作品を書く上でとても楽しみにさせて頂いています。
さて、前話を読み返しいて気がついたのですが、ルーデル閣下のアンケートの際に以降は転生者等は出しませんと言っておきながら、思いつきでイト中尉を出してしまい申し訳ありません。
書き直すのも大変なので修正はしませんが、イト中尉の出番は前話が最初かつ最後で、他に転生者等は出てこないと思います。
宇宙要塞ルナツー 基地司令室
「避難民を受け入れて貰えないとはどういう事なのですか?ワッケイン少将?!」
「落ち着きたまえ、ブライト少尉。今のルナツーでは避難民全員を受け入れる余裕がないと言ったのだ。負傷者や子どもづれの女性位は受け入れよう。だが、全員は無理だ。」
「何故ですか?!彼らは我が軍が守るべき民間人なのですよ!」
「そんな事はわかっている!だが少尉、ここは最前線の宇宙要塞だぞ?ジオンの妨害によって補給すらままならないこの基地に、多くの民間人を抱え込む余裕があるはずないだろう!!」
「それは……。」
「本来ならば我が軍の最重要機密に触れたガンダムのパイロットなども軍規によって牢へと繋がねばならんのだが、最早我が軍にはそのような事に割く余力すらないのだ。
よって、彼にはホワイトベースとモビルスーツをジャブローまで運ぶ手伝いをしてもらう事で罪を償って貰う事とする。」
「彼のおかげで2号機は無事だったのですよ?!」
「聞いている。たいした訓練も受けていないにもかかわらず、ザク2機を撃破するとはたいした才能じゃないか。
……本来ならばジャブロー上空まで護衛の艦隊を付けてやりたいところだが、今の私には何もしてやれん。
使えるものは何でも使い、なんとしてでもジャブローまで無事にたどり着いてくれ。私からは以上だ。」
「わかりました…。失礼します……。」
「ふぅ…。保護するべき民間人を新任の少尉に任せてジャブローへと送り出すしかないとは、連邦の軍人がするべき事ではないな……。
ジオンとの戦いが困難を極める中、我々は素人まで動員して戦わなければならないとは、寒い時代になったものだな……。」
シーマ艦隊旗艦 リリー・マルレーン
「周辺に展開していたムサイ級が4隻にザクが20機かい。数としてはそれなりだけど、あの連邦の新型の性能を考えるとこれでも不安だねぇ。」
「連邦の新型はそれほどのものでありますか?」
「そうだよ、ドレン大尉。マシンガンを何発撃ち込んでもびくともしない装甲と、ヅダ並みの機動力を持った怪物だよありゃ。
おまけにビーム兵器を標準搭載しているときた。
予想外の事は起こるものとはいえ、こうも立て続けに起きるのは勘弁してもらいたいものだねぇ。」
「連邦がそこまで高性能な機体の開発に成功するとは……。にわかには信じられないところであります。」
「アタシもだよ。だが、目の前にそれがある以上、なんとか対応するしかない。
ルナツーへ逃げ込まれた時はどうしようかと思ったが、幸い連中の方からのこのこ出てきてくれた。
この機会を逃さずに仕掛けるよ。」
「しかし、大気圏突入のタイミングでの戦闘とは危険ではありませんか?」
「それは連中も同じさね。いくら連邦の新型といっても大気圏は突破できないだろう?
逆に此方は、ザクに大気圏突入用のG型装備を付けさせれば最悪そのまま地上に降りちまえば良い。
要は戦い方次第だって事さね。
連邦の素人どもに、モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的差ではない事を教えてやりな!」
ジャブロー降下軌道
「くそ!ジオンの奴等め、部隊を散開させてホワイトベースを襲ってきやがる!こっちにチームで戦わせない気だ!」
ザクを迎撃するためにガンダム5号機で出撃したフォルド少尉が、ザクに向けてジャイアント・ガトリングガンの弾丸をばらまきながら叫ぶ。
その言葉通り、大気圏突入直前という非常識なタイミングで仕掛けてきたジオン軍は、ガンダムタイプが近づくと一個小隊3機が距離をとりながら応戦し、残りはガンダムを迂回してホワイトベースに向かう作戦をとっていた。
「ジオン野郎どもめ、踊る黒い死神に勝てないと踏んで母艦を狙う気か!左からもザクが抜けた!ユウ、カバーしろ!」
黒を基調としたプロトタイプガンダムを操りながら、5号機の右側をすり抜けてきたザクを相手どりながら、モビルスーツ隊の指揮官となったリド・ウォルフ少佐が指示を出す。
「これもまた、モルモットの役目か……。了解。対処する。」
グレーに塗装された地味な機体色であるものの、試験的にマグネットコーティングを施された事により最も高い運動性をもつG3が、先頭のザクめがけてビームライフルを放ち、その姿を火球へと変えた。
すると、敵の指揮官機らしき黄土色と紫に塗られたドムがマシンガンを撃ちながら接近すると、ビームサーベルの間合いギリギリをすり抜けてG3の背後へと回り込む。
「く、この動き…エースか!」
こうして先行した3機のガンダムが10機以上のモビルスーツを抑えていたものの、それでも10機近いザクが戦線を突破してホワイトベースへと近づいていた。
「後衛だとか言ってられんな、これは。ガンキャノンはホワイトベースの直援につけ。ジオンは対空砲の死角を狙って来るぞ!」
そう指示すると、ガンキャノン3機を率いて後衛についていたルース中尉も4号機を駆ってモビルスーツの迎撃にあたる。
だが所詮は1機であり、それを迂回したザクによってホワイトベースへの攻撃が始まった。
「弾幕薄いぞ!モビルスーツ隊はどうしているんだ!」
