新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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まさかの三連投…次は一週間くらいはかかると思います。


62話 UC0079年11月 オデッサ作戦③◼️

やあ、ジオンの戦友諸君。 

 

第1地上機動師団、第3航空機動大隊を率いているハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐だ。 

 

ん?前回と、階級が違うって?

 

前回単独で連邦の陸上戦艦とモビルスーツ隊を撃破した功績を評価され、大佐に昇任したのだ。

 

本当はあまり階級が上がると前線に出にくくなるので昇任を断ろうと思ったのだが、ジオン軍は伝統的に指揮官がモビルスーツで戦場に出る事を許しているようなので昇任しておく事にした。

 

最近もガルマ閣下が自ら操縦するモビルスーツで連邦の木馬を仕留めたそうなので、大佐くらいならまだしょっちゅう前線に出ていても別に問題ないだろう。

 

ところで諸君は「雲霞の如し」という単語を知っているだろうか?

 

JAPANの言葉で、非常に多数の人が群がっている事を指す単語なのだが、オデッサの玄関口であるキエフの防衛を命ぜられた我が第3航空機動大隊の前に現れたのは、まさしく雲霞の如き連邦の大軍であった。

 

次々に現れる連邦軍を前に奮戦していた私の部隊だったが、次々と現れる連邦のモビルスーツにより、1機、また1機と撃破され、ついには副官であるガーデルマン中尉の機体まで損傷するに至っていた。

 

「ガーデルマン中尉、その機体ではこれ以上の戦闘は無理だ。後退しろ!」

 

「しかし、いくら大佐でも今回ばかりは数が多すぎます!」

 

「そうだ!だから早く後方に下がって違う機体に乗り換えて戻ってこい!休んでいる暇などないぞ?エリン!」

 

「っつ!公務中にファーストネームで呼ばないでください!わかりました。直ぐに戻ってきます。

……無事でいてくれないと許しませんからね!」

 

そういうと、ガーデルマン中尉のグフはまだ無事なスラスターを吹かして一気に後方へと下がっていった。

 

ふふ、ちょっとからかったら顔を赤くして可愛らしい奴だ。

 

普段はツンツンしているのに、ベッドの中では途端にしおらしくなるギャップも彼女の魅力だな。

 

さて、それではそんな彼女の分も連邦の相手をするとしようか。

 

そんな事を考えている間にも次々と現れるジムや61式戦車を、愛機であるグフカスタムで翻弄しながら連邦軍を駆逐していく。

 

「指揮車1、人型3、61式戦車6……ひとつはすぐそこか!」

 

周囲をスキャンした情報をもとに、すぐ側まで近づいてきていた61式戦車の上までジャンプして、機体の重量で61式戦車の車体を踏み潰す。

 

「まずは目を潰す!」

 

私の急襲に対応できていない連邦軍に向け135mm対艦ライフルを速射し、戦闘指揮車ブラッドハウンドとその隣に立っていたマヌケな人型を粉砕する。

 

指揮車とその護衛を最初に仕留められて動揺する連邦軍にジャンプで一気に近づくと、空中から左手のガトリングシールドで61式戦車の薄い上面装甲を次々と撃ち抜いていった。

 

1、2、3、4……。4両の味方をやられてやっと混乱から立ち直った連邦の人型から、私の機体めがけビームの光芒が立ち上る。

 

だが、そもそも狙いが正しく定まっていないようで、2機のモビルスーツから放たれたビームは見当ハズレの場所を貫いてむなしく消えるだけだった。

 

「怯えろ、竦め!モビルスーツの性能を活かせぬまま、死んで行けぇッ!」

 

何故か心に浮かんだそんなセリフを口にしながら、右手に搭載されたヒートロッドを右側に立つ敵機に向けて解き放つ。

 

敵モビルスーツへと接触したワイヤー状のヒートロッドは、そこから流れる高圧電流で敵機の精密機器を瞬時に破壊し活動を停止させる。

 

