機械神伝説ー桃太郎ー   作:オウガ・Ω

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閑話 アレン・ニーティー・オーガスティア

「……………」

 

 

早朝、まだ辺りに朝靄が残るこの場所に人影が見える

 

薄い青髪に変わったメカ?が着いた民族衣装を纏った少年が限界まで引き絞った矢を的めがけて撃つ

 

風切り音を鳴らし矢は吸い込まれるように的、巨岩に穿たれ次の瞬間粉々にくだけフウっと息をつき次の矢をつがえた時

 

 

「アレン!朝ごはんできたで~!!」

 

 

「え?もうそんな時間なの!」

 

 

あわてて弓の握り手部分を強く握りしめる、するとガチャガチャと音を立てみるみるうちに一枚のカードになるそれを腰のカードホルダーへ入れ少年…アレン・二ーティは大阪弁混じりの言葉で自分を呼ぶ少女の元へかけていった

 

 

「…【王都】へ戻るってずいぶん急なんですねアンジュ様」

 

 

「うむ、おそらく件の星…【テラン】で四年前に置かれた我らの拠点が二十も破壊されたのに関する神将会議だろう…幸い無人での派遣だったから人的被害はゼロや…それよりもや」

 

 

「う、うわあ?」

 

 

「二人っきりの時は我に【様】をつけるな!アレン・二ーティ・オーガスティア////」

 

 

朝食を食べ終え一息つく僕をアンジュ様が強引にベッドへと押し倒され耳元でそっと呟く…でも様づけで呼ばないと他の鬼神将様方に示しがつかないし

 

 

「で、でも…アンジュ様」

 

「…ア・ン・ジ・ュ・や♪」

 

 

 

 

 

アンジュ様の体温と呼吸…白く長い髪からの甘い香りでふわふわした感にとらわれる僕を強く抱き締め呟く…こうなったら諦めるしかないかな

 

 

「う、アンジュ…」

 

 

と呟くと顔を上げほほを赤くし笑顔で見てくるアンジュさ、アンジュはしばらく抱き締めてからようやく離れる

 

 

「く~アレン分補給完了や…これであの辛気くさい鬼神将会議に耐えれるわ」

 

 

「そんなに辛気臭いんですか鬼神将会議って」

 

 

「当たり前だ!毎回毎回軍備増強だの世継ぎは誰にするかに無駄な時間を消費するしかない会議など行く気もないわ!」

 

 

「ご、ごめんなさい…でもこの四年間会議に出なかったのは僕の怪我を診てたからですよね」

 

 

ベッドに腰掛けそう呟くアレンの肌が見える部分には切傷や火傷の痕がうっすらと浮かぶのをみてアンジュの顔が一瞬曇る

 

 

「き、気にするでないアレン!それに…我は…」

 

 

―アンジュ・オーガスティア様、鬼神将会議の時間が迫っています―

 

 

「…わかった…すまんアレン我はこれからいかんとならん…」

 

 

通信用のウィンドウを閉じアンジュは隣から立ち上がりクローゼットを開き服取り着替えその上に黒を基調とした甲冑を纏う、最後に白地に黒い六枚の翼が描かれたマントを羽織り翻す

 

 

先程まであった少女の面影は消え将としての顔になると転移ゲートへと歩くが立ち止まり振り返る

 

 

「アレン、帰ってきたら我に久しぶりにあの美味しいのを作ってくれ」

 

 

「魚介たっぷりの鍋用意して待ってるよアンジュ」

 

 

「あ、ああ///では行ってくる…アレン」

 

 

笑顔を浮かべるアンジュは光と共に【王都】へ向かうのを僕は見送り光が消えたのをみてから部屋の片付けを始める

 

 

「アンジュ様と暮らすようになって四年経つんだね…」

 

 

誰に言うでもなく呟くと掃除機を起動させオートで任せながら彼女、アンジュ・オーガスティア様と僕が出会った日を思い出した

 

 

―ん?こ…こ…は?―

 

 

 

―目が覚めたか?―

 

 

記憶が混濁し不思議な液体に包まれた僕の眼前に白く長い髪の女の子が心配そうにポットの半透明の隔壁に手を当て問いかけてきた

 

 

―あなたは?―

 

 

―…我はアンジュ・オーガスティア…お前の名はなんだ?…―

 

 

―僕の…名前…僕は…ウッ!―

 

 

名前を思い出そうとした瞬間なにかが断片的に浮かぶ

 

 

眩い光、誰かに覆い被され視界が真っ暗になる、何かが焼ける匂い、血の匂い、黒く焦げた車、そして…ソシテ……

 

 

―ウウ!ウウアアアアア……!?―

 

 

―ど、どうしたのだ!御典医殿早く来るんや!!―

 

 

激しい頭痛に苦しみながら聞こえたオーガスティアさんの言葉を最後に僕は意識を手放し目が覚めると病室?のベッドに寝かされ起き上がろうとしたとき違和感を感じ手を見ると

 

 

「~~~~~」

 

 

