ーたしかになあ~スンスン……漬け物の匂いだー
黒髪に学生服姿の少年が飛行機から降りて発したの第一声に答える白い犬?みたいなナニカ…しきりに鼻を鳴らし嗅いで納得している
スタボロになった袋を空いている肩にかけエントランスを抜け外へとでてみたのは赤い絨毯、その先には黒塗りの艶めかしい高級感あふれる一台の車に冷や汗を流し始める。突然背後から声が響いた
「…お帰りなさいませ、タカヤ坊ちゃま」
「ミア姉さん?なんでここに?」
「今日、お戻りになるとオウル様、ユウキ様、メイ奥様がいわれましたので私がお迎えにあがりました」
三つ編みにした黒髪を揺らし涙をためる濃紺のメイド服にカチューシャを付けた年の頃16から18ぐらいの少女…デルクにため息をついた
「だ、だからって……こんな仰々しくしなくていいのにリニアで帰れるからミア姉さ……」
「そうですか。でも、その前に私はミア・シルヴィニーアではありません……おじい様から秋月家家令デルクを受け継ぎましたから。えっへん」
誇らしげに胸をはる少女の豊かな胸が大きく揺れるのをみて慌てて目を逸らし上擦った声をあげる
「ええ?じゃあデルクは?」
「おじい様なら、リームおばあさまとハコネで温泉旅行に……さあ、まいりましょう。オウル様とメイ奥様が首を長くしてお待ちしていますよ」
「え、でもリニアで」
「さあ、こちらに」
「あの……」
「…………さあ」
「は、はい……」
笑顔の裏にあるプレッシャーをかんじたのか頷き言葉を返すとパアッと明るくなったミア・シルヴィニーア…もとい三代目デルク?のあとを少年…アキツキインダストリアル次期総帥、秋月タカヤは静かについていくしかなかった
ー飛鳥、まだまだくるぞ!ー
『わかってるけど…数が多すぎだ…うわっ!?』
装神空間か激しく揺れ痛みが走る…苦痛に耐えながら見えるのは金棒を振り抜き乗りかかる雑鬼。それも一体だけではない、両腕、腰に三体が拘束されたまらず海面に倒れふす…ふりほどこうにもしするも逃がさないと言わんばかりに何度も殴りつけてくる。
「ぐ、ぐうう…」
「く、いけない沿岸部に砲鬼が…D!どうすれば!!」
ーチ、こうも掴まれては身動きが……ー
『まだだ!あきらめるなるなああああ!!』
突然、飛鳥に届いた力強い声。空から白い武者が上陸寸前の一体を蹴り飛ばし同時に炎凰の身体にまとわりついていた雑鬼が巨大な鹿の角《プラズマホーン》が器用に弾き飛ばし、青く頑強な装甲に身を包んだ熊が金棒を振り上げた雑鬼を鮭取りの要領で空高く吹き飛ばした事で身体の自由を取り戻した
『遅れてごめんな飛鳥。よく守ってくれたな』
『桃兄!』
『飛鳥くん。街の住人の避難は任せなさい!』
『ああ、援護はあたしとサヨコ、アカネと隊長、第四分隊のお姉さん達にまかせな!!』
『……ワタシもいる』
「ノゾミねえさん、アカネ姉さん、サヨコさんにアキラさん、ミオさん……みんな来てくれた…」
装神空間内に映されたのは落下傘を広げ着地する試作型高出力ビーム砲戦車《グレン》、フライトパック装備の戦機人《翔》が沿岸部へと逆噴射を掛けバックパックをたたみサイドラッチから特殊弾頭ライフル、ガトリングガンを構え沿岸部の守りが薄い浅瀬に陣取った
「ほら、たてるか。さあ、オレの弟分を痛めつけてくれた礼は、今からのしつけて返してやるぜ…いけるか飛鳥?」
「うん、桃兄……D、いまから反撃だ!!」
ーああ!ー
肩を貸し立つタロウ、炎凰は力を奮い立たせ迫る砲鬼、雑鬼が群れをなす本陣へと駆け出した
第十話 神秘の翆楯(後編)
同時刻、ヴァルキリーズ極東本部
中央司令室
「ヴァルキリーズ第四分隊、沿岸部都市に到着。第四分隊およびタロウ、エルクゥ、ビックボア、クマード、グレン、戦機人《翔》三機配置完了、迎撃行動に移行しました」
「住人の避難状況は五割完了、同時に駆逐艦四隻を戦闘領域から離脱を確認。砲鬼、雑鬼残存数が一桁を切りました!!」
「…わかったわ。引き続き警戒を怠らないように…六昌学園に現れた鬼についての詳細は?」
