「ねえ、本当はアリスちゃんと付き合ってないんでしょ?」
「え?いや…」
鹿脅しの音が鳴る中、ニコニコ笑うメイファさんが魂の抜けたアリスのお父さんを椅子に座らせながらズバズバと斬り込んできたよ…ていうか細められた眼がむちゃくちゃ怖いんですけど!?
「じゃ、あててあげるね…ズ・バ・リ、お見合いするのがイヤなアリスちゃんに彼氏役を頼まれたってとこかな、そうでしょ♪」
愛らしく人差し指を揺らしながら突きつけられた答えにビクッとなる。う、するどい…しかも理由までどんぴしゃ当てられた!?冷や汗が拭きだしてくる…笑顔を絶やさないけど圧がヤバいんですけど!
「は、はい」
「うん、素直でよろしい♪……で、ここからが本題。虎ちゃん……アリスちゃんのことをどう思ってるのかしら?」
砕けた感じなアリスのお母さ“『メイファ義母様』“だけどアリスのお父さんより威圧感が笑顔だけどビシビシ肌に突き刺さる!?
第三話 嵐纏う白虎“後編”
「え?ア、アリスは?…ヴァルキリーズの同僚で…」
「ふ〜〜ん同僚ね〜でもわざわざ偽恋人なんてするわけ無いわよね?まさか、弱みでも握られて無理矢理ってヤツかしら?脅されたの?」
「ち、違います!弱みなんかともかく脅されてなんかね…ないです」
想わず地が出そうになるのをこらえながら答える…
「ねぇ虎ちゃん、アリスちゃんは意地っ張りで頑固、素直じゃなくて辛いことがあれば中途半端に投げ出す子なの。5年前にセイバーズに入って人を守るって私やカズトさんの反対するのを無視して。四年半前にいきなり帰ってきたの何もかも投げ出してね」
「アリスが?」
「セイバーズで何があったか私は知らないけど“逃げた“事に変わりはないの、そしたらいきなりヴァルキリーズに入るんだって……しかも、おんなじ理由でね」
「…え?…」
知らなかった…アリスが国連機動軍“セイバーズ“にいたなんて…四年半前に起きた鬼の襲来でズタボロにされて解体されたってのは知って…
「どうせ、セイバーズの時みたいに投げ出して逃げるに決まってるわ…関係のない虎ちゃんを偽彼氏に仕立てるぐらいだからヴァルキリーズでも対した仕事してないんでしょ?……ねえ」
…はあ?何言ってやがんだ…今のは聞き捨てなんねえんだけど。ニコニコと笑みを浮かべながらオレを見てくるメイファさんに目を向ける…四年前、爺さん経由でスカウトされてヴァルキリーズに配属されたばかりのアリスはそんな感じだったけどよ。戦機人の使い方が荒ぇし文句は言うし勝手にOSの反応数値を弄りやがって度々喧嘩になりかけた
”おまえ!また戦機人をボロボロにしやがって!“
“はあ?あんたの整備が駄目なんじゃない!!”
”んだとコラ!!“
“は、班長、それに神山隊長もやめてください!”
整備班、副長がいなければ乱闘待ったなしだった…でもな運用管理ログを閲覧して気付いたんだ…機体が毎回ボロボロなのは逃げ遅れた人達を守るために鉄火場に入り文字通り盾になってた…アリスは必死だった。今度こそ“守る“ために
”……はあ、なんとかしてやっか……“
そっからはマジで手探りな整備、OSの最適化と解析に費やした。あとはアリスの“クセ“を反映しながらだ
“そこの装甲圧は増すと全体の動きが鈍くなるだろうが!”
”なら、バーニアを増やしなさいよ“
“ただ増やせばいいわけ無いだろ!戦機人は頑丈さと器用さが売りだけど制御系の再設定とかシビアなんだからよ……ティグリス隊長(他のメンバーを含めて)には無事に帰ってくれるようにしたいからよ…ま、考えてみるから少し待ちなよ”
”わ、わかってるわよ…そ、それと苗字で呼ばなくていいから……特別に名前で呼ぶの許してあげる…か、感謝しなさい“
“そうか、ならオレも虎でいいぜ、不公平だしさいいだろアリス?”
