機械神伝説ー桃太郎ー   作:オウガ・Ω

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最後の避難民誘導に向かった飛鳥達が戻る30分前……第三格納庫では異変が起きていた




「コ、コレは!飛鳥の時と同じ反応じゃ!!」


「じいさん、これ以上は機器が持たねえ!なんなんだよ、この石像は?」


声を上げる虎の前には様々な検査機器を取り付けた蒼い龍の石像…計器からは様々なエネルギー波形が観測され、やがて小康状態になり剥がれ落ちそうなケーブルをチーム虎の面々が補強している中で静かに口を開いた



「この石像は桃矢くんのタロウ、飛鳥の炎凰と同じティルレガシィじゃ……」



「マジなのか?でもなんでこんなに震えだしてるんだ?」



「おそらくじゃが操者がちかくにおるのかもしれん……じゃが…いまは搬入の為に機材補修を




「すいませ~ん、補修機材を運んできました」



「補修機材じゃと……はやいのう、ならそこの波動チェックケーブルにターミナルを追加してくれるかの」



源三の声を遮るように物質コンテナを運んできた三人に目を向けた源三、早いなと思いながら蒼い龍の石像に向き直った時だった。背中に何か堅いのが当てられた


「うごかないでください」



押し殺した声に身を固くする、あたりを見るとチーム虎、虎も二人の整備士に何かを向けられているが。何より源三は今の声に聞き覚えがあった。数時間前にすれ違いぶっかった少年と同じだと気づいた



「何をする気かの?今ならまだ冗談ですむんじゃが……」



「すいません、冗談じゃないんです……ゆっくりと手をあげながらこちらに来てください」


その言葉に従うかなく、歩き出した先にはチーム虎、虎が手を上げた状態で座らされている。ゆっくりと座り源三は正面に向き直り息を呑んだ

蒼い髪に、やや幼さを残した少年…四年前に死んだはずとされ実は生きてて鬼に組した実の孫で飛鳥の弟、蓮に呆然となりながらみていた



「………ルウさん、ミィさん、時間はどれぐらいあるかな?」



「ギリギリ一時間ですね…でも気づかれたみたいです」



「そっか……じゃあまずは」



「待ってくれ!君たちは何をする気何じゃ!」



「………僕たちはクヌキアエシン、アナタ達の言葉で言うと機械神を破壊に来ました……それが終わればアナタ達を解放します………オルガス皇国、龍鬼将アレン・ニーティ・オーガスティアの名において」


人質に取ったことを申しわけなさそうに告げる少年アレンは軽く頭を源三に下げ背を向けた…眼前にある蒼い龍の石像に手を触れた時、ドクンと脈打ち激しく鳴動しはじめるも、ゆっくりと札を手にし投げ貼り付けた



「アレンさま!危険です。私たちが」


「大丈夫。二人は見張りと障壁をお願いします………ブィオン・バオ!!」


軽く印をきると、貼り付けられて札が爆発し煙に包まれ爆風が溢れるもミィ、ルウが施した障壁で源三達はしっかり守られていた


煙に満ちた先を見るアレンの脳裏には数時間前、オーガスティアでのコトを思い出していた



ーヤツらの本拠地に潜入するやて!そんな危険な作戦は認めんわ!!ー



ーアンジュ、まずは僕のプランをみてー



巨大スクリーンに映されたのは極東支部近辺にある都市部、その周囲を取り囲むようにガ・ナー、ガ・ロズが配置されていく


ーこうやって取り囲ませると、彼等とは《別な組織》が排除しようと動き出すと予想される。当然ムモムモツアロー、スーシィジュウは何らかの行動をとってシュマーから離れなければならない。その隙をついて僕とメルキュアス師団のルウ・チュルニア、ミィ・ハッキルニと一緒に潜入するー



ーシュマーを破壊するんか?ー



ーいや、先の戦闘で僕はシュマー全体にをキュルメシュキンしてみたんだ……その時に感知できたのがコレだー



ーこ、コレは……スーシィジュウ?でも石像やないか……………まさかアレンー



アレンの目的に気づいたアンジュに頷いた



ー潜入してスーシィジュウ?らしい石像を破壊する……前に来た時と違って別な場所にあるかもしれないけど、僕たちが勝つためにはコレしかないんだー



ー………でもアレンー




ー大丈夫、必ず成功させて帰ってくるから一体でも倒せば元老院、陛下に対して有利にコトを運べるはずだからアンジュ・オーガスティア、この作戦の承認をお願いしますー





ー.……………………わかった、認める………アレン・ニーティ・オーガスティア、武運を祈るー



ーはい!ー


承認を得てからアレンは先に地上に降りたライカにプランを説明し取り囲むようにガナー。ガロズを配置した。アレンの予想通り二手に別れた桃矢、飛鳥が極東支部から出たのを確認し避難民に紛れ込んで潜入し今に至る


煙が晴れ、そこには残骸があると思いながら目にしたアレンは息をのんだ…傷一つなく佇む蒼い龍の石像。辺りには検査機器のケーブルの残骸しかない



「そ、そんな……爆符が効いてない………なんなんだ」



アレンが用いた爆符はガ・ロズ数体を纏めて粉砕出来るもの。それを使っても破壊できなかった事に驚きの様相を見せた時、蒼い龍の瞳とあう



(な、なんだろ………僕は前にもみたことがあ……)



胸の奥からこみ上げる懐かしさから少しだけ近づこうとした…




「れ、蓮!……蓮!!」



とっじょ響いた声に歩みをとめた…不思議な服を来た少年が近づいてくる姿を捉えた


第十一話 消える炎、大いなる方舟(飛鳥side)

『桃兄、ノゾミ姉さん……』

 

 

轟音と共に空へ上がる二機のロケットが噴煙を上げていくのを炎凰の装神空間に浮かび見る飛鳥に声が響いた

 

《飛鳥、そろそろカマクラだぞ?ユウジと真武じいさん、ルディたちとの合流ポイントに向かうぞ》

 

 

 

「え?あ、もうか?」

 

 

《………桃矢とノゾミ達が気になるのはわかるが今は…》  

 

 

「わかってるよD……じゃあルディさんのとこにいこう!みんなを安全な場所に運ばなきゃいけないしな」

 

 

