『待て!スーシィジュウ!!おまえ一人では奴には勝てない!俺たちも……』
『だめだ!ムモムモツアロー、オーディアスはテランに残れ。万が一に備えるんだ!!』
『待て!!』
二人の声を無視してオレは√ℵ∂∑∮∂ℵを追いかけた。奴は失った力を取り戻すためにテランと同じ事をする気だ、様々な次元を幾星霜の時を超え対峙したが何回も逃げられた
奴の力は弱っている、同様にオレの力も次元を超えるためにかなり浪費してしまった
だが奴だけは差し違えてでも倒す…そんな時だった。
『な、なんだあれは!』
空間転移を繰り返し奴を追っていたオレの目の前には《金のラインが入った天使》と《漆黒の天使》が鎌と剣で激しくぶっかりあい互いの羽を切り飛ばした
ーディスレブオーバードライブ!ー
ーデュトラマクティス・グラマトン………ー
この場に得体の知れない力が満ちる。ここに留まるのは危険だ。
ーアイン・ソフ・オウル!ー
ーインフィニティーシリンダー・デッドエンドシュート!!ー
二つの力、いや念にも似た何かが溢れそのまま引きずり込まれ気を失いそうになるか必死に耐えやがて光が広がり見えたのは白い星?そして…
『な、なんだあれ?エアロゲイター?』
『か…格好いい~見ろよライ、あの装甲の形状とでっかい翼にキヤノン砲……くぅ~しびれるな~写真、写真……』
『リュウセイ、今は戦闘中だ。撮るなら後にしろ』
強い心の力を表したかのような巨人がオレを見ていた……とにかく敵でない事を伝えるか
☆☆☆☆☆☆☆☆
「ま、また、変な夢見たな………あのゴーグルみたいなロボット、すっごく格好良かったな…って遅刻だあああ!?」
時計の針は8時25分。大遅刻じゃん!!
「各種セキュリティー修復完了。リトスくん功性防壁構築はどうかね?」
「……功性防壁及びファイヤーウォール展開確認。同時にメインフレームおよび各施設内に仕掛けられたウィルス、システムトラップすべての除去を完了しました」
「ふう~コレで一安心じゃ。お疲れさんリトスくん」
多数の空間投影モニターから目を離し軽く手をたたくと、二人の周りから消えると近くの椅子に身を預けるよう深々座るとめ頭を押さえた
一週間前のファナティカーズ襲来、居住区への無差別ビーム砲撃と基地メインフレームへのハッキングによるダメージと再建に基地司令リトス、新田博士と共に費やし、ようやく目処がつき安堵していた
「…先生、聞いていいでしょうか」
「何かの?」
「…私たちは正しいんでしょうか。叶くん、特に飛鳥くんを鬼達との戦いに巻き込んでいいとは思えないんです。本当なら普通に友達と遊んで思い出を作って…なのに」
「……確かにの。わしらは大人はいつも次の世代を担う子等に背負わせてしまう…よかれと思った事が裏目にでてしまう」
哀しげに言葉を漏らし向けた先、二人の男女と小さな男の子二人が写された写真…笑みを浮かべる源三の息子夫婦、元気いっぱいにVサインする飛鳥と小さくサインを作る男の子…四年前、鬼達の襲撃で両親と共に亡くなった弟《新田蓮》
あの日、源三は急な講演が入りやむなく先に息子夫婦、おとぎ話の遺産に興味をもつ孫の飛鳥、蓮を桃太郎?が発見された場所へ向かわせた事を今でも後悔していた
講演を終えすぐに鬼達に襲われたと聞き目の前が真っ暗になった…その日から源三は表舞台から消え、悲嘆暮れた日々を送り一年がすぎた時だった
ーいきなり押し掛けてきて、こんな事を聞くのもなんだけどさ、新田源三で間違いなんだよな?ー
ー…そうじゃが……ー
ーそうか……じいさんに会わせたい人がいるんだー
突然の訪問者に驚く源三。青年にて招きされ向かったのは街から離れていく。周囲は崩れ落ちたビル群……最近ファナティカーズが鬼を殲滅に失敗し壊滅した小さな街を抜けると誰も使わなくなった半壊した倉庫の前についた。ゆっくりと扉を開いた先にあったものに思わず歩みが止まる