「はい、現在第二小隊と源三博士、アキツキインダストリアルが現地に向かっています……」
緊張した空気に満ちる司令室で様々な情報が錯綜する中で《六昌学園》に現れた鬼が直後に巨大な緑のナニカが放った光?で活動停止した事がひっかかていた…Dトレーラに備え付けられていたカメラが記録していたのは山?にも似たナニカ。
何かを感じすぐさまリトスはアキツキインダストリアルへ新装備開発協力に赴いていた源三に連絡すると、調査チームと共にむかうと返され、護衛の為に第二小隊を向かわせたリトスは今までに得られた情報を整理していく
(緑のナニカは、叶くん、飛鳥くんがいる場所に向かって移動していることだけしかわからない………数日前に落ちた落下物体と関係がある可能せ…)
そのとき、司令室に空間転移を示すアラートが鳴り響き、思考の海から引き戻されたリトス、オペレーターの指がとまっていた
「し、司令……コード:ルシファー、ライトニングがエノシマ…タロウ、炎凰、第四分隊がいる現場にに現れました!!」
「………すぐに第四分隊に通信を繋いで急いで!!」
「は、はい……ダメです通信が繋がりません。強力なジャミングが展開されています!!」
正面スクリーンをみるリトスの手がシートをダンっと叩く音が響く。ただ見ていることしかできない自分に歯がゆく思う、それはこの場にいるオペレーターの誰もが同じだった
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
『炎凰剣!破邪一閃!!』
『っしゃああ!!タロウ無限連打ぁあ!!』
『ガベアアアア!?』
『グブバアァ!』
炎宿る炎凰剣が逆袈裟に砲鬼の荷電粒子砲口ごとまるでバターのように溶かしきり、三体の雑鬼へ接近、構えた拳が消え装甲を砕き殴り抜き倒していくタロウ…あたりにはバラバラの残骸が散らばり増えていく
タロウ、炎凰は合体してないのに関わらず、また一体撃破していく。二体の連携もだが
『オラオラ!一歩も近づけねえぞ!!』
『アキラ、また弾を無駄遣いして………そこ!!』
『射角固定、誤差0,5。自転影響修正……アカネ…』
『カートリッジ装填、いつでもいけるよミオちゃん』
『斜線から離れて…………グレン発射』
『グ、ギャアオオオオーーーーーーーー』
タロウ、炎凰が対応出来ない雑鬼をサヨコ、アキラの戦機人《翔》がガトリングガン、マシンガンで牽制しつつグレンの射線に複数体誘導、改良されたグレンの高出力ビームで撃破
光に飲まれ断末魔の叫びを上げる雑鬼、しかしビームに耐えきり雑鬼が飛び出す。が閃光が動力部を貫き糸が切れたように倒れ伏した
『さすがはアキツキインダストリアルの新型レールガン…まえのとは冷却効率とチャージ時間は段違いね』
上空からガシャッと薬莢が飛び出し冷却ガスが砲身を冷やしながら次弾頭を装填する戦機人改《翔》の姿…
第四分隊のサポートが今までに無いほどの力を発揮していく
しかし、それは突然終わりを迎えた…空がゆがみはじめ無数の幾何学的紋様が幾重に重なり大きくゆがみ割れ現れた姿…六枚の黒翼を広げた冷たさを感じる巨大な角をはやした少女を思わせる天使、そして死神を思わせる幼さが残る顔立ちに金色の髪を揺らしさらに巨大さを増した大鎌を持つ女神が見下ろすように見ている
『アイツ………』
『飛鳥?』
『う、う、うわああああああ!!』
怒りの声と共に炎凰を機神獣形態へ変え炎を撒き散らしながら黒い天使……《ルシファー》へと迫ろうとする…がその前に立ちはだかるように死神が現れ大きく横凪に大鎌で斬りつけた
『うわああ!!』
「へっへ~んだ。君の相手はボクがやるよ赤いの!前よりも、すごく強くて速くてカッコよくなった《ゲラール・ブリッツェン》の力を見せてやるんだい!!」
水色の髪を揺らし
「く、お前の相手をしてる暇はないんだあああ!!」
ー飛鳥、落ち着くんだ……今は目の前の相手をどうにかしないとー
