機械神伝説ー桃太郎ー   作:オウガ・Ω

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ヴァルキルーズ極東支部

同司令室


「…………先生、今日現れた敵……コード:ルシファー、コード:ドラグーンの詳細な解析終わりました…やはり推測通り有人機であることがわかりました」

「………」


リトスの声が響く中、映し出されたのはコード:ドラグーンの胸部装甲を切り裂く勇凰神、切り裂かれた装甲を拡大し、見えたのはまだ幼さが残る操縦者とおぼしき少年の姿を凝視する源三

その瞳と表情には驚愕の色が見えるもゆっくりと口を開いた


「………リトスくん。この映像は各支部に伝えているのかの?」



「いえ、まだ口外はしてません。発令所にいたメンバーにも秘匿するように固く伝えてあります……先生、コード:ドラグーンに搭乗している少年に心当たりがあるのですか?」


「………………ああ」


重い口を開き頷く源三…手元の端末を開き解像度を鮮明にするとドラグーンの操縦者の顔が鮮明に写され、さらに別な画像が隣に展開する……源三と亡くなった息子夫婦。その前に元気いっぱいにVサインする二人の子供の一人が拡大され成長した姿になるとドラグーン操縦者と重なり、記録されていた声紋パターンも完全に一致する


「あの機体……コード:ドラグーンに乗っておるのは……ワシの孫。四年前に息子夫婦と共に亡くなった飛鳥の弟《蓮》に間違いない………」


「そんな!?でも飛鳥くんの弟《蓮》くんは……」


「飛鳥が言うには《黒い翼を持つ鬼に喰われた》と聞いとる……四年前と今回現れたコード:ルシファーの外観的特徴と一致しておる………あくまでも推測じゃが喰われたのでは無く、拉致されたのではないかとワシは睨んどる」


「でも、いったい何のため何ですか?」


「………わからん。しかし彼ら《鬼》…がワシら地球人と同じ容姿を持つ知的生命体である可能性があるがわかった。それに……」


「それに?何です?」


「!?い、いや、何でもない。リトスくん、くれぐれもこの事は内密に頼む。まだ情報が不足しとる今、公表すればさらなる混乱を招くかもしれん……もう少しだけ時間をワシにくれ」


「………わかりました。あと飛鳥くんは……」


「……気づいとるの………ワシはコレから二人の所に行ってくる………」


ワシはそれだけ告げると、リトスくんの司令室から出ていった……しかし、まだ言えなかった事がある。


鬼達が使う空間転移技術、そして桃太郎の合体阻害光線技術、拠点に残され回収した言語パターンと使われている文字?と有人機から確認されたエネルギー波形…………モモタロウ、キンタロウ、炎凰くんを含めた《機械神》に使われている技術と余りにも酷似した部分がありすぎる


そして、あの神社でみっかった《絵巻》と《石版》に書かれていた事が事実ならば……ワシ等《地球人》と《鬼》は……


第十話 神秘の翆楯(前編)

「飛鳥、どうした?元気がないぞ」

 

「………なんでもないよ…桃兄」

 

 

「なんでも無いわけあるか…鬼の新型と戦ってやられそうになったってきいて心配したんだからな…」

 

 

……オオサカから帰ってきた俺は、真っ先に飛鳥のいるメディカルルームに来ていた。鬼の新型、正確には有人型と戦ってたと聞いて、合体解除の立ち会いをチーム虎のみんなに任せて飛鳥の姿を探した。

 

何時もと同じ検査を受け終えたのか病院着姿でぼうっとベンチに座ってるのをみて、こうして話してるんだけど様子が変だ。いつもなら、検査結果を教えるじいさんがいるのに居ないのも気になる

 

「うん…ありがとう桃兄…じゃ、検査も終わったから食堂にご飯食べにいってくるよ。もうお腹ぺこぺこなで、おなかと背中がくっつきそうだから先いってくね!」

 

 

「あ、待てったら………仕方ないな」

 

 

元気よく立ち上がり廊下を駆けだしていくのを溜め息つきながら見送ると、メディカルルームへ検査をするために歩き出した

 