ーキジット動かないで我慢してったら…ゴクウもおとなしくする!少しはシロを見習ってよ……ー
ーキキッ?ー
ーピゥピー
ーくすぐったいからヤダって?じってしないとモップ掛けできないから。みんな真っ黒だし…桃兄が出かけてる間にきれいにしてあげるからさー
膝をつく白いロボット。その周りで大きなメカニカルなキジ、サル、イヌにモップ掛けをしようとする少年の姿…ふらふらと近寄り声を漏らした
ーあ、飛鳥?ー
ー!?……じ、じいちゃんー
手にしたモップを取り落とした真っ赤な髪が目だつ少年…自分の名前を呼んだ祖父の姿に驚く飛鳥は勢いよく駆け寄り抱きつきやがて泣き出した
ーじ、じいちゃん……父さんが、母さんが、蓮が……ー
ーわかっとる、わかっとるからの……辛かったの……ー
……ようやく落ち着き疲れたのか眠ってしまった飛鳥を簡易ベッドへ寝かし、桃矢から今までの経緯を聞かされた源三は鬼とファナティカーズにたった一人で戦おうとする桃矢に全面的に協力を決め今に至った
「………早く鬼との戦いを終わらせなければならん……未来は何時だって希望に満ち溢れているのだからの」
「…はい」
覚めたりコーヒーを飲みながら、モニターを展開。重機関車《劫火》の無限軌道ユニットおよび高周波振動衝角《ヴァリアブル・ドリル》追加プランと合体封じの光線《ベクトライズ・ヴァイブレーション》の対抗策を《アキツキ・インダストリアル》技術開発部主任と外部協力者《ミツキ・サエグサ》とリアルタイム通信をつなぎ模索し始めた頃、月の裏に隠された鬼《オルガス》テラン方面派遣艦隊旗艦《オーガスティア》内にある区画。長い通路にしかれた金の刺繍が施された赤いカーペットを歩く少年の姿、左右には艦隊士官が立ち並び視線を一身に浴びながら階段をのぼり艦隊旗艦司令にして鬼神将《アンジュ・オーガスティア》が腰に帯刀していた刀を抜き肩へ添え置き宣言の詔を読み上げる彼女から《少年》へ向けられる眼差しは悲しみと迷いの色が見えた
第九話 九番目の鬼神将、その名は……
「998、999、………1000!」
「お疲れ様、桃ちゃん。はい、タオルと飲み物」
「さんきゅアカネ………って桃ちゃん呼ぶなって言ってんだろ~桃矢でいいからさ」
「ええ~?だって桃矢って呼ぶと奥さんみたいになるし…でも…将来は庭付きの一軒家購入して、レトリバーも………そして」
木刀を下ろしながら壁に立てかけ汗を拭く桃矢。今二人がいるのはヴァルキリーズ施設内にある練武場。毎日朝昼晩の鍛錬と稽古を欠かさず行う桃矢のサポートをするためアカネが付いていた…細身に見えて鍛え抜かれた肉体から発する《男の匂い》にくらくらしながら将来設計に想いを馳せ頭から湯気を昇らせる姿を入り口から三つの視線
(ひゅ~なかなか鍛えこんでんなあ~)
(ち、ちょっと覗きはダメでしょアキラ!ミオ!バレたら)
(問題ない。妄想乙女モードに入っちゃってるアカネは気づかない……アカネ、ガンバレ)
二人の初々しさに当てられるサヨコ、アキラ、長年の想いを成就を応援しサムズアップするミオ
「やっぱり最初は女の子が…でも初めては痛いってミオちゃんが言ってたし……」
「あ、アカネ?」
「でも男の子もいいかな~でも、お父さんを説得しなきゃ」
「………しゃあなしか…はああ……」
妄想乙女モードに入ったアカネに近づくと、耳にふっと息をかける
「ひゃあん!?にゃ、にゃにするのモモちゃん!耳にふ~は止めてって言ってるのに!?」
「ごめん、いつまでも戻ってこないから、痛いって、殴るなったら!?」
顔を真っ赤にしながらポカポカ殴るアカネ…それを必死に防ぐ桃矢。覗き見る三人も笑うのを必死にこらえた…しかしそれは響き渡ったアラートにより突然終わりを迎えた
「……緊急召集?」
「アカネ、この続きは後でだ!後、そこの三人も急げよ!」
(((ば、ばれてた!?)))