パンっと頬を軽く叩き気合いを入れ直し炎凰を合流ポイントに向かわせるべく翼を傾けるのをDはすこしだけホッとしている

 

死んだはずの弟《蓮》との戦いから数日、空元気で明るく笑い振る舞う姿を見て辛かった…別世界でも二人、転生する前も飛鳥と蓮は兄弟として産まれた。しかし互いの守るモノの為に戦うコトを利用されたあげく、敵味方に別れ血で血を洗う戦いを繰り広げたのを今でも覚えてる

 

 

ー………兄さん、邪魔をしないで…ー

 

 

 

ー…………お前、今ナニをやろうとしているのかわかってんのか!!…ー

 

 

 

 

ーわかってるよー

 

 

 

ーわかってるんならナゼやろうとする?!ー

 

 

 

ー……助けたいんだ…@#∬ℵ┃を!!邪魔をするなら、例え……兄さんでも倒す!!いくよディー@∬∽!!ー

 

 

 

 

ーこ、このバカやろうが!力付くでも止めてやる!こい、D!!ー

 

 

 

叫びと同時に全身装甲に身を包んだ髑髏に龍、鳥の特徴を持つ仮面を被った戦士に姿を変え無数の拳、蹴りの応酬を繰り返し、あたりの大地に炎、氷が無数に生まれやがて光と共にはじけた

 

 

 

あの時と同じ状況の再現…それは避けようにも避けられない。炎凰をはじめとする真武、氷龍、白虎はもとは一つの存在だった

 

 

しかし、リュウセイ達と別れ向かった世界で四つに別れ、氷龍が敵側についてしまった…炎凰達は騒然となりながらも、やがて理解した

 

 

氷龍が付いた側は敵では無いと言うこと…その背後にいる自分たちが追っていた真の敵を炙り出すために敵対という形を取ったのだと

 

 

今回のもソレが当てはまるならば鬼は敵ではないとわかる…ただ氷龍は未だに覚醒していない。近くにいれば分身を生み出し接触するはず。何度呼びかけても応えない事から眠りについたままだとわかった

 

 

(まだ目覚めていないと考えた方がいいか……オレや真武のじいさんと同じように近くにいればあるいは……それは無理か、氷龍はヴァルキリーズの第三格納庫にあるからな…それにしても)

 

 

 

装神空間内にいる飛鳥に意識を向ける…機神獸形態で滞空しながら轟火に第一分隊が避難民を真武と共に誘導、あたりに鬼がいないかを警戒しているのが見てわかる

 

 

(……なにがあったかわからないが元気になって良かった……虎たちがなんかしてくれたんだろうな)

 

 

……自分がいない間、飛鳥を虎達が元気付けてくれたことを嬉しく思う。しかし虎達が励ましただけではなかったコトをDは知らない

 

 

 

 

鬼達に包囲された街にファナティカーズによる軌道エレベーター構造体落下作戦が行われる半日前……

 

 

 

「………………」

 

 

新田研究所から少し離れた自然公園、木々が風に揺れ、開けた場所にある芝生の上で膝を抱きかかえ顔を俯かせ飛鳥は一人座り考えていた

 

 

「………蓮、何でなんだよ……」

 

 

小さくつぶやく…死んだと思っていた弟が生きていた。しかも鬼達の尖兵になって鬼を庇った上に自分と刃を交えた

 

もし今度、また出会った時は…自分はどうしたらいいと自問自答し繰り返すウチに真っ暗で先が見えない、手探りでも辿りつけない迷路に陥り無意味に答えを求め歩いている

 

 

 

「あ~~す~~か~~みぃ~っけた♪♪」

 

 

 

「うわ?………って?ライカ?な、なにやってんのさ?ち、ちかい、ちかいから!?」

 

 

 

声と同時に振り返る飛鳥の顔に柔らかな何かに包まれるもなんとか抜け出した。水色の髪が風に揺れ夕日に輝き笑顔を向け抱きつく少女…ライカに慌てふためくも離れるよういうが

 

「や~だもん♪最近、アスカにあえなかったから、スッゴくさびしかったんだよ?スキンシップ、スキンシップ」

 

 

 

「だ、だからって…その……あのう」

 

 

 

口ごもり顔を俯かせる…なにしろ二人の顔はあと5㎝までの距離…互いの瞳が自然とあうのは自然の流れだ。ジッと見つめるもライカはゆっくりと離れ隣に寄り添うように座った

 

 

「ん~補給完~~了……どうしたのアスカ?もしかしてまだハグハグしたかったの?」

 

 

 

「い、いや、そうじゃないし……そ、それよりさ今日はどうしたのさ?いつもだったら部室に来るのに」

 

 

「え?あははは……そうだよね…うん今日は…その。そういうアスカは何でココに?」

 

 

 

質問に質問で返す二人は黙り込んだ……ふわりと風が芝生を揺らし間を流れる…ただゆっくりと時が過ぎていく。だがそれは破られた

 

 

「………実はさ……二週間前かな、知り合いと街で会ったんだ……ひさしぶりで凄く嬉しかったから声をかけようとしたんだけど、あっという間に居なくなって…したら最近また会って、すぐに話しかけようとしたら……また居なくなって……わかんなくなって」

 

 

 

「……アスカはその人とキッイカ…ケンカでもしてるの?…」

 

 

 

「…ケンカじゃないんだ……ただ単に無視されてるのか…コッチのコトを覚えて無いんじゃないかって…想ってさ。ご、ゴメンなこんな話して…」

 

 

軽く謝った飛鳥がライカにしたのは機械神《炎凰》に乗りオーガロードを駆る弟の新田蓮との剣を交えて再会を果たした時の事。もちろん機械神に乗って戦った事は省いている。余計な心配をさせたくなかったのがあったのもある……悩みを吐き出し黙り込むとライカは静かにこちらを向いた

 

 

「………じゃあ、アスカはその人とどうしたいの?」

 

 

 

「……え?……俺は……」

 

 

 

「このままでいいの?じゃあコッチに気づいてくれるまで何度も会って、声をかけてみようよ。それでも向こうが気づいてないなら大きな声で届くまで何度でも…すぅ~~~~『お~~~い!ボクの話を聞いて~~~~~~』……って♪」

 

 

 

「っ……く……あははははははははははは」

 

 

 