………思えばこの時に気付けば良かった…飛鳥が四年前に死んだはずの弟《新田蓮》が《鬼》側についてて剣を交えて戦ったこと…それがあんな事に繋がるなんて俺は思いもしなかったんだ

 

 

第十話 神秘の翆楯(前編)

 

 

 

一週間後。私立六晶大付属高等学校

 

 

同パワードスーツ展覧会

 

「スッゴいなあ~前と違って人が多すぎだろ!」

 

「たしかにね。予定の日から一週間延びたんだし仕方ないわよ。さあ、虎、飛鳥。私たちのブースに行くわよ?玄や武も待ってるだろうし……飛鳥くん?どうしたの具合悪いの?」

 

「え?な、何でもないよ。さ~って調整終わらせよおぜ!会場一番乗りはオレだ~!!」

 

 

「ずるいぞ飛鳥!俺が一番だ!待て待て~!!」

 

 

元気に駆けていく飛鳥、虎…でもやっぱり様子がおかしい…飛鳥くんは空元気ってのがばればれだよ。肝心の虎は気付いてないみたいだし。はあ仕方ない、この龍美お姉さんが一肌脱いであげるかな

 

私はNフォンを手にし、あの子…ライカちゃんにかけた…

 

今の飛鳥くんを元気付けられるのはライカちゃんしかいないから

 

 

 

 

 

 

「………はあ、はあ……俺が一番乗りだ」

 

 

「いいや、オレが二秒速かったから……だからオレが一番乗り」

 

 

「違うね……俺だ……飛鳥より一秒、速かったからな」

 

 

「いいや!オレが0.5秒早かっ……た……」

 

 

息も切れ切れ、汗をだらだら流しながらへたり込んだオレに負けずに言い切る虎…どうみたってオレが速いし

 

「と、とにかく、早く着替えようぜ…」

 

 

「あ、ああ……そうだな……」

 

 

「相変わらず仲がいいんだね」

 

 

背後から声が響く。振り返るとヴァリアブルスーツ姿の楯無ユウジさんが頬をかきながら見てる…その後ろに誰かがチラチラとみてくる

 

 

「お!ユウジじゃないか……って、その子は?」

 

「え、あ、あの……この子は」

 

 

「はは~ん。もしかしてユウジにもようやく春が来たのか?」

 

 

「ち、ちがうからね!……この子はセイナ。楯無セイナ。遠縁の親戚の子なんだ……ほら、セイナ…」

 

 

「あ、ああ、あの……楯無セイナです……お、お願いしましゅ?~~~ご、ごめんなさい!?」

 

 

金髪をアップテールにした白のワンピースに帽子、首にチョーカをつけた女の子が舌を噛みながら挨拶してくれた……ユウジさんのヴァリアブルスーツをギュッと握りしめて顔を真っ赤にしながら目を俯かせた

 

 

「ああ、怖くないからねセイナ。飛鳥くん、虎、そろそろ準備しないと時間がないんじゃ?」

 

ユウジさんの言葉に、時計を見ると開会十五分前…虎はガバッとオレと同時に立ち上がる

 

「や、やっべ!飛鳥、早く着替えるぞ!!」

 

「お、おう!じゃあユウジさん、またあとで」

 

 

頭を下げてその場を駆け出し、急いで更衣室に入ると制服を辺りに脱ぎ捨てヴァリアブルスーツ(生体電位接続服)を着込み、機密ジッパーを一気に上まであげるとパワードスーツが置かれている装着室に入ると、玄、武が待ちかねていたようにブレイズ01、ブレイズ02の収められたシリンダーを立ち上げ解放、真紅の鳥と白い虎をイメージしたパワードスーツが目の前に現れた

 

「「調整はばっちりだぜ虎の旦那!飛鳥!!」」

 

 

「サンキュー!いくぜ飛鳥!」

 

 

「ああ!………「「着装!!」」

 

叫んだ瞬間に、ブレイズ01、02の瞳が輝くと観音開きのように胴体が開き各アームが伸び、装甲が取り付けられ生体電位接続、オートアジャスタ、エネルギー伝達回路が形成、最後に頭に装甲がつきモニターに各種状況判断、オプション装備用アイコン、バッテリー残量が示された。

 

 