桃矢に気づかれていたことに驚く三人をその場に残し駆け出した
その数分前、四天学園《パワードスーツ研究会》部室
では……
「………な、なあライカ。コレってナニ?」
お昼時、部室でみんなと弁当を食べようとしていた飛鳥、その眼前には毒々しい紫色のスープ(?)、そして《形容しがたいナニカ》の唐揚げがキシャアアアとびくんびくんしながら動いているのみて冷や汗を流す飛鳥、それに対して少し頬を赤らめながら差し出すライカに尋ねる
「コレはボクの星…ううん、ボクの国のご飯なんだ」
(………コ、コレが?ど、どうみたってアレだよな!ヨグソートス?いや這いよる混沌ナイアルホテップ?それよりもヤバいのを感じるんだけど……でも)
「今日はアスカに食べてもらいたくて、頑張って作ったんだ~はい、あ~~~ん」
コポコポ音なる毒々しいスープ?をすくい口元へスプーンを近づけるライカの指には無数の絆創膏と火傷……意を決してパクリと食い尽く飛鳥
(☆@*@?!!&&??@#@*&&??!!)
舌の表面にある味蕾がはじけ死滅……焼けるような苦痛と想像を絶する未知の味が脳を焼き、全身を震わせる…だが必死に耐える。何故なら飛鳥は男の子、ライカが頑張って作ってきたお弁当を不味いなんていえるわけない。そのままスープの入った器ごと一気に飲み干し、唐揚げを全部口に入れガツガツ租借する…
(ンゴ!?ヌンアデドルゥグギタタイアア!!)
心の中で叫びながら必死に耐えながら、スープ以上の未知の食感、そして味に意識が飛びそうになるのをこらえ飲み込んだ
「ご、ごちそうさま…すごく美味しかった」
「や、やったあああ!じゃあ毎日作ってきていいかな?まだまだ種類はあるんだ~」
まるで爛漫の花が咲くように笑顔になるライカをみて思いっきり冷や汗が流れる…毎日これだと間違いなく死ぬ、でもせっかくの好意を無碍には出来ない…
「な、なあライカ。オレとお弁当の交換っこしないか?作ってきて貰ってばかりじゃ悪いからさ」
「アスカのお弁当?うん、いいよ!じゃあ明日から……」
言いかけるも何か不思議な音色が響くとライカの様子が変わる
「ごめんアスカ、ボク急いで帰らなきゃいけなくなっちゃった……ごめん」
「気にするなって、ライカにも都合があるんだからさ…でも明日は来るんだろ?だったらいいじゃないか」
「う、うん……じゃまた明日ねアスカ、トラ、ドラドラ、ゲンゲン、タケタケ」
少し寂しそうに部室からでるライカを見送る一同、その時、飛鳥と虎の端末がなり慌てて取る。モニターには緊急召集の文字
「悪いみんな、オレ達今からヴァルキリーズに行ってくるわ」
「わかたったわ。虎、飛鳥。明後日の大会までにブレイズ01、02の最終調整は終わらせるから任せといて!」
「「安心していってきな虎の旦那、飛鳥」」
「「わかたった!/おう!!」」
頷いた三人をその場残し、パネルを展開素早く操作すると足元が大きく開き落ちていく、その先にはヴァルキリーズ直通リニアの搭乗シート滑り込むように座ると静かに高速でヴァルキリーズ整備区画へ到着する
「桃兄!」
「飛鳥か、済まない学校があるのに呼び出して」
「いいって…それよりどうしたの?」
「また二カ所同時に鬼が現れた。今回も二手に分かれ対応しないといけなくなったんだ。俺はクマード、エルクゥ、ビックボア、ノゾミとサヨコの戦機人二機はオオサカに向かう。飛鳥はアカネ、ミオの重機関車《轟火》、アキラの戦機人でイバラキを頼む」
「わかったよ、桃兄も気をつけて。じいちゃんもいってたけど鬼達が連携を取り始めてるから」
「わかった。飛鳥も気をつけろよ。何かあったら俺を呼べ、必ず駆けつけるから!」
