新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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43話 UC0079年4月 はにゃーん様攻略作戦

宇宙軍設立の際のモデルになった地球連邦海軍は、連邦地上軍の中で最も高い兵器の質と練度の高い兵士を擁していた。

 

これは艦艇の運用には専門的な知識と高度な技能を必要とするため、紛争がなくなった後も、部隊を運営するために厳しい訓練が繰り返されていたためである。

 

だがその連邦海軍も、ジオン公国軍が第二次降下作戦にあわせて実施した「水天の涙」作戦によって大きな被害を受けており、今は再建の途上にあった。

 

月面のマスドライバーによる攻撃を宣言する事で連邦の目を月に向けさせ、アクシズ内部で秘密裏に建造していたマスドライバーを用いて実施された質量弾投下作戦「水天の涙」は、北米大陸の連邦軍基地とともに各地の空軍基地や軍港に質量弾の雨を降らせ、甚大な被害をもたらしていた。

 

特に軍港では、ジオンが港の中心部に質量弾を落下させる事により発生させた人工的な津波により駐留していた艦隊の大半が損傷する事態となっており、その後の地上侵攻による混乱とあわせて艦隊の再建は遅れに遅れていた。

 

そんな中で、ヒマラヤ級多目的空母「パプリカ」と「ピーマン」を中心とした連邦海軍第14艦隊は、水天の涙作戦時にたまたま太平洋上を航行していて被害を免れた貴重な存在だった。

 

ヒマラヤ級は、一年戦争時には既に旧式となりつつある艦種だったが、FF-6 TINコッドやドン・エスカルゴ対潜攻撃機といった様々な機種を運用できる搭載力の高さと、搭載した連装主砲や大型ミサイルランチャーにより上陸支援も可能な汎用性を評価され、いまだに同型艦の建造がされているベストセラー艦である。

 

そんなヒマラヤ級二隻を有する第14艦隊は、オセアニアから撤退する味方を支援するためグアム沖に展開していたのだが、ジャブローから入った特命を受けて進路を南へと変えていた。

 

「艦長、そろそろ予定の時刻です。」

 

「む、そうか。それではレイヤー隊の発艦を開始しろ。」

 

艦長の指示に従い、エレベーターで艦内から運び出された作戦機が次々と甲板上へと移動していく。

 

「こちらファング1、命令コード受信、これより1番カタパルトに進入する。」

 

その通信と共に、マスター・P・レイヤー大尉が操る、FF-6 TINコッドが甲板上に設置されたカタパルトに向けて機体を進めた。

 

「ファング1、出撃する。」

 

レイヤー中尉のその呟きとともに空母「パプリカ」のカタパルトが起動し、レイヤー大尉が操るTINコッドは大空へと上昇して行った。

 

「こちらレイヤー発艦を完了した。編隊各機は発艦完了後、速やかに配置につけ。」

 

レイヤー機が発艦を果たすと隷下の機体も続々と発艦を続け、その数はTINコッド四個小隊20機、フライマンタ戦闘爆撃機二個小隊6機にのぼった。

 

「レイヤー隊、全機発艦完了しました。このまま進めば予定の時刻には目的地へと到着できそうです。」

 

「そうか。内通者から得た情報を基にした敵支配地域での要人暗殺作戦…。君は成功すると思うかね?」

 

「不確定要素が多いためわかりません。ですがもし成功すれば戦局は大きくこちらに動きます。やってみるだけの価値はあるかと。」

 

「そうだな。どのみちジャブローからの特命である以上断る事もできんのだ。後は得られた情報が正確である事を願うとしよう…。」

 

そう言いながらパプリカ艦長は、南の空へ向けて飛び去っていく編団を眺め、全機が無事に帰還する事だけを神へ祈った。

 

 

 

 

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

 

現在、護衛のハマーンと視察のために訪れていたソロモン諸島ニューブリテン島ブイン上空で、連邦の戦闘機隊に襲われている真っ最中である。

 

……て、そんな風に落ち着いて挨拶している場合じゃなかったよ!!

 

ハワイへの侵攻を視野に入れて制圧したソロモン諸島の話を聞いたハマーン様が、「地上にもソロモンがあるんですね!」と驚いているのを見て観光ついでに前線の視察に来たのだが、連邦の航空隊の奇襲により護衛のセイバードップ4機は既に撃墜され、最後に残った護衛であるハマーンの操るグフが獅子奮迅の闘いぶりを見せているものの多勢に無勢であり、既にハマーンの乗っていたドダイⅡを破壊されていた。

 

やはり連邦の航空戦力の力は侮れないな。これからも空軍基地は確実に潰してから侵攻する事を心がけるとしよう。

 

しかし、視察に来るにしてもやはりグワダンでくるべきだったか。だがそれでは周囲の目もあって海に降りてハマーン様と水遊びする事もできん。

 

そんな事を考えながら俺も自ら操縦するグフの3連装ガトリング砲で近づいてきたフライマンタを1機撃墜する。これでフライマンタは全て撃墜したので、最悪地上に降りれば最低限の安全は確保できる。

問題はTINコッドがまだ何機か残っている事だが。

 

白と青で塗装された一際腕の良いTINコッドがハマーンの迎撃をくぐり抜け、俺の乗るドダイめがけて空対空ミサイルを放つ。

 

