新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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15話~19話を更新しました。

15話~18話はあまり大きな変化はありませんが、挿し絵の追加や細々とした部分を修正しておりますので読んで頂ければ嬉しいです。

また、前作同様誤字脱字や文脈の修正、ネタの提供や感想等を頂けると嬉しいです。

カド=フックベルグさん、CBさん、あんころ(餅)さん、誤字等の修正ありがとうございます


19話 UC0073年6月 師団編成 ◼️

サイド5 テキサスコロニー

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

 

今日は地上での部隊運用の研究の為、テキサスコロニーへと来ている。

 

宇宙での部隊運用については、教導大隊の頑張りによってだいぶ形になってきたものの、地上での部隊運用については研究が始まったばかりだった。

 

国力に劣るジオンは、モビルスーツの優位性を活かした短期決戦を挑むべきであり、長期戦が予想される地上での戦いは本来避けるべきものである。

 

だが、原作では「コロニー落とし」という暴挙をおこなってまで短期決戦を目指したものの、それでもなお早期講和は実現しなかった。

 

そうである以上、地上での戦いに備えた研究は必要不可欠なのである。

 

占領するべき場所が宇宙港や管制室に限られる宇宙での戦いと違い、広大な地上をモビルスーツだけで制圧する事は不可能である。

 

仮に敵の地上部隊をモビルスーツで撃破したとしても、残党に拠点へ立て籠られてしまえば、モビルスーツでそれを倒すことはできないからである。

 

……まあ建物ごと粉砕する事はできるかもしれないが。

 

それにモビルスーツがいくら強力だといっても数には限りがあり、また、常時稼動させておく訳にもいかない以上、地上の拠点を制圧するには歩兵の力が必要不可欠である。

 

そのためジオン軍では、有視界戦闘下で高い機動力と圧倒的な戦闘力をもつモビルスーツが前衛となって敵の戦線を突破し、続く歩兵を中核とした部隊が残敵を掃討して占領する作戦を検討していた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

そしてこの作戦を遂行する為に、ジオンでは大きく3つの部隊編成が考えられていた。

 

まずひとつ目は、敵の主力を撃破して戦線に穴をあける事を任務とするMS連隊である。

 

 

【挿絵表示】

 

 

MS連隊は6個MS小隊と支援中隊で構成されており、モビルスーツの機動力と戦闘力により電撃戦の主力となる部隊である。

 

ふたつ目はMS連隊の開けた穴から占領地の拡大を行ったり、前線と後方をつなぐ連絡線の維持を任務とする機動歩兵連隊である。

 

 

【挿絵表示】

 

 

機動歩兵連隊は1個MS小隊と4個自動車化歩兵大隊で構成されており、電撃戦ではMS連隊の支援が主な任務となるであろう。

 

みっつ目は前線の維持や、残敵の掃討を主な任務とする歩兵師団である。

 

 

【挿絵表示】

 

 

歩兵師団は1個MS小隊と1個戦車大隊、8個歩兵大隊で構成されており、今回行った模擬演習では、歩兵とMS、戦車の連携により連邦軍を模した機甲師団が相手でも互角の戦いができていた。

 

これら3つの編成を複合的に運用して、敵主力の包囲殲滅又は各個撃破していくのが我がジオン軍の基本戦術であり、連邦のモビルスーツが完成するまでにどれだけ戦果を得られるかがひとつの分かれ目となるだろう。

 

さて、それじゃあせっかくテキサスコロニーまで来た事だし、アルテイシアのところへ顔を出してから帰るとするかな。

 

そう思ってテアボロの屋敷へと向かうと、屋敷の前で後ろから聞こえる蹄の音に気づき、振り返ってみれば馬上から金髪の少女が飛びついてきた。

 

「ギレンおじ様!」

 

飛びついてきた少女を抱き留めると、そこには病院のベンチで俯いていた少女の面影はなく、一人の美しい女性へと姿を変えつつあるアルテイシアの姿があった。

 

「また大きくなったな。見違えたぞ、セイラ。」

 

「ありがとう。でもおじ様のお顔はあんまり変わらないわね。私はそのお顔も渋くて好きだけど、たまには笑顔になっても良いと思うわ。」

 

