オデッサ上空 旗艦グワダン
南極条約が締結された翌日のUC0079年2月1日、ジオン公国は、ベルファストやニューヤーク、キャリフォルニアやペキン等の大都市に存在する連邦軍基地が、南極条約に盛り込まれた大都市への直接攻撃禁止条項(大都市への直接攻撃及びそれを誘発しうる軍事行動の禁止)に違反するとして、該当する地域からの退去を要求する。
この要求が認められない場合、月面のマスドライバーを用いて連邦軍基地への直接攻撃を実施するとの警告を発したジオン軍は、同時にソロモンやジオン本国から大量のHLV(垂直離着陸型の単段式宇宙輸送機)を地球軌道に向けて発進させた。
一方ジオンの要求をのむことなど不可能な連邦軍は、それぞれの基地に地対宙ミサイルや地対宙レールガンを集中配備してジオンのマスドライバーによる攻撃に備えるとともに、地球軌道に集結しつつあるHLVの降下を警戒して軍の集結を急いだ。
だが、これらの動きは、全てオデッサ攻略に向けた壮大な陽動作戦であった。
コロニー落としによる被害が無い連邦には、膨大な地上戦力が無傷で残っており、そこに宇宙から降下する事はかなりの抵抗が予想された。
そのためジオン側はマスドライバー攻撃の宣言と、HLVを軌道上に集結させる事で、連邦軍の戦力を大都市圏に集中させ、逆にそれ以外の地域の戦力を低下させる事に成功していた。
特にオデッサをはじめとしたコーカサス地方の鉱工業地帯などは、駐屯していた部隊のかなりの数がモスクワなど大都市の防衛に回されたため、大幅に戦力が低下していたのである。
UC0079年2月14日2200
ジオン公国軍は月面のマスドライバーによる連邦軍基地への直接攻撃を開始する。
この攻撃はミノフスキー粒子の濃度が高くなかった事や、連邦側が事前に準備を整えていた事もあって、連邦軍は射出された質量弾の迎撃に成功する。
だがこの攻撃は陽動作戦の一部であり、月面のマスドライバーと衛星軌道上に集結したHLV群に意識を集中させていた連邦軍は、秘密裏にオデッサへの降下軌道に集結したジオン艦隊に全く気がついていなかったのである。
UC0079年2月15日0400
グワダンとザンジバル級16隻で構成された降下部隊の第一陣がオデッサに向け降下を開始する。
いわゆる第一次降下作戦の始まりであった……。
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
南極での条約交渉に失敗した以上、地上での戦いは避けられないものとなった。
ルナツーを攻略してから、延々とマスドライバーで隕石を降らせて連邦軍に降伏を促す案もあったが、作戦の過程で民間人と地球の環境に膨大な損害が出る事が予想された。
その場合、アースノイド全体にスペースノイドへの憎悪を植えつけてしまい、泥沼の戦争となって妥協点を見つけられなくなる可能性が高い事から、致し方なく原作同様に地球侵攻作戦の準備を進めていた。
広大な地上は全てが連邦の支配下に置かれており、最初にどこを攻めるかは誰もが迷うところだが、まずは無難に中央アジアの要衝オデッサを攻略する事にした。
まずは資源がないと話にならないからね。いくら資源衛星があるとは言っても、そこで採れる資源には限りがあるし。
ウクライナ南部に位置して、黒海の真珠とも謳われるオデッサは、黒海沿岸で最大の工業地帯であると同時に、バクー油田をはじめとしたコーカサス地方で産出される豊かな鉱物資源の集積拠点でもあった。
このオデッサをはじめとしたウクライナの工業地帯の制圧と、コーカサス地方で産出された豊富な鉱物資源を宇宙に上げるバイコヌール宇宙基地を確保する事が第一地上機動師団の最初の目標となる。
「ギレン総帥。」
「どうした?ハマーン?」
「作戦に参加する全艦が予定のポイントに到達致しました。」
「よかろう……。全軍に戦闘開始命令を出せ。」
「はっ!」
グワダンがバリュートを展開し、地球に向けて降下を開始する。
予定通りなら、黒海最東端の港町ロストフの近郊に降下し、そこから我がA軍集団はヨーロッパ各地へと進軍していく事になるだろう。
さて、そろそろ地上だ。グワダンは原作とは違いミノフスキークラフトを搭載しているので理論上は地上でも問題なく飛行できるハズだが、もし上手く機能しなければこれで終わりだな……。
一一一一一一一一一一一一
side ハンス=ウルリッヒ・ルーデルⅨ世
はじめまして、諸君。
私の名はハンス=ウルリッヒ・ルーデルという。
正確にはハンス=ウルリッヒ・ルーデルⅨ世なのだが、敵であった欧米式の読み方はあまり好まないので出来れば気軽にルーデルと呼んでくれ。
さて、諸君は生まれ代わりというものを信じるだろうか?