「な、ナニ笑ってるの~~?せっかくボクがアスカのために真面目に考えたのに……」

 

 

 

いきなり笑い出した飛鳥にぷくぷく頬を膨らませ怒るライカに涙目を向け頭を下げた

 

 

「ご、ごめん……でもありがとうライカ……なんかスッキリしたよ……そうだよな…やってみなきゃわかんないよな」

 

 

「うんうん、何事もチュルレンジアだよ!」

 

 

 

「チュルレンジア?(なんかライカって俺が悩んでるとよく会うよな………でもその前に)……ライカもなんか悩んだりしてるんじゃないか?」

 

 

 

「……な、なにも悩んでないよ~ボクは……」

 

 

 

「棒読みになってんだけど?今度は俺がライカの悩みをきいて……って目をそらさない」

 

 

ギクリと身体を震わすライカと言葉から悩んでるとわかる…視線をそらすよう目を泳がせ逃げようとするのを防ぐために両肩に手をおいた

 

 

「え、ええ?アスカ!?」

 

 

 

「……なにがあったんだ……」

 

 

 

「それは……そのう……わ、笑わないで聞いてくれるかな…」

 

 

 

「笑わないから」

 

 

 

「ん……………えとね、最近ゲイムで負けたんだ…赤くて羽のある奴に……スゴく速くて強いボクが追いつめるんだけどいつの間にか逆転されて……」

 

 

「そんなに強いのか?」

 

 

 

「うん、どうしても……ううん絶対に勝ちたいんだ…じゃないとボク…」

 

 

 

「ん~そのゲイムって格闘ゲームかはわかんないんけど、相手の動きを予測してみるのはどうだライカ?どんなに強い奴でも必ず弱点はあるはずだ、それに自分のペースを誘い込んで有利な状況を作てみるのはどうかな?それに話しを聞いた限りだけど何回かやってるんだ。ライカなら出来る」

 

 

 

「本当に?」

 

 

 

「ああ、ライカなら出来るってオレは信じてるからさ」

 

 

「う、うん!じゃあボクやってみるね……ありがとうねアスカ♪」

 

 

柔らかで愛らしいライカの笑みにドキドキしはじめる…ふとナニかを思い出したように飛鳥に向き直った

…さっきまでとは違い何かもじもじしている

 

 

「え、えとねアスカ……」

 

 

「な、なに?」

 

 

「そのね……今度、ボクのウチに遊び来ない?……お母さんとお姉ちゃんが…『私たちにも会わせなさい』って……だから…あの」

 

 

「いいよ」

 

 

 

「いいの!本当にボクのウチに遊びに来てくれるの!!」

 

 

 

「ああ、それにライカのウチってどこにあるか知りたいし、そしたら何時でも遊びにいけるから……ってライカ?どうしたんだライカ?お~~いライカ?」

 

 

 

「(やった、やった………アスカがボクのウチに遊び来てくれる……オルガスの掟その10《想い人をホウルムへ招く事。すなわち結びの儀なり》…お母さん喜んでくれるし…ライハお姉ちゃんより先に……そしてアスカと一緒に)」

 

 

 

「ライカ~~……仕方ないアレやるか《じいちゃん秘伝・くすぐり》!!」

 

 

「ひゃああん!?あ、あすか!?くしゅぐら、ないで…くしゅぐったひ!?ひゃめてたらあ!?」

 

 

 

わき腹を指でくすぐられ身を捩らせ体勢が崩れ、巻き込まれるように芝生に倒れ、ふわあと芝がまう

 

 

「タタタ、ごめんライカ大丈夫?」

 

 

 

「う、うん……あ、あのどけてくれないかな?強くやらると…」

 

 

「え?………」

 

 

 

飛鳥の手に柔らかな感覚…みるとライカの豊かな胸を鷲掴みにし、さらには押し倒すような体勢になっている、あわてて離した背を向ける互いの顔は真っ赤になってる

 

 

「…ご、ごめん!い、いきなりあんなことして……」

 

 

 

「え?あ、ううんボクなら大丈夫…!?ご、ゴメン!ボク用事ができたからいくね……またねアスカ」

 

 

 

「あ、ライカ………」

 

 

不思議なメロディーを耳にしたライカが慌てて立ち上がりそれだけ言うと走り出し、その背中はあっという間に小さくなっていく

 

 

 

「またね…か。…………よし俺もいっちょやってみるか…」

 

 

 

軽く頬を叩き立ち上がる。向かうは極東支部第八リニアゲート…通行IDは凍結されている。でも今の飛鳥は止まらない。ライカから勇気をもらったのだから

 

 

 

 

 

 

 

『ライカ様、作戦開始時刻まであとわずかです』

 

 

「わかってる、わかってる♪レンレン達は?」

 

 

 

『先ほど潜入されたようです……ライカ様、何かありましたか?』

 

 

 

『ん?わかる?わかっちゃう♪でも気合い入れてやるよ。今日のボクはか~~な~~り強いんだもん!赤いのが来てもケチョンケチョンにしちやうんだからね』

 

 

 

 

『…わ、わかりました………では作戦開始します!!』

 

 

 

 

「OK~~じゃいくよボクのゲラールブリッツェン!!シイルス解除、オルガクリスティアフ~~ドライー!!」

 

 

 

極東支部周辺部にある山…中腹にある森が揺らぎ現れたのは漆黒の装甲に金色の髪?をよらす少女を思わせる顔立ちと女性らしさを併せ持つ巨体…鬼神将機《オーガロード》が姿を見せ背後にガ・ナー、ガ・ロズを控えている

 

 

オーガロードのコックピットシートに身を任せるライカの服が消え、雷光と共に装鬼礼装が身を包む。ゆっくりとメタルスフィアに力を込めた

 

 

「ガ・ロズ、ガ・ナー……配置について…(今日ですべてを終わらせる。ボクたちの星と、アスカと一緒にいるために!!)」

 

 

 

いつも以上に気合いが入ったライカの声に応えるように目を光らせ、姿を消し気配が消えた

 

 

生まれ故郷であるオルガス、大好きな飛鳥のために戦うと意気込むライカ…この日が積み重ねてきた互いの想いが崩れてしまうことを知らずに

 

 

 

 

