サイド3宙域 ムサイ級巡洋艦「ニャメル」
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
今日はモビルスーツ運用のために設立した教導機動大隊の視察に来ている。
教導大隊はジオンの絆の上位ランカーとジオン軍から俺がスカウトしてきた人材で構成されており、将来的には俺の手足となって働いて貰う予定だ。
今日は視察という事もあり、サイド3近郊の暗礁宙域でザクの運用データを収集に来ていた。
「ギレン閣下。準備はよろしいですかい?」
「ああ、シーマ大尉か。世話をかけるな。」
「いえ、とんでもない。アタシらマハルのごろつきを親衛隊に呼んで頂いたご恩返しが出来るなら、足くらいいくらでもさせて貰います。」
「ふん。貴様の事は貴様以上に知っているつもりだが?私が求めているのは腕と度胸のある精兵であり、貴様らはそれに応える力を持っている。それを誇るが良い。」
パイロットの他にも指揮官として高い能力をもち、状態によっては外交までこなせるであろうシーマ様を、紫婆の所で遊ばせておく余裕などジオンにはないのだ。
「へ?…。そ、それは……。ありがとうございます。」
作品によっては裏切り者扱いされるシーマ艦隊だが、基本的に上層部の命令に従っていただけであり、一年戦争終了後も部下のために必死に頑張る姿は正にガンダム0083の正ヒロインと言える。
え?ニナ?誰ですかそのビッチは?
「ウム。それではテストを開始してくれ。」
「はい。それでは模擬戦を始めます。テスト機、出撃しな!」
「エリック・マンスフィールド、出撃する。」
「エーリヒ・ハルトマン。ザク出るぞ!」
ムサイのカタパルトが起動し、艦の前方に2機のザクが射出されていく。
やはり後方のハッチからそのまま出撃する形だった設計を変更させて、艦の左右にカタパルトを備えたデッキを増設したのは正解だったな。
発艦した2機のザクはムサイからある程度の距離をとると、互いにスラスターを発光させ模擬戦を開始した。
「ほう。ザクはヴァッフに比べて機動性や運動性が低下していると聞いていたが、よく動くな。」
「はい。マンスフィールド機には木星エンジンの試作型を、ハルトマン機にはモビルスーツ用OSのβ版を搭載しておりますので。」
「木星エンジンだと!?強度は大丈夫なのか?」
それって確かヅダを空中分解させたやつだよね??
「はい。初期は問題もあったらしいですが、元ジオニックの技術者の協力もあり、今ではとくに問題ないと聞いとりますが……?」
「ふむ…、まあそれなら良いが。だが今回はあくまでも模擬戦闘である。両機にあまり無理をしないよう伝えろ。」
「畏まりました。」
大丈夫だとは思うが公的飛行試験中に空中分解でもされたらたまらんからな……。
一一一一一一一一一一一一
side エリック・マンスフィールド
ハルトマンの機体から放たれた試作型ザク・バズーカの280mm砲弾を、自機が構えたザク・マシンガンの弾幕で迎撃する。
試作型ザク・マシンガンからばら撒かれた無数の120mm弾の一つがザク・バズーカの砲弾をとらえ、宇宙にCGの火の玉が出現し俺の視界を奪った。
爆炎の向こうで何かが光るのを見て咄嗟に試作型の大型シールドを突きだすと、爆炎を突き抜けて現れた105mmザク・マシンガンの弾丸が突き刺さった。
「この私が先手を許すとはっ……。!」
相手に先手を許した事に軽く舌打ちしすると、此方も負けずに大型シールドの影からザク・マシンガンを相手に向けて連射する。
ザク・バズーカとザク・マシンガンを両手に持ち手が塞がっているハルトマン機であったが、機体後方から伸びてきたサブアームがシールドを掲げて此方の射線を遮った。
「くそっ……。」
相手の射撃武装は105mmザク・マシンガンとザク・バズーカの2つあるのに対して此方の射撃武装は120mmザク・マシンガン1丁のみ。
しかし、こちらの大型シールドには多くの予備弾倉を搭載しており、シールドの耐久性も優れているため継戦能力では此方が上。
「さて、どうしたものか……。っ!!」
長期戦を狙って浮遊する隕石に身を隠そうとする俺に対し、相手はそうさせまいとザク・マシンガンを乱射してくる。
しかし、先ほどは爆炎で相手が見えてない状況で射撃されて焦ってしまったが、銃口がよく見えている状況であれば口径が小さく威力の低い105mmザク・マシンガンはそこまでの脅威ではない。
相手の射撃を躱しつつ、このまま相手の弾切れを狙うか…そう思った時、ハルトマンは勝負に出てきた。
「何だと…!?」
弾切れになったザク・マシンガンを此方に向けて投げ捨てたハルトマン機の右手には、巨大な棍棒のようなものが握られていた。
「シュツルム・ファウストか!!」
危険を感じてGが掛かるのも構わず、木星エンジンを吹かして機体を後方へ緊急回避させる。すると俺がいた場所に巨大なCGの火の玉が出現していた。
危なかった……。そう思う暇もなく、今度は爆炎を突き破って右手にヒートホークを手にしたザクが現れる。
「こいつ、あの爆発を突っ切ってきただと!?」
だが、咄嗟にかざした左手の大型シールドにヒートホークが食い込んで止まると、此方もその瞬間を狙って至近距離からのザク・マシンガンによる射撃で倒そうと機体を動かす。
しかし左手に持っていたはずのザク・バズーカをいつの間にか手放していたハルトマン機の左手に自機の右手を押さえられてしまい、射撃することはかなわなかった。
「ちぃっ……。一度距離をとらねば……。!??…なんだと!?」
同じ機体であるが故にパワーが拮抗し、それに焦った俺が距離をとろうと動いた瞬間、ハルトマン機のサブアームがいつの間にか構えていたバズーカから砲弾が放たれ俺の機体を直撃し、模擬弾の命中を認識したコンピューターが機体の動きを強制停止させたのであった…。
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