なんとかミサイルを打ち落とそうと3連装ガトリング砲を放つが、今までの戦いで酷使していた事もあり、数発の弾丸を打ち出すとすぐに弾切れとなりミサイルを打ち落とす事はかなわなかった。

 

空対空ミサイルが直撃したドダイⅡを放棄するのにあわせて敵機へ向けてヒートロッドを放つものの、白と青で塗装された敵機は鮮やかなバレルロールにより回避してみせる。 

 

…くそ、やはりノリス大佐のような芸当は難しいか…。

 

しかし、ドダイがやられた事により自力での帰還は不可能になった。フライトユニットを装備したグフに飛行能力はあるものの、長距離飛行はできないからだ。

 

俺が戻らなければ何れは救援が来るだろうが、ミノフスキー粒子のせいでいまだに連絡がとれていない事からいったいいつになる事やら。

 

まあそんな事を気にするよりもまずはこの場を生き延びる事に集中するとしよう…。

 

 

一一一一一一一一一一一一

 

 

side ハマーン・カーン

 

 

「この!待ちなさい!」

 

ハマーンは声を張り上げながらグフのフライトユニットの出力を全開にすると、自機の横をすり抜けてギレン総帥のドダイを破壊したFF-6 TINコッドをめがけてガトリング・シールドを斉射する。

 

モビルスーツと航空機という圧倒的な戦闘能力の差があるにもかかわらず、高い加速力と巧みな機動によりこちらの攻撃を躱して反撃を試みてくる敵機はかなりの難敵だったが、翼の端に被弾するとフラフラと蛇行しはじめた。

 

部隊の大半を撃墜されながらも依然として数で有利な敵は、ハマーン機が敵機を追撃しようと背中を向けると直ぐに背部のフライトユニットを狙い攻撃を仕掛けてきた。

 

「ちょこまかと!」

 

先程ギレン総帥がやろうとしていた事を思いだし、後ろから攻撃してきた敵機の攻撃を機体を捻って躱すと、グフのヒートロッドをその機体目掛けて放ち、主翼の付け根付近を貫通させる。

 

格闘武器で攻撃される事を想定していなかった敵機は慌てて高度をとろうとするものの、そこにぶら下がるグフの重量により思う機動が出来なくなっていた。

 

僚機が想定外の攻撃をされ慌てて支援にきた、TINコッド目掛けヒートソードを投擲する。

 

戦車でさえ耐えられない威力の攻撃でTINコッドを一撃で屠ると、その隙をついて最後のTINコッドが特攻するかのように機銃を乱射しながら突っ込んできた。

 

その攻撃をヒートロッドのワイヤーを巻き取る事でかわそうとした時、誰にとっても想定外の事が起きた。

先程ヒートロッドを貫通させた機体が負荷に耐えきれず爆散したのである。

 

「え!?きゃぁぁ!!」

 

支えていたものがなくなり地上に向けて落下するグフと、グフの真下をくぐり抜けようとしていた敵パイロットの動きが偶然重なり、敵のTINコッドがグフの胴体に直撃した。

 

その衝撃によって、操縦系統をやられたグフはハマーンの操作を全く受け付けなくなり、脱出ポッドさえ機能しなくなった機体は地面に向けて無慈悲な落下を開始した。

 

「いやぁ!私はまだ死ねない!初めてもまだなのに死にたくない!」

 

みるみる間に近づいてくる地面を見て自らの運命を想像したハマーンが絶望に震えていると、突然機体が激しく揺れ落下が止まった。

 

見れば、ギレン総帥の操縦するグフがフライトユニットとスラスターを全開にしながらハマーンのグフの胴体を掴み、必死に落下を食い止めている姿があった。

 

「ハマーン!機体を捨てて脱出しろ!」

 

ギレン総帥から入った通信に思わずハマーンが息を呑む。

 

「このまま地上まで減速させるほどの推進材がない!早くしろ!」

 

「で、でも脱出ポッドが故障したみたいで動かなくて…。」

 

正確にはTINコッドが激突した衝撃でフレームが歪みその影響で脱出ポッドが動かなかったのだが、それをハマーンが知るよしもなかった。

 

するとギレンの操るグフが体勢をかえ、コックピットが向かい合わせになるよう動いた。

 

事態を未だに飲み込めないハマーンの前で

ギレンのグフのコックピットが開き、ノーマルスーツ姿の男が姿を見せたと思うとハマーンに向けて手を伸ばした。

 

「私の元に来い!ハマーン!!」

 

「えっ?……あっ!は、はい!!」

 

力強いギレンの声に導かれるようにハマーンが立ち上がると、目の前の男の胸をめがけて飛び込んでいくのだった…。

 

 

 

……なお、この少し後に味方の救援部隊が到着してギレンのグフはグワダンへと帰還し、また、この日の夜にハマーンはもう一度ギレンの胸へと飛び込み、翌朝歩きにくそうにしている姿を目撃される事になる。

 




時間がかかると思いましたが思ったよりあっさり書けました。これもツインテールの神のご加護があったからでしょう。

なお、夜の間に何があったかは皆様のご想像にお任せします。

一応 TINコッド4小隊とフライマンタ2小隊ではにゃーん様のグフカスタムを撃墜しているのでギレンの野望的には連邦も活躍した…ハズ

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