新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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26話 UC0076年7月 ルウム戦役(偽)

サイド3 ギレン邸

 

「遂に来たな。」

 

300隻を超える連邦艦隊を前にギレンは1人呟いた。

 

連邦との圧倒的な戦力差は理解しているつもりだったが、こうして相対してみるとその心理的な圧迫感は思っていたより遥かに大きいものだった。

 

「しかし思ったよりも連邦の動きが遅いな。何故だと思う?ハマーン。」

 

「ミノフスキー粒子による通信障害の影響が大きいのでしょう。

あれほどの大艦隊ともなれば、陣形を維持したまま移動するだけでもかなり大変でしょうから。」

 

「確かにそうだな。お陰で連中はまだ我々の存在に気がついていないようだ。」

 

「ガルマ様率いるジオン連合艦隊が正面に展開しているのです。ミノフスキー粒子を散布して、暗礁宙域の奥に潜む我々の存在に気がつかなくても、仕方無い事でしょう。」

 

「そうだな。だが、万が一にも見つからないよう警戒を厳とせよ。」

 

そう命じるとモニターに映る敵影に意識を集中する。

 

すると、連邦軍の動きを見張っていたハマーンから切迫した声で報告の声が上がった。

 

「連邦の艦載機が発艦を開始しました!」

 

「そうか、規模はどのくらいだ?」

 

「確認できるだけで約600機がジオン連合艦隊へ向かっている模様です!」

 

「そうか、どうやら連中は正面から我々とやり合うつもりのようだ。ガルマには焦る事なく当初の作戦どおりに動くように伝えろ。」

 

「かしこまりました。」

 

ルウム沖ではじまった連邦とジオンの戦いは、正面からのぶつかり合いで始まった。

 

300隻を超える戦闘艦艇を有する連邦艦隊と、100隻に満たないジオン連合艦隊とでは数の差が大きすぎるため、何も知らない人が見ればあっという間にジオン艦隊が駆逐されてしまうように見えた事だろう。

 

連邦艦隊と接敵したジオン連合艦隊は、連邦の艦載機をモビルスーツ隊で一掃するとそのまま後退し、連邦艦隊と距離をとりながら艦砲を撃ち合う長距離砲撃戦へと移行した。

 

戦闘が開始されて30分、ドズル率いる連邦艦隊は後退を続けるジオン連合艦隊に誘いこまれ、ギレン率いる別働隊が潜伏する暗礁宙域の前に差し掛かろうとしていた。

 

「何故だ?これだけ叩いているというのにあれほど整然と後退できるとは……。

ん?こんなところに暗礁宙域だと……? いかん!、これは罠だ!全艦後退!誘い込まれるな!」

 

だが、ドズルのその指示が徹底される事は無かった。

後退し続けるジオン艦隊に触発された何人かの艦長が暴走し、そのまま追撃してしまったのだ。

 

ただでさえミノフスキー粒子の影響下でデータリンクに支障をきたしていた連邦艦隊は、前進と後退、相反する二つの動きをする僚艦の存在に混乱し、大きく艦列を乱した。

 

「連中は混乱しているぞ。各艦はこの機を逃がすな。全砲門ひらけ、斉射三連。斉射の完了と同時に全艦モビルスーツ隊発進。一気に蹴散らせ!」

 

僅か10隻程度の艦隊であったが、艦隊側面の暗礁宙域から突如として叩きつけられたミサイルとメガ粒子砲の雨は、連邦艦隊の防空網に穴を開けるには十分な威力を有していた。

 

ギレン率いる別働隊は数こそ10隻と少数であったものの、搭載可能数を大きく超える数のモビルスーツを搭載しており、ギレンの命を受けた機体が次々と連邦艦隊に向けて射出されていった。

 

「先鋒は任せたぞ。ハマーン。」

 

「はいっ!では行ってまいります!」

 

射出されたモビルスーツにより、ジオン連合艦隊との交戦で大損害を受けていた連邦軍の艦載機はあっという間に駆逐されていく。

 

