機械神伝説ー桃太郎ー   作:オウガ・Ω

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「じゃあこれならどうだ!」

何度目がになる声が整備班が働く格納庫に響く。声の主はモモタロウの装者《叶桃矢》、その前には熊型ロボ、鹿型ロボ、猪型ロボが今か今かと待ちわびるように耳を傾けている

「クマックス、オーシカ、イノック……どうだ気に入ったか?」


「「「フルフルフル」」」

「またダメか?今度のはいかした名前だったにな~ならこいつは…」

うなだれるも元気を取り戻した桃矢、今彼が何をしているのかというと、キンタロウを構成する機神獣に名前をつけようと悩み抜いた名前の数々、それを最初面白そうにみていた整備班《チーム虎》の反応は


(桃矢さん、ネーミングセンス壊滅的だ)

(…名前って言えばタロウも桃矢さんが決めたんだよな)


(この前なんか、炎凰に《焼き鳥》って名前をつけようとしてたな)


ひそひそ話す整備班の声は届かず,桃矢は三体の機神獣の名前を必死に考えていた



第八話 外道!ファナティカーズ!!

「………」

 

 

「源三先生、彼らの修復は?」

 

「正直、かんばしくないの」

 

ヴァルキリーズ極東支部、最下層エリアのある区画では先の戦闘で傷ついたキジット、シロ、ゴクウ達の自己修復作業がリトス司令、源三の手により進められていた

 

「外傷は完治したが、内部メカニクスはまだ完全には修復しておらん。アキツキ・インダストリアルでもお手上げに近いようじゃ」

 

 

「…今の技術では修復は不可能と言うことですか…先生。先史文明人…テラン人は、何故機械神を生み出したんでしょうか」

 

「各地のテラン人に由来する遺跡内にあったのを解析した推論じゃが。テラン人は鬼たち以上の大きな驚異と戦う、いや守るために生み出したんじゃろう」

 

 

「大きな驚異?」

 

 

「炎凰君がいっておった《邪悪なる神》が関与してるかもしれんが、今は鬼との戦いをどうにかせねばならん……」

 

 

「…はい」

 

 

―リトス司令!―

 

 

「どうした?」

 

 

―現在、基地周辺に高密度ECMが展開されてます!あと施設セキュリティーロックが解除されていきます!!―

 

 

「!直ちに一般職員をシェルターへ避難!警備職員は周囲に警戒を!!」

 

警報が鳴る中、中央司令室へ急ぎ入り指示をとばしていく…が、正面スクリーンがノイズ混じりに映し出された

 

『……ああ~テステス!もしもし聞こえますかヴァルキリーズの諸君…』

 

気だるそうな声が極東支部施設に響き、それは整備エリアで新たな金剛神キンタロウを構成する機神獣に整ネミーングセンス皆無の名前をつけようとして整備班に呆れられうなだれていた桃矢にも届いた

 

「な、何だ?何かあったんだ!?」

 

 

「虎主任!整備エリアのセキュリティーシャッターが解放されていきます!!」

 

 

「今すぐ、システムとメインフレームを切り離せ!」

 

「……今の声は……まさか!!……」

 

 

ぼそりとつぶやく桃矢…その声は凍てつくように冷たく鋭く突き刺さるように指示を飛ばす虎にも届く、その瞳には激しい怒りと憎しみが渦巻く

 

 

「虎、みんなをシェルターに連れ避難するんだ!絶対にバラバラで行動するな!オレは司令室に向かう!飛鳥には俺から連絡が来るまでじいさん家に居ろって伝えてくれ!!」

 

「ま、まってくれ桃の旦那!理由を聞かせてくれ!!」

 

「速くするんだ!でないとーーーーーーー!」

 

 

「っ!?」

 

鬼気迫る顔の桃矢から告げられた言葉に目を見開く虎を残して司令室へ駆けていく姿をただ見送るしかなかった

 

 

第八話 外道!ファナティカーズ!!

 

 

ヴァルキリーズ極東支部、同司令室

 

 

『ノックしてもしも~し~聞こえてるかな~』

 

「聞こえているわよ…」

 

『んん~その声はもしかしてリトスちゃんじゃないですか~久しぶりだねだね~正確には《四年ぶり》かな?』

 

「………そうね」

 

 

『おやおやつれないな~せっかくの士官学校同期が再会したってのに、それはないなあ~』

 

 

「無駄話はいい加減ヤメにして本題にはいりましょうか。国連軍対鬼殲滅部隊《ファナティカーズ》司令ヨシアキ・F・トオミネ大佐。なにが目的でここへ来たのかしら」

 

ふだんと変わらない態度で話すリトス…しかし周りの隊員たちには何時もよりピリピリとした雰囲気を感じている中、ノイズ混じりの正面スクリーンに映し出された人物《トオミネ大佐》がニヤリと笑いながら口を開いた

 