そして現在、飛鳥とユウジ、第一分隊は最後の避難民を連れて極東支部に向かっている…取り囲むように配置されたガ・ナー、ガ・ロズの索敵エリアから無限機動陸上走行特殊車両《刧火》を配置、ルディ達が街の人々へ呼びかけ誘導し移送ユニットへ搭乗させ極東支部へ移送を繰り返していた。落下予測時間まで30数分、予定通りならばキンタロウ、第四分隊が衛星軌道上でのグレンバスターキャノンの第二射で三分の二近い構造体破壊を完了しているはず…しかし何が起きるかわからない現状では気を抜くこと無く周辺部に目を配らせていた。そんな時《炎凰》に思念通話が響いた

 

 

 

ー聞こえるかな飛鳥くんー

 

 

ーユウジさん?まだ極東支部はまだー

 

 

ーちがうんだ……君に言っておきたい事があって……ー

 

 

 

ー言っておきたい事?ー

 

 

 

ー僕は…なぜ真武いやアイギスから力を託されたかがわからなかった……この力は自分が扱うには過ぎた力だってことも。でも今日、リトスさんやルディさんと会ってやっとわかったよ。この力は大事な人達がいる世界を護るために神様がくれたんじゃないかってー

 

 

 

ー神様がくれた力……ー

 

 

ー…………だから僕は戦うよ。リトス指令、第一、第二、第三、第四分隊、ヴァルキリーズのみんな、桃矢さん、飛鳥くん、虎と一緒に……護るためにー

 

 

 

ー……ユウジさん、うん。一緒に戦おう……この力でみんなを護るためにー

 

 

 

ユウジの言葉に力強く頷き極東支部へあとわずかと迫った、その時ヴァルキリーズ中央司令部から緊急通信が入った。正面にリトスが映し出された。その表情は険しい

 

 

 

『飛鳥くん、ユウジくん、第一分隊は至急第三格納庫へむかって!』

 

 

「な、なにがあったんですか?」

 

 

 

『…落ち着いて聞いて…第三格納庫に鬼が……源三博士たちが鬼の人質に……今、保安部が』

 

 

 

 

リトスの言葉を聞き終わる前に炎凰が一気に加速する。赤い炎を激しく燃やし向かうは極東支部地下に設けられた第三格納庫…

 

 

ー飛鳥くん!待つんだ!!僕たちも……ー

 

 

「じいちゃん、じいちゃん!!」

 

 

 

ユウジの思念通話は届かず瞬く間に極東支部へつくなり、変形と同時に武人形態へ変わり炎凰剣を構え第三格納庫がある地表へ接近、大きく構え切り払った

 

 

 

第十一話 大いなる方舟、消える炎(飛鳥side)

 

 

 

「はあああ却火極閃!!」

 

 

灼熱の炎が地表部を切る、第一から第六十二層からなる特殊装甲をバターのように切り裂き溶かしきると、膝をつくとともに胸が開き光が伸びた。装神装甲《アームドギア》に身を包んだ飛鳥が迷うことなく中へと入り落下していく

 

 

「第三格納庫……たしか目覚めていないティルレガシイがあった場所だ……まさか鬼の目的は……いや、今は、じいちゃんたちを」

 

 

 

長い落下を終え着地、第三格納庫に通じるゲートを走り抜く…身に纏う装神装甲《アームドギア》は飛鳥の身体能力を爆発的に上げている為、落下などの衝撃、人類未踏の極限環境下でも肉体守りきり、例え時速100㎞で走る中でもジョギングをしているのとまったく変わらない

 

 

やがて第三格納庫へ通じるメインシャッターへとたどりつくと警備部のメンバーがロックを解除しようと侵入を試みていたが、うち一人が飛鳥に気がついた

 

 

 

「飛鳥くん?なぜここに」

 

 

 

「じいちゃんたちは?中には入れないの?」

 

 

 

「メインシャッターの解除を試してるんだけど、うちのメインフレームが書き換えられていて…それに物理的破壊には時間が…」

 

 

 

「……なら強行突破するしかないか……みんな、少し離れて!」

 

 

「え、なにを」

 

 

 

「いいから………スゥ~~」

 

 

両脚を肩幅に開き腰に腕を下げる…目を閉じ呼吸、一気に見開き地を蹴り足形を残し、弾丸のように早く大きく拳を振り抜いた

 

 

「……天上天下ッ!爆・砕・拳ッ!!」

 

 

裂帛の叫びと共に拳が分厚いメインシャッターに深々と突き刺さる。拳を中心に亀裂が走りだし真っ赤な炎が吹き出しメインシャッターの残骸が爆ぜ砕けちる…その様に唖然となり冷や汗が頬を伝った

 

 

 

「スゥ~夢で見たのと違うけどいいか……いこうみんな」

 

 

 

「え、ええ」

 

 

 

完膚無きまでに破壊されたメインシャッターに目を向けながらも中へいく飛鳥についていく保安部の面々…託児所で自分たちの子どもたちに笑いながら面倒をみる飛鳥を知っているから仕方ないのかもしれない。先を走る彼の心は祖父源三と親友、城田虎次郎、チーム虎の事でいっぱいだった

 

 

身近な人が人質に取られ命の危険にさらされている…四年前に両親を失った時に受けた心の傷はいまだに癒えてない。でも今は護るための力がある…もう誰も喪わないと強く想う度に身体の奥から力が沸き起こる

 

 

 

「じいちゃん、虎……チーム虎のみんな……!?あれが第三格納庫…」

 

 

 

第三格納庫の通路を抜け見えたのは白衣姿の長身の老人…源三と虎柄のつなぎにパンダナを巻いた親友の虎、チーム虎の面々が一カ所にまとめられ体を光る何かで縛られ座らせられ、手をかざし見張る二人の少女。そして帽子から覗く青髪が目だつ少年が激しく鳴動する青みがかった龍の石像をみる姿に飛鳥は声を上げた

 

 

「れ、蓮……蓮!!」

 

 

 

「っ!予想より早い?…………ルウさん、ミイさん、作戦は中止。ここから離脱を最優先するよ」

 

 

 

「はい、アレン様!ミイ、離脱するよ」

 

 

 

「うん、ルウちゃん………テラン人の皆様、手荒な真似をしてごめんなさい」

 

 