だが、艦載機を壊滅させた彼らを次に待ち受けていたのは、連邦艦艇から放たれる視界を埋め尽くすような対空砲火であった。

 

「なんて対空砲火だ。これじゃとても近づけない!」

 

「懐に飛びこんでしまえば戦艦は何も出来ません!恐れずに私に続いて!」

 

そう怯む仲間を叱咤すると、白を基調にピンクのラインで塗装されたヅダは、手に持った大型対艦ライフルを連射しながら連邦艦隊の隙間を蝶のように舞い踊り、瞬く間に三隻のサラミスを宇宙の藻屑に変えた。

 

するとそれに触発されたのか、ジオンのモビルスーツが次々と連邦艦隊へと襲いかかった。

 

中には対空砲火に捕まり大破する機体もあったが、多くの機体は対空砲火を潜り抜けて連邦艦に取り付き、至近距離からの攻撃により連邦艦隊へ大損害を与えつつあった。

 

「これで…八隻め!」

 

白とピンクに塗装されたヅダは、マゼラン級戦艦の艦橋に取り付くと対艦ライフルでまずブリッジを潰す。

 

次に艦を蹴った反動で距離をとりながら対艦ライフルを艦の砲塔へ叩き込んでマゼランの戦闘力を奪うと、最後に止めの一撃を機関部へと撃ちこんでそのまま離脱した。

 

「!! あれは連邦の旗艦アナンケ!このままあれを沈める事が出来れば……!」

 

連邦の旗艦を見つけたハマーンがそう思った直後、モビルスーツ用OSが警報を鳴らす。

 

「警報?…! しまった!弾薬の残りが三発!?」

 

初めての大規模戦闘に緊張していたのだろう。

敵地のど真ん中で弾切れという失敗に思わず動きを止めてしまったハマーンの機体へ向けて、側にいたサラミスがメガ粒子砲と対空砲を乱射しながら突っ込んでくる。

 

「弾薬の残りは常に意識せねばならんぞ。ハマーン。」

 

そう呟くと、ハマーンに向かって襲いかかる連邦のサラミスへと向かい、擦れ違う一瞬でブリッジと機関部に対艦ライフルを叩き込み無力化する。

 

その動きはハマーンほどではないものの、経験豊かなベテランを思わせる思い切りの良い動きだった。

 

「ほら、予備の弾倉だ。」

 

「ありがとうございます!ギレン閣下!」

 

「敵軍が統率を取り戻しつつある。そうなる前に旗艦を片付けるぞ。」

 

「はい!」

 

ギレン自ら操縦する機体が戦場に現れると、艦隊の士気は一気に上がった。総帥が危険を省みずモビルスーツを駆って最前線に立てば、当然一緒に戦う兵士たちの士気も上がるというものだ。

 

黒をベースに金色の装飾を施されたヅダと、白にピンクのラインが入ったヅダは、揃って木星エンジンを全開にすると旗艦アナンケへ向け宇宙を切り裂いていく。

 

ドズルの乗ったアナンケが沈み、連邦艦隊が撤退を開始するのはそれから僅か数分後の事であった……。

 

 

 

やあ…諸君。前書きがちょっと長くなったな。ギレン・ザビである。

 

今日はジオンの絆を使って、俺とガルマ率いるジオン軍がドズル率いる連邦軍を相手にするという大規模艦隊戦のシミュレーションを行っていた。

 

ジオンの絆は最新型のスーパーコンピューターを使うことで10,000人単位での同時接続が可能となっており、様々な対連邦戦術が検討されていた。

 

「いやぁ流石は兄貴とガルマだ!三倍近い戦力差があるのにこうも簡単にやられるとは思わなかった!」

 

「ドズル兄さんも罠に気がついたのは流石です。ただ、そこからの立て直しに時間をとられ過ぎましたね。」

 

「おうそうだな。だがガルマよ。あれはギレンの兄貴が防空網に開いた穴をえぐり続けていたからだぞ?それにヅダの動きは船で相手をするには速すぎる。」

 