『嫌ね~君たちが最近面白いオモチャを手に入れたと聞いてね~クソビチ鬼を簡単に粉砕する白いロボットと赤いロボットを俺らの部隊ファナティカーズに引き渡してもらいたいんだ。救助隊擬きのヴァルキリーズには宝の持ち腐れじゃん?有効に使えるのはファナティカーズだけなんだ。わかるかなリトスちゃ~ん?』

 

 

「…………有効に使う?……昔から変わっていないみたいねトオミネ大佐。単刀直入にいうわ、あなた達ファナティカーズには渡さない。機械神を人殺しの道具に使おうとするファナティカーズには」

 

 

『……………………………相変わらずだね~そういうところは好きだったんだけどね~でも、コレをみてまだいえるかな~レッツ、ショータイム!』

 

 

大げさにポーズを決めトオミネ大佐の指がパチンと鳴り響いた…スクリーンが切り替わり映されたのはヴァルキリーズの居住区画、その一画から爆発炎上、煙が立ちこめる中で二つの赤い光が輝く。煙が晴れ見えたのは無残に砕けた家、それを踏み潰し長い砲口から冷却ガスをあふれ出させながら立つ戦機人にも似た機体に驚く職員、急ぎ家族に連絡するも通信阻害されつながらない

 

『どうだい~少し気は変わったかな~』

 

「……あなた、今なにをしたかわかってるの、民間施設にビームを打ち込むなんて正気の沙汰じゃないわ」

 

 

 

『正気だよ~リトスちゃん。さあ次はどれにするかな~』

 

 

「やめなさい!これは重大な軍規違反よ」

 

 

『軍規?……忘れているみたいだから教えるけどさ我々ファナティカーズには軍規は適用されない…簡単に言えば俺たちが軍規なわけ……さあ、早くしないと』

 

パチンと鳴り響く、双眸を赤く輝かせ冷却ガス放出が終わった砲口をゆっくりと次の居住区画へ狙いを定めたのをみて司令室内に声が上がると同時に扉が開きオペレーターシートに座る女性職員からインカムを素早く取り正面スクリーンに映るトオミネ大佐をにらみ叫んだ

 

 

「やめろ!くそトオミネ!!」

 

「か、叶くん!?」

 

 

『ん?聞いたことある声だな~思い出しました~《白い英雄》くんだね~ひさしぶり~元気してた?ピースピース♪』

 

画面一杯ピースサインしながらジイっと目を見開きみるトオミネ大佐の愉悦に満ちた顔、怒り、憎しみ、嫌悪感が込められた瞳で見据える桃矢…

 

 

「お、俺をそんな名前で呼ぶなっ!!俺は二年前にトオミネ、いやお前たちファナティカーズがヤったことを忘れてないぞ!!」

 

 

『二年前?ああ、アレですか…鬼を倒すには必要な犠牲だったんですよ……まあついでに《間引き》の手伝いをしてあげたんです…むしろ死んだことで彼らは世界にようやく貢献できたんです。美しき犠牲って事ですよね』

 

 

「ま、間引き…トオミネ大佐、まさかあなた……っ!?」

 

喜々として話し出すトオミネ大佐に問いつめようとした、しかし溢れ出した底冷えするような殺気にリトスは声を失いゆっくりと隣を見た…

 

 

「……ざけるな…彼処には」

 

 

ーモモ~僕んちに泊まってよー

 

ーモモ兄様、今日も日本語教えてー

 

ーなんかモモの字、昔からここにいるみたいだな~ー

 

 

「彼処には…鬼達の侵略にめげずに…精一杯生きていた………明日への希望をもって生きてる人達がいたんだぞ!それをおまえたちは!!」

 

 

『……それが何か?さっきも言ったように戦いに犠牲はつきもの、勝てば良いんです……ビチクソ鬼達を倒すためにはね…話すのはもう飽きました。さあ渡すか、それとも渡さないか?速く決めないとうっかり引き金を引くかもなあ…アハッ』

 

 

狂気の色を宿した瞳を睨む飛鳥、司令室内に居るリトスと職員たちに緊張が走る…ゆっくりと砲口に光が見えた時、モニタ-が半分切り替わった

 

 

『…何をしているんだい。トオミネ坊主?』

 

黒のスーツに身を包み片渕メガネをかけた老貴婦人の姿にトオミネ坊主と呼ばれた大佐は青ざめた表情を浮かべる、一方リトスは軽く目礼した

 

『こ、これは我々ファナティカーズに、オモチ…鬼達に対抗できる兵器を開発したと聞いてヴァルキリーズに譲渡を…』

 

『……いい加減にしなトオミネ坊主、これは明らかに軍規違反だ。譲渡?いいや恫喝しているようにしかみえないんたがね……そこの所を説明してもらいたいね…』

 

『い、いや。それは(くそ婆が、通信阻害をしたはずなのに何故だ!)…』

 

しどろもどろになるトオミネ大佐を尻目にリトスへ視線を向ける、さっきと打って変わり穏やかな表情を浮かべた

 

『すまないね。リトス嬢ちゃん…もう少し速くに気づけば良かったんだがね……ヴァルキリーズの皆も本当にすまなかった』

 

 

「いえ、おかげで助かりました……国連事務総長、カノン・ヴァルキュリア議長」

 