『さあ、ハデに決めるぜ…飛鳥!あれをやるぞ!!』

 

 

『ま、まて!マジでやるのかよ!?』

 

 

『四の五も言うんじゃないよ!会場のみんなに見せてやろうぜ………玄、武、龍美、ブースのステージカタパルト開け!行くぞ!!』

 

 

マジでやるのかよ……はあ、仕方ないか……気合い入れてやってやるぜ!足元に設置されたカタパルトに足を置きクラウチンクスタートの構えをとると同時に電磁加速と共にブースのステージ、正確には空へ飛び出した。心地よいG…加速がなくなり自由落下していきながら虎、ブレイズ02が接近。螺旋を描きながら地上にあるステージ、出場者が並ぶ眼前で急制動。上空で演武を披露し蹴り、拳、回転回し蹴りを繰り返し互いの蹴りがぶつかり合う、このまま軽く一回転してカッコ良くポーズを決めながら特殊強化コンクリートの地に降りた

 

『『紅の閃光!ブレイズ01!白の嵐!ブレイズ02参上!!』』

 

 

見事にハモリながらポーズを決め立つんだけど周りの視線が集まるのは正直困る…この名乗りやさっきの演舞は昨日いきなり虎が決めたんだ。

 

 

ーみんなの注目を浴びるような登場をしょうぜ!さあ、今から練習だ!!ー

 

 

……な感じでやることにしたんだけど、めっちゃクチャ恥ずかしい。ステージにいる出場者、貴賓席にいる各企業や大学の関係者も様々な表情で見てる…虎~流石にやりすぎだろ

 

 

『………あ、あの~あまり派手なパフォーマンスは控えてください………と、とにかく。ここに第8回《レスキュー用パワードスーツ展示会》開催を宣言します』

 

 

やや気後れした感じで開催宣言の声が響き、他の学校の名前や、パワードスーツ紹介が終わるとそれぞれのブースへ歩き出した

 

午前中は有名企業、大学の関係者が質問や開発期間とコンセプトの説明。それが終わると一般の人が見学に押し寄せてきた

 

『お~い飛鳥。コッチ手伝え~手がまわんないぞ』

 

 

『わ、わりぃ……ほら一列に並んで順番を守ろうな…』

 

 

大学の関係者、企業の研究者さんがオレや玄、武、龍美の説明に満足して帰ったのと入れ替わりに、一般の人達。いや子供達が一気に押し寄せてきた

 

 

「うわあ~かっこいい!」

 

「ねぇねぇ~もう一回アレやってよ~」

 

 

「肩車して~」

 

………さっきのパフォーマンスのせいだよな…そう感じながら子供達の相手する。ヴァルキリーズの託児所でもこんな感じで遊んでってせがまれると嫌って言えないし。それに喜ぶ顔…笑顔をみるのは悪くないなと感じたときだ

 

 

「りん~はやくはやく~」

 

 

「待ってよ~慌てて走ったらこの前みたいにまた転ぶよ~」

 

 

「平気、平気~早くしないと独り占めするよお……わっ!?」

 

 

聞き慣れた声に目を向けた先には、あのときの中止になったパワードスーツ品評会で会った姉妹鈴、りんの姿………って危ない!とっさにジャンプし、転びそうになる二人の前に着地、そっと抱き止めた

 

 

『ふ~間一髪。こら、前にも言っただろ?あわてて走るとけがをするよって』

 

 

「う、うん……あ、あのときのお兄ちゃんだ!」

 

 

「り、鈴?その前にお礼言わなきゃ……ま、また助けてくれてありがとう」

 

 

「…あ、ありがとう、お兄ちゃん」

 

 

『別にいいよ。それより二人にケガ無くて良かったし…アレ?今日はシゲさんや、ユウさんは?』

 

 

「ふたりならあっちだよ!」

 

 

二人が笑顔で指差した方向には…

 

 

『シ、シゲのとつっあん!?あんまりいじんなったら?結構デリケートなんだから』

 

「気にするなって、そうケチケチするなって………なるほど人工神経にエネルギー伝達物質を介して流体力学を応用してるのか……ならコレならどうだ!」

 

 

『おお!伝達速度が上がった!?しかもコマンド入力切り替えが0,5秒はえぇ!』

 