”い、い、い、いきなり呼ばないでよ馬鹿!!“
そっからあまり喧嘩しなくなったけど…いろんなことがわかったし…さっきのメイファさんの言葉はカチンと来たぜ
「…今のアリスを見てねえから言えることだろうが」
「…あの子の何を虎ちゃんは知って言えるのかしら?」
笑みを浮かべながら細目でコチラをみるメイファさんから圧が凄まじい…でも俺は耐えた。逃げちゃいけねえんだよ男だからよ
「アリスはめちゃくちゃ素直じゃねえ上に強情っぱり、お酒大好きで戦機人は出動の度にボロボロにしてかえってくるから“デストロイド・プリンセス”ってな不名誉な名前持ってるけど…それはボロボロになりながらも人を護ることに精一杯真剣にやってきた証拠なんだ!4年前は逃げ出したかもしんねえ、今は違う…もうアリスは逃げ出したりしねえよ。目の前のことから絶対にだ!意志を尊重するぐらいできねえのか!!」
鹿脅しがなる中、メイファさんは湯呑みを手にしながらじっとみてくる。セットしたばかりの髪を乱雑に崩したときに目が見開いた感じがした?
「ヴァルキリーズにいた方がアイツらしく生きられる……見合いなんてしたら今度こそ立ち直れなくなる…メイファさん、わかるだろ?…まだ四年ぐらいしか付き合いねえけどアリスの事はよく知ってるし色んなことも解った…優しいんだよ……ワリぃけど連れ帰らせてもらうぜ。ココはアリスには狭すぎるからさ…こんな“がんじがらめな鳥籠“いたんじゃどこにも行けねんだよ……前に前に行くのにさ…じゃ」
「……………ふ〜〜〜〜〜〜〜虎ちゃん。合〜〜〜〜〜
格〜〜〜〜〜
♪」
「うえ?」
今までのしかかった重い圧が消えた。かわりにメイファさんがにっこり笑いオレをみてきた?え、な、なんなのコレ?合格ってなにさ?
「ごめんなさいね~試しちゃって…虎ちゃん、アリスをお願いね…あ、連れ帰るなら庭を抜けた先にある”白虎岩“いるわよ。昔からアリスちゃん、泣いたり恥ずかしくなるとアソコに行くの…あ、私が教えたってことはナイショよ♪ほら、はやくはやく女の子をまたせたらだめよ~」
「は、はい…」
な、なんか誘導されてる感満載だけど…つうかメイファさんからは…ああ〜考えんのはあとだ!アリスはヴァルキリーズにいたほうが良いしな。とりま“白虎岩”に向かうか!
//////////
「起きてるんでしょアナタ」
「…」
ゆっくり起き上がる私の旦那様…微かに首をひねってむくれた顔を向けてくる
「アリスちゃんのこと解ってくれる子、受け入れてくれる子で良かったわ〜まるで昔の私たちみたいね」
「な!私…オレがアイツと!だとしてもオレはまだアイツを…」
「虎ちゃんと言ってないわよアナタ…もしかしたら“伝承”にあるのは」
「ぬ、ぬう…それはない、絶対ない!断じてない!千年前からティグリス家に伝え継がれていた”虎の男“ではない!!アリスはな、お父さんのアリスたんはお父さんと選んだ婿とむすばれて幸せになったほうがいいんだい!!」
あら〜もう困ったわね私の旦那様は。アリスのことになると駄々っ子さんになっちゃった…そっとワタシは抱き寄せ白髪まじりの髪をなでていくと落ち着いたみたい
「落ち着いて。最近お祖父様と似てきてるわよ?昔の貴方、虎ちゃんそっくりだし。アリスちゃんは惹かれたんじゃない?ねえ?」
「ぬ、ぬうぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ……」
もう困った人ね…あとは若い二人に任せましょ♡
////////
同時刻 ティグリス屋敷
同”白虎岩“
「