 

その名を聞いた職員たちは総立ちになるが、カノン・ヴァルキュリア事務総長は手で制しゆっくりと見回し桃矢に視線を落とした

 

(叶坊主の孫かい。よく似ているねぇ……まさか白いロボット《モモタロウ》の装者になるなんて……)

 

 

「なんだよ婆さん、俺の顔になんかついてんのか?」

 

「か、叶くん!?すいません事務総長!」

 

 

『かまわないさ。世話の焼ける孫ができたと思えばね。さて本題だ、国連理事総会において重要決議を伝えます!民間防衛組織ヴァルキリーズを正式に独立防衛機動組織《ヴァルキリーズ》として発足承認を宣言します…以降、国連理事権限においてファナティカーズはヴァルキリーズに対して一切の干渉を禁止します』

 

 

『(やりやがったなババア!いやリトスちゃんも一枚かんでやがったな。チッ!ここは引くしかないか…)……鬼が現れたみたい何で…失礼するよ』

 

 

『トオミネ坊主…猫は最後までかぶり通しな…

』

 

 

『…………!?(ち、ババアが……次はこうはいかないからな)……』

 

何もいわずモニターが消え、通信阻害が解除と戦機人?がレーダーから消え安堵の息をつくも家族へ連絡する職員に

 

「…大丈夫だ。あそこの居住区画にすんでいた人達はここにくる前に避難させてあるから…早く会いに行った方がいいぜ」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

頭を下げ職員が足早に駆けだしていくのをみる桃矢…

しかしその表情は浮かない

 

(…………トオミネ……奴がこのまま大人しく引き下がるわけがない……)

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

ーキジットオオ!ブウラアスタアアアアアアア!!ー

 

肩部装甲内に配置されたクリスタルから溢れる極太の二対の閃光…光は空へ穿たれ巨大な何かを押しとどめる

 

 

ーくそ、もっと力はでないのか!このままじゃ…ー

 

 

ーアハハ、せいぜい頑張りたまえヒーロー?我々はコレで失礼するよ………ー

 

 

ー待てトオミネエエエエ!トオミネエエエエ!!ー

 

 

怒りに満ちた叫びはやがて空を震わす破壊音、そして天高く上がる火柱…

 

あとに残されたのは大小様々な黒い塊、瓦礫、中心部にはひざを突く白い装甲を黒い雨が黒く染め、瞳からは涙のように滴り落ち声にもならない嗚咽がかつて街だった場所にこだました

 

 

☆☆☆☆☆

 

(トオミネ。お前たちファナティカーズは必ずぶっ潰す……命に変えてもな)

 

 

心の奥に誓いを立て、整備班《チーム虎》がいるシェルターへ歩いていく桃矢…二年前から続くファナティカーズとの因縁。

 

それが明らかになる時は近い

 

 

そして……

 

 

ーん……またこの夢……ー

 

 

ーやっとアナタと話すことが出来たわ~ずいぶん遠くにいたみたいだけど元気みたいねー

 

 

ーあの~僕の事を知ってるんですか?ー

 

 

氷のような鱗を輝かせながらパタパタと少年《アレン・ニーティ・オーガスティア》に昔からの知己のように懐かしそうに話しかける可愛らしい龍…その姿に懐かしさがこみ上げてくるのを感じアレンはそっと触れる

 

 

ーええ、アナタ達が生まれた時からずっとね(《前の世界》と同じでまた敵、味方に別れるなんて…ごめんなさい)……あまり時間が無いから手短に言うわね。テランに来て…そして私を見つけなさい………ー

 

 

ー待って!アナタの名前は!!ー

 

 

ー……私は氷龍……そしてアナタの……半身……必ずテランに降りたら私を……みつ……け……て……本当の……を…見極め……ー

 

 

ー待って!ー

 

☆☆☆☆☆

 

 

「はっ!はっ………またあの夢……氷龍……何だろすごく懐かしくて、どこかで聞いた名前…」

 

 

つぶやき体を起こそうとしたアレン、腕に柔らかくはりのある膨らみを感じ恐る恐る毛布をのけた先には全裸の少女、さらりと白磁のような肌に白髪が流れ、黒いレース柄の下着からは溢れんばかりの胸が窮屈そうに自己主張し腕を抱き枕みたいにだき眠るアンジュの姿

 

「………プハッ!?」

 

 

盛大に鼻血を吹きながら、やがてアレンの意識は闇へと落ちていった…

 

アレンの夢に現れた氷龍の言葉…後に起こる最悪の再会に繋がるとはまだ誰も知らなかった

 

 

第八話 外道!ファナティカーズ!!

 

 

了

 

 

 

 

 




ファナティカーズの襲来から数日、再び複数の鬼出現の報が届き、ヴァルキリーズに出動要請が降りた

桃矢、飛鳥は二手に別れ対応に当たる中、無防備状態のヴァルキリーズ極東支部に新たな鬼神将機が姿を現す

第九話 九番目の鬼神将、その名は…


四年前に分かたれた運命が交差する

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