新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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年末の休みで早く書けましたが、次の話は少し先になるかもしれません。

因みに麻雀については、緊張をほぐす為の雑談です。


58話 UC0079年10月 強襲、ランバ・ラル

キャルフォルニアベース

 

「これが噂の木馬か。まさかあの赤い彗星がたった一隻の連邦艦にてこずるとは思わなかったな。」

 

「そう言うなよガルマ。いや、北米方面軍司令官ガルマ・ザビ少将閣下とお呼びすべきかな?」

 

「やめてくれ、士官学校時代と同じガルマでいい。にしても君が送ってくれたデータを確認しているんだが、連邦の新型は凄いものだな。ジムタイプと似た外見なのに性能は段違いだ。」

 

「ああ、ジオン十字勲章ものであることは保証するよ。」

 

「ありがとう。だが、北米大陸の真ん中に降下した以上、連中は敵地で孤立した孤軍でしかない。

既に周辺の部隊に出撃を命じているので、そろそろ第一陣が接触する頃だろう。」

 

「流石に動きが早いな。だが、木馬に搭載されているモビルスーツは本当に手強い。

特にジムに似た機体は、戦艦並みの威力を持つビームライフルを装備していて非常に危険だ。注意してくれよ。」

 

「ああ、慎重にやるさ。」

 

「閣下、ハルトマン少佐率いるセイバードップ隊が木馬と接触しました!」

 

「わかった。すぐに指揮所に降りる。ではまたな、シャア。」

 

「ああ、宇宙から君の幸運を祈っているよ。ガルマ。」

 

「ガルマ閣下、木馬を目視により確認しました。山沿いを東に向けて進んでいます!」

 

「よし、そのまま背後から敵艦を攻撃せよ。分かっていると思うが、諸君の目標は敵艦の対空砲や砲台を潰して戦闘能力を削ぐことだ。なので無理はしなくて良い。」

 

「獲物を調理する前の下ごしらえという事ですな。了解しました。では、これより攻撃を開始します!」

 

 

 

北米 グレート・キャニオン近郊

 

「ちぃっ!また新手か!?ジオンのやつらめ!!」

 

ホワイトベースのモビルスーツ隊を指揮するリド・ウォルフは、西の空に現れたジオンの編隊を見て忌々しそうに睨む。

 

北米に降下して以降、ホワイトベースはジオン北米方面軍の脅威にさらされており、昼夜を問わないセイバードップの攻撃によってかなりの損害を被っていた。

 

「これでも喰らえ!」

 

遠方から対艦ミサイルを発射したジオン機に向けて、一緒に出撃したガンキャノンがビームライフルを放つ。

 

「カーク、無駄弾はやめとけ。この距離ではどうせ当たりはしない。」

 

その言葉通り、ジオンの航空隊は対艦ミサイルなどを用いたロングレンジ攻撃に徹しており、ガンキャノンが放った射撃はあえなく空へと消えていった。

 

「ですが少佐、これで何度目の襲撃だと思います?!」

 

「知らん。10までは数えていたが、面倒くさくなって数えるのを止めた。あまり神経質になるとハゲるぞ?

既に連日の戦闘でホワイトベースに乗っている避難民や、戦闘経験の少ないものがだいぶまいってきている。

まあ、それが連中の狙いなんだろうがな……。」

 

「ウォルフ少佐、避難民の代表が相談したい事があるとブリッジに押し掛けてきています!至急艦内に戻ってください!」

 

「いわんこっちゃない……。さていったいどうなる事やら。」

 

 

 

ホワイトベース ブリッジ

 

「ワシらをこの先にあるセント・アンジェで降ろしてもらえんかの?そこの出身の者が何名かおるのでその者達の縁者を頼ろうと思うのじゃ。」

 

「この辺りは今ジオンの勢力圏なんですよ!ここで降りるなんて危険です!」

 

「少尉殿のような連邦の軍人さんからすればそうかも知れんが、ワシらのような民間人からすればジオンも連邦も大してかわらん。

北米大陸を治めておるジオン軍の悪い噂は聞かんし、むしろこの船に乗っとる方がよほど危険じゃ。」

 

「それは……。」

 

「いつジオン軍の攻撃を受けるかビクビクしながら生活するのはもう限界なんじゃよ。

ワシらが降りれば船の物資にも余裕ができるじゃろうし、あんた達にとっても悪い事ばかりではあるまい?」

 

「いいじゃねぇか、ブライト。降ろしてやろうぜ。」

 

「少佐殿?!しかし……。」

 

「それを口実にして、追っ手のジオンと一時休戦すれば良い。そうすれば乗組員の連中を少しだが休ませてやれる。それに……」

 

「それに?」

 

「……避難民と一緒に俺がプロトで地上に降りてジオン追撃隊を待ち伏せする。なぁに、休戦終了と同時にドンパチをはじめれば何の問題もない。」

 

「……わかりました。国際救難チャンネルでジオン軍につなげ、一時休戦を申し込む。」

 

「ここで追撃部隊を叩ければずいぶん楽になるハズだ。上手くやろうや。あと、届くかわからんがカナダの友軍に暗号通信を送っておきな。」

 

 

 

やあ、諸君。久しぶりだね。北米方面軍司令を務めているガルマ・ザビだ。

 

今日は北米大陸の戦いという事で、兄上に代わって私が話をさせて貰っている。

 

ホワイトベースが北米大陸に降下して以降、航空隊による波状攻撃によって木馬を消耗させていたのだが、グレート・キャニオンを越えた辺りで木馬から避難民を降ろすため一時休戦の提案があった。