「うん!」
軽く拳をぶつける二人、端から見たら本当の兄弟のようだなと感じながら虎は整備班へ指示をとばす。
ー十五番カタパルト、二十五番カタパルト開きます、繰り返します。十五番カタパルト、二十五番カタパルト開きます……特殊重機関車《轟火》改、戦機人01、02、Dトレーラー、炎凰。続いて特殊空輸機《疾風》、タロウ、クマード、ビックボア、エルクゥ、戦機人03、04搭乗完了…カウント開始しますー
カタパルトが地響きと共に開きレールが敷かれ、ゆっくりと黒い塗装が施されキャリアと先端に高周波衝角《ヴァリアブルドリル》装備重機関車《轟火》、白地に青いラインが入った双発式エンジンから蒼い炎をあふれさせながら姿を見せカウントと共に蒸気を上げ一路イバラキへ、特殊空輸機《疾風》が発進した
☆☆☆☆☆☆
オオサカ、第1地区
「民間人の避難誘導を急げ!」
「隊長!もう無理です!!維持できません!」
「バッキャロ~!無理でもやんだよ!!あのくそったれファナティカーズのトオミネの野郎と同じになりたいのかよ!!」
「誰があんなヤツと!………新たな反応を確認…ウワッ!!」
特殊硬化弾を撃ちまくりながら足止めをする自警団の戦機人…しかし物量で迫る雑鬼一体の体当たりを受け大きく姿勢を崩す、寸前で踏みとどまるも機体が悲鳴を上げついに関節部から脱落し膝をつく…しかし必死に踏ん張り特殊硬化弾を撃つその背後には避難中の民間人
「早く逃げろ!(なんとかしないと……)」
焦る自警団の青年の声を受けその場から離れていく、安心したのもつかの間、新たな機影確認を告げるアラートがなる。ここまでかと覚悟を決めた瞬間、白い影が雑鬼を吹き飛ばした
『大丈夫か!』
ノイズ混じりのモニターに映るのは白いロボット…タロウの姿、その背後ではクマードが雑鬼をつかみ地面へ叩きつけ、エルクゥのプラズマホーンで切り裂かれ、ビックボアの体当たりを受けバラバラに砕け落ちる光景
『聞こえるオオサカ自警団の戦機人、私たちはヴァルキリーズ極東支第一分隊隊長《ノゾミ・カワシマ》。鬼は彼らタロウに任せて民間人の避難誘導と二次災害防止を私たちとおこないます』
「ヴ、ヴァルキリーズ!ありがたい!では彼が噂の……」
『雑鬼はこれで全部か…』
『グ、グギカアア!』
雑鬼だったモノを辺りに散らばる中、タロウと将鬼が対峙する。が、将鬼の身体が大きくふるえ瞬く間に獣化形態へ変容、散らばった雑鬼の残骸が背中に集まり阿修羅のような腕が構築唸り声をあげながら殴りかかる。腕を盾代わりに反動を利用し頭上へ飛翔、落下の加速をあわせた蹴りを放つも腕に阻まれ逆に吹き飛ばされビルの外壁へ叩きつけれた
『グア!流石は獣化形態に移行した将鬼は強いな…
いくぜみんな!』
『グオ!』
『ブルル!』
『ビィ!』
勢いをつけ立ち上がるタロウ…桃矢の声に頷く機神獣クマード、ビックボア、エルクゥ。その場から駆け出しタロウを包むように配置すると同時に叫んだ
『レガシィイイイ・ダアアアアッシュ!!』
しかし将鬼アシュラの背部から合体封じの光線《ベクトライズ・ヴァイブレーイション》が照射。しかし反対方向からの光線がぶつかり合いやがて消失する
「残念だったな。合体封じ光線はもう効かないんだよ!」
少し離れた場所に台形型の板を展開したバックパックを装着した戦機人02《小夜子》機…Anti・Vector・Vibration・unit通称《A・V・V》は源三、リトス、アキツキインダストリアル、外部協力者ミツキ・サエグサ等が鬼達がモモタロウへの合体封じの策《ベクトライズヴァイブレーイション》の特殊波形を解析、それを打ち消す為に生み出された新装備だ!
