新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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28話 UC0077年8月 暁の蜂起

サイド3 ギレン邸

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

 

大変な事になった…主に連邦軍が。

 

連邦軍と士官学校生の模擬戦が行われて劣勢であるハズの士官学校生が勝利したとの報告を受けたと思ったら、今度は連邦軍のサラミスがコロニーの管制を無視してアルカナ級と衝突してしまい、更にエンジンの暴走によりコロニーの農業区画へと激突して百名以上の死者が出る大惨事となった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

しかもその農業区画には、俺の発案により始めた他のサイドとの交換留学生が数多くいたものだからさあ大変。

 

ジオンのみならず全てのサイドで反連邦運動が頻発し、連邦軍はその鎮圧に奔走する事態に陥っている。

 

いやぁ……。偶然って怖いですね。

 

特にズム・シティではこの身勝手な行動から起きた事故により暴動が発生。

 

暴動を鎮圧しにきた連邦軍部隊が、市民にプチモビやモビルワーカーで襲われる大惨事になっている……。あれ?書いてて何かおかしいぞ?

 

モビルワーカーは作業用なので武装はしてないものの、非常に頑丈に作ってあるから自動小銃などでは全く歯が立たないし、頼みの61式戦車やガンタンクもプチモビの群れに襲われてレーザートーチでハッチを焼き切られ、そのまま車輛を奪われたりしている。

 

しょせん駐屯部隊で数が少なかったのと、連邦軍も市民が相手では全力で攻撃する訳にはいかなかったからだろうが……。

 

作業効率をあげるために、作業機械を普及させすぎたか?

 

……まあそれは良い。問題はガルマお前だ。

 

「聞いてらっしゃるのですか!兄上!」

 

勿論聞いているよ!

 

ドズルに暁の蜂起が起きるかもしれんと注意しようとした矢先に、ガルマの方から連絡してきて、

 

「兄上、現状では動けない正規軍に代わり、士官学校の学生でガーディアンバンチの連邦軍を制圧するので支援をお願いします!」

 

などと正面から俺を説得してくるとは思っていなかったので、混乱しているだけだよ!

 

と言うかドズル、てめえガルマに説得されて後はよろしく頼む!兄貴!とか言ってるんじゃねえ!

戦略や政略について色々と話していた影響かもしれないが、ガルマの成長が嬉しい半面対応に困る。

さて…どうしたものかな……。

 

連邦軍と開戦を避けるのなら何としても暁の蜂起は避けるべきなのだが、開戦が避けられそうもない現在の状況であれば、国民の戦意高揚効果も大きくやる価値はある。

 

それに正規軍ならともかく、少数の士官学校生が相手ならば連邦もそれを理由に開戦まで持っていく事はできないだろう。

 

「勿論聞こえているぞ、ガルマ。貴様の提案について少し考えていただけだ。

確かに士官学校生が蜂起すれば、油断しきっている連邦の駐屯部隊など敵ではないだろう。だが、連邦と戦うとなれば、正規軍が支援したとしても少なくない士官学校生が命を落とす事になる。

貴様はその責任をとる事ができるのか?」

 

「死んだものに対して私がどのように責任をとれるのかはわかりません。ですが、死んだ者とともに掲げた道を曲げる事なく進み続ける事を、私なりの責任の取り方としたいです。」

 

……どうやら原作のようにキャスバルにのせられている訳ではなさそうだな。

 

「良いだろう、ガルマ。好きにやってみろ。

 

ドズル!ランバ・ラルを連邦駐屯地に潜入させ、現地の偵察と重要施設へ時限爆弾を設置させろ。

 

ガルマ!貴様は自走重迫撃砲隊を率いて支援と指揮を担当しろ。自走重迫撃砲は教官連中も動員して可能な限り数を揃えるように。

時限爆弾が爆発すると同時に自走重迫撃砲による支援砲撃を開始、同時に8輪装甲車とランドムーバー隊を突入させて駐屯軍司令部を制圧させろ。

 

突入部隊の指揮はドズル、貴様がとれ。ただし車輛から外に出て正規軍が参加した証拠を残すようなヘマはするなよ。

 

我々の目的は虐殺ではない。捕虜の虐待、不必要な殺戮は絶対におこなわないよう徹底するように。」

 

「おう!任せてくれ、兄貴!」

 

「ウム、ガルマ!立派なザビ家の男になったな。貴様はそのまま正道を進むが良い。

ただ、自ら先頭に立って突撃していくような軽はずみな真似はするなよ。」

 

「……。ありがとうございます。兄さん!」

 

「ではな。」

 

そう言って通信を切ると、今後の対応を協議するため、サスロに連絡をいれるのだった……。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

ガルマ・ザビ

 

「隣の駐屯地の連邦軍部隊が翌朝ズム・シティに向けて出発するですって!?」

 

「ああ、その通りだ。ガルマ。先に出撃した部隊が住民相手に苦戦しているため、その増援として向かう気らしい。」

 

「そんな…。ジオン軍は一体何をしているんですか!ドズル兄さん!」

 

「正規軍が動けばそれは戦争の引き金になってしまう。戦力の整っていない現状でそれは自殺行為であるが故に、軍で阻止する事はできないのだ。ガルマよ。」

 

歯を食い縛りながら、ドズル兄さんがそんな説明をしてくる。

 

その話を聞きながら、何か自分にできる事がないか必死に考えていると、以前ギレン兄さんに質問をした時の事が頭の中をよぎった。

 

ん?今何をしているのかだと?これはな、他のサイドの反体制派に人や物資の支援を指示しているところだ。

 

今の我等が正面から連邦軍と戦っても勝機はない。故に我等以外で連邦と敵対している人を支援して代わりに連邦と戦って貰うのだよ。

 

つまり、正規軍が戦争になる事を恐れて動けないのなら、まだ正規軍ではない我々士官学校生が代わりに戦えばいい!

 

「だからお前も歯痒いだろうが、今は堪え忍び……。」

 

「ドズル兄さん!」

 

「な…なんだ?ガルマよ。」

 

話の途中で大声を出した事で驚くドズル兄さんに、自分の考えを説明する。

 

「確かに士官学校生であればまだ正規の軍人ではないので外交的な影響は小さいだろう。だが数が違うぞ?連邦軍は2000人近いのに、士官学校生は僅か200人程度しかおらん。」

 

「戦場で正面から戦うのならともかく、連中は自軍の駐屯地にいる事で油断しているはずです。先日の演習のように奇襲をかければ勝機は十分あります。」

 

「しかし、な。」

 

「それにドズル兄さん!数で負けているから戦えないというなら、我等ジオンが連邦と戦える日は何時までたってもこないでしょう!」

 

「…!!。わかった。お前が士官学校生を取り纏めて全員の総意をとりつけろ。その上でギレンの兄貴に相談して了解を貰えたら進める。これ以上は退くことはできん。どうだ?」

 

「わかりました!」

 

士官学校生の説得はともかく、ギレン兄さんを上手く説得できる自信はないけど、今自分がジオンの為にできる事があるのなら精一杯やってみよう。

 

僕も一人前のザビ家の男なのだから。

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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