新・ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
クリスマス投稿を目指していましたが間に合いませんでした…orz

また、本話にあわせて71話を改装しております。よろしければ71話からお読みください


72話 UC0079年12月31日 漆黒の死神

漆黒の宇宙を無数のビームの光芒が飛び交う。

 

それは高濃度のミノフスキー粒子に満ち溢れたサイド3宙域において、ジオン本国防衛隊に残された最後の実動戦力である9機のゲルググと、マレット・サンギーヌ率いるグラナダ特戦隊のアクト・ザク28機が織りなす、死闘の軌跡だった。

 

ジャブロー攻略を目指すジオン公国軍の主力が地球軌道にいる隙をついて蜂起したキシリア・ザビ率いる反乱軍は、その戦力の大半をこの宙域に投入していた。

 

反乱軍はアイナ・サハリンの操る試作モビルアーマー、ノイエ・アプサラスによって半数近い戦力を失ったものの、マ・クベ率いるニュータイプ部隊を投入した事により形勢は逆転、マレット率いるグラナダ特戦隊はジオン本国防衛隊を蹂躙しつつあった。

 

「ククク、圧倒的じゃねえか!我が部隊は!」

 

マレットの高笑いが通信回線に響く。

 

「数で劣る正規軍など、所詮その程度。さぁ、全機突撃!ギレン・ザビの走狗どもを殲滅せよ!」

 

アクト・ザクの大群がゲルググ部隊を包囲し次々とビームライフルを放つ。

 

「くっ、数が違いすぎる!各機散開、敵に囲まれるな!」

 

ゲルググ部隊の指揮官が叫ぶ中、すでに2機のゲルググが撃墜されていた。

 

他の機体も圧倒的多数のアクト・ザクに囲まれ、包囲網は次第に狭まっていく。

 

「哀れなザビ家の犬どもよ、これが我等の怒りだ!」

 

マレットの嘲笑が続く。しかし、その時だった。突如として全チャンネルに力強い声が響き渡る。

 

「 忠勇なる我がジオン公国軍の将兵達よ。 連邦からのスペースノイド弾圧によって始まったこの戦いもいよいよ終わりの時を迎えた。難攻不落を誇ったジャブローは我等の手に落ち、強大な戦力を誇った連邦艦隊さえ宇宙の藻屑と消えた。

 

まして醜い裏切り者であるキシリア率いる軟弱の集団がどれほどの戦力を有していようと、我等栄光あるジオン軍に勝利することなど出来ないと私は断言する!

敢えて言おう、カスであると!!」

 

突如としてはじまった演説にマレットは目を見開いた。

ジオン本国の通信回線に割り込み、演説を始めたこの声の主はすぐに判明した。

モニターに表示されたその人物の名は……ギレン・ザビ。

 

誰もが知るジオン公国軍の総帥であった。

 

ギレンが演説する間もアクト・ザクとゲルググの戦闘は続いていたが、そこに現れた新たな部隊により形勢は一変しつつあった。

 

アクト・ザク部隊の後方に、長距離侵攻用に改修されたゼーゴックによって牽引された9機のリックディアスと赤く塗装されたガンダムが出現したのだ。

 

「見せてもらおうか、反乱軍のモビルスーツの性能とやらを」

 

シャアの声が凍てつくように冷たく響く。

 

「なっ!あれは赤い彗星!?」

 

マレットの声が震える。

 

シャアのガンダムが閃光となって敵陣に突っ込む。ザクの3倍の速度で疾走するガンダムの軌跡が、赤い残像となって宇宙空間に描かれる。

 

勝利を確信していた反乱軍の将兵は突如としてはじまったギレンの演説に激しく動揺しており、その隙をついたガンダムにより4機のアクト・ザクが撃墜された。

 

また、ガンダムと伴に現れたリックディアスのパイロットもシャアには及ばないもののベテラン揃いであった。

 

リックディアス隊による最初の一斉射撃によって10機近いアクト・ザクが撃破され、それによって数的な優位を失った反乱軍は、動揺から立ち直る事ができないまま次々と撃破されていった。

 

それはマレット自身が率いる小隊も例外ではなく、シャアの操る赤いガンダムによって部下達は壊滅しつつあった。

 