 

「 そうだろ~なんならあとで裏ワザも教えてやるぜ?」

 

 

『いいね~、ならコッチもお返しに…』

 

 

な、なにやら技術談話しながら改良はじめてるな~虎のじいさんも一度火がつくとマシンガン並みなトークやるからな…

 

 

「お兄ちゃん、朝やったアレをやって~」

 

 

「あのカッコイいポーズ、もう一回みせて~」

 

 

『しゃあないな~じゃもう一回やる………』

 

 

「飛~鳥♪捕まえた♪♪」

 

『うわあ!ってライカア?なんでここにいるのさ!?』

 

 

「ドラドラによばれたんだ~うわあ~スッゴくカッコイい~」

 

 

『た、龍美が?……そ、それより離れ……』

 

 

「や~だ~、ボクもっとこうしてい~た~い♪」

 

 

嬉しそうに抱きつくライカからやだと言われたけど、む、胸が頭を包み込んでて離そうにもがっちり組み付かれてる……それに胸元の谷間、フィルター越しなのに甘い匂いにふらふらした時、顔を近づけてきた

 

 

「……少し元気になった?」

 

『え?な、なに…』

 

 

普段と違う声色で、少し不安そうな目を向けるライカの言葉に思わずドキリとする……それよりも気になったのは元気がないって言われたこと、ドラドラ…龍美に呼ばれたって言ってた

 

ま、まさか…

 

 

「飛鳥、なんかドラドラの言った通り元気ないから…なにかあったの?」

 

 

『………』

 

 

「(やっぱり何かあったんだ……こういう時どうしたらいいだろ……同じ歳ぐらいの男の子を元気にする方法ってわかんないよう~ボクたちの星って男の子少ないし。そうだ、アンジュが何時も朝にレンレンにしてることをしてみよ♪)……飛鳥、顔をみせて」

 

 

『う、うん……これでいいか…ん!?」

 

バイザーを解放した瞬間、頬に手が添えられたと同時に唇がふさがれ、何か解らないけど暖かい何かが入ってくる。やがて離れていく……ってコレってまたキ、キスされた!?

 

「ラ、ラ、ラ、ライカ!?な、な、な、な!?」

 

何をって言おうとするけど、言葉にならない…周りをみると子供達が目を輝かせたり、きょとんとしながらもジイイって見てる

 

「……ボクたちの国にある、元気が出るおまじない……げ、元気でたかな?」

 

 

「あ、あうん……」

 

 

「良かった~飛鳥……何か悩みとかあったらボクになんでも話してね♪じゃあ、またね!!」

 

 

とびっきりの笑顔でオレから離れていく…でもなんかわからないけど、少しだけ元気になった気がする。力があふれるような?でも二回目だよな…と考えてると背中に重みを感じる。目を向けると鈴、りんの二人がいつの間にかに肩にいる

 

「ねぇねぇ、あのキレイなお姉ちゃんってお兄ちゃんの恋人?」

 

 

「い、いや……こ、恋人?ま、まだそんな関係じゃ」

 

 

「ふ~ん、でもお姉ちゃんはすごく真剣だよ?」

 

 

『飛鳥、いっそのことつき合っちまいなよ?今時珍しいぜ。まあ、おまえにはライカ嬢ぐらいがピッタリだぜ』

 

 

「と、虎まで……た、たしかにライカは可愛いし、お弁当も作ってくれるし……」

 

 

『嫌いなのか?』

 

 

「き、嫌いじゃない!まだつき合うには少し、その、あのう~と、とにかく!ライカのこと嫌いじゃないから……」

 

 

(……うわ、素直じゃないな~でもまあ、嬢ちゃん脈ありだからガンガン攻めれよ…)

 

 

(……くう~青春だねぇ…ミツキ嬢ちゃんにいったらあらゆる手を使いそうだな。まあ、ぼかしていってみるか)

 

 

虎とシゲさん、なんか企んでるような…子供達からの質問攻めに忙殺され時間はあっという間に過ぎていく…このまま行けば各校パワードスーツ模擬演習が始まる頃合いか

 

『虎、そろそろ演習場に行こうぜ』

 