ミイと呼ばれた少女が謝罪の言葉を口に手にした何かを床へと落とす。眩いばかりの光が溢れだした。源三たちは光で目がくらむ中、とっさに手で目を隠した飛鳥は走り去る三人の影を捉えた

 

 

 

「くっ!待て蓮!!」

 

 

 

「待つんじゃ飛鳥!今の蓮は……」

 

 

 

「じいちゃん、ごめん。今は蓮を追わないといけないんだ……もう少ししたら保安部のおばちゃん達が来るから待ってて」

 

 

 

呼び止める源三を残し駆け出す。第三格納庫から外へ通じるルートに向かい走る三人を捉え一気にスピードをあげ追いつく

 

 

 

「待て蓮!オレだ……話を聞いてくれ!聞こえてんだろうが!!」

 

 

 

「!?……さっきのテランの人?…」

 

 

 

「蓮!オレだ、新田飛鳥だ!!……蓮」

 

 

 

「ニ、ニティ、ア、アスカ…さん…すいません、僕はレンってテランの人じゃ無いです。僕はオルガスの将、龍鬼将アレン・ニーティ・オーガスティアです」

 

 

「……ちがう、お前は新田蓮だ!」

 

 

 

「……ニティア・レン?……知らない名前です。これ以上あなたと無駄話する時間は無いです……ミィさん、ルウさん、一気に地上にでるから掴まってください」

 

 

「は、はいアレン様!」

 

 

「わ、わかりました」

 

 

ルウ、ミイを抱きかかえ、飛鳥があけた穴から地上へ地を蹴り施設の壁から出た建造物を足場変わりに上へと上がるのをみて飛鳥も同じように蹴りながら追いすがる…やがて地上へと出たアレンはルウ、ミイと共に出てゆっくりと二人を離したと同時に目にしたのは赤い装甲、鳥を模した頭部に端正な顔を持つ機械神《炎凰》に息がとまりそうになる

 

 

「ス、スーシィジュウ!?なんでここに!?」

 

 

 

「アレン様!?機械神が……」

 

 

間近で機械神炎凰が膝をつく姿に驚くルウ、ミイをよそにアレンだけは妙な懐かしさを感じていた。第三格納庫で青みがかった龍の石像を前にした時に感じたものを……見入るアレンの懐がもぞもぞ動き何かが飛び出す。青く透き通った羽をパタパタ動す水晶のような鱗を持つ小さな龍がアレンの周りを飛び回り肩に降りた

 

 

 

「イーヴァ、また潜り込んだんだね……アンジュと一緒にいるよういったのに」

 

 

《キュイ!キュキュッ!!》

 

 

その様子をみて軽くため息をつく…アンジュの療養先で出会ったドラッヘンの幼生。オルガス本星では神聖視されてて人前には滅多なことでは姿を見せない……なぜかアレンに懐いてしまいオルガスに戻るまで面倒を見ようと決めていたが、たびたびあとをついてくるのが目立っていた

 

 

 

「でも、ここまで来てしまったんなら仕方ないかな…ルゥさん、ミィさんはライカ様に通信を」

 

 

 

「は、はい……アレン様は?」

 

 

「僕はここで殿を務めるよ…イーヴァをお願いするね…龍鬼将アレン・ニーティ・オーガスティアの名において召喚する。こい、フリーレン・ドラッヘン!!」

 

 

イーヴァをミィにあずけ叫ぶ。空に幾何学的紋様が幾重に展開、中心から青く輝く中華風鎧にも似た装甲を持ち頭に龍角を持つ機体が姿を見せふわりとアレン達の前におり膝をつくと胸部装甲が上下に開いた。アレンは地を蹴り膝を足場代わりにして乗り込みハッチが閉じる

 

 

 

ーブラッディア、コンフリッツ。《オルガルーブ》チヤルジー

 

 

音声が響く中、アレンの服が瞬く間に崩れ龍鱗にもにた氷の結晶が表面を多いはぜるとぴっちりした黒地のボディースーツに流線型な青地に白の鎧、角を模したヘッドギア…装鬼礼装《オーガローブ》へかわり、背中から身体背面を覆うようにX字型シートがアレンの身体に露出したプラグへ軽い空気音と共に装着ロックされた

 

 

 

ークルディシュナ、オルヌグルーン………ジェネラーヌ、シヌンパイ…ヌル・フブ・クンツルヌ、ルヂィ?ー

 

 

 

 

「ヌイ・フブ・クンツルヌ………フリーレン・ドラッヘン。いざ参ります!!」

 

 

 

金属球を握るアレンに応えるようフリーレンドラッヘンの瞳に光が宿り立ち上がると、同時に飛鳥が地上にたどり着きや否やすぐさま炎凰へと鎧神一体し一つになり切り裂かれた表層部を境にし向かい合う二人の頭にあった事は

 

 

(……このまま、ココで戦えばミィさん、ルウさんが巻き添えになる……なら)

 

 

 

 

(いま、極東支部で戦ったら、下にいるみんなが危ない……だったら)

 

 

 

((出来るだけ安全な場所/離れた場所/に誘い込むしかない!!))

 

 

 

答えがでると同時に炎凰、フリーレンドラッヘンの瞳に光が宿ると同時に加速。極東支部の敷地から飛び出し飛翔…向かうは避難を終え人気が無い街の中心部へ…やがて二体は再び向き合う形で対峙する

 

 

 

『蓮!もうやめろ!!D、通信は繋がらないの?』

 

 

 

ー……ダメだ、彼方さんの通信システムは難解すぎで繋がんねぇ…!よけろ飛鳥!!ー

 

 

 

『……うわっ!』

 

 

とっさにかわすも微かな振動と同時に肩に冷たい痛みを感じながら見えたのは、短めの刀にも似た剣で切りかかるフリーレンドラッヘンの姿…休む間も与えないと言わんばかりに逆袈裟、袈裟、身体を捻り回転しながら切りつけてくる

 

『せやあ!』

 

『動きが早い!え、炎凰剣!!』

 

 

逆手に握られたフリーレンドラッヘンの刀を召喚した炎凰剣で防ぐ…しかし体格、パワー、スピードは相手の方が上、徐々に圧され始める炎凰…刃を交え切り結ぶ度、炎と氷が溢れる

 

 

