新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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25話 UC0076年2月 ララァ・スン

サイド3 ジオ・マッド社研究所

 

やあ…諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。

 

遂に1年戦争の開始まで3年を切った。各サイドでスペースノイドの独立を求める声が日々高まっているものの、連邦がそれに応じる気配は全くない。

 

むしろ治安維持を名目にパトロール艦を頻繁に航行させて示威行為に繰り出す有り様である。

 

我がジオンでもそれに対抗するために軍備の拡大を決定。

 

UC0075年5月には量産に向けた最終テストをクリアしたYMS-06が、MS-06 ザクⅡとして制式採用され、MS-05から生産ラインを移行して本格的な量産態勢に入った。

 

 

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当初機体に搭載するモビルスーツ用OSデータをブラックボックス化するのに手間取っていたのだが、メイが頑張ってくれたおかげでなんとか完成に漕ぎ着けて量産を開始していた。

 

また、同年7月には今まで旅客船アルカナ級の建造に使っていた生産ラインを転用してムサイ級の建造が開始され、急速な軍備の拡大が今まさに始まろうとしていた。

 

 

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そんな中で今日は、ザクⅡの次に開発する機体について協議するため、ララァを連れてジオ・マッド社を訪れていた。

 

「調子はどうだ?ミノフスキー博士。体調を崩していたと聞いたが。」

 

「ご心配をおかけして申し訳ありません。おかげさまでずいぶん良くなりました。」

 

おかしな研究者魂を出して色々悩んでいたみたいだけど、落ち着いてきたみたいで良かった。

 

……まあ密かに監視は続けるけどね。

 

「ウム。それは良かった。博士の考案したオプション装備のお陰でザクⅡの運用性能は大きく向上した。今後も頼りにさせて貰うぞ。」

 

「……はっ!お褒めに頂り光栄であります。」

 

お陰でバックパック換装システムに加えて、脚部追加スラスターやミサイルポッド等を装備可能となったザクⅡはジオンの絆でも大人気である。

 

「今日は連邦との開戦に備えて、開発して欲しいものがあってな。」

 

「連邦と開戦とは穏やかでないですな……。一体どのようなものでしょう?」

 

博士が深刻そうな顔をした理由が連邦と戦争の話が出たからなのか、それとも俺から「アイデア」を聞く事が嫌なのか気になるところだが、構わず話を続けていく。

 

「ひとつは地上での運用に特化したモビルスーツの開発だ。ザクⅡは地上のあらゆる戦場で運用可能な優れた機体だが、地上で不要な装備を抱えたまま戦闘するのは非効率だ。

故に空中、高機動、水中の3つの要素にそれぞれ対応した機体を開発して貰いたい。」

 

 

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「それは…なかなかの難事ですな。特にモビルスーツの形状は飛行には向きません。空中に適応させるのは流石に難しいかと思いますが……。」

 

「なに、無理にモビルスーツへ飛行性能を付与しなくても良い。航空機を改良したサブフライトシステムに乗せることで飛行させ、モビルスーツにはそれと連携して空中戦闘を可能となる程度の滞空能力を付与すれば良い。」

 

「なるほど……。それならばザクをベースに徹底的に軽量化し、試作中のH型装備を装着させれば可能となるかも知れません。」

 

うん。頑張ってサンダーボルトのグフを造ってくれ。

フライトユニットは先行的に開発させていたからまあなんとかなるだろう。

 

「細部については博士に任せる。地上用高機動型機の開発については、同じ高機動型機であるヅダを造り上げたツィマッド社のチームに任せておけば問題ないだろう。」

 

「確かに彼らなら実績もあります。安心して任せられますな。」

 

此方についてはまったく心配していない。出来上がってくるのがドムだろうがドワッジだろうが、どれでも大好きで、かつ高性能な機体だから全く問題ない。

 

「水中戦に特化したモビルスーツについては、M型装備の開発で得られたデータを基に、既存の機体に拘らず開発を進めてくれ。

特に水の抵抗は宇宙や空気の比ではない。それを軽減する為の工夫が色々と必要になってくるだろう。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「はっ。それでは新しくチームをつくり、広く意見をとりいれたいと思います。」

 

こちらも基礎研究自体は前から始めさせているので2年もあれば量産までこぎ着けられるだろう。

 

モビルフォートレス・ゾックから出撃するハイゴッグとかカッコよくね?

 

一応デザイン画を描いて後で送っておこう。

 

後は俺に対しての勘違いをなんとかしておきたいところだが……。

 

よし、サイアスと同じ手でいこう。

 

「ウム。もうひとつについては…そうだな…博士はジオン・ズム・ダイクンの唱えたニュータイプ論についてはどう考える?」

 

「ニュータイプ論でありますか?私としては人類の革新と無限の可能性を謳った哲学的なものだと思っておりますが…。」

 

「多くの人にとってはそういったものだろうな。

だが私はそういった概念ではなく、ひとつの特殊能力のようなものとして実在するのではないかと考えている。」

 

「特殊能力…でありますか?」

 

俺の答えを予想だにしていなかったのだろう。

ミノフスキー博士が戸惑いながら俺と同じ言葉を繰り返す。

 

「そうだ。博士は不思議に思った事はないか?