 

せっかく消耗させた敵に時間を与えるのはどうかと思ったが、避難民が乗っているのであれば人道的にそれを無視する事はできないし、此方としても戦場に向かわせているランバ・ラル隊や「王者」を配置するのに時間が必要だったため、木馬の提案に応じる事にした。

 

僅かな休戦時間は木馬の進路上に部隊を配置して、避難民の受け入れについて手配をしている間に終了し、またすぐにホワイトベースとの戦いが始まった。

 

2個大隊、24機ものセイバードップによる先制攻撃から始まった戦いは激戦を極めた。

 

セイバードップ隊の攻撃によってエンジンを損傷して高度をとれなくなったホワイトベースへ、待ち伏せていたザクとマゼラタンクを中心とした地上部隊が襲いかかる。

 

しかし、ホワイトベースに搭載されている連邦の新型はどれもが驚異的な戦闘力を備えており、待ち伏せしていた18機のザクと、30両ものマゼラタンクはすぐに苦戦を強いられる事になった。

特に木馬と別行動をとっていた連邦の黒い機体によって背後から奇襲を受けると、何とか持ちこたえていた我が軍は一気に崩れ、戦況は大きく劣勢になった。

 

踊るように戦場を舞う黒い機体の活躍は凄まじく、一撃必殺の威力を持つビームライフルによって3機のザクを仕留めると、バズーカやビームサーベルによってマゼラタンクを蹂躙した。

 

連邦の新型がまさかこれほどの戦闘能力を持っているとは、シャアから情報を貰っていなければ危なかったところだ。

 

黒い機体の襲撃を受けた我が軍は、連邦同様に伏せていた新たな部隊を投入する。その初手となったのは「甦りし王者」と呼ばれたデメジエール・ソンネン少佐が操るモビルタンク「ヒルドルブ」である。

 

密かに連邦軍の背後に回り込んだソンネン少佐は、目の前で味方が蹂躙される中で息を潜めると、黒い機体がマゼラタンクにビームサーベルを突き立てた瞬間を狙ってAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を解き放った。

 

ザクマシンガンをものともしない強度を誇る連邦の新型だったが、ビッグトレーの装甲すら易々と貫通するAPFSDSを至近距離から受けては耐えられるハズがなかった。

 

また、ヒルドルブの砲撃と同時にランバ・ラル率いるモビルスーツ隊が連邦に向けて襲いかかった。

 

ランバ・ラル隊はモビルスーツこそグフとザクで構成されておりそれほど強力という訳ではなかったが、開戦以降各地で転戦を繰り返してきた精鋭揃いであり、その巧みな連携により後方支援に当たっていたガンキャノン1機が瞬く間に撃破された。

 

黒い機体を撃破された上にランバ・ラル隊による奇襲を受けて大混乱に陥った連邦軍は、グレーに塗られた機体が殿を務めながら後退を開始する。

 

グレーの機体は、ヒルドルブによる砲撃と優れた連携を誇るランバ・ラル隊に囲まれながらも孤軍奮闘して2機のグフと3機のザクを撃破したものの、やはり多勢に無勢であり、ラル中佐が操るグフカスタムのヒート・ロッドを受けて動きが停止した瞬間にヒルドルブによる砲撃を受けて機体を中破させた。

 

これによって、戦いの勝敗が決した。私がそう思った瞬間だった。

 

我が軍の航空隊がホワイトベースを攻撃するために薄くなっていた防空網を突破し、カナダから4機のミデアが飛来したのである。

 

そこから降下してきた12機ものジムタイプが参戦すると戦況はまた一気に連邦軍の優勢となり、これ以上の交戦が困難となった我が軍は後退を余儀なくされたのであった。

 

……く、あと一息という所だったのに…。

 

だが、木馬とて無傷ではない。新型機とガンキャノン1機を失い、船もまたかなりの損傷を受けている。

ランバ・ラルに高い機動力を持つドムを中心とした増援を送れば撃破する事は十分に可能だろう。

 

残念ながら木馬の付近にドムの部隊はいないので、兄上達に相談して軌道上のアクシズから送ってもらうようにしなければ。

 

 

一一一一一一一一一一一一

 

 

side ザビ家定例会議

 

「申し訳ありません兄上。木馬の戦力は予想以上であり、ランバ・ラル隊は手痛いダメージを受けてしまいました。今の北米大陸での戦況で木馬を討ち取るのは困難であり、戦力の補給をお願いしたいと思います。」

 

「ほう。ランバ・ラルをもってしても苦戦するとはな……。木馬の力はやはり侮れんな、ガルマよ。で、どれくらい戦力が欲しいのだ?」

 

「ランバ・ラルが得意なゲリラ戦に持ち込むため、アクシズから高い機動力を持つドムを6機ばかり送って頂ければ十分撃破できるかと。」

 

「フム、ドムを6機か。まあそれくらいであれば構わんだろう……。」

 

「お待ちください。総帥!重モビルスーツであるドムはいまだに貴重です。それだけの戦力があるのならばより効果的な使い道があるはず!

ランバ・ラル隊へのドムの支給はお取り止めください!」

 

「キシリアか……、わかった。貴様の意見をくみドムを送るのは見送ろう。」

 

「な、本気ですか兄上?!」

 

「キシリアの言うとおりドムは貴重だからな。以上で定例会議を終了する。

言いたい事がある者は個別に連絡してこい。以上だ。」




ドムは送らない。(なにも送らないとはいってない。)

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