白く長い髪の女の子が僕の手を握りながら眠っている…何でと思った時ゆっくりと顔を上げしばらくぼ~っとしていた目がみるみるうちに驚きに代わりいきなり大粒の涙を流し泣き出した

 

―よかった、よかったわ~もし目冷まさんかったら我は、我は…(あの者たちとの約束を…)―

 

 

泣きじゃくるオーガスティアさんを見て胸の奥で何かが痛む

 

 

―あの、オーガスティア…さん?泣かないで―

 

 

―な、なんだ…我は泣いてなどな…え?な、何を!?―

 

 

―僕なら大丈夫だから…ね?…―

 

 

―バカ者、傷はまだ癒えておらんのや…―

 

 

なぜかわからないけど僕はオーガスティアさんが涙を流すのを見るとすごく心が痛んだ…だから傷が痛むのにか変わらず優しく抱き締めてしめていた

 

 

昔僕がなくと誰かがこうして泣き止むまで抱いてくれたからだからこうしたんだと思う

 

 

しばらくしてオーガスティアさんは泣き止んだけどもう一つの問題があったそれは

 

 

―記憶喪失?―

 

 

―おそらく心のどこかで思い出さないようにしているかあるいは脳に重大な損傷を受けたかによるものかと…後者の方は検査結果から無いと判断します…外見からして9~10歳前後で体力は信じられませんが我らに近いものを計測しました―

 

 

 

―そうなんか、なら我がこの子をアレン・二ーティの身元引き受け人になろう…―

 

 

―あの、アレン・二ーティって?―

 

 

僕が尋ねると少し顔を赤くしそっぽを向きながら

 

―ね、寝言で、『にぃてぃ…あ…れん…』って呟いておったからつけた名や…だから今日からアレン・二ーティ…我の名を付けてアレン・二ーティ・オーガスティアや!―

 

 

―アレン……二ーティ……でも何でオーガスティアさんの名前があるんで…グハ!―

 

 

―わ、我からそのようなことを聞くでない!……(小声)お前に姓を与えたのは、わ、我の伴侶になるのだからな…////―

 

 

ボディに重い拳が決まりあまりの痛みに気絶する寸前に顔を赤くしながら呟いた言葉を聞きながら意識を手放した

 

 

――――――――

――――――

 

 

「…記憶がない僕を身元を引き取ってくれて自分の姓を与えてくれたアンジュ様には返しきれないほどの事をしてもらった…僕はアンジュ様にいつか恩返ししなきゃいけないな…」

 

 

そう呟くと僕は台所に立ち鍋の用意を始めた

 

 

――――――――

―――――――

 

 

王都

 

 

同 鬼神将執務室

 

 

「…なんなんやあの決議は!……………しろやと!!」

 

 

「お、落ち着きなよアンジュ~」

 

 

「そうですよ、何もすべて―――しろって意味じゃないです…私たちと………の状況は刻一刻と悪化してるのですよ?」

 

 

「わかっとる…でもあのやり方は『アイツら』と同じや!!」

 

 

ダンッと机を叩くアンジュの姿から怒りのオーラが立ち上がる…先程開かれた『鬼神将会議』でテラン…――――に対する戦略に対し怒る気持ちはわかります

 

 

「でもさあの白い巨神…ムモムモッアローがボクたちの拠点でガ・ロズ、ガ・ナー、ガ・オを叩き潰す姿をみたら仕方ないよアンジュ」

 

 

「…あの白い巨神は私達の星『オルガス』に伝わるムモムモッアロー、キィンツアロー、ウルスムツアロー、スーシイジュウ、オーディアスの内一体と酷似しています」

 

 

手元の球体を操作し光が浮かび写されたのは白い巨神…モモタロウが鬼達の機動兵器を蹴り砕き、殴り潰し、切り裂くその度に装甲やオイルが撒き散らされる映像に体を震わせる三人

 

 

「…ですがまだ一体しか目覚めてない今の内に倒せば……」

 

 

「!なら我が行く…今から第二次テラン派遣軍へ参加申請を出してくる!そしてあの白い巨神を我が倒してくる!!」

 

 

そう告げ椅子から立ち上がるとそのまま部屋から出ていくアンジュの姿を見送り私たちは深くため息をついた

 

 

「ねぇねぇ、アンジュったら何でテランへ肩入れするのかな?やっぱり四年前の『テラン人調査作戦』の時、命令違反して連れてきたテラン人の子…」

 

 

 

 

 

「ライカ、あまりここでソレをしゃべったらいけません…この四年間、会議への招集を拒否し続けたせいでアンジュの立場は危ういんですよ?」

 

 

「あ、そうだった…それからだよねアンジュが丸くなったのってさ~」

 

 

「…そうですね『黒翼の殲滅姫』『漆黒の恐怖』アンジュ・オーガスティアの心を変えさせたテラン人の少年…会ってみたいですね」

 

 

「そうだね~」

 

 

笑いながら水色の長い髪を触るライカを見ながらしばらくして私達はアンジュの執務室から去っていった

 

 

