機械神伝説ー桃太郎ー   作:オウガ・Ω

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18年前………叶家



「ホムラ、桃矢は?」


「よく眠ってるわ………」



街から離れたまばらに家が点在する中、一つの家屋で揺りかごに眠る赤ちゃんに慈しみの笑顔を向ける神話研究第一人者《叶シンヤ》の妻ホムラ…優しく頬をなでるのを見てシンヤも近くに来て軽く揺りかごを揺らした


「………ホント可愛いなあ~桃矢~おとうさんですよ~」


「もう、まだ耳はきこえないわよ……あなた」



「あ、ゴメン、ゴメン………」



照れ隠しの笑顔を妻に向けながら再び軽く揺らすシンヤはふと机に目を向ける。ソコにおかれていたのは戸籍と出産証明書類…知り合いに頼みようやく取れたモノだった。コレで安心して桃矢と暮らせられる


しかし不安もあった。シンヤの頭に思い浮かぶのは一年前の嵐の中で、失意の中にあった自分たちに《希望》を与えてくれた日の記憶…


巨大な手の上で無邪気に笑う生まれたばかりの赤ん坊…



霞のように消える巨大な影は…あれは一体何だったのか?




ふと手が握られる、みるとホムラが手を重ね震えているのがわかる


「大丈夫だよ……桃矢は僕とホムラの子だ……だから」



「ええ……あなた」



ゆっくりと肩に頭を寄せるホムラを抱き髪をなでながら、無邪気に揺りかごの中で眠る桃矢を二人は愛おしくみていた














第二話 狂信なる者の嘲笑

「基地内システムおよびサブシステム再構築開始………リトスくん、メインフレーム立ち上げを頼めるかの?」

 

 

 

「はい、では基地メインフレーム立ち上げ開始……各エリアセキュリティー、ライフライン……オールグリーンです」

 

 

 

「ふむ、システムは問題なしじゃの………第三格納庫の直上の外装は形になったが。内部シャッターは時間がかかるの……あとの問題は」

 

 

 

極東支部メインサーバの修復を終えたリトスにつられるようみたのは

 

 

 

『……離せ虎、飛鳥を探さねえと』

 

 

 

『無理だ桃のダンナ!まだ博士の精密検査してないしタロウ達のメンテナンスも終わってもないんだぞ!!自殺しにいく気かよ!!』

 

 

 

 

『オレのこたあどうでもいい!今は飛鳥を助けにいかねえといけないんだ!弟分を助けに行かないで何が兄貴だ!!』

 

 

 

『やめて!モモちゃん。もう三日も寝てないんだよ!!これ以上無理したらモモちゃんが………モモちゃんが……私たちも探すから』

 

 

 

『………るせぇ!……!?』

 

 

 

ふらつく身体を無理に立ち上がらせた桃矢。乾いた音が響く…パイロットスーツ姿のノゾミが立ちはだかるようにたち頬を叩いた音…ノゾミは無理やり椅子に座らせ向き合う。その視線に何もいえず黙り込んだ

 

 

 

『いい加減、頭を冷やしなさい桃矢。今のあなたは冷静じゃないし何時もの貴方らしくないわ!飛鳥くん、を心配してるのは貴方だけじゃない。ここにいる皆も同じよ!!』

 

 

『……ノ、ノゾミ?』

 

 

 

『少しは私たちに頼りなさい。そんなに信じられないの私たちが?』

 

 

『…………』

 

 

 

『…今は虎達に整備を任せて休みなさい…でないとどんなに探してもわずかな手がかりも見落とすわよ』

 

 

 

『……わかった……あと、ごめんな声をあらげちまって』

 

 

謝罪を口にし微かに顔を歪めながらノゾミとアカネから離れ仮眠室へと歩き出したのをモニターでみる二人は肩を落とす…軌道エレベーター構造体破壊ミッションから三日、未だに飛鳥の行方は手がかりすらも掴めていない…

 

 

「………先生、飛鳥くんの居場所は検討はついてますか?」

 

 

 

「………わかったのはコレだけじゃ…」

 

 

 