『く、くうう(一撃、一撃が重い!!しかもこの刃からは強い信念を感じる!!)こ、のやろう!!』

 

 

 

 

『はあ!(僕の連続斬撃をいなしてる!でも負けるわけにいかない。キインツアローがいない、赤い機械神だけでも倒さなきゃいけない……オルガス、僕の作戦に協力してくれた皆やアンジュの為に!!)』

 

 

 

 

『な?……うわあああ!?』

 

 

 

背中に激しい痛み…隙が出来たのを見逃さずフリーレンドラッヘンの片刃剣が炎凰剣を持つ右腕を斬りつけたまらず手から落ちアスファルトに深々と突き刺さり弾け消える。炎凰の瞳に映るのは黒地の装甲に電光を纏う死神乙女…ゲラール・ブリッツェンが大鎌を構えている。炎凰の背中には斬りつけられた痕が見えることから先ほどの攻撃はゲラール・ブリッツェンのモノだとわかる

 

 

 

『レンレン、援護に来たよ!』

 

 

 

『ライカ様?なぜここに?』

 

 

 

『ミィちゃんとルウちゃんから聞いたんだ…レンレン、赤いのは僕に任せ……』

 

 

 

いい切ろうとしたた時、無数の光弾が炎凰とフリーレンドラッヘン、ゲラールブリッツェンの隙間を狙うように襲いかかる。寸前でかわした二人がみたのは深緑の装甲を纏い背中から巨大な砲門を肩に担ぐようにしながらホバリングしながら接近する機械神《真武》の姿

 

 

『な、なんとか間に合ったみたいだね。大丈夫かい飛鳥くん?』

 

 

 

ーうむ、炎凰聞こえるかの?ー

 

 

 

 

ーああ、さっきの砲撃助かったぜ……ー

 

 

 

『ユウジさん?それに真武じいまで…』

 

 

 

『先行しすぎだよ飛鳥くん。さてに、これで二対二だ、ぼくがあのライトニングを相手にする。今のうちにドラグーンを、ドラグーンに乗っている弟を助けるんだ』

 

 

 

『な、なんで知ってるの?』

 

 

 

『ここに来るまで源三さんや虎から話を聞いたんだ……Dトレーラも万全に整備してあるからって……ライトニングはぼくに任せるんだ!!』

 

 

 

 

『ユウジさん。ありがとう………来い!Dットレーララララララララァ!!』

 

 

飛鳥、炎凰の叫びが空に響く…空間が歪み赤い炎を纏った真紅の特殊車両、Dトレーラが空に炎の轍を残し駆ける

 

 

 

『ま、またガッチイする気だね!そんなことさせるもん……うわ!こ、こいつ』

 

 

 

『な、なんて正確な射撃だ近づけない』

 

 

 

『邪魔はさせないよ!!アイギス!!』

 

 

 

ーふぉ、ふぉ…年寄り使いがあらいのう……まかせんしゃいー

 

 

 

真武の援護砲撃に阻まれるフリーレンドラッヘン、ゲラールブリッツェンの目の前で合体が始まる

 

 

 

 

『勇・凰!合・体!!』

 

掛け声と同時にDトレーラーのライトが輝き起き上がると足が伸び剥き出しの駆動部に装甲が付き胴体が形成され力強い両腕の拳が火花を散らし飛び出す

 

 

『トオッ!!』

 

 

 

炎凰が炎に包まれ瞬間的に機械神獣形態へ変わり空いた胴体へ垂直に突っ込むと固定ジャッキが伸びロックされ胸には巨大な鳥の顔が現れ赤と金の装甲が装着、頭部が炎と共に出現し翼をもしたアーマーが頬に付き左右大きく開いた金地に赤のアンテナが展開し緑色の瞳が激しく輝き背中には巨大な翼が現れ炎が吹き出し両腕を大きく交差し構え振り抜いた

 

 

 

 

 

『熱き炎を背に受けて、絶望に染まった夜空を照らす希望の炎!勇凰神ブレイズ・フェニックス、熱き炎と共に大・参・上!!』

 

 

 

『………ガッチイした!?……でも負けはしないよ!ライカ様はあの機械神をお願いします!!』

 

 

 

 

『ま、待って、アイツはボクが……もう、しっこいよう!(せっかくアスカに攻略法教えてもらったのに…)』

 

 

 

真武の砲撃に翻弄されるライカのゲラールブリッツェン…フリーレンドラッヘンと勇凰神ブレイズ・フェニックスが対峙し剣を構え間をおか刃を互いに斬りつぶつけ合う

 

 

 

『うおおお!』

 

 

 

『はああああ!!』

 

 

 

 

 

赤と青の軌跡が空を駆ける度に中りが震え、衝撃波が無人のビル群、車両を巻き込み破壊していく…刃をぶつけながら蹴り、拳をぶつけ合いもつれ合いながら地上に落下、土煙を上げながら低空飛行から再び上昇しては同じことを繰り返し刃をぶつけた反動で離れる

 

 

互いの力はまさに拮抗している…どちらかが気を抜けば負けると炎凰を駆る飛鳥、 フリーレンドラッヘンを駆るアレンの頬から汗が伝う…

 

かたや肉親である弟を取り戻す為、オルガスと大切な人《アンジュ》を守る…二人の戦いは永遠に続くかに見えた

 

しかし一条の光…《荷電粒子砲》が勇凰神ブレイズ・フェニックスに迫るも容易く回避。誰がと想いフリーレンドラッヘンの瞳が捉えたのは二体のガ・ナー…

 

 

 

『あれは………ま、まさか』

 

 

 

『アレン様、援護します!』

 

 

『ミイさん?それにルウさん……なぜここに早く離れるんだ……』

 

 

 

モニターに映るのはメルキュアス師団のミイ、ルウ…先に撤退した二人がなぜと思うアレン…

 

 

 

 

『…砲鬼?……邪魔をするな!!』

 

 

 

『ま、まにあええええ!!』

 

二体の砲鬼に向かう勇凰神ブレイズフェニックスに。アレンは金属球を強く掴み加速、刃を構え必殺剣発動の構えをとろうとする寸前に《ガ・ナー》二体の前に割り込み両腕を広げ守るように立ちはだかった

 

 

『炎凰・爆凰双斬!!』

 

 

 

『う、うわあああ!!』

 