 

『ん?もうそんな時間か。シゲさんわりぃ、コレから実演会場に……』

 

 

鈴、りんの相手に悪戦苦闘するシゲさんに声をかけようとした瞬間、空気が大きくふるえ爆発音が遅れて耳に届く。すぐさまサテライト(データリンク衛星)に接続、すると個々から五キロ先にある《エノシマ》近海に複数の鬼の姿、正面に配置された砲鬼が荷電粒子砲でイージス艦数隻を破壊し迫る姿…

 

『虎!ヴァルキリーズに連絡を!!』

 

 

『ヴァルキリーズにはさっき伝えておいた!飛鳥、Dトレーラの後部キャリアに炎凰をのせてある!桃矢の旦那も今、こっちに向かってる』

 

 

『わかった。ここの会場のみんなの避難は任せな!』

 

 

サムズアップする虎の言葉に強く頷き、駆け出し向かうのは会場の外に止めてあるDトレーラ…

 

 

『Dトレーラ。キャリアスタンドアップ……』

 

 

ーstand by.ENO。system.all.greenー

 

 

無人のDトレーラ、運転席に光が灯る…各種状況をデータリンクで把握すると後部キャリアが離れ45度上方に傾く。上面、側面が大きく開くと赤い装甲の機体《炎凰》が姿を見せ。紅い光《赤ヒヨコD》が飛び出した

 

ーピヨヨ(飛鳥、いくぞ)ー

 

 

『いくぜ!ブレイズ・オォオン!!』

 

炎凰から紅い光が伸びブレイズ01をまとった俺を包み込む…次の瞬間には紅い光が満ちた空間に浮かぶとパワードスーツが《操神装甲アームドギア》に変わった

 

ー……………炎凰!発進!!ー

 

 

ロック解除と同時にカタパルト基部に放電、弾かれたように打ち出される…風を肌に感じながら機神獣形態から人型《獣機神》に変形した

 

『ここから先は一歩も通すもんか!』

 

砲鬼の前に着地と同時に、召還した炎凰剣で砲口を貫く。爆発するイメージを念じた瞬間に大爆発、あたりに破片が海に落ちていく中、剣を構えた

 

 

 

 

 

 

 

『…みんなこっちに来るんだ!』

 

 

『焦らないで、まだシェルターには余裕があるから安心して』

 

 

……みんなを学校から少し離れた避難用地下シェルターへ虎や、他校のパワードスーツ研のみんなと一緒に避難誘導してる。前回も鬼の襲撃で展示会が中止になったんだけど、運が悪いなは重なるみたいだ。鬼の一部がこっちに進路を変更し向かってる

 

ヴァルキリーズも二手に分けコッチに向かってるみたいだけど、このままじゃみんなをシェルターに避難が間に合わない。それにセイナと母さんは避難できたかな?

 

そんなとき、通信ウィンドウが開く。撮されたのは白衣姿の母さん。その表情が暗い、いやな予感がした

 

 

ーユウちゃん!セイナちゃんそっちにいる?ー

 

 

『いやいないけど、母さんの家に帰ったはずだよ』

 

 

ーそれがまだ帰ってきてないのよ。診療所にもいないの。もしかしたらユウちゃんの学校にー

 

 

『……虎、ごめん!僕、学校に戻らないといけなくなったんだ!』

 

 

『な、おい!どういう事だ!?』

 

 

『……セイナが家に帰ってないんだ……もしかしたら学校にまだ』

 

 

『……わかった。ここはオレ達にまかせな……シェルターに避難が終わり次第、そっちに向かう……ほら、早くいけよ』

 

 

『あ、ありがとう虎』

 

 

虎に頭を下げ、僕はパワードスーツ《GENBU》を機動させ脚部装甲を展開しイオノクラフトで地面をからわずかに浮かせ背部バーニアを一気に展開しブーストし学校まで一気に駆け抜ける

 

『ん!?あれは』

 

センサーが何かの巨大な動体反応関知。肩部にもうけられた外部カメラを動かし捕らえたのは、三つの巨大な影…砲鬼、雑鬼の混成部隊の姿

 