「こんなのは認めん…俺はこんな事絶対に認めん!敵はたかだか10機ではないか!数では我が方が勝っているのだ!」

 

マレットが叫ぶ。しかし、それは虚勢に過ぎなかった。

 

「マレット隊長、このままでは全滅です!後退を!」

 

部下がそう進言する。しかし、それはマレットにとって受け入れ難い事だった。

 

「馬鹿者っ!この俺が敵前逃亡など出来るか!」

 

マレットは極秘裏に渡されたアンプルを自身に注射すると、狂気じみた叫び声を上げながら、赤いガンダムへと突進する。

 

パイロットの帯びる狂気とは裏腹にアクト・ザクが描く軌跡は、まるで芸術のように洗練されていた。

 

急加速と急減速を巧みに使い分けると、ガンダムの射線から巧妙に外れながら接近していく。

 

「この反応!…只者ではないな!」

 

シャアの声に、僅かな驚きが混じる。

 

マレットの操るアクト・ザクは、ビームライフルによる射撃を巧みな機動で回避すると、お返しとばかりにビームライフルを撃ち返す。

 

「流石はグラナダ特戦隊の隊長、やるものだ!」

 

「当然だ!俺はキシリア様の騎士!俺には勝者の運命が用意されているのだ!」

 

そう叫ぶとマレットのアクト・ザクは、限界を超えた反応でガンダムのビームライフルを躱しその懐へと潜り込む。

 

「 止まって見えるぞ!」

 

「ちい、認めたくないものだな!自分自身の過ちというものは!」

 

狂気に犯され限界を超えたアクト・ザクのヒートホークがガンダムの装甲に突き立とうとした瞬間、それは訪れた。

 

「なに!この俺が被弾しただと?!」

 

アクト・ザクの死角に入り込んでいた赤いリックディアスがマレット機の脚部を狙撃したのだ。

 

「ふふ、さすがの赤い彗星も手こずる事があるんだねぇ」

 

「シーマ大佐…」

 

「子供の使いじゃないんでね。ここからはあたしも手伝わせて貰うよ。」

 

そう言うと、赤いリックディアスの持つ試作型のビーム・マシンガンと頭部バルカン・ファランクスがマレット機へと降り注ぐ。

 

「あたしの前に出てこなきゃあ、もう少し長生きできただろうにねえ!」

 

「くっ…この程度でこの私が!」

 

アクト・ザクは必死に回避運動をとるものの、先程の狙撃により脚部を損傷した影響で次々と被弾していく。

 

「このメガ・ビームランチャーならば、あたれよ!」

 

シーマの攻撃を回避するのに精一杯のアクト・ザクに向け、ガンダムが装備するメガ・ビームランチャーから巨大な光線が放たれる。

 

マレットは最後まで回避を試みたものの、損傷したアクト・ザクでは回避する事はもはや不可能だった。

 

「私が…この私が…!」

 

まばゆい光が宇宙を貫き、マレットの機体は塵も残さず消滅した。

 

「マレット隊長が…!」

 

「撤退!撤退だ!」

 

指揮官を失った反乱軍は、ついに戦意を喪失し、残存するアクト・ザクはバラバラな方向へと逃走を開始した。

 

「助かりました。シーマ大佐」

 

「フフフ、あの赤い彗星にお礼を言われるとはねぇ…。しかし、これでこの戦争もやっとけりがつきそうだ。戦争が終わったらあんたはどうするんだい?キャスバル・レム・ダイクン?」

 

「まだ何も決めておりません。他に食べる方法を知らないもので。こんな有様ですので、いまだに彼女さえおりません。」

 

「あはは…そうかい、貰い手がいないならアタシが貰ってあげようか?さて、もうひと頑張りだ。全機ギレン総帥の支援に向かうよ!」

 

「は、了解しました!」

 

 

 

「アイナ様!右翼から足なしが接近します!お気を付けください!」

 

ノリスの切迫した警告が響く中、ノイエ・アプサラスの巨体が宇宙空間で旋回する。周囲では幾筋ものビーム光線が交差し、まるで死のカーテンが張り巡らされたかのような光景が広がっていた。

 

ノリス・パッカードの操るグフは、度重なる戦闘により多くの武装を失っており、推進剤の残りもあとわずかであった。

 