「奮戦していますが、ジオンのモビルスーツの数が多すぎます!何より応戦しているジオン機が時間稼ぎに徹しているようでなかなか撃破できないとの事です!」
「く…、このままではジャブローに降下するどころではないぞ?!」
「ブライト君、2号機とメガ・ビーム・ランチャーを出そう。」
「レイ大尉?!」
「2号機に4号機の代わりをさせ、4号機のメガ・ビーム・ランチャーで敵の母艦を直接叩く。そうすれば連中も下がらざるを得ないハズだ。」
「しかし、それではご子息を戦場に……。」
「……ここは戦場だ。やれる者がやれる事をやるしかない。それに…私は、息子と自分の作ったガンダムを信じている!」
やあ……諸君。ギレン・ザビである。
大気圏上空でルナツーを出発したホワイトベース隊とシーマ艦隊が交戦した。
最初はオデッサから大軍を打ち上げるか、親衛隊を率いて自分で迎撃に向かおうと思ったのだが、連邦の一部隊でしかないホワイトベース隊に大部隊を投入するのは無駄が多いし、逆に自分で行こうものならジャイアントキリングが得意な奴等に俺が殺られかねないのでやめておいた。
結果として、シーマ率いるモビルスーツ隊がガンダムを引きつけ、シャア率いる部隊がホワイトベースへの攻撃を行ったものの、シャアが増援で出てきたガンダムの相手をしている間に4号機のメガ・ビーム・ランチャーでムサイ2隻とモビルスーツ隊を凪ぎ払われて大損害を被り後退するはめになった。
ただ、我が軍も一方的に被害を受けた訳ではなく、シャアがメガ・ビーム・ランチャーを発射した直後の4号機を攻撃して撃墜。
また、ザクの攻撃によってガンキャノン1機が大気圏に突入して燃え尽き、ホワイトベースもまたジャブローへの突入に失敗して北米へと降下していった。
損害でいえば此方の方が大きいが、まあガンダムタイプを一機撃墜できただけでも良かっただろう。
北米のガルマに、間違ってもドップで出撃したりしないように連絡をとったのだが、「はは、ドップで前線に出るような指揮官がいるはずないではありませんか。からかわれては困ります。兄上。」などと言われてしまい、「お前だよ。」と思わず突っ込みたくなってしまった。
ガルマにホワイトベース隊への対応について確認したところ、突然持って来させた紙の束にコーヒーをこぼしはじめ、「見てください兄上。薄い紙でも枚数を重ねれば、コーヒーを総て吸い取ってしまいます。私はホワイトベースに対してこの戦法をもって対応するつもりです。」と、どこかで聞いた事があるような作戦だった。
物量による波状攻撃はホワイトベース隊に一番効果がありそうなので実施についての許可を出し、戦況の推移について適時報告するように告げると連絡を終えた。
この分ならガルマが最前線に出て行ったりはしないだろうし、シャアもまだ軌道上のリリー・マルレーンにいるので何の心配もいらないだろう。
さて、ゲルググがあれば2号機も撃破できたのですが…などとシャアが愚痴っていたので、急いで手元に届くように手配してやらねばならんな。
一一一一一一一一一一一一
side 連邦軍本部ジャブロー
「ゴップ将軍、ルナツーを出発したホワイトベースが軌道上でジオン艦隊に襲撃されたようです。」
「そうか……。サイド7を急襲した事といい、ジオンの連中はずいぶんとホワイトベースに御執心のようだな。レビルは何と言っている?」
「は……。レビル将軍からは、今の我が軍にホワイトベース隊を回収するための部隊を派遣する余力はない。申し訳ないが彼らには自力でジャブローに向かって貰う他ない。と、」
「まあ、今の我が軍はオデッサ作戦の実施に向けて全力を投じているからね。
ジムタイプの量産がなった今、数機の試作機を無理してまで回収する必要は確かにないのだが……。」
「では、このまま放置しますか?」
「そういう訳にもいくまいよ。サイド7での実験データは貴重なものだし、何よりジオンがホワイトベースに御執心ならば彼らには囮としての価値がある。
確かオーストラリアから撤退してきた部隊がモビルスーツへの転換訓練を受けていただろう。奴等を増援として送ってやれ。」
「かしこまりました。……オデッサ作戦、果たして上手くいくのでしょうか?」
「さてどうだろうね。我が軍の3割近くを投入し、ジオン最大の地上拠点を制圧する作戦だ。初期の混乱から立ち直り、モビルスーツの配備も進みつつある現在の我が軍ならば勝機は充分にあると思うが……。」
「が?」
「もし、万が一作戦に失敗した場合は我が軍の敗北も決定的になるなぁと思ってね。」
「それは、…。」
「エルラン君、君は麻雀を知っているかね?」
「ま、麻雀ですか?無論知っておりますが……。」
「そうか。私もよく勤務中に麻雀をするのだが、私なりの必勝法があってな。」
「必勝法…で、ありますか?」
「そうだ。それはな、どんなに手持ちがよくとも無理に大きな手を狙わないで小さな役でコツコツと上がってしまう事だ。」
「はぁ。」
「私は戦いも同じものだと思うのだが、我が軍はオデッサ作戦という乾坤一擲の大勝負を選んでしまった。
まあ、戦争をだらだら長引かせるくらいなら大勝負も悪くないんだが、万が一負けた時に備えて我々はどう動くべきなんだろうね?」
アイナ様に似合いそうな機体は?
-
アプサラス
-
ビグ・ラング
-
ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
-
アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)