 

 

炎の刃が左肩から袈裟に固く分厚い装甲を溶かし切り裂き、返す刃で右肩を切とばした。コックピット内は激しく振動しモニターが爆発、半分が死にフリーレンドラッヘンの瞳から光が消え膝をついた…まさに今無防備状態。その眼前には勇凰神ブレイズフェニックスが剣を構え歩いてくる

 

 

 

「シィブキタト、繋がらない…オルガクリスティア……ブルイデェン……動け、動いてフリーレンドラッヘン!」

 

 

『アレン様、まさか私達を……ミイ!』

 

 

 

『わかってる……アレン様には指一本触れさせません!!』

 

 

 

『蓮、今、助けてやる……その前にこいつらを片づけてからだ』

 

 

 

「お願いだ……動いて……なにが鬼神将だ…なにが龍鬼将だ、僕は…守れないのか……」

 

 

 

フリーレンドラッヘンを守るために前に立つガ・ナー、ミイ、ルウ…先の爆発で頭から血を流し、体全体が痛むなか金属球を必死に握るも反応を示さない…悔しさとふがいなさが胸のうちに溢れ出す中、ガ・ナーから小さな光が飛び出しコックピット内に入り込んだ

 

 

「ぼくは…どうなってもいい…目の前二人を…だから……動いてよ……」

 

 

 

 

 

ー………あの二人を助けたいの?ー

 

 

 

「だ、誰?」

 

 

 

 

ー………質問に答えなさい。なんで助けたいのかしら?あなたの身体は重傷、たとえ動けたとしても二人を守り切れるかしら?無駄になるわよ?ー

 

 

 

「……わからない……でも……ただこれだけしかわからない………でも二人には大事な家族、仲間が待ってる………仲間や家族が悲しむのをみたくないんだ……」

 

 

 

 

ー………………ふふ、そう(変わらないわね)…ならば私の力を使いなさい……心に浮かんだ言葉を口にしなさい…ー

 

 

 

アレンの前に光が現れ弾け見えたのは、小さな龍…オーガスティア内で懐かれたドラッヘンの幼龍が雪の結晶を舞わせ浮かんでいる姿をみて、頭に浮かんだ言葉が自然に紡がれた

 

 

 

「……………デ、ディーヴァ!!」

 

 

 

アレンの声が響き、幼龍が嬉しそうに羽ばたいた瞬間だった…フリーレンドラッヘンから凄まじいまでの雪嵐が生まれガナーへ刃を振り下ろそうとしたブレイズフェニックスを押し返し吹き飛ばした

 

 

 

『な、なんだこれ?』

 

 

 

ー飛鳥、不味いぞ………アイツが目覚めた!ー

 

 

 

 

『あ、アイツって…っ!?』

 

 

 

言いかけた飛鳥は言葉を失う…目の前に巨大な龍の石像。第三格納庫にあるはずのティルレガシィ《蒼い龍》の石像の固い岩がひび割れ剥がれ落ち、蒼く透き通った龍を模した機械神《氷龍》が雄叫びを上げながら、フリーレンドラッヘンを引き上げながら空を舞う

 

 

そのコックピット内にいるアレンはゆっくりと顔を上げ言葉を口にした

 

 

 

「いくよディーヴァ……………鬼龍!合体!!」

 

 

 

ーハイハ~~イ合体いくわよ~ん♪ー

 

 

陽気なお姉様ボイスが響き、雄叫びをあげながら雪嵐が舞う。その中にいる両腕を失ったフリーレンドラッヘンの背中めがけ龍が迫りながら分解、上半身と肩から両腕を構成しながら無数の光が伸び引き寄せられるように融合、開かれた両手が強く握られ龍を模した兜の下に端正な顔立ち、背中に青白く輝く龍翼を広げ尻尾がうねらせる姿

 

 

 

コックピットの様々な機器が消え、青白く輝く空間《操神空間》に浮かぶアレン。身にまとう装鬼礼装《オーがローブ》が蒼く輝く装神装甲《アームドギア》に変化、アレンはゆっくりと瞳を開けた

 

 

 

オルガス九神将の専用機と四神の機械神《氷龍》が融合し生まれた新たな姿、その名は…

 

 

 

 

 

 

『龍鬼・フリーレン・ドラッヘン!!』

 

 

 

辺りを銀世界にかえ降り立つ姿に息を呑む飛鳥、足止めしていたユウジと真武も言葉を失う中、Dは飛鳥に呼びかける

 

 

 

ーアイツが……氷龍が目覚めやがった(マズい、アイツとオレじゃ相性が最悪だ!)……飛鳥?ー

 

 

 

『…………ウソだ……鬼と合体するなんて…』

 

 

 

目の前の光景に呆然となる飛鳥。その視界から氷龍と合体したフリーレンドラッヘンの姿が消え、次の瞬間無数の鋭い氷塊が襲いかかる

 

 

 

『こ、こんなの……フレィムウォール!!』

 

 

 

手を正面にかざし灼熱の炎が壁を形成、氷塊がふれるやいなや蒸発、霧散する…しかしあたりを水蒸気が満ちブレイズフェニックス、真武を飲み込んだ

 

 

『視界が悪い……どこだ…!!』

 

 

 

背後に気配を感じ炎凰剣で横に切り払う…しかし斬ったのはフリーレンドラッヘンと同じ高さの氷塊。再び気配を感じ切り払うも虚しく氷を砕いただけだ

 

 

 

『(氷龍・幻影陣……さっきのは攻撃じゃない。視界を奪うためと僕の有利な戦闘フィールドを作るためだ……そして本当の目的は)』

 

 

 

『く、どこにいるんだ!』

 

 

 

ーおちつけ!焦ると氷龍の術にはまるぞ、冷静になれ飛鳥!!ー

 

 

 

『あ、ああ……な、か、身体が動かない…コレは』

 

 

 

身体を動かそうとするが、まるで重りをつけたようにのろのろとしか動かない…よく見るとブレイズフェニックスの脚が膝当たりまで氷に包まれ、身体にも氷塊が形成されていくのを目の当たりにする

 

 

 

『……アナタが溶かした氷は炎で溶け蒸発、それを操作し拘束する……降伏するなら命は取りません』

 

 

『く、だったら、もう一度溶かしてやる!フレイム・バーン!!』

 