「わかってる……」
機神獣形態から通常の炎凰へ変わると同時に炎凰剣を手にし襲いかかる鎌を防ぐがたたらを踏みながら吹き飛ばされた
『飛鳥!』
『アンタは………このアンジュ・オーガスティアの《アルジェント・ノワール》が相手したる……ムモムモツアロー!!』
黒翼の天使…
『く、このままじゃ………ジリ貧だ……こい!クマード、エルクゥ、ビックボア!!』
一方、飛鳥も炎凰剣で遥かに鋭さとスピードを増した大鎌の刃を防ぎ、何度も切りつけるが紙一重でかわされ逆に追いつめられていた
「おそい、おそいよ赤いの!今日はボクがけちょんけちょんのコテンパンにしてやるんだから!そこだよ!!」
『うわっ!合体するしかないか………いけるかD!』
ーいつでもいけるぜー
大鎌を防ぎながら柄の部分にドロップキックを決めるも身動きひとつしないゲラール・ブリッツェン。しなる柄の反動を利用し上空を飛ぶ炎凰。それを見て攻撃を仕掛けようと腕部プラズマカノンを展開、ねらいを定めようとするが閃光か頭部に直撃する。その先には滞空する戦機人改《翔》がレールガンを構える姿。
『今よ飛鳥くん!桃矢!!』
『よっしゃあああ……いくぜレガアシィィィ・ダアアッシュ!!』
『いくぞDィィトレーラアア!』
地上を抉り駆けるタロウの周りに機神獣クマード、エルクゥ、ビックボアを中心に文字が幾重にもリング状に展開。クマードの上半身がタロウの上半身、下半身が、二つに分離し延長した脚へ。ビックボア、エルクゥは腕へ変わり装着、あたたかな黄金の光があたりを照らしテラン文字がはじけた
あらわれたのは力の象徴…三日月のブレードアンテナを輝かせ、端正なマスクに力強い体躯、その表面には半透明な《エナジーアーマー》、《金》とも読める古代テラン文字が胸部装甲に輝く
『荒ぶる大地と人の願いから生まれた力を背に!手前ぇら鬼共の理不尽な暴力を叩き潰す剛力無双の《キンタロウ》!ココに大ッ・見ンッ・参ンッ!!』
『あれはムモムモツアローやない?キィンツアローなんか!?』
さらに空から光の道が現れ深紅のトレーラが炎の跡を残し疾走。ライトに光が宿り後輪立ちするように立ち上がりトレーラ運転席が左右に分かれ腕へ、コンテナ部分が脚へ変形し胸元が大きく開く
『いくぞ勇凰合………』
地を蹴り飛翔と同時に機神獣形態へかわり火の鳥と化し大きく開いた胸元へドッキングするべく迫ろうとした
「甘いよ赤いの!ガッチイなんかさせないよ!!えい!!」
いつ間にかに変形を終えたDトレーラの前に現れるやいなや、手に持つ大鎌が大きくふるわれ一閃…数秒遅れて上半身と腕がズルリと滑り落ち海面へと落ちていく。わずかな間隙が生まれ飛鳥は無防備状態で大鎌の刃を受け半壊したDトレーラから離れた場所に落ちる
『Dトレーラが……コレじゃ合体出来ない』
うずくまるよう顔を上げた炎凰。その目には大鎌を右斜め下に構えフワリと降り立つ黒い死神乙女《ゲラール・ブリッツェン》はゆっくりと歩み寄り止まると首を掴み上げ持ち上げた
「う、うわあ!?」
装神装甲を纏う飛鳥の首筋にうっすら手形が浮かぶのが見えるもふりほどこうともがいた瞬間、装神空間内に電撃が走る。ビクッと身体を強ばらせ身が焼かれていく感覚に耐える。ゲラール・ブリッツェンの全身から青みを帯びた凄まじいまでの高電圧電流が流し込まれているからだ
「うわ!ぐううう!うわああああ!!」
「飛鳥!ち、邪魔だカラス女!!」
『いかせへん!あの赤いのを倒したら次はあんたや!!クロイツフェルトシュベルター!!』
「空を飛べる上に剣を使えるのか!金剛斧っ!!」
十字架にチャクラムが合体した長柄の槍《クロイツフェルトシュベルター》の刃をかわし、海面に拳を突き立て金剛斧を手にすると刃と刃を撃ち合いふせぐも桃矢は動きについて行くのに精いっぱいだった
(赤いのと、ムモムモツアローを倒せばボクは飛鳥と離れずにすむんだ…悪いけど倒させてもらうよ機械神!ボクと飛鳥が一緒に生きていける世界の為に!!)