なに?信じない?それは信じた方が良いかも知れないぞ?
かく言う私も以前は信じていなかったのだが、西ドイツのローゼンハイムの病院で意識を失ったかと思えば、はるか未来のスペースコロニーで再び目を覚ます事になった。
最初はあまりの事態に動揺したものだが、まあ誰しも一度くらいは生まれ代わったりする事もあるだろうと思い、折角の機会なのでまた飛行機のパイロットになろうと決意した。
しかしコロニー国家であるジオンには宇宙戦闘機ならともかく普通の飛行機などあるハズもなく、仕方なく私はモビルスーツのパイロットになる事にした。
最初は宇宙でモビルスーツ「ザクⅡ」のテストをしていたが、ギレン総帥が「我々は地球侵攻に備えた機体の開発を進めなければならない。」と演説されていたのを聞き、以前ゲーリング閣下が懐かしきシュトゥーカの隊員を募集していたのを思いだし、それならばと地上で運用される予定の空戦用モビルスーツ「グフ」のテストに志願した。
グフはザクⅡから空間戦闘用の装備を排除して大幅な軽量化を図り、脚部に搭載した強力な熱核ジェットエンジンの推力と、バックパックに搭載した2基の飛行用ファンの力でド・ダイとの連携による空中戦闘を可能にした傑作機である。
ジャイアント・バズによる上空からの砲撃や、盾と一体化させたガトリング砲を用いた対地掃射などで高い攻撃力を持つ。
私としてはヅダ用の大型対艦ライフルを使った上空からの狙撃を推していたのだが、そんな事が出来るのは私だけだと言われてしまった……。なぜだ。
まあ、そんな感じにド・ダイを操縦する幼なじみのエルヴィン♀️と伴に、地上で毎朝牛乳を飲みながら運用データの収集を行っていたのだが、グフの量産が正式に決定してサイド3に戻った私は、今度は量産に向けたテストに明け暮れる事になる。
そして、来るべきUC0079年1月3日、我々ジオン公国は地球連邦政府に対して独立戦争を挑んだ。
私も祖国のためグフでの参加を望んだのだが、「お前のグフは陸戦用だから宇宙での戦いはムリだ。」と至極当然の事を言われてしまい、アクシズでモビルスーツ隊が歴史を作っている時に何も出来なかった私は、口惜しさのあまり男泣きしてしまった程である。
私はノーマルスーツさえあれば、宇宙でもグフで戦えると思うのだが。
まあ、そうこうしている間に宇宙での戦いはジオンの勝利に終わり、戦いの場所は宇宙から地上へと移ろうとしている。
間もなく母艦グワダンのハッチが開き、我等ジオンの鷲は地上へと舞い降りる事になるだろう。
そしてこの飛翔はスペースノイドにとって、そして何よりも私にとって大きな飛翔となるであろう。
オデッサ降下作戦におけるルーデル少佐の戦果
ビッグトレー級陸上戦艦マラート 撃沈
ビッグトレー級陸上戦艦ガングート 共同撃沈
ミサイル巡洋艦キーロフ 撃沈
61式戦車 2個中隊(32両)撃破
セイバーフィッシュ6機 撃墜
エルヴィン・ヘンシェル兵長♀️ (夜戦)撃墜
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