その隙に反撃を試みた最後の人型の射撃を機体を捻る事で難なく回避すると、引き抜いたヒートソードを敵機に向け投擲し、コックピットを貫かれた機体は一度痙攣のようにびくりと機体を震わせたあと、そのまま動きを止めた。

 

さて、後は61式が1両いたと思うが……。

 

最後の1両を探すために周囲を再度スキャンした私は、その結果に思わず動きを止める。

 

「ビッグトレー級1、人型24、タンクもどき8、61式戦車が40だと……!」

 

く、先程までの連中は単なる露払いでしかなかったのか…。

 

だが、まあ良い。あの程度なら別に問題ないだろう。

 

連邦のひよこなど何匹いようが我らジオンの精鋭の敵ではないのだから。

 

「エリン、戻ってくるのが遅くなるとまた全ての獲物を私がもらってしまう事になるぞ?」

 

 

 

 

 

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

 

本当は我が軍の窮状を諸君に知って貰おうと思ってキエフの戦況をお見せしたのだが、どうやら見せた場所がよくなかったようでキエフはこのまま普通に防衛できそうな勢いだった。

 

なんだよあのチートは、なんか一人だけ違う世界線からやって来てない?

 

まあキエフの他にも何ヵ所か善戦している場所はあるものの、全体としては甚だ劣勢であり、我が軍は各地で後退を繰り返していた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

もうそろそろ切り札を切りたいところなのだが、準備が完了しないで使うと効果が薄くなるからな……。

 

「ギレン総帥、ご報告します!」

 

オデッサの司令室で目を閉じて瞑想していた俺のもとにデラーズから通信が入る。

 

「戦略海洋軍及び戦略機動連隊の再配置が完了しました。また、例の極秘コードを広域通信で展開するためのルッグン隊や連邦の戦線を突破するための機動打撃連隊、アプサラスⅢの配置も整っております。」

 

「ウム、良かろう…。ではこれよりパンドラ作戦を開始する。目標は連邦、オデッサ攻略軍だ。」

 

 

一一一一一一一一一一一一

 

 

side ヨハン・イブラヒム・レビル

 

 

「レビル将軍!ジオンから謎の通信文が広域通信で流されております!」

 

「『ロシアンティーを一杯。ジャムではなく、マーマレードでもなく、蜂蜜で。』か、何だこの通信は?潜伏しているゲリラへ向けた符牒かね?」

 

「私には解りかねます。ゲリラへの合図であれば、これほど大規模に流しては意味がなくなると思うのですが……。」

 

「フム、それもそうだな。だが、そうなると余計にわからんな。いったい何が目的で……。」

 

「何だと…それは本当か!将軍!!」

 

「今度はいったいどうしたというのかね?」

 

「ジオンの通信を聞いた我が軍のモビルスーツが、全て動きを停止しました!」

 

「な…何だと?!!」

 

「戦闘中や整備中のものも含め、通信を傍受した全ての機体が突然動きを停止して此方の入力を全く受け付けません!

技術部の話ではどうやら先程の通信文がOSの非常停止コードになっていたのではないかとの推察です!!」

 

「馬鹿な…!!何とか解除できないのか?!」

 

「今まで気付かれなかった事からプログラム内部にかなり巧妙に隠されているようで、短時間での解除は困難との事です…。」

 

「困難だろうがなんだろうがやらせろ!OS無しで機体を動かす事はできんのか?!」

 

「反応炉の制御等もOSが担当しているため、OS無しでの起動は不可能です…。」

 

「なんという事だ…。!!いかん!全軍を一時後退させろ!ジオンの連中が一気に仕掛けて来るぞ!」

 

「は、はい!」

アイナ様に似合いそうな機体は?

  • アプサラス
  • ビグ・ラング
  • ビグ・ラング(ビグロの部分がビグザム)
  • アプ・ラング(ビグロの部分がアプサラス)

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