源三が見せたのモノ…両腕と下半身を切り落とされたブレイズフェニックス。それを抱きかかえるように黒い死神乙女《ライトニング》が展開された幾何学的紋様の中に消え、そして機械神《氷龍》と合体したドラグーンも通り抜けると幾何学的紋様は弾け消えた…この映像は現場に居合わせたユウジとアイギス…真武の目からみた記憶をヴァルキリーズのライブラリーに移したモノ、源三は端末を操作しながら口を開いた

 

 

「この幾何学的紋様は一種の次元ゲートじゃ。あの場におった真武くんから送られてきたデータ、ワシの研究所でも次元間干渉値いわゆる《揺らぎ》を検知した………昔、桃矢君が潰した鬼達の拠点から彼らが使う次元転移に使われるシステム残骸を回収したからの。ワシはそれを応用してモモタロウ出動用に改良し使っておる」

 

 

 

「では、どこに連れて行かれたかはわかるんですか」

 

 

 

「それは無理なんじゃよ。なにしろワシが改良したのとは違うし技術概念に加え、それらを運用構築する言語を解析する必要があってのう。鬼達の技術は人類の叡智ですらも到達できんわい……せめて、この場にJ君とユン君がおればなんとかなるんじゃが」

 

 

 

「………ですがユン先輩はいいんですけどJ先輩は……北欧で機械神を確認したと連絡があったきりないんですよ」

 

 

 

ふせめがちになるリトスの肩に軽く手がおかれる。顔をあげると笑顔の源三がいる

 

 

 

「大丈夫じゃよ。J君はなんて呼ばれてるかわかるかの?」

 

 

 

「あ!?」

 

 

 

源三の言葉で思い出した…治安の悪い発掘現場で現れたゲリラをツルハシとロープ、岩を用いたトラップで撃退し盗掘者集団をたったひとりで壊滅させた《戦う考古学者》だと言うことを

 

 

「ま、近いうちにひょっこり顔をだすじゃろうて…………あと残す問題は……」

 

 

「………ダイアーク……そして桃矢くんですね」

 

 

 

第二話 狂信なる者の嘲笑

 

 

 

「………リトスくん、このダイアークが起動した理由はやはり…」

 

 

 

「あの構造体を押し上げようとするキンタロウ、いえ装者である桃矢くんの強い意志に応えた可能性がありますね………」

 

 

 

「確かモモタロウが極東支部に近辺に初めて現れた時にもダイアークが微かに反応したんじゃったの…………モモタロウをはじめとする機械神にある動力源は人の意志に強く反応する事が今までの調査でわかっておる…」

 

 

 

 

「……そして二度目は修復困難だったシロ、ゴクウ、キジット君たちを瞬く間に修復させ、新たな姿に変化…そして」

 

 

 

フローティングウィンドウが再び切り替わる。見えたのは“ダイアーク“から放たれた光と別方向からの光を浴びる中、巨大な桃を模した胸部装甲、シロ、キジット、ゴクウ、エルクゥ、ビックボア、クマード、海の生物に似た何かを全身に纏った機械神が構造体を殴り吹き飛ばし、現れた剣で切りさらには空間をも割る光景…その力は余りにも強大で人が扱うには過ぎた力だと二人は思いながら解析作業を再開、複数の空間モニターを展開し操作していく

 

 

「あの光はモモタロウ、キンタロウが合体する際の光とは全くの別物じゃ…極東支部との通信回復後に降下しようとした時に海の生物に似たパーツが分離し光と共に地球へと跳び去ったようじゃ」

 

 

 

「ダイアークの光とは別方向から現れた光は各衛星のサテライトサーチエリアで追尾、その発信地点はオキナワ近海とまでしか…………もしかしたら…この光は」

 

 

 

 

「おそらく《海の力》に間違いなかろう…しかしなぜ一度合体したモノが分離したのかわからんわい」

 

 

 

顎に手をあてモモタロウ?から分離する3つを見ながら考える…キンタロウを構成する機神獣クマード、ビックボア、エルクゥは近くにタロウがいて危機に陥った時に目覚めて合体した。そのあと分離しても付き従うように極東支部にいるしタロウがいる格納庫でのんびりしている。だが何か大事なピースが欠けているのではと思考を巡らしていく…

 

 

「……リトスくん、やはりオキナワに行くしかないかもしれんの………それにコレも気になるしの」

 

 

 

「………コレはカワシマ隊長の報告にあった未確認物体……」

 

 