 

 

 

全身から炎を吹き出させ、身体を拘束していた氷を溶解、揮発させながら空へと飛ぶ…相手の有利なフィールドにいるならば、ソコから離脱すればいいと考えたからだ

 

しかし微かな違和感を覚えた。ナゼ追撃してこないのかと…有利なフィールドから出ないため…まさかと想った時、僅かに動きが止まる

 

 

 

『動きを止めたね!赤いの!!(アスカのいったとおりだ。これでボクはアスカと一緒にいられる!!)』

 

 

 

『な、コイツいつの間に!?』

 

 

 

『いっくよおお!オルガス流大鎌斂術!無限雷光・滅殺!爆雷斬!!』

 

 

 

電光を伴い現れた黒い影…なんども刃を交えた黒い死神乙女《ゲラール・ブリッツェン》が手にした大鎌を正面で回しながら構え、加速と同時に切りかかる。慌てて回避しようとするもすでに遅く、雷光纏わせた分厚い鎌の刃が両肩装甲を捉え切り捨て、腹部を切り払うと強烈な回し蹴りを叩き込んだ

 

 

 

 

『う、うわあああ!!』

 

 

 

 

激しい痛みと共にバラバラになった両腕、胴から下がフリーレンドラッヘンが生み出した戦闘フィールドに落ち、衝撃で水蒸気の靄が霧散。巨大なクレーター、その中心には胴体のみにされたブレイズフェニックスの変わり果てた姿

 

 

 

『う、ぐ、かはあ……』

 

 

激しい衝撃で息が止まるも吐き出すように吸いながら、目をあける装神空間内は赤く染まり、放電が見える…両腕と下半身を失ったブレイズフェニックスにゆっくりと近づくフリーレンドラッヘン、しかし一条の光弾がかする

 

 

『飛鳥くん!しっかり!!』

 

 

 

ー炎凰、すぐに分離するんじゃ!わしらが引きつけておるうちに!!ー

 

 

先の煙が消えた事で状況を判断したユウジ、真武が牽制砲撃を浴びせ近づけないようする…がその動きが止まり、足下から氷が張り付き瞬く間に砲門を飲み込み氷塊に変えてしまう

 

 

 

『ユウジさん!真武!!………ぶ、分離!!……………分離ができない!?』

 

 

ー飛鳥、さっきの落下の衝撃でジョイントがおしゃかだ!ー

 

 

なんとか分離を試みるも反応もない。強制爆砕ボルトを作動させようとしたとき、フリーレンドラッヘンが数歩のところで歩みを止め、背後からガ・ナーが姿を見せ近づくと身動き出来ないブレイズフェニックスを持ち上げた

 

 

 

『……な、何をする!はなせ!!』

 

 

 

『おとなしくしてください。ミィさん拘束結界を……』

 

 

 

『はい、アレン様………拘束結界展開。強度はオーガロード級に設定完了しました…』

 

 

 

『ありがとうミィさん、ルウさん。作戦は失敗したけど想わぬ成果も出たからいいかな。じゃあ帰るよ』

 

 

 

『じゃあ、この赤いのはボクが先に連れて行くね……どんなテラン人が乗ってるか気になるしね。じゃあとでね~レンレン』

 

 

『く、はなせ、どこに連れて行く…うわあ!?』

 

 

 

黒い死神乙女…ゲラールブリッツェンに抱きかかえられそのまま、展開した転移陣に飲み込まれた…不可思議な幾何学的紋様、平衡感覚が乱される感じに耐えきれなくなるなか

 

 

『飛鳥くん!アイギス!!』

 

 

 

《すまぬ、この氷を砕くのは時間がかかる…》

 

 

 

 

『く、な、なんでこんな事に………なんで、なんで、機械神《氷龍》が鬼についたんだ!?』

 

 

 

ユウジ、アイギスの声を最後に意識を手放した………

コレから飛鳥に待ち受ける運命は誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同じ頃……

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれは………!!」

 

 

 

 

ファナティカーズ基地、同司令室で衛星軌道上での出来事を監視衛星からリアルタイムでみていたトオミネ大佐が、食い入るように立体スクリーンをみてつぶやいた

 

 

画面には起動エレベーターを切り捨て消滅させ、新たな姿となったモモタロウ、そして極東支部に現れた巨大な舟…わなわなとふるえ出しデスクを殴りつけた

 

 

 

 

「あははははは、まさかムモムモツアローが力を取り戻したのか…それにまだ残っていたのか忌々しいテラン人の遺産が!!」

 

 

ゆっくりと顔を上げたトオミネ。そこには憤怒の色をたたえた瞳と歪に歪んだ表情を浮かべムモムモツアロー、船を捉えている

 

 

 

 

「一刻も早く対処しないとねぇ……四年前からの計画がパアになるまえに…………すべてはあの方の為に!!」

 

 

ふらりと立ち上がり司令室をあとにするトオミネ…やがて無人の室内は明かりが消え闇に染まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章 蘇るお伽話のヒーロー

 

 

 

 

第十一話 大いなる方舟、消える炎《飛鳥side》

 

 

 

 

 

 

 

 

第二章に続く

 




第二章予告!


最強の力を手にしたモモタロウの手で作戦は成功するも、鬼に敗れさらわれた飛鳥……


「く、殺せよ!オレの父さんと母さんみたいに!!」



「な、なんでアスカがいるの?じゃあボクはアスカを!?」





帰還した桃矢達を待っていたのは、国連軍からの先の戦闘で現れた舟に対して詰問状



「リトス・ミッターナハト、君を国連査問委員会へ更迭する……」



リトス不在の中、鬼達の攻勢はやむことがない…満身創痍のヴァルキリーズ。そんな中、新たな機械神が姿を見せる!




     ーいくぜ、タカヤ!!ー




『うん!いくよ…………合体!!』





      ーいきますよ?ー



『わかってる………いくぞ疾風合体!!』





新たな機械神は人々に希望をもたらすのか?そして遂に出航の時!!




「………補機プラズマリアクター点火、主動力稼働まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0…………
始動!!」



「先生、桃矢くん達を………母さん、守ってあげて……」



「………………発掘戦艦ダイアーク!発進!!」




第二章 希望の方舟、集う力




乞うご期待!!








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