学校との距離が近い。さらにブーストし最短距離を検索、右へそれ山に入ると木々を抜けながら山肌を駆ける……もしセイナが学校にまだいるのなら彼処、学校に古くからある亀を象った大岩《六晶》岩にいるはず

 

……セイナは本当は従姉妹じゃない。数日前、GENBUのテストをしていた。そのとき空から隕石が落ちて、クレーターが出来た場所から少し離れた岩場に倒れていた女の子を見つけたんだ、頭に怪我をしていたのを見てGENBUを装着したまま家……母さんが経営さる楯無診療所へ運んだ

 

ーゆ、ユウちゃんが女の子をつれてきた~!やっと春が来たのね~ー

 

 

ーか、母さん!?そ、そんなことより、この子怪我をしてるみたいだから診てあげてー

 

 

ーはぁい……じゃあベッドに寝かせたら部屋を出なさい。それとも見たいー

 

ーな、なにいってんの!とにかく寝かせたからね。じゃあお願い!ー

 

 

……母さんにあの子を任せ一度、学校に戻りGENBUをキャリアに格納、充電ケーブルとBBU循環を設定接続し診療所兼自宅についた僕は真っ先に母さんに容態を聴きにベッドがある二階に昇ろうとした

 

いや、昇ろうとしたんだけど目の前一面が金一色に染まる…落ちる感覚と背中に鈍い衝撃を感じながら目をあけた

 

 

ーあ、あの…ごめんなさいー

 

今にも泣き出しそうな声、おどおどした様子で聴いてきた女の子。頭に包帯を巻いていたのを見て診療所に連れてきた子だってわかった

 

落ちる音を聞いた母さんが仰向けになった僕と押し倒す形で上にのる女の子を見て「あなた、ユウちゃんが大人の階段昇る日が来たみたい~お邪魔しました」って勘違いしたまま診療所へ向かうのを必死に止めた

 

母さんの話だと、この女の子は名前はおろか、過去の記憶がないってきいた…頭に受けた傷、強い衝撃が原因で《記憶喪失》になったみたいだ。服はボロボロで身分証もない、けど服?に使われているのは最高級の絹糸がふんだんに使われて、もしかしたら高い身分なのかもしれない

 

でもそれだけじゃ何も解らない。そこで母さんは女の子を記憶が戻るまで引き取る事を決めたんだ…金髪の女の子に《セイナ》って名前をつけた。そのあと軽く自己紹介したんだけど

 

 

ーセイナ……ありがとうございます。カナエさー

 

ーノンノン!カナエお義母さんでいいわよ~セイナちゃん、ユウちゃんを貰ってくれないー

 

ー……ユウちゃん?貰う……////////ー

 

 

………母さん、今日のご飯は母さんの嫌いなピーマンとニンジンたっぷりのスープでいいよね…この日からセイナが加わった……でも

 

ーユウちゃん!助けて~!ー

 

ーきゃあああ!?ー

 

ーいたっ!あうううう~!?ユ、ユウちゃん!?ー

 

 

 

蛇口を閉めたらいきなり壊れて水浸し、母さんの仕事を手伝うとナニもないところでコケて手に持った注射器がダーツみたいに壁に突き刺さる、シーツを干していたら纏わりついて倒れるし、僕の近くで大きくこけて何でかわから無いけど顔面が下敷きになるし

 

セイナはドジっ娘だ……母さんは笑って可愛らしいていってた。それに…夜中に一人で母さんの力になれるように勉強をして努力してる

 

まだ日は浅いけど、セイナは診療所に通う人たちからも慕われてる…それに《六晶岩》で鍛錬をする僕の為に差し入れを持ってくると終わるのを待ってる。見てても面白くないから先に帰るように言うんだけど、頑として首を縦にふらなかった

 

ーあ、あの……ユウちゃんは何で鍛えてるんですか。あ、その…ごめんなさいー

 

 

ー……笑わないで聞いてくれるかな……実はー

 

 

…僕が身体を鍛える理由を話しても笑わず、ただ笑みを返してくれた…広範囲センサーに切り替えながら、学校の校庭に着くと迷わず六晶岩がある池に地面を滑るようにホバー移動する

 

『センサーに反応、見つけた!!』

 

