新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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34話 UC0079年1月3日 宣戦布告◼️

【速報】ジオン公国総帥 ギレン・ザビ氏、暴徒の放った狂弾に倒れる!

 

そのニュースは瞬く間に地球圏全土へと広がった。

 

正確にはまだ死亡した訳ではなく意識不明の重体という報道であったものの、サイド共栄圏構想を掲げたギレン・ザビの身に起きた事件はジオン・ズム・ダイクンの最後を連想させ、マスコミ各社はその死がさも確定的なもののように報じていた。

 

連邦政府による襲撃を主張するジオン公国に対し、連邦側は単なる反ジオン主義者による仕業であるとしてその関与を否定、両国の主張は平行線を辿ったままであった。

 

この事態に危機を覚えた宇宙攻撃軍総司令ドズル・ザビ中将は、12月に入り旗下の全艦艇を宇宙要塞ソロモンへと集結させ大規模な軍事演習を行った。

 

120隻を超える艦艇を集結させて実施されたこの一大演習は、ジオン国民の士気を高め、連邦市民の心胆を寒からしめるものがあったが、それがジオンのほぼ全戦力である事を知った連邦首脳部からは、彼我の戦力差から戦争になる事はないだろうと安堵の声さえあった。

 

それが悲劇の始まりだとも気づかずに……。

 

 

 

やあ……諸君。ギレン・ザビである。

 

まさか俺の三文芝居に騙された者はいないだろうな?

 

何?騙されていただと?さては貴様連邦のスパイだな?衛兵、捕らえろ!

 

さて、血のり入りの防弾チョッキの部分をジンバ・ラルに撃たれた衝撃で倒れた俺は、せっかくなのでそのまま瀕死の重症を負い意識不明になっている事にした。

 

お陰で俺を殺したと思ったジンバ・ラルは、聞いてもいない事までペラペラと喋ってくれ、それにより連邦の陰謀の証拠をばっちりと確保することができた。

 

なお、ジンバ・ラルが俺を撃った主犯と公表すると連邦に単なるジオンの内紛であると主張される恐れがあるため、ジンバ・ラルはそのままサイド3の特殊病棟で拘束、俺を銃撃した栄誉については襲ってきた連邦の工作員の中で唯一名前が判明した、マーヴィン・ヘリオット軍曹に与えられた。

 

また、ジンバ・ラルの部屋を家宅捜索するなかで、ダイクンの死んだ日以降行方不明になっていたとある文書が発見された。

 

予想外の収穫であり、連邦の陰謀や石碑とあわせてこれを公開することで、戦端を開くに当たっての大義名分は十分に確保できるだろう。

 

俺を襲撃することで連邦政府はルビコン川を渡った。

奴らが賽を投げた以上、最早我々も先に進むより他道はないのだ。

 

愚かなる地球連邦よ。己れが犯した過ちの大きさを知り後悔するがいい。

 

 

 

サイド3 ムンゾ自治共和国議会議事堂

 

宇宙世紀68年、我等はひとりのかけがえのない英雄を失った。

 

そう、誰もが知る我らが指導者、ジオン・ズム・ダイクンである。

 

あの日この場所に立ったダイクンは、ある隠された真実を皆に告げようとし、卑劣なる連邦の手によりその命を失ったのである。

 

そして私もまた、ダイクンの告げようとした真実を知るに至り、その事を隠そうとする連邦により暴徒の襲撃を装って襲われ、生死の狭間を彷徨う事になった!

 

だが、それは良い。私の生死などこれから告げる真実の前には何の意味もなさない事なのだから。

 

まずは諸君にこの石碑を見て貰いたい。

 

これが何か一目で分かるものは恐らくこの場にはいないだろう。

 

これは彼の宇宙世紀憲章が首相官邸ラプラスにて結ばれた際に作られた、そのオリジナルである。

 

西暦から宇宙世紀へと変わるのにあわせて作られた宇宙世紀憲章は6つの章で構成されており、我らスペースノイドを縛る第9条があることから、その存在を忌々しく思う者もいる事だろう。

 

だが、その者達は真の宇宙世紀憲章には「未来」と題された7つめの章があった事を知るべきだ。

 

未来への期待と希望を込めて作られたこの章には、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させることが明記されている。

 

宇宙に適応した新人類とは何か?

 

そう、ジオン・ズム・ダイクンが唱えた、地球から巣立ち、宇宙に適応した新人類「ニュータイプ」に他ならない!

 

ここに、ダイクンが最後の演説をしようとこの場に立った時の原稿がある。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

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あの日ダイクンは、この真実を皆に告げようとこの場に立ち、そして卑劣なる連邦の陰謀によりその命を失ったのである!

 

我等は、この真実を知ってなお、ダイクンを失った悲しみを、連邦に騙されていた怒りを堪え、旧世紀における奴隷のように地球連邦政府へと従い続けなければならないのだろうか?!

 

否、断じて否である!

 

未来への希望が込められた第7章の存在を秘匿し、その強大な軍事力を背景として我々を省みない政治を続ける連邦に従う理由など、最早何処にもない!

 

我々は幾度となく連邦が変わるのを待ったのだ!

 

もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者は一人としていない。

 

今、真のスペースノイドの熱き血潮を我が血として、ここに私は地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである。

 

繰り返し心に聞こえてくる祖国の名誉の為に、ジーク・ジオン!!

 

 

【挿絵表示】

 

 




あ、ノリで「完」を入れてしまいましたが、お話は続きます

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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