新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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3話 UC0068年6月 会社統合計画

ジオン共和国中央病院VIPルーム

 

やあ……諸君。ギレン・ザビである。

 

ダイクン一家とジンバ・ラルの逃亡はサイド3に大きな混乱をもたらしたものの、サスロが迅速に動いた事でザビ家による議会の掌握に成功した。これで今後の政策運営は一段とやり易くなるだろう。

 

また、子供達と一緒に地球へ逃れたアストライアから俺宛に支援に対する礼状が届いたことから、ダイクン一家との関係もかなり改善されたようだ。

 

特に、アストライアの礼状に「ギレンのおじさん、お母さんと一緒に地球へ行かせてくれてありがとう。」とアルテイシア直筆の手紙が同封されていたことから、少なくともアルテイシアには恨まれていないようで良かった。

 

そう言えば歴史の修正力なのか、アストライアの代わりに黒猫のルシファがローゼルシア邸にとり残されていた。どうやらガンタンクの衝突に驚いて逃げ出しまい、そのまま取り残されてしまったらしい。

 

そのままローゼルシア邸に置いておくのは可哀想かと思って今はアイナの所で面倒をみてもらっているのだが、やはりアルテイシアが恋しいのか夜な夜な寂しそうに鳴いているそうだ。

 

アルテイシアもルシファがいなくなり寂しがっているだろうから、今度ランバ・ラルに礼状に対する返信か何かと一緒に地上へ届けさせる事にしよう。

 

ダイクン一家からの手紙を読んで病室でのんびりしていると、サスロが見舞いついでに報告にやって来た。

 

「調子はどうだ?ギレン兄。」

 

「ああ、傷もだいぶ治ってきた。もう少しで公務に復帰することも可能になるだろう。」

 

「それは何よりだ。意識が戻ったと思ったら、突然14歳の少女を使用人に欲しいとか言い出すので驚いたぞ、全く。」

 

原作の10年前だという事を忘れていただけだというのに酷い濡れ衣である。まあ、サハリン嬢に来て貰った事に後悔はないのであまり強くは反論はできないのだが。

 

このままだと風向きが悪いので、サスロの矛先をそらすために昔ギレンの野望をやりながら思いついたアイデアを相談してみる事にした。

 

「それよりも提案したい事があるのだが良いか?サスロ?」

 

「何だ?兄貴のロリコン疑惑のマスコミ対応についてか?」

 

「違う。そんな事ではない。私の提案はジオンの誇る4つの重工業メーカー、ジオニック、ツィマッド、MIP、スウィネンの4社を経営統合させて一つの会社にする事ができないかという事だ。」

 

「ジオンを代表する4社を経営統合させるだと?!」

 

「そうだ。これからのジオンには、高度な技術力と膨大な生産力が求められる事になるだろう。

確かに競合する4社が競いあって技術を磨く事は重要だと思うが、今はそれ以上に各社が持つ技術と生産基盤を共有化して開発力の向上や生産性の効率化を図る事が大事だと考えている。」

 

「しかし……。」

 

「ジオニックは基礎研究で、ツィマッド社は推進機で、MIPはエネルギー運用で、スウィネンは作業用機器の生産でそれぞれ高い技術を持っている。

平和な時代ならともかく、ジオンと連邦が戦う可能性が高い現在の状況で、優れた技術を持つ4社を競い合わせているような余裕など我等にはない。

持てる力の全てを結集しなければ、30倍以上の国力を持つ連邦には挑む事さえ難しいだろう。」

 

「……。ギレン兄は、本当に連邦と戦争になると考えているのか?」

 

「必ずなる。というより連邦から独立するには戦争せざるを得ないのだ。

仮に連邦が戦争無しでサイド3の自治権を認めた場合、残る5つのサイドに対しても同様の自治権を認めざるを得なくなるだろう。そして、そうなった場合、コロニーからの税収を前提としてバランスをとっている連邦の財政は破綻してしまう。

故に、戦争無しでの自治権獲得などありはしないのだよ。」

 

「……わかった。どうなるかはわからないが、4社に経営統合を働きかけてみよう。」

 

よし、上手くいった。これでロリコン疑惑の事は忘れただろう。

 

それにもし経営統合が上手くいけば、統合整備計画と同じ効果が見込め、ついでに技術力も上がるだろうからモビルスーツの性能向上も期待できるかもしれない。

 

ん……?技術と言えば、ミノフスキー博士は今、何をしてるんだ?

 

「頼む。そういえば、サイド3にいるミノフスキー博士という研究者を知っているか?」

 

「ミノフスキー博士?いや、聞いた事がないが……。」

 

「諜報はキシリアの仕事とは言え不勉強だぞ?博士が研究している新粒子は戦争の在り方を一変させる可能性があるほど画期的なものだ。今後の繋がりを作るためにも、ザビ家から研究資金の援助をしておいてくれ。」

 

「わかった。流石だな、ギレン兄。」

 

ふふふ……、ガンオタの知識チートの面目躍如だな。サスロの兄を尊敬する眼差しが気持ち良い。

 

良い気分だったのでサスロが帰った後に、宇宙世紀の紙粘土のようなものをサハリン嬢に持ってきてもらい、ガンプラ?を作る事にした。

 

いや不思議な物質だね。紙粘土のように簡単に形状が変わるのに触っている感覚としてはプラスチックに近い。

 

今回は記憶を頼りに一から作る事になるので、作るのが簡単そうなプチモビを作ってみたのだが、単純な形状にもかかわらず作るのはかなり大変だった。これは何かしらの対策を考えねば。

 

 

一一一一一一一一一一一一

 

 

side サスロ・ザビ

 

 

ドズルからギレンの兄貴が14歳の娘を側仕えに欲しがっていると聞いた時には、爆弾テロで頭がおかしくなってしまったのではないかと心配したが、そんな心配は不要なものだった。

 

ジオン有数の大企業であるジオニック、ツィマッド、MIP、スウィネンの4社の経営統合。会社統合計画とでも呼ぶべきか。

 

以前のザビ家では難しかっただろうが、ラル家の逃亡を利用して議会の大半を掌握した今のザビ家の力なら十分に可能な事だった。

 

爆弾テロにあって意識を失ったと思えば、ラル家の逃亡を利用しての議会の掌握や、今回の会社統合計画などさすがギレン兄という他ない。

 

ミノフスキー博士とやらの件については正直よくわからないが、兄貴が必要だというのなら多少の資金援助など問題ないだろう。

 

それよりも兄貴が実はロリコンだったという噂をもみ消す方がよほど手がかかった位だ。以前はセシリアと関係を持っていたというのに、兄貴の好みがよくわからなくなってしまったぞ。

 

まあ、爆発の衝撃で女性の好みは大きく変わってしまったようだが、為政者としての能力には問題ないようで良かった。為政者としての能力に問題なければ多少の性癖などどうでも良いのだから。

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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