――――――――

―――――――

 

 

「ただいまや~」

 

 

「あ、お帰りアンジュさ…アンジュ…今日はとびっきりいいお魚が手に入ったから刺身もあるよ」

 

 

「刺身!食べる!!刺身は我の大好物なんや~!!」

 

我は来ていた服を素早く脱ぎ私服へ着替えアレンと共に席に座り手を合わせ

 

 

「「いただきます!」」

 

 

 

 

といい箸をとり鍋のふたを開ける、いい匂いが鼻をくすぐり食欲をかきたて碗に具を入れ冷ましながら口へいれる

 

具から染みでた味がすうっと口に染み渡り喉を通る…はあ、この鍋はいつ食べても美味しい

 

 

四年前に意識を取り戻したはいいんやけど記憶喪失になったアレンが唯一思い出したんはこの鍋料理と弓術だけ…偏食気味やった我を見兼ね様々な工夫がしてあるのかわからないけど食べる度に幸せな気分になる

 

 

家族がいない我にとって初めての暖かい食事に思わず涙を流してしまった我を慌てて慰めてくれたアレンの暖かさは我には大事な存在になっていた

 

 

だが記憶を取り戻したらと思うとすごく怖い…今の生活が砕けアレンは我に…

 

 

「どうしたんですアンジュ?今日のご飯美味しくなかったですか?」

 

 

「い、いや美味しいぞ!いつもより数倍美味しいぞ!!」

 

 

ごまかすように箸を阿修羅のように乱舞させ口へ運ぶ我をじーっと覗くアレンやったけどすぐに箸を勧めやがて全部を食べきり後はお風呂にはいるだけになった

 

 

「アレン~先にお風呂入ってきいや~」

 

 

「は~い…でも前みたいにいきなり入って来ないでね」

 

 

「そ、そんなこと我がするわけないやろ!」

 

 

「…絶対に入ってこないでよ…」

 

念押ししながら浴場へ向かうアレンを見送るとしばらくしてからアレに着替え予め仕掛けてあった転送式を発動させる

 

 

さてアレン、今日こそ我が隅から隅まで…フフフフフ…アハハハハハハハ~!!

 

 

――――――――

―――――――

 

 

「ウ!なんかやな予感が…まさかね」

 

 

広すぎる湯船に体を浸かりながらお湯をパシャっと肌にかけ見る…うっすらとだけど火傷や切り傷のあとが浮かび上がる

 

 

意識が目覚めて四年の間オーガスティアさんと一緒に暮らしながらリハビリにずっと付き合ってくれた

 

もちろん日常生活、特にお風呂の時だけは嫌だった…体があまり動かなかったから仕方なかったんだけど『あそこ』まで洗おうとするから必死に抵抗したのは今でも覚えている

 

 

あの時のオーガスティアさんの目は翡翠色の瞳を爛々と輝かせていたからスゴく怖かったし…と考えたとき背後に気配を感じ振り返ったとき

 

 

「フッフ~つ~かま~えた♪」

 

 

光と共に面積が少ない水縞柄の紐水着を着たアンジュさんが抱きついてきた

 

「ア、アンジュさんッ!?は、はなしてください?当たってますから!?」

 

 

「何が当たってんや~?」

 

「そ、その…む、む、」

 

 

胸が当たってるって言おうとするけど先が言えない…言おうとするとさらに頭を胸に押し付けられ挟まれる

 

 

「なあアレン。あの日、アレンが目ぇ覚ました日に泣いた我を抱き締めてくれたやろ…我ら『オルガス』の女にとって男からされるアレはな…『婚姻』を意味するんや」

 

 

「ふぐ!ふぐううう!?(こ、婚姻!?)」

 

 

いまだに暴れもがくアレンを再び抱きしめ呟く

 

 

「つ、つまりや…アレンと我は…もう夫婦になっとるわけや…やからな…その…アレン?」

 

 

「キュウウウウウ~」

 

 

違和感を感じ見ると鼻から滝のように血を流すアレン…以前もこんな風に乱入したら鼻血を出してしまったことを思い出し苦笑いしながらそっと抱き上げた

 

四年前は筋肉があまりなかったのに今はがっしりしてる…あの頃は我が肩を貸さないとキッチンにたてなかったのに今はしっかりと立ち主夫もしながら弓の練習もこなしてる姿を見て胸が熱くなる日々を過ごした

 

四年振りにアレンを寝間着へ着替えさせ寝室へ運び寝かせ隣へとスルッと潜り体を合わせ頭を胸にのせる

 

暖かい温もりと心地よい鼓動を感じながらいつの間にか眠ってしまった我は久しぶりに『あの日』の夢を見た、次の日の朝、目を覚ますと横に眠るアレンが鼻血を出して気絶している

 

 

「…この分やとアレンにいつあげれるかわからんやないか…まあ気長にまつか…我の愛しき夫よ」

 

 

そう呟き頬へ軽くキスすると再び眠りについた

 

 

 

幕間 アレン・二ーティ・オーガスティア

 

 

 

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