ゲラール・ブリッツェンのシートに座るライカは飛鳥の為に炎凰を倒そうとしている。だが乗っているのが飛鳥本人だということに気づかずに。さらに電撃の出力をあげようとした時、彼方から凄まじい光がゲラールブリッツェンの腕へ当たり衝撃に耐えきれずたまらず首から離してしまう
「な、なんなの今の………なにアレ?」
ゲラールブリッツェンの目が捉えたのは緑色の甲羅から飛び出すように伸びた二対の巨大な大砲、海上をホーバリングしながら再び砲口に光が集まり撃ち放たれた。難なく回避するも突然の事に驚きを隠せない
「はあ、はあ、新手か?」
ー違うぞ飛鳥、あれは味方だ!!ー
ーほぉほぉほっ、久しいの炎凰ー
ーやっぱり真武祖父さんか!目覚めたって事はー
『あ、あの……アイギス。知り合いなの?』
「そ、その声……まさかユウジさん!?まさか装者に!?」
声と同時に翠に銀地の
「飛鳥くん!?なんで君がそれに」
ー主よ……今はそれを問う時は幾ばくも無かろう。この戦いの後に話す機会はあろうて。こちらに来るまでの状況はあいわかっておる……ー
ーまさか、アレをやる気か祖父さん!ー
ーふむ、《氷龍》、《白虎》がおらぬがあの車?の状態をみてワシが壊れた部分の変わりになれるじゃろうー
「よくも、よくもじゃましたなぁ!!」
大鎌を炎凰。新たな機械神《真武》へと切りつけるも不可視の楯が防ぎきる中、Dの声が飛鳥の頭に響いた
ー飛鳥、あと真武の装者のあんちゃん!あと二人いないがぶっつけ本番でやるから合わせろよ…………俺たちのダチ譲りの決め言葉を……心に浮かんだ魂の言葉をー
Dの声と同時に胸の奥から浮かぶのを迷わず叫んだ…
『いくぞ!D、ユウジさん!真武!』
ーレガシック・フィールド最大展開!!ー
『ああ、もう………テ、
『……………いくぜヴァリアブルっ!フォオメーショオォン!!』
炎凰、真武を中心に古代テラン文字が幾重に重なりあふれだし、半壊したDトレーラがふわりと浮かび上がり、赤と翠のオーラが空に紋章を描く
「な、なにをしようと弱点はわかってるんだい!!」
構えた大鎌が分解、上下左右に分かれバレルを形成と同時に高出力プラズマが収束、一気に解放された光が迫る…直撃するも霧散する中で真武が変形をはじめる
亀の甲羅がわれ両手に構える重厚な装甲に包まれ巨大な大砲を二対背に構える深緑の機械神《真武》。宙返りし中心が分かれ胴体、大砲が腕を形成、火花を散らし半壊したDトレーラを引き寄せ新たな身体を作り出す
『うおおお!』
炎凰の装神空間内に《炎》《?》《武》《?》が並ぶ中で飛鳥の口から自然に言葉が紡がれていく
『…………炎武合体ッ!!』
新たな胴体から光の帯が伸び機神獣形態の炎凰の各部接続、引き寄せられ勢いよくドッキングした瞬間、炎が溢れ出し翠の大地の息吹があふれ出す中、現れたのは新たな機械神《炎と大地》の力を持つ不完全な姿……深紅の翼に背中から伸びた二対のキャノン、深緑の装甲が腰にまで展開し、腕にDトレーラと甲羅を模したアーマが追加されている
『『紅の翼にやどる炎、命育む大地の力と共に未来へ突き進む!…炎武凰ガイア・フェニックス!ここに顕現!!』』
力強く拳を引き構えた姿はライカ、アンジュ、桃矢の目に映る…
「す、姿が変わったってボクに勝てるものかあああ!!」
光圧推進システムをフルで稼働させ一気に間合いを詰め横凪に切り払おうとする…しかし、刃は届くことなく翠の浮遊する盾《武鱗甲》に防がれた
『今度はこっちの番だあああああ!!』
武鱗甲に阻まれ僅かな隙を縫い突き出された拳が顔面にヒット…激しく揺れるシートで必死に
「よくも、よくもボクのゲラールブリッツェンを!!ゆるさない、絶対に許さないんだから!!」
『動きが早くなった……分身してるのか!?』
ー飛鳥、奴の動きに惑わされるな!!ー
『まって飛鳥くん!僕が彼奴の動きを止める……アイギス』
ーふぉふぉ、任せよ主よ………ー
背中の二対のキャノンが動き出す、真武の装神空間内に浮かぶユウジの手にグリップ?が現れた。迷わず握ると光のリングがせわしく動きやがて一つに重なる
ー今じゃ!ー
『し、真武甲縛弾!』
