サイド3 ギレン邸
やあ……諸君。ギレン・ザビである。
初めて自宅から挨拶するのだが、この宇宙世紀に何で貴族の邸宅風なんだろうね?
高貴なザビ家の人間が庶民と同じ生活ではいけないというキシリアの提言で始めた事らしいが、正直非経済的だと思うのだが……。
まあそんな我が家だが、アイナが甲斐甲斐しく働いてくれるお陰で、快適な環境を満喫できるのは良いことだ。メイド服が似合っているぞ、アイナ。
さて退院して公務に復帰したものの、以前から担当していた仕事は、病院でゴロゴロしている間にどれも俺がいなくても上手く回るようになっており、手出しする必要がない状況になっていた。
また、ジオ・マッド社についても、ミノフスキー博士を技術顧問に迎えて順調な滑り出しを見せており、暇で仕方がなかった俺は新たに新プロジェクトを立ち上げる事にした。
その名も木星圏開発計画である!
現在のジオンは、ダイクンの行った独立宣言に対する処罰として連邦から経済制裁を受けていた。
そのため、産業活動に不可欠な鉱物資源の入手に大きな制限があり、また入手できたとしても高い関税を支払わなければならない。
そんな状況では連邦からの独立など出来ないので、木星圏をジオンの勢力下に置いてしまい、アステロイドベルトにある衛星から、今後必要となるであろう鉱物資源を確保するのがこの計画の目的である。
ただ、木星圏まで進出できる艦艇の大半が非武装の輸送船だったため、ジオ・マッド社に木星圏まで余裕をもって進出可能な超大型戦艦の開発を命じて、グワダン級のイメージ図を送っておいた。
まあないものは仕方ないので、当面はグワジン級の試験艦として建造されたグワシズを旗艦として、火星と木星の間にあるアステロイドベルトの調査をおこなう事になった。
最初は前人未到の領域の探索という言葉に心引かれて自分で探索艦隊の指揮を執ろうかと思ったものの、高速艦でも片道で半年はかかるという現実に衝撃を受け、大人しくサイド3に残る事にした。
ま、まあ総帥ともあろう者が一年以上本国をあける訳にはいかないから仕方ないね。代わりに親衛隊長のハゲを艦隊司令に抜擢したら喜んでいたので、きっと良い仕事をしてくれるだろう。
一応俺の記憶にあるアクシズ、ソロモン、ア・バオア・クー等の形状を教え、そのような形の衛星があれば優先的に調べるように指示したので、成果も上がりやすいだろう。
なお、ハゲとの会話はとても暑苦しかったので省略する。
あ、アイナ。何か冷たい飲み物をくれるかな。
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side エギーユ・デラーズ
ギレン閣下の命により地球圏を離れ、早くも1ヶ月が過ぎようとしている。我らスペースノイドの魂の故郷であるサイド3のコロニーの大地は、もはや肉眼ではどこにあるかすらわからなくなっていた。
「デラーズ提督」
「む……。ハスラー中佐か?」
「はい。先程予定していた宙域を通過し、まもなく第三次加速に入ります。そろそろブリッジへお戻りください。」
「ウム。ギレン閣下が艦隊を高速艦で揃えて下さったお陰でわずか半年でアステロイドベルトまで到達できるとはな。」
「全くです。当初の計画では片道で一年以上かかる予定だったとか。」
「今開発されている新型艦を使用する事で、今後は更なる時間の短縮も可能になるそうだ。すでに有力な資源衛星の候補を絞られていた事といい、閣下の先見の明には恐れいる。」
「おっしゃる通りです。いったいどんな方法で調査されたのやら。全く底が知れないお方です。」
「その通りだな。では行くとするか、我らが祖国に新たなる栄光をもたらす為に!」
「お供致しましょう。」
アイナ様に似合いそうな機体は?
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アプサラス
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ビグ・ラング
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ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
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アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)