「ふん。実戦では今日のように直率する事などできんだろうがな。それに勝ったと言ってもジオン連合艦隊の損害が大きすぎる。艦隊の三割近い数を失ってしまっては勝利とは言えんよ。」

 

「三倍の艦隊と正面から撃ち合いをすれば仕方ないだろう兄貴。待ち伏せするにしても、囮のひとつもなければ暗礁宙域に無警戒で連邦が近づいていくとも思えん。」

 

「確かにな。まあ私が新たに考えた策がある。次回はそれについて検討していこう。」

 

「わかりました。楽しみにしています。兄さん。」

 

「ウム。ガルマも士官学校で頑張るのはいいが無茶はしないようにな。ドズル、ガルマを頼むぞ。」

 

「おう!それじゃあな兄貴。」

 

そう言うとジオンの絆に表示されていたドズルとガルマのウインドウが消え、部屋の中に静けさが戻ってきた。

 

いやぁ、やっぱり大規模戦闘は燃えるね。

 

だが原作に近い形でルウム戦役をシミュレーションしてみたのだが、結果はジオンの辛勝だった。

 

やはり一度でも正面から撃ち合いをしてしまえば、連邦艦隊の火力は圧倒的であり、我が軍の損害は避けられない。

 

かといって遠方からモビルスーツを出すだけでは、近づく前に多くの機体がやられてしまうだろう。

 

……。やはりあの手でいくしかないか。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

ハマーン・カーン

 

「ふう…疲れた……。」

 

ヘルメットを脱いでノーマルスーツの胸元を緩め、大きく深呼吸する。

 

初めての大規模戦闘に緊張していたのか、はたまた媒体を大型化する事である程度のGの再現が可能になったジオンの絆Gに慣れていなかったせいかは解らないけど、今日は大きなミスをしてしまった。

 

まさか敵地のど真ん中で弾切れなんていう初歩的なミスをしてしまうなんて……。

 

撃破スコアとしてはアナンケを含めたマゼラン級戦艦4隻、サラミス級巡洋艦8隻の合計12隻で今回の戦いのMVPだったけど、閣下からは

 

「貴様が生きて帰ってこれなければ、どれだけ戦果をあげても意味がない。その事をよく覚えておけ。」

 

とお叱りのお言葉を頂いてしまった。はぁ……。

 

でも私が弾切れでピンチの時に颯爽と現れた閣下は、なんだか白馬の王子様みたいでちょっとカッコよかった。

 

初めて会った時の事を思い出すと、今でも顔から火が出そうな位恥ずかしくなってしまうけど、あのとき私の事を好みと言ってくださったのは、今もまだ変わらないのかなぁ……?

 

そんな事を考えながらボーッとしていると、ジオンの絆にララァさんから対戦の申し込みが入った。

先日閣下が、インドで「愛人」という名目で家族ごと保護された少女だ。

 

実際はその特異な才能を見抜かれたようで、殆ど教えていないのにモビルスーツを手足のように操縦できたり、もの凄く勘がよかったりするのをその先見の明で見出だされたのだろう。

 

この前なんて神経衰弱をしたらいきなり半分位を当ててしまい、皆が絶句していた。

 

最近はモビルスーツの操縦が面白いみたいで、ギレン閣下が相手をしていらしたのだが、その閣下に

 

「貴様らニュータイプにはついていけん。ハマーンに相手になって貰え。」

 

と言われたらしく、こうして頻繁に対戦の申込みがくるようになった。

 

というかなんでニュータイプ(次世代の宇宙移民者)??

 

……。まあいいか。ここはモビルスーツ操縦の先輩らしく、ちょっと相手をしてあげるとしよう。

エピローグを読みたいのは次の中どれ?

  • イグルー
  • ジオニックフロント
  • MS08小隊
  • 戦慄のブルー
  • ミッシングリンク
  • ガンダム戦記
  • ポケットの中の戦争
  • 0083
  • Zガンダム
  • ユニコーン
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