池を見下ろすように鎮座する《六晶岩》の下に座り込むセイナの姿、迷わず池の水面を走り降り立つとバイザーを解放した

 

「セイナ、大丈夫?どこもケガは無いよね」

 

「ユ、ユウちゃん……ユウちゃん!!」

 

しばらく僕をぼうっとみていたセイナの目から大粒の涙があふれ抱きついてきた。装甲越してま身体がガタガタ震えてる、恐いのを必死に堪えてたんだ

 

「もう大丈夫だからね。さあ、帰ろう母さんも心配してるから…」

 

 

「ヒック、う、うん……ユウちゃん!!」

 

 

泣きながら呟いたセイナがいきなり声をあげた。その目は僕の後ろをみている。つられるように見た時、身体が震えた。何故なら砲鬼、雑鬼が僕たちがいる六晶岩に向けて荷電粒子砲の砲口を向けている。逃げようにも荷電粒子砲の射線範囲から逃れられない

 

セイナだけでも守らなきゃいけない。僕はセイナから離れBBバッテリー、コンデンサーのリミッターを解除、同時に装甲がパージされると内蔵されたイオノクラフトで浮遊しながらも僕たちを覆う不可視のシールドを形成する。それと同時に荷電粒子砲の光が僕らを飲み込んだ

 

 

「く、くうう。シールドバリア最大出力維持、電磁収束をコンマ5上昇…………持ってGENBU!!」

 

 

荷電粒子ビームの圧倒的破壊力の奔流を防ぐ電磁シールド…今回の評価会で使う予定だった装備《電磁破砕甲》を電磁シールド偏向機能を応用した即席の楯。荷電粒子砲が収まるまで数十秒。なんとか持ちこたえられるはず

 

ー警告!バッテリー残量25%。電磁シールド偏向機能維持限界時間、残り八秒!荷電粒子ビーム照射時間、残り10秒…単騎での離脱を推奨しますー

 

そんな、計算じゃまだ十秒以上は維持可能なはず。コンディションチェックした僕の瞳にうっつたのは荷電粒子の密度に対して偏向シールド収束値を上回る数値。このままだと二人とも助からない………サブモニターをみるとセイナが怯えながら必死に耐える姿をみて僕は決断した

 

『GENBU。セイナの周りに高密度に電磁シールド展開、僕のシールドエネルギーを限界まで振り分けるんだ!』

 

 

「ま、まってユウちゃん!そんなことしたらユウちゃんが」

 

 

『大丈夫だよ。僕は死なないから……約束するから』

 

 

「……でも」

 

 

セイナの言葉にただ無言で頷き、電磁シールドをセイナの周りに展開、同時に荷電粒子ビームがGENBUに襲いかかる。GENBUの装甲が赤熱化していくのを各種警告表示がウィンドウを占める。不思議と怖さはない

 

死ぬかも知れないのになんで、僕はこんなバカな事をしてるんだろうと自問自答しながら今までの記憶が走馬灯のように流れていくと一番古い記憶が浮かんだ

 

ーユ、ユウジ、大丈夫か?ー

 

真っ赤な血で白衣を染めた父さん…母さんと同じ医者で他の医者が匙を投げた重病患者を完璧に治す《神の手》の名を持っていた…忙しくてあまり思い出がないけど、父さんが珍しく僕を連れて遊園地に連れていってくれた

 

凄く楽しかった。でもソレは突然終わったんだ…遊園地のアトラクションに仕掛けられた爆弾が爆発してたくさんの人が死んで、怪我をしていた。僕もケガをしたけど父さんが盾になって重傷は免れた。でも父さんは破片が背中に突き刺さり、火傷をしていた

 

それなのに、ケガをした人たちの治療を始めた。スゴい速さで職員や駆けつけた救急隊の人たちに指示を飛ばしながら五時間でみんなの治療を終えた父さんは、僕のケガの治療を始めた

 

 

ーユウジ、ごめんな。真っ先に診てやれなくて……よし、これで大丈夫………だ……ー

 

 

治療を終えた父さんはそのまま倒れた…それが最後に交わした会話だった…爆弾を仕掛けたのはいまだに誰かわからない。ただ、その日《ある国》の要人と家族がお忍びで来てたらしい