合体封じの光線が消され驚く将鬼アシュラ。光り輝く古代文字…テラン語が、幾重にもリング状に展開。その中でクマード達《機神獣》にも変化が起こる。クマードの上半身がタロウの上半身、下半身が、二つに分離し延長した脚へ。ビックボア、エルクゥは腕へ変わり装着され黄金の光があたりを照らしテラン文字がはじけた
あらわれたのは力の象徴…三日月のブレードアンテナを輝かせ、端正なマスクに力強い体躯、その表面には半透明な《エナジーアーマー》、《金》とも読める古代テラン文字が胸部装甲に輝く
『荒ぶる大地と人の願いから生まれた力を背に!手前ぇら鬼共の理不尽な暴力を叩き潰す剛力無双の《キンタロウ》!ココに大ッ・見ンッ・参ンッ!!』
『が、ガアアアアア!!』
大地にヒビが入るや否や金色のオーラが溢れ空気が震える…だが将鬼《アシュラ》はキンタロウの顔面を殴る、殴る、殴る!無数の拳打が流星よりも早くたたき込まれダメ押しと言わんばかりに胸部装甲を展開。収束レンズに光が集まり、パチパチと放電させながら最大出力の荷電粒子砲零距離砲撃。その圧倒的破壊力を秘めた閃光がキンタロウを飲み込んだ
「や、やられた?」
「まだよ。あのバカはこの程度じゃやられないわ…
」
『ウオオオオ!!』
破壊力を秘めた閃光がキンタロウの装甲《エナジーアーマー》にすべて吸収されていく。この装甲を源三とリトスが解析し解ったことは光学兵器のエネルギーを無尽蔵に吸収、自らの力へと変換。さらに……
「グ、グギガアアアアア!?」
胸部装甲を閉じ再び殴りかかろうとするも動きが鈍い…まるで錆び付いたロボットのようにゆっくりと止まる。その足下が地面へめり込む将鬼《アシュラ》の胴めがけ嘗打がたたき込まれる、一発、二発、三発、四発!速さが徐々に増し、将鬼の身体がのぞけりながら街の外へ押し出されていく
なぜ身動きがとれないのか?それは金剛神キンタロウの持つ力《重力制御》により将鬼アシュラの周囲の重力が倍加、本来の重量を遙かに越えていたためだ
『グギ!ガギャアアオ!