「以前やってみたのだが、娘のメイから悪人が悪巧みをしているようにしか見えないと言われてな。」

 

「まあ……。でも、以前おじ様が笑ったお顔を思い出すとメイさんの言う通りかもしれないわね。」

 

………酷い言われようである。まあ、笑顔の練習をしたときに自分でもそう思ったので反論できないが。

 

そんな風にアルテイシアと話していると、先程同様軽快な蹄の音が聞こえてきた。

 

「男性に抱きつくなどはしたないぞ、セイラ。離れなさい。」

 

声の方に顔を向けてみれば、アルテイシア同様に大きく成長したキャスバルが、馬に跨がり此方を見下ろしていた。

 

子供の頃は美少年、大きくなっても美形とか、ダイクン一家とザビ家とのビジュアル差を神に抗議したい気分である。

 

そう思いながら、キャスバルと親睦を深めようと軽く挨拶してみたものの、

 

「こんなコロニーで軍の演習などして、いったい何を企んでいるのですか?ギレン・ザビ閣下?」

 

という塩対応である。刺のある言い方からやはりザビ家の事は嫌っているようだった。

 

くそ……。アルテイシアとはそれなりに仲良くなれた気がしていただけに、ここまで嫌われているとはちょっぴりショックだ。

 

まあ原作程に嫌われていない事を祈るとしよう……。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side エドワウ・マス

 

一緒に遠乗りに出かけていたアルテイシアが、屋敷の前に立つオールバックの男を見つけて駆け寄ると、自ら馬上からその男の胸へ向け飛び込んで行った。

 

男の名はギレン・ザビ。ジンバ・ラルによれば、父を殺し、ジオンを私物化したザビ家の長男である。

 

その話を鵜呑みにしている訳ではないが、ザビ家のせいで私達一家がサイド3から逃げ出さねばならなくなったのは紛れもない事実であり、その事を考えるといくら色々な支援をしてくれているとはいえ、その男を好きになる事はできなかった。

 

だが母と妹の意見は違うようで、特に母と一緒に暮らすという願いを叶えてもらったアルテイシアは、この男に対して好意さえ抱いているようだった。

 

その事実が気に入らず、ギレンと楽しそうに話すアルテイシアに対して声をかけると、仏頂面の男が此方に声をかけてきた。

 

「久しいな、キャスバル。いや、今はエドワウだったか?」

 

そう話す男の目は鋭く、まるで私の心を見透かそうとしているようだった。

 

その視線を警戒した私が話題を変えようと、先程遠乗りをしている時に見かけた軍の演習について聞いた。

 

「無論連邦との戦いに備えた演習だよ。」

 

すると、なんでもない事のようにそう答えてきた。

 

……この男はまさか30倍以上の国力をもつ連邦を相手に戦争をしようというのか?思わず私がそれについて問いただすと、

 

「我らザビ家がダイクンの跡を継いだ以上、連邦との戦いは避けられないものだからな」

 

そんな返答があった。

 

それを聞いた私が、父の跡を継ぐべきは私だ。何故貴様らが…。私がそんな風に思っていると、

 

「父の跡を継いだのが自分でない事が不満か?」

 

と、まるで私の心を読んだかのような事を言ってくる。

 

返答に窮した私が沈黙していると、

 

「今のムンゾに必要なのは力強い指導者だ。

そしてザビ家がダイクンの跡を継いだのは、ムンゾでダイクンに次ぐ実力を有していたのが我らザビ家だったからなのだ。キャスバル。

それが不服だと言うのなら強くなれ。」

 

オールバックの仏頂面の男が、唯でさえ鋭かった眼光を更に鋭くさせながら更に言葉を繋げる。

 

「仮に今のお前がダイクンの後継を名乗ったところで、ムンゾの民の多くは何の実績もない貴様を支持しようとは思わないだろう。

魔法帝…ではなく、ムンゾの指導者に求められるのはただ一つ…最高の指導者と言わしめる実績なのだ。」

 

そう言うと男は、アルテイシアと共に屋敷の中へと姿を消していった。

 

実績……。確かにダイクンの子供であるという事以外に誇れるものがない今の私に付いてくる者など、そう多くないのかもしれない。だが一体どうすれば実績を積めるのだろうか……。

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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