 

ソレよりも僕は父さんが何故、死ぬのがわかっていてケガをした人達を助けたのかがわからなかった。パワードスーツを作ったりしたのは何故なのかが、でもようやくわかったんだ

 

父さんは目の前で助けを求める。今にも消えそうな命を守るためだったんだと

 

僕は今、父さんと同じ事をしているんだと

 

 

「やめて、やめてユウちゃん!もし何か合ったらカナエさんがひとりに」

 

 

『だ、大丈夫…』

 

悲鳴をあげる制御系、電磁シールド維持も限界………でも…僕は絶対に

 

 

『命を護るんだ!!』

 

叫んだ瞬間、GENBU本体の表面を覆っていた電磁シールドが消えた…無理なのかと思った瞬間、不思議な事が起きた

 

『な、なにが……この文字は』

 

 

ー少年に問う。力が欲しいか?鋼よりも硬きあらゆる災いをはねのける力をー

 

不思議な声は六晶岩から響いてくる。それに荷電粒子ビームが不思議な文字に阻まれている光景におどろく

 

ーしばし問う、力が欲しいか?ー

 

再び声が響いた……力は欲しい……でも僕は誰かの命を守る力が欲しい。いつの間にかに気絶し倒れたセイナをそっと抱き上げ口を開いた

 

 

『僕は誰かを守る力が欲しい……アナタの力を命を守る為に僕に貸してください!!』

 

 

ー…………命を守る力(前世とまったく変わらぬのう、我が主よ)。よいじゃろう。ワシの力、四神が一神《真武》の力、命を守るために使うがよい!ー

 

 

声が響くと、足元が揺れて目の前の六晶岩が激しく震え亀裂が入る。隙間から光が僕とセイナを飲み込み気がつくと緑色の不思議な空間に浮かんでる。それに装着していたGENBUの代わりに緑を貴重とした白銀の鎧になってる

 

それにすごくなつかしい……僕はこの感じをどこかで

 

ー唱えよ、我が名をー

 

 

『……いくよ《アイギス》!!』

 

 

力一杯叫んだ瞬間、周りの岩が崩れ落ちると緑を基調とした無骨な装甲、亀を想わせるフォルムに甲羅から真っ直ぐ延びた巨大な二対の大砲…亀の瞳が力強く輝く…

 

『ガ、ガアアア!?』

 

 

砲鬼が再び荷電粒子砲を放つ…凄まじいエネルギーを伴った光を前に、亀……《真武》の二つの砲門に光が集まり荷電粒子砲とは全く違うエネルギー弾が放たれ競り負けた荷電粒子ごと砲鬼、その背後にいた雑鬼を飲み数秒後、光が晴れるとそこには無機質な石像のように動きを止めた砲鬼、雑鬼の姿…

 

 

『……こ、これは?』

 

 

ー……彼奴の構造材を一部石化し行動不能にしただけじゃ。この《玄武芯弾》なら周囲に被害を与えることはない……それよりも今はー

 

 

 

『わかってるよ……ここを、みんなの街を守らなきゃ……いくよアイギス!』

 

 

ー承知!ー

 

 

深緑の装甲を持つ巨体…真武の脚?が内部に収納され変わりに光が輝くとゆっくりと浮かび上がる、向かうのは海……炎凰、キンタロウが戦う場所へと移動を始めた時、はるか離れた新田研究所に安置された青い龍の石像が微かに震え光が立ち上り、一つの光球と変わると石像を残し瞬く間に消え、《神山》家の屋敷におかれた白い石像も呼応するかのように微かに震えるもなにもなかったかのように収まった

 

 

 

第十話 神秘の翆楯(前編)

 

 

後編に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




湾岸部に現れた鬼の部隊に対し炎凰、遅れてキンタロウ、ヴァルキルーズ第三、四小隊が絶対防衛戦を張る中。再びコード:ルシファーと共にライトニングが現れた

状況を打破するため合体しょうとする炎凰…しかしDトレーラが攻撃を受け合体不能に陥り絶体絶命のピンチに陥る


その時、新たに現れた真武が………


第十話 神秘の翆楯(後編)


炎雀、真武………新たな力目覚める

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