』
『まだまだ行くぜ!…………スゥ…オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!!』
海辺まで弾かれた将鬼アシュラの胴へ無数の掌打がたたき込まれ、素早く腰を沈め右手に金色の光が集まりそのまま胴へと吸い込まれるように入り、あまりの威力に耐えきれず海へ吹き飛ばされ水柱が上がる。それを見届けることなく背を向け歩き出すキンタロウ、しか海面がせり上がり水を滴らせながら将鬼アシュラが怒りを表すかのように胸部装甲を展開、荷電粒子砲発射体制に入ろうとした…が、突然苦しみ出した
『グ、グギガ……ご…ゴガアアアアアア!?』
雄叫びと共に強固な体躯から火花がほとばしり、砕けながら大爆発…後には将鬼アシュラダったモノが飛散し海中へと沈んでいく
『…必殺、金剛大発勁。鬼退治完了……』
三日月型のアンテナが眩く輝やかせ歩く姿。その力強さにオオサカ自警団、避難していた人々にいかなる困難に立ち向かう《希望の火》を心に灯した。
☆☆☆☆☆☆☆
イバラキ地区、上空……赤と黒の影が空を舞う。赤い影は勇凰神ブレイズフェニックス、飛行型へ獣化した将鬼《テンマ》が激しい戦闘を繰り広げていた
『ガ、ガアアアア!!』
ー飛鳥!ミサイルが来るぞ!ー
『フレイムゥゥウォオオオル!!』
将鬼テンマの翼から撃ち出された羽根…ミサイルがブレイズフェニックスの囲むように迫る。が翼から激しい炎が勢いよく溢れ身体を包む。炎の壁に阻まれミサイルすべてが溶け落ち蒸発していくさまに将鬼テンマは焦りの色を見せバーニアスラスターを全開にし体当たりを仕掛けてくる
ーいまだ!飛鳥!炎凰剣をつかえ!ー
『こい!炎凰剣!!』
体当たりを紙一重でかわすと同時に叫ぶと、背中の翼から赤い羽根が舞いながら正面に構えた右手に集まり羽根の装飾が施された柄に半透明いや真紅のクリスタルのような刃《炎凰剣》が握られ構えると翼から炎が広がり一気に加速、再び体当たりを仕掛ける将鬼テンマの身体を横凪に一閃、無数の赤い閃光が走る
『必殺!炎凰剣・劫火獄閃(きゃっかごくせん)…………斬!!』
『……………グ、グギガアアイアアイ!!』
赤い閃光が将鬼テンマの強固な装甲を走り隙間なく埋めた、バラバラに切り裂かれる。しかし地表へ落ち燃えながら灰となり霧散、それを見届け炎凰剣を軽く振るうと瞬く間に羽根と変わり背中の翼に収納された
『D、地上の雑鬼は?』
ーミオ、アカネの轟火とアキラの戦機人が無力化に成功だ。桃矢達の方も復旧が終わり次第、極東支部に戻ると通信が入ったぜー
『そっか…じゃあ俺たちも……『飛鳥!』うわあ!ってアキラねぇ、どうしたのいったい?』
『落ち着いて聞いてくれよ、ヴァルキリーズ極東支部にこの前、飛鳥が戦った可愛らしい趣味全開の鬼ロボが現れてんだ!』
『…………え!』
この前戦った可愛らしい趣味全開の鬼ロボ…大きな鎌を構え合体前の炎凰を苦しめたロボが極東支部に現れた。飛鳥の脳裏に出動前に桃矢と話した内容が《鬼達が連携を取り始めている》が浮かびハッとなる。
『今回の鬼達の目的はまさか!』
『飛鳥くん、災害復旧は私とミオちゃんが進めるからアキラの戦機人と一緒に極東支部に戻って』
『わかったよ!いくよアキラねぇ!!』
『わぁってるって、ミオ、アカネ。極東支部に先に戻る!桃の奴にも伝えろよ!!』
手短に用件を告げたアキラは飛翔する勇凰神ブレイズフェニックスに近づく。グレーを基調とした戦機人の背中には大きな戦闘機に似たバックバックが装備され左右に伸びた翼にはアキツキインダストリアル・エアロダイナミック社製《フェニックスmark-Ⅳ》二期配置され三次元ベクターノズルから青みがかった光が輝く
『ドッキンキグセンサー、オールグリーン…』