二対の砲門から放たれた光。そのままゲラールブリッツェンへ真っ直ぐ向かい着弾、たちまち無数の光が鎖のように全身に広がり拘束していく
「うわ?な、なにコレ……ゲラール・ブリッツェンがう、うごかない!!」
「ライカ!(あかん、あの赤いのと翠がガッチイしたんのは間違いなスーシィジュウや!………)」
真武甲縛弾にとらわれ動きを封じられたライカのゲラール・ブリッツェンに気を取られ攻撃の手が緩んだ。その時を待っていたかのように桃矢はクロイツフェルト・シュベルターの刃を掴んだ
『つ、つかまえたぜ!カラス女!!…………うおおおおおお!』
グイッと引き寄せ、重力を限界まで収束させた拳が胴へと深々と刺さりそのまま水切り石のように跳ね離れていくアルジェント・ノワール。その姿を捉え大きく構えた金剛斧に超高密度のエネルギーが光となり集まりはじめ、やがて刃の上に激しく放電する雷の刃が形成された
『いくぞ!………迸れ雷光、天を震わせろ………必殺・金剛オオオ爆ッ雷アアアィッ斬アアアアアアアッ!!』
構えた金剛斧を大きく横にフルスイングする。凄まじい放電を起こす巨大な三日月状のエネルギー刃がアルジェントノワールを飲み込み凄まじい爆発と放電現象を引き起こした
『……鬼退治…完了!』
「ア、アンジュ!!」
ー今だ!飛鳥!!ー
「いくぜ……こい!炎武凰剣!!」
飛鳥の声に答え、炎武凰ガイア・フェニックスの手に炎と岩が集まり砕けはじけると、翠色の刃に甲羅と翼の装飾が目立つ片刃の大剣《炎武凰剣》が姿を見せ大きく右斜め下に構え一気に加速、全身に炎が揺らめきそのまま跳躍、大きく上段に構え一気に接近し叫んだ
『炎武凰剣!真っ向空竹割りィィィッ!!』
赤と翠のオーラを纏わせた刃がゲラールブリッツェンをとらえ滑り込むように切り捨て通り抜けるガイアフェニックスは血を振り払うように腰に炎武凰剣を収めた瞬間、赤と翠のオーラに包まれゲラールブリッツェンは爆発、爆炎を背にするガイアフェニックスの瞳が輝いた
「はあ、はあ、やったのかな……桃兄」
『……………いや、まだだ!』
桃矢の声が響くと同時にあたりに雪が舞い始めた…ハッとなる飛鳥、ガイアフェニックスが見上げた空には蒼く輝く中華風の鎧と龍をモチーフにした機体、数日前に飛鳥が交戦したフリーレン・ドラッヘンがアルジェントノワールをお姫様抱っこし、ゲラールブリッツェンを背中に抱えている
『…………まさかスーシィジュウが目覚めていたなんて……ライカ様、アンジュ、ここはいったん退くよ』
『ま、待つんや……いまキンツァローとスーシィジュウを倒さなあかんのや』
『ボクもまだできるよ……赤いのを倒さなきゃ』
『……………今は退くんだ…僕にとっておきの作戦があるんだ……だから』
『わかった………覚えとれキンツァロー、スーシィジュウ……ウチらは必ずお前たちを倒したるからな!』
『赤いの!今度こそボクが必ず倒してやるんだからね~首を磨いてまってろお!!』
忌々しく睨み再戦を誓うと、幾何学的紋様が浮かび上がり空間転移が始まるのを見てガイアフェニックスは慌てて飛ぼうとするが、肩をキンタロウに掴まれた
『は、はなして桃兄!』
『待つんだ、今のお前は行かせられない!あの蒼い機体を見てからおかしいぞ!!』
『離してよ、お願いだよ………あの蒼いのには、蒼い機体には………んが…………蓮が乗っているんだあああああ!!』
『な、なに!!』
驚きを隠せない桃矢、キンタロウの手を振り払い空へと飛翔し、手を伸ばすも三体は瞬く間に姿を消し、手は虚しく空を握るしかなかった
第十話 神秘の翠楯(後編)
了
新たな翠の機械神《真武》に選ばれた楯無ユウジ。ヴァルキリーズ極東本部で出す彼の答えは?
一方、敵である鬼の機体に死んだはずの飛鳥の弟《新田蓮》が乗っている事をしり呆然とする桃矢とヴァルキリーズの面々
しかし、悩む暇も与えないと言わんばかりに鬼たちが再び極東本部へ進路を向けた事を知り、ファナティカーズは驚くべき作戦をおこなおうとしていた
次回、第十一話 消える炎、大いなる方舟(桃矢side)
大いなる力は何をもたらすのか?