四年前
◐☆☆★◑県 ◐☆★市……そこから山奥にある《キビツ》村。村の中心から離れた場所にある古びた神社近くにそびえる山が見える
その中腹に穿たれた穴の奥では白衣にヘルメットを被る学者達が作業員に指示を飛ばしている。そんな中に若い少年が混じり削岩機を使いながら掘り進めている
「桃矢くん、そろそろ休憩に入ろうか」
「ん?そうだな………よし、皆休憩に入ろうぜ!」
オレンジのつなぎを上半身を腰に巻き青のTシャツ姿の桃矢と呼ばれた少年が昇降車を操作し降りてきた。父親である叶教授、恩師である新田教授、教え子であり神話研究の第一人者として名を馳せる叶夫婦と共に在るものを探していた
閑話 遭遇
「………先生、やはりここに埋まっているのは間違いないんでしょうか?」
「地質調査と深度エコーではあと数メートル掘り進めば姿を見せるじゃろて」
「……キビツ神社に祀られていた絵巻にある《桃太郎》が実在した証、実はそれが機械仕掛けの巨大ロボット…」
プレハブ小屋の中で端末を操作するのは叶カズヤ教授、その妻《ホムラ》が映し出しのはエコー検査でわかったのは横たわる黒い人影…腕を高くのばした巨大な人影…現在、発掘現場では腕にあたる部分の上を中心に掘り下げている。しかしホムラの表情は重く暗い
「やっぱり…桃矢を」
「………ホムラ」
発掘現場で他の作業員と笑いながらアイスを頬張る桃矢をみてつぶやく、その肩を抱き慰めるカズヤの言葉にうつむき加減でうなずくのをみた新田源三教授も彼を見つめ《あの日》のことを思い出した
ーな、なんだ……ー
ーみて!あなた……ー
《ーーーーーーーーーーーーーー》
嵐と雷が荒れ狂う神社の境内に浮かぶ巨大な影…絵巻と不思議な輝きをする金属版を持つ叶夫妻。緑色の双眸を輝かせ巨大な手を二人の前にゆっくりとおろす姿
「…………大丈夫さ。発掘にはあとひと月を予定してるから、ソレまでに桃矢の停学処分も解けるはずだしね」
「そうね……アっちゃんとノンちゃんも待ってるだろうし……でも」
でそうになる言葉は突然なり響いた着信音に消え、源三が応対する…スケジュールを見ながら話すのを見て学会からの呼び出しだと感じた二人。やがてしずかに通信を閉じ申しわけなさそうに目を向けた
「カズヤくん。実は学会からワシに公演依頼が来ての二、三日ココを離れんといかんくなったわい」
「公演依頼?この時期に珍しいですね…」
「ワシとJ君が共同開発した新素材《オリハルコニュウム》、《BBバッテリー》の講釈を是非にと……セイバーズ直々にの」
「セイバーズ?じゃあもしかしたらJ君、ユン、リトスにも会えますね」
「ふむ、それも楽しみなんじゃ……あと、頼まれごとしてよいかの」
「ええ、なんですか?」
「実はの、息子夫婦が孫たちを連れて遊びにくるんじゃよ…ワシはこの通り学会に出席せねばならん…だから」
「大丈夫です先生、任せてください…そう言えば飛鳥くんと蓮くんは何歳になりましたか?」
「ああ、飛鳥は9歳、蓮は8歳じゃ……飛鳥は将来はワシみたいになりたいと言うての、蓮はシンヤ、マリーを見習いたいと……今がかわいい盛りでなぁ。っと話がそれてしまったわい」
はははと笑いながら学会に使うオリハルコニュウムの組成データ、BBバッテリー概念図に関するデータを圧縮しグリップ型ハンディ端末《N・ギア》へ転送し仕舞うと慌ただしく仮説プレハブ事務所から出て行くのを見送り、カズヤ、ホムラはヘルメットをかぶり発掘現場へと向かうべく外へと歩き出した
同時刻 ?????
ー目標確認……中佐、指示をー
「撃て………」
ー了解、最終安全装置解除。目標《未確認巨大船》………発射ー
分厚い氷に覆われた大地、その空を一発のミサイルが空気を裂き飛翔する。そのまま吸い込まれるように《未確認巨大物体》を貫くと同時に目映いばかりの閃光、膨大な熱が辺りの氷を瞬く間に蒸発、巨大なキノコ曇が立ち上った
ー目標消滅確認………ー
「ご苦労様…戻りたまえ」
薄暗い室内で指示を出した《中佐》と呼ばれた人物は、何度も巻き戻し消滅する様をみる瞳は狂気の色を宿し、子供が虫の羽を無邪気にちぎり捨て遊び喜ぶような笑みを見せ血のように赤い紅茶の香りを嗜み飲み干した
コレから1ヶ月後、世界は御伽噺の存在だった《鬼》が実在する事を認識することになった
…………そして、《機械仕掛けの神》が目を覚ます………
次回より本編再開!