だが、それでも卓越した操縦技術でマ・クベの操るギャン・エーオースとニュータイプ部隊の操るジオングの集中攻撃からアプサラスを守り続けていた。

 

「だが、このままではアイナ様が!」

 

主を危険に晒した己の不甲斐なさにノリスが歯を食いしばる。

 

次の瞬間、死角から迫る2機のジオングに気付くも、もはや回避する余裕はなかった。

 

「ノリス!」

 

アイナの叫び声と共に、アプサラスのIフィールドジェネレーターが最大出力で稼働する。

 

巨大なビームバリアが展開し、ジオングの一斉掃射から、ノリスの機体を守った。

 

その瞬間。

 

「それでビームは防げても格闘攻撃は防げまい!」

 

マ・クベの声が響き、彼のギャンが閃光と共に急接近。アプサラスの死角から繰り出された一撃が、最後に残ったIフィールドジェネレーターを直撃する。

 

「フィールドジェネレーター損傷!Iフィールド、展開不能!」

 

アイナの前で警告表示が次々と点滅する。

 

「アイナ様!これ以上は危険です!お下がりください!」

 

ノリスの叫びも空しく、周囲に展開していた5機のジオングがアプサラスに向けて一斉に照準を合わせる。それぞれのメガ粒子砲が充填を始め、黄色い光を放っていく。

 

「これで終わりだ、ギレンの従者よ!」

 

マ・クベの声に、怒りが滲む。

 

その次の瞬間、宇宙空間に轟音が響き渡った。

 

巨大な黒い機体が、アプサラスの前に立ちはだかったのだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

漆黒の装甲に金色の装飾が輝く、その姿はモビルアーマーというより最早芸術品でさえあった。

 

「あれは…ノイエ・ジール!?」

 

その機体に乗っているであろう男を推測し、アイナの声が喜びに震える。

 

「アイナを、我が半身を、貴様らごときが倒せると思うか!」

 

普段の仏頂面を何処かに投げ捨てたかのようなギレンの怒声が全通信チャンネルに響き渡る。

 

次の瞬間、ニュータイプ部隊の操るジオングのメガ粒子砲がアプサラスに集中したものの、それを守るかのように立ち塞がったノイエ・ジールのIフィールドによってメガ粒子は空中で屈折し、宇宙空間に飛散していく。

 

「ギレン様!」

 

アイナの声に安堵の色が混じる。

 

「アイナ、ノリスよ、良くぞ持ちこたえた。後は私が引き受けよう」

 

ギレンの声には静かな怒りが滲んでいた。

 

「総帥閣下、アイナ様を危険に晒してしまい申し訳ありません」

 

ノリスの声に悔恨の色が混じる。

 

ノイエジールの装甲の下から複数のサブアームが展開し、ビームの刃を創り出す。その姿は、まさに戦場に現れた死神そのものだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「マ・クベよ、我が半身と忠臣に刃を向けた報いを受けるがいい!」

 

ギレンの叫びと共に、ノイエ・ジールから無数の光条が放たれる。漆黒の死神による裁きが、戦場に下されようとしていた。




あと一話で本編は終了し、その後エピローグを投稿する予定です。

この作品に出ていないキャラも私が思いつく範囲でエピローグに登場させる予定です。


ガデムが戦後モビルスーツ学校の教官に
コンスコンに13人の娘が誕生
シャリア・ブルとシムスが結婚
カミーユがファと一緒に株式会社「エゥーゴ」で働いている中でフォウと出会う

挿し絵について
ノイエ・ジール Twitter「ル・クルーゼ@ソレスタルビーイング祭り」様の作品を許可を頂いて使わせて頂きました。

本来はシャア専用機なので赤色なのですが、作者の趣味で色を変更しております。 ル・クルーゼ様は素晴らしいクオリティの作品を大量に作られているので是非一度ご覧になる事をオススメします。

エピローグを読みたいのは次の中どれ?

  • イグルー
  • ジオニックフロント
  • MS08小隊
  • 戦慄のブルー
  • ミッシングリンク
  • ガンダム戦記
  • ポケットの中の戦争
  • 0083
  • Zガンダム
  • ユニコーン
  • サンダーボルト
  • ルーデル閣下
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