キンタロウが最大出力で放たれたグレンバスターキャノンを防ぎ弾いた翼竜?…戦機人・翔の各種センサーから得られた解析データが羅列となり流れる…しかし示されたのは解析不能を示す<アンノウンコード>。源三はこの翼竜に何か引っかかりを覚えていた

 

 

コレをどこかで見た記憶がある……どこかで

 

 

 

ー叶くん、コレは何じゃ?ー

 

 

 

ーコレは僕のふるさとにある神社で見つけたんです。もし描かれているのが真実ならば世紀の発見ですよー

 

 

 

今は亡き桃矢の父にして神話研究の第一人者《叶シンヤ》がキビツ神社で見つけたという絵巻と金属版…その絵巻の最後に鬼とは違う翼竜と色褪せた巨大な二つの何か

 

グレンバスターキャノンを防いだ翼竜…絵巻に描かれていた翼竜が頭の中で重なり思わず席から立ち上がり展開したモニターを集め翼竜の様々な角度から見た外観データ、そして絵巻にあった翼竜の予想外観データを並べ重ねると同時に合体したモモタロウ、いや桃矢の発した言語を過去に潰した鬼拠点から唯一サルベージ出来た鬼の言語と声紋パターン解析し、完全一致したのを隣でみていたリトスはいきをのんだ

 

 

 

 

「先生……コレは……まさか」

 

 

「リトスくん…ワシ等は、ワシ等が戦うべき相手は…そして桃矢くんは……」

 

 

 

しかし源三の声は執務室になだれ込んだ黒服に身を包んだ複数の男の足音にかき消され、瞬く間に二人を取り囲むように並び立った

 

 

「な、なんじゃ君たちは?」

 

 

 

「我々は国連特別査察部、ヴァルキルーズ極東支部司令リトス・ミッターナハト。あなたを国連査問会へ招聘します」

 

 

 

「な、なんじゃと!?リトス君が何をしたというんじゃ」

 

 

 

「この極東支部内に巨大戦艦の秘匿、および構造体破壊作戦時に置ける対鬼殲滅部隊ファナティカーズへの作戦行動に対しての妨害工作…以上は明らかに国連に対する越権行為だ………速やかにリトス・ミッターナハトは本日中に出廷を願う」

 

 

 

「な?カノン事務総長がそう言ったのかね!?」

 

 

 

「………民間人の質問は応えられない……コレ以上の妨害行為は許されない」

 

 

 

「じゃが!」

 

 

 

「わかりました、査問会へ出廷します…」

 

 

 

「リトス君?」

 

 

 

驚く源三を尻目に開いていたモニターを全てを閉じると、制服を着直し席を離れる隣を通り過ぎようとした時だ

 

「源三先生…しばらくの間、極東支部を頼みます…あと」

 

 

「……わかった……」

 

 

 

小さくつぶやかれた声に苦味虫を噛んだような表情で頷くのを見て、リトスは査問会メンバーと共に執務室から足早に出て行き、源三一人が残された

 

 

 

 

「……リトス君……まずは出来ることをやらねばならんの…」

 

 

 

ダイアークの解析作業を進めていく源三の小さなつぶやきは誰の耳にも届かなかった

 

 

////////

 

 

////

 

//

 

 

 

「リトスちゃ~ん、我々の作戦を邪魔してくれたコト、後悔させてあげるよ………」

 

 

 

いびつに歪んだ笑みを浮かべ査問会メンバーとして参加するトオミネ大佐が議席に座りながら新たな手を打ちながら待ち受けている事をリトスは知らずに…

 

 

 

リトスがかけ、飛鳥もいないヴァルキリーズに少しずつ悪意が迫りつつあった

 

 

 

 

第二話 狂信なる者の嘲笑

 

 

 

 





リトスが国連特別査問会に招聘され二日過ぎた……飛鳥の行方は掴めぬ中、虎は最大の危機に直面していた。


「………キミが娘とつきあっている城田虎二郎かね」


親からの強制的に見合い話を組まれそうになった第三分隊隊長アリスに頼まれ恋人として演じる事に。しかしティグリス財団に援助を要請するも拒まれたファナティカーズの悪しき魔の手が迫る




第三話 甦る白虎




四神が一柱、荒ぶる風纏う白き虎の目覚め!!






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