技術者でもない私が、何故ミノフスキー粒子やモビルスーツについて次々と的確なアイデアを出す事ができるのかと。」

 

「!! それは…確かにそう思った事は一度ならずございます……。」

 

「だろうな。その答えを今教えてやろう。私は限定的ではあるが未来を予知する事ができる。」

 

「まさか、そんな!?…にわかには信じがたい話であります。」

 

嘘です。そんな便利な能力はありません。

 

「だろうな。私の予知によれば、そう遠くない未来に連邦の艦艇がコロニーに激突し、反連邦の動きはますます活性化していく事になるだろう。

それがひとつの証明になるかもしれん。」

 

「そのような事故が起きると仰るのですか……。」

 

まあ未来の展望を知っているという点からいえば、超能力者といってもあながち嘘ではないかも知れないが。

 

「そうだ。私の出したアイデアの大半は、その未来で実用化されていたものを伝えていたに過ぎない。

まあ私の予知は制約が多く、意図して見れる訳でもないがな。」

 

「それであのように的確なアイデアを出し続ける事ができたというのですか……。」

 

うん。まあ的確かは分からないけど、精一杯趣味に走らせて貰いました。

 

「そしてその未来の世界では、サイコミュというニュータイプが発する強い脳波を利用した技術が存在していた。

ミノフスキー通信とニュータイプの感応波を利用する事で、ミノフスキー粒子散布下でも遠距離での無線誘導攻撃を可能とし、また、思考するだけで機体や武装を稼働させる事すら可能としていた。」

 

「そのような事が可能だと!?」

 

「そうだ。そして今のジオンにおいてそれが可能な研究者は、博士をおいて他にいないと私は確信している。」

 

本当は他にもフラナガン博士がいるのだが、あいつに任せると人体実験ばかりしそうなのであんまり好きになれない。

 

なので博士、キュベレイ実用化の為に頑張ってサイコミュを開発してください!

 

「…私などにそれが可能でしょうか?」

 

「トレノフ・Y・ミノフスキー博士。貴方にこの言葉を送ろう。

学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。そして自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる。

西暦の時代のとある賢人の残した言葉だが、博士、ミノフスキー粒子に秘められた新たなる可能性を知った貴方は、研究者としてそれを知らないままでいられるのか?」

 

「…閣下も人が悪い。そのような事聞かずともおわかりでしょうに。

未知へと挑戦し、ひとつずつ問題の解決に向けて経験を積み重ねる事こそ我ら研究者の本望。

私に可能かどうかはわかりませんが、精一杯頑張らせて頂きます。」

 

そう言って、俺へと視線を向けるミノフスキー博士の目は理知的でありながら、どこか狂気を感じさせるものだった。

 

なんかメチャ気合い入っているけど…大丈夫だよね?

 

「ウム、期待している。では私からひとつ贈り物をさせてもらおう。ララァ。来なさい。」

 

「はい。総帥。」

 

「この少女は?」

 

「彼女は、私が知る限りジオンで最高の力を持ったニュータイプだ。故にニュータイプ研究を進める上で彼女は最高の協力者となるだろう。

ただ、彼女と彼女の家族は私の保護下にある。苦痛や危険を伴う人体実験を彼女にする事は私が禁止する。」

 

本当だぞ?ララァに何かあったら一発で首だからね?

 

人体実験がしたければ死刑囚を使ってくれ。そっちなら好きに使っていいから。

 

まあララァはうちに住んでるから、何かあればすぐにわかるだろう。

 

「かしこまりました。閣下のご期待に応えられるよう努めてまいります。」

 

「ウム。」

 

その会話を最後にして、2人の会談は終わりを告げた。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

ララァ・スン

 

「総帥。」

 

「何だ?」

 

「総帥は嘘つきですね。」

 

「はは…やはりララァは誤魔化せないか。」

 

「はい。総帥からは不思議な感じがしますが、力のようなものを感じた事はありません。」

 

私がインドでカジノ荒らしの手伝いをしていた時、最後の行先となったホテルのカジノをたまたま訪れていたのがこの人だった。

 

こちらを見るなり初対面の筈の私の名前を呼び、すぐに一緒にいたカジノ荒らしから私達家族を救い出してくれた不思議な人。

 

「そうだ。確かに私にはニュータイプのような特別な力はない。だがそのような力が存在している事は確信している。そしてその力をララァが持っているということもな。」

 

そう言いながら何故か私の頭に手をおくと、昔母がしてくれたようにゆっくりと私の頭を撫でてくれた。髪と手が擦れあっているだけなのに、何故かとても心地よかった。

 

「ミノフスキー博士には釘をさしておいたが、何か嫌な事をされそうになったら拒否して構わないからな。」

 

「はい。総帥。」

 

だからという訳ではないけど、彼が私を必要とするなら精一杯やってみよう。

 

貧困の中から、私と私の家族を救い出してくれたこの人への恩に報いるために。

エピローグを読みたいのは次の中どれ?

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