新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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6話 UC0069年2月 MS-01 モビリティ・スーツ

サイド3 ジオ・マッド社研究所

 

やあ……諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。

 

デラーズをアステロイドベルトに送り出して、寝正月も一段落したので今日はジオ・マッド社の視察に来ている。

 

ミノフスキー博士は以前に依頼した小型核融合炉の開発で忙しいようなので、今日はアイナの兄であるギニアスが研究所の中を案内してくれていた。

 

ギニアスと歩きながら経営統合についての現場の反応を聞いてみると、今まで各社が秘匿してきた技術が共有される事で次々と新しい技術が生まれており、そのお陰で好評との事だった。

 

元はロリコン疑惑を隠す為に提案したプロジェクトなのだが、上手く行っているようで良かった。

 

今日はその中で生まれたジオ・マッド社の製品第一号を見せてくれるという事だったのだが……。これ、プチモビじゃね??

 

驚きのあまり「ギニアス。これは先日私が貴様に話したプチモビのように見えるが?」と聞いてみると、

 

「はっ。ギレン閣下よりお聞かせ頂いたアイデアがあまりに素晴らしかったため、今回ジオ・マッド社の製品第一号として使わせて頂きました。閣下のアイデアを無断で使用した事、どうかお許しを……。」

 

などと神妙な顔で頭を下げてきた。別に俺のアイデアという訳ではないので問題はなかったのだが、せっかくの機会なので

 

「私のアイデアが今後ジオンの柱石を担っていくジオ・マッド社の役にたったというなら許すも何もない。MS-01 の形式番号とモビリティ・スーツの名称を与えその量産と販売を許可する。」

 

と告げ、その場を立ち去った。やべ……何か今の俺ちょっと格好よくね?

 

その後、他にも何か良いアイデアがないか聞かれたので、今度はメガ粒子砲とモビルワーカー01型のイメージについて簡単に説明した。

 

ミノフスキー粒子の兵器転用と人形の大型汎用作業機械というアイデアは斬新だったようで、どうやら次はこれらを開発する気になったようだ。

 

ククク……これは上手くやればガンプラをこいつらに造らせる事ができるかもしれん。

 

試しに試作モデルを送ってくれれば他にもアイデアを出せるかもしれないと伝えたところ、今後は試作モデルができ次第送ってくれる事になった。

 

せっかくなので、今後は継続的に俺が欲しいガンプラのイメージを送ってあげる事にしよう。

 

俺に利用されているとも知らずに喜ぶ愚かなジオ・マッド社の研究員どもを尻目に、研究所を後にするのであった。

 

 

一一一一一一一一一一一一

 

 

side ギニアス・サハリン

 

私はギレン閣下に初めてお会いした日の事を生涯忘れる事はないだろう。

 

ジオ・マッド社への技術顧問として抜擢して頂き、そのお礼に伺ったあの日の事を。

 

「この度、閣下のお力添えにより技術顧問としてジオ・マッド社に派遣される事になりました。ご推薦ありがとうございます。」

 

「ウム。技術顧問への就任おめでとう。まずは祝いの言葉を述べさせて貰おう。だがしかし、貴様はひとつ思い違いをしているようだ。」

 

「思い違い……でありますか?」

 

「そうだ。私は貴様が技術顧問として相応しい人材であるから推薦しただけであり、力添えなど何ひとつしていない。仮にアイナ嬢が私の許で働いていなかったとしても、私は同じように貴様を推薦しただろう。」

 

その言葉は妹を、アイナを差し出した対価として技術顧問に選ばれたと思っていた私に、とてつもない衝撃をもたらした。

 

「それは……身に余るお言葉、ありがとうございます……。」

 

「ふん、貴様の才能には期待しているのだ。そうだな……。その証としてこれをくれてやろう。」

 

その言葉の後、閣下より何やら手製の人形のようなものを渡され困惑していると、

 

「それはな、宇宙空間での作業やジャンクの回収などに使う作業用自走マニピュレーター・ポッドで、私が考えた『プチモビ』という物だ。

 

コックピットは360度回転式で良好な視界を確保でき、小型スラスターによりコロニー内でもジャンプや飛行が可能。また、作業用にメカニカルアームやレーザー・トーチを装備させる。

 

先日コロニーの外壁作業を宇宙服ひとつで行っている作業員を見て、このような物があれば楽だろうにな、と思い作ってみたのがその模型だ。貴様にくれてやろう。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「このように、アイデアだけなら私のような素人でも出すことができる。しかし、それを実現するには貴様のような優れた技術者の力が必要不可欠なのだ。故に私は貴様の活躍を期待する。」

 

「はっ!粉骨砕身の覚悟で努めます!」

 

「ふん。貴様の体の事は聞いている。無理をして倒れては今後に支障をきたす。粉骨砕身も良いが体に影響が出ない程度にしておけ。以上だ。」

 

「はっ!ありがとうございます!それでは失礼させて頂きます。」

 

閣下の部屋より退室すると部屋の前で控えていたアイナが微笑みながら話しかけてきた。

 

「お兄様。ギレン閣下へのご挨拶は無事に終わりましたか?」

 

「ああ。過分なお褒めの言葉を頂いてしまったよ。お前も元気そうで何よりだ。」

 

「はい。閣下のお陰で充実した日々を送らせて頂いております。この間などは閣下に……うふふ。やっぱりこれは内緒です。」

 

家では人形のように俯いている事が多かった妹が、ギレン閣下について楽しそうに話しているのが衝撃的だった。なので試しに、

 

「それは良かった。……アイナ。今日のご様子から見るにまもなく閣下は退院される事になるだろう。

お前が希望するなら、退院後もお側で働かせて頂けるようお願いしてみようか?」

 

と聞いてみると、「是非お願いします!お兄様!」と今まで見たことのない勢いでお願いされ、閣下との間に何かあったのかと聞きたくなってしまったのだった……。

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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