勇凰神の背中…正確には翼が左右に展開、そこにある背部装甲パネルが開く。ガイドレーザがのびアキラは慎重に相対速度を合わせ近づくとロッキングアームが戦機人を固定、モニターに《接続完了》の表示されコクピット内に耐Gシステム装備疑似《アームドギア》が装着固定され、アキラは息を大きく吸い込む
『飛鳥、今から最大加速で極東支部に戻る。桃も急いで向かうってきいた!距離的にはあたし達の方が近い。少しばかりあらっぽくなるけど我慢しろよ…フェニックスmark-Ⅳ・最大出力!!』
『ウ、ウウ!』
フェニックスmark-Ⅳのベクターノズルから青みがかった光が飛行機雲のように伸び一気に加速、
音速の壁を超え赤い流星が空を貫いた
☆☆☆☆☆☆☆
さかのぼること五分前、ヴァルキリーズ極東支部《中央司令室》
「司令!オオサカ、イバラキの鬼達との戦闘終わりました」
「わかったわ。引き続き周囲の警戒を厳に復興作業を始めるよう伝えなさい、関係各位への要請も忘れずに」
「了解」
二カ所同時に出現した鬼達との戦闘終了を聞きほっとする司令室職員は関係各位へ支援物資および仮設住宅手配を進めていく中、司令であるリトスの表情は暗い…二カ所に現れた鬼の数が少ない、そして極東支部との距離が離れすぎている
まるで極東支部から機械神達をわざと離れるように仕向けていると感じたと同時に司令室全体にアラートが鳴りひびいた
「司令!極東支部近海《JAD・19528》に強大な空間変動を関知!モニターに出します!!」
「あ、あれは!」
モニターに映されたのは光り輝く幾何学的文様が幾重にもサークル状に展開。その中心がひび割れガラスが砕けるようにはじけまるで雨のように海面へ降り注ぐ中、二つの影がゆっくりと姿を見せる
「…あの機体はまさか《ルシファー》!?」
「四年前に初めて確認された《三体の鬼》の完全な人型《ルシファー……そして《ライトニング》との交戦中に新しく確認された《ドラグーン》も!?」
黒くしなやかな翼を左右六対大きく広げ、西洋の騎士を思わせる甲冑、目を閉じた少女を思わせる顔立ちに白銀の長い髪がヘッドギア?からあふれ風に流れる立ち姿、四年前に初めて確認された《三体の鬼》のうち一体。認識コード《ルシファー》、たった一体で国連軍精鋭部隊《セイバーズ》を数分で無力化した《鬼》の一体に司令室職員は口々に言葉を漏らしざわめいた瞬間、二体が姿を消す。慌てて索敵監視をするオペレーターの手が止まり身体を震わした
「し、司令…ルシファー、ドラグーンを本施設上空800に確認!」
「あ、あの距離を一瞬で!!』
「ル、ルシファーに高エネルギー反応!きます!!』
大きく広げた黒翼から無数の羽が舞い、光球へ変わりそのまま光の雨となり降り注いだ。防ぐ手だてもない極東支部の誰もがやられると感じたその時、赤い閃光が光の雨すべてを炎で打ち消した
『…か、間一髪………極東支部のみんな大丈夫!』
「あ、飛鳥?どうやってここまで?」
『あたしが送ったんだよ……』
通信と同時にウィンドウが開くと汗だくになったアキラの姿…
『…ぶっつけ本番でエクス・ハイマニューバ・モード使ったけどバッテリー滅茶苦茶へったな』
『アキラねぇ、ここはオレに任せて極東支部に戻って。桃兄が戻るまで時間を稼ぐから』
『わ、わりぃ…』
すまなさそうに答えアキラ機が背中から分離、ゆっくりと極東支部へ飛ぶのを見届け、ゆっくりと勇凰神は滞空する《ルシファー》に目を向けた瞬間、内部にいる飛鳥の様子が変わる…
ー飛鳥?どうした?ー
『………お、おまえは…………あの時の…』
操神空間内に響く声からは怒り、哀しみをあふれ出させ脳裏に浮かんだのは《あの日》の記憶
