新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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24話 UC0075年4月 ジャブローのもぐら

西欧 ルクセンブルク

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

 

ハワイでバカンス中にメイが、「じゃあヨーロッパにも行ってみたい!」とわがままを言ってくれたので、今日は職権を乱用してヨーロッパ視察に来ている。

 

しかし、このヨーロッパ視察はサスロに色々文句を言われたものの、無理を言って来た甲斐があった。ハワイからインド経由でヨーロッパに来る間に感じたのだが、やはり地球は広すぎる。

 

コロニー落としを無制限にやって無人の荒野にでもしない限り、とてもではないがジオン単独で全てを制圧する事などできないだろう。

 

連邦軍を撃破できるかさえ怪しいのに、地球全土を占領して管理するなど、どう考えても我等の手に余る。

 

やはりここは他のサイドを取り込んで、団結していく事を考えねばならないな。

 

幸いプチモビやモビルワーカーなどの販売やGNCによる物流網の活発化もあり、他のサイドとの交流は以前よりも大幅に増えている。

 

今後はサイド間の経済交流や交換留学などを活発化させてサイド間の連帯を深めるとともに、連邦の軍拡に伴うコロニーの負担増をネタに、他のサイドの反連邦組織を煽って反連邦勢力の拡大に努めるとしよう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

うん?どうした?ララァ。何か用事か?

 

誰かがこっちに向かっているだと?

 

そうか。そういえばそろそろヨーロッパ視察にくる名目に使ったゴップ大将との面会の時間だったな。

 

お前に会えただけでも無理をして地上に来た甲斐があったというものだ。

 

さて、それでは地球連邦をせいぜい褒め称えて、無能を演じる事にしよう。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side デン・バザーク

 

「ゴップ閣下、失礼致します。」

 

「うむ、ご苦労バザーク少佐。頼んでおいた件かね?」

 

「はい。ジオン軍の現状について報告に伺いました。」

 

「うむ。先日ギレン・ザビと面会したのだが、連中の状況がよくわからなくてな。報告を聞かせて貰おうか。」

 

「はっ。」

 

ゴップ閣下に短く返事をすると、私は調査結果をスクリーンに表示していく。

 

「まずはジオン軍が公式に主力と位置付けている艦艇からになります。」

 

スクリーンに赤と緑二種類の艦艇が表示される。

 

「赤い方がチベ級航空戦艦、緑の方がパプア級ミサイル巡洋艦で、ともに69年頃に竣工した艦艇になります。」

 

「うむ。だがどちらも我が軍のマゼラン級の敵ではないと聞いているが?」

 

「はい。チベ級については72年頃に近代化改修が施されて主砲がメガ粒子砲に変更されましたが、それでも門数が少ない為さほどの脅威ではありません。むしろ脅威は別にあります。」

 

そしてまたスクリーンに赤い二種類の艦艇が表示される。

 

「これは?同じような色合いだが、ずいぶんと形が違うな。」

 

「はい。左側の赤い方はグワジン級と呼ばれている連中の次期主力戦艦になります。

300m級の船体と大型のメガ粒子砲を搭載しており、その火力はマゼランを上回るものと推測されます。」

 

「マゼラン級を超える火力とは大したものだな……。だが連中の国力では大した数を建造できないのではないか?

我が軍でさえ、マゼラン級50隻を建造する為にコロニー税を増税してあれだけ揉めたのだ。」

 

「はい。情報部の分析でも、ジオンの国力では建造できても数隻程度で、10隻を超えることはないだろうと判断しています。

むしろ脅威と考えられるのは、右側のグワダン級とよばれている惑星間航行船になります。」

 

「惑星間航行船とは大きくでたな。」

 

「無補給でジオン本国とアステロイドベルトの往復を可能にした艦で、全長700mを超える巨艦です。」

 

「全長700mだと?!そんな艦の存在など聞いた事がないぞ!」

 

「竣工してすぐに木星航路に投入されたため、ほとんど情報が出てきませんでした。

この写真もたまたま出港に居合わせた船の乗組員が撮ったものです。」

 

「うむむ…マゼラン級で対抗可能なのか?」

 

「相手のデータが少なすぎるため正確な事は言えませんが、この巨体にふさわしい火力を備えているとすると、マゼラン級でも相手が難しいかも知れません。

この情報を知った宇宙艦隊司令部からは、対抗可能な新型艦の開発又は艦隊の増強が提言されています。」

 

「そう簡単にそれが出来れば苦労はせんよ。ジオン側に問い合わせはしたのか?」

 

「は…それが連邦軍が海賊に備えているのを見て感銘を受け、我々も惑星間航行船に必要な自衛火器を搭載させた…と。」

 

「く…戯言を……。当面はその艦の情報収集に努めろ。新型艦の開発、艦隊の増強については必要に応じて議会と調整していく。他に懸念はあるか?」

 

次にジオン軍が量産しつつある戦闘車輌と宇宙戦闘機をスクリーンに出す。

 

「車輌の方はコロニー内の治安維持用という名目で連中が開発したマゼラタンクという戦車になります。ただ、こちらについては次期主力MBTであるガンタンクの敵ではないため問題ありません。」

 

「ウム。あれは値は張るが、陸上戦艦にすら打撃を与えうる火力を持っているからな。」

 

「問題は此方の宇宙戦闘機セイバードップです。セイバーフィッシュを真似て開発した機体のようですが、宇宙戦闘機としての性能はかなりのものと思われます。」

 

「だが宇宙戦闘機などレーダー誘導ミサイルの餌食となり大して役には立つまい。故に我が軍は宇宙空母の数を減らして、戦艦や巡洋艦を増やす大艦巨砲主義に舵を切ったのだから。」

 

「おっしゃるとおりです。ですが、それでも暗礁宙域などの狭い空間であれば宇宙戦闘機は大きな脅威となりえます。」

 

「ふむ…それもそうか。多少は宇宙空母を増強する事も視野にいれるべきかもしれんな……。」

 

「後…これは未確認情報なのですが…ジオンはモビルスーツを兵器として転用しようとしているとの噂があります。」

 

「モビルスーツ?あの作業機械のか?」

 

「はい。暗礁宙域でモビルスーツに武装を施して戦闘をさせていたという未確認情報があります。」

 

「バカな。先日コロニーの外壁を修理している所を見たが、あんな作業機械が艦隊戦の役に立つハズがないではないか。

宇宙戦闘機以上にレーダー誘導ミサイルの的になるのが目に見えている。」

 

「それはそうなのですが……。」

 

「まあ良い。当面はマゼラン級の脅威となりうる惑星間航行船とやらの情報収集に努めてくれ。」

 

「はっ。」

 

私としてはジオンがあれだけ早いスピードでモビルスーツを普及させているのは怪しい気がするのだが、所詮勘でしかないしな。

 

さて、それでは惑星間航行船について情報を集めるとするか。

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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