ができる…かな?
まだ見ぬ地球への期待に胸を高鳴らせつつ、OSの開発作業にとりかかるのでした……。
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