真っ黒な六枚の翼を広げた巨大な鬼、その手に血塗れになりぐったりとした弟《蓮》を指先で掴み上げ、そして大きな口を開け喰われた光景がフラッシュバック、飛鳥の中で何かが堰を切ってあふれ出した
『ウワアアアアアア!!』
『!?!?!?』
翼から炎をあふれ出させ、一気に加速。炎凰剣を瞬時に展開し大きく袈裟にきり払う、しかし黒い羽が舞うと同時に消え変わりに無数の光が勇凰神に襲いかかる
、Dトレーラ部分に当たるオリハルコニュウム装甲を削り内部メカニクスがむき出ししていく
『∑∇∂∃∀√∑∇∂(遅いんや!受けよ破壊の閃雨《レイ・ディストリイ!》)』
『フレィムウオオオオ!!』
炎の障壁《フレィムウォール》で防ぐもダメージは大きく、火花を散らせながらさらに炎が勢いを増していく…剣を構え直し切りかかるも瞬間移動され一方的にダメージを受け続ける
ー止めろ飛鳥!怒りにとらわれるな!!ー
『…うるさい!オレはアイツを、アイツを倒す!!仇を撃つ!…………フレィムウゥゥ・ヴォルテエエエエエエックス!!』
怒りにまかせ逆袈裟、袈裟、切り払いを織り交ぜた重い連携にたまらずわずかな隙を見せたルシファー、突きの構え《フレィムヴォルテックス》をうち放つ、両腕、両足を炎の渦が拘束、無防備状態になり逃れようともがくルシファーへ迷わず剣を構え突っ込む
『………炎凰剣!勇凰輝炎翔斬(ゆうおうきえんしょうざん)!!』
『∑∇∂ℵ√∑∮(く!やられる!?)』
炎のエネルギーを全身にまとい、火の鳥へ姿をかえ迫ろうとした瞬間、ルシファーの前に今まで動きを見せなかった蒼い龍をモデルにしたような鬼《ドラグーン》が現れ左手をかざし分厚い氷壁を展開し防ぐ
『そんな氷なんかで防げるかあああ!!』
『…………!』
瞬く間に蒸発、蒸気で視界が阻まれるも大きく左斜めに袈裟切る。しかし手応えが浅い。蒸気をかき分け現れたドラグーンは両手に構えた大振りの小太刀で炎凰剣を持つ右腕を真下から切り払い様、体をひねり胴へ重い蹴りを放つ、たまらず後退するも踏みとどまる。
『や、やったな……まだ左腕が………あっ………あっ………な、なんで』
言葉を詰まらせる飛鳥、勇凰神の目がとらえたのはドラグーンの胴体。強固な装甲が先ほどの《勇凰輝炎翔斬》で切り裂かれ操縦席が剥き出しになりパイロットらしき人物に注がれている
鎧にも似た蒼と黒のパイロットスーツに身を包んだ蒼い髪に、やや幼さが残る顔の少年。四年前に目の前で背後にいる六枚の翼を持つ鬼《ルシファー》に喰われた弟の成長した姿に飛鳥はおろかモニターしている極東支部司令室でオブザーバシートに座る源三をも驚かした
『……ℵ∃∇∮€√∑∀∂-☆∮€√∇!!(アレン!なんでウチを庇ったんや!!見てるだけでいいいうたのに)』
『…アンジュはテラン侵攻作戦指揮官。それを守るのは《龍鬼将》である僕の役目だよ…今日は引き上げよう、このままじゃムモムモツアローには勝てない。それに収穫もあったからね……』
『∂☆∮€√∵∴∑∇∂∃∀√(わ、わかった。ライカとセイジュのオーガロードも最終調整終わる頃合いやからな…戻るぞ我が将《龍鬼将アレン》よ)』
そう会話を終え二機は来たとき同様に転移陣を展開、瞬く間にその場から消え失せ、勇凰神だけがその場に取り残された
ー飛鳥…ー
『……なんで……なんで蓮が……鬼をかばうんだよ……何でなんだよ!!』
夕暮れに染まる空に飛鳥の叫びがむなしく木霊した
第九話 九人目の鬼神将。その名は………
了
四年前に死んだ弟《新田蓮》…アレン・ニーティ・オーガスティアと望まぬ再会を果たした飛鳥
それから二日後、再び行われたパワードスーツ評価試験展示会当日。評価試験が進む中再び鬼が現れ炎凰に乗ろうとするが……
第十話 神秘の緑楯
迷う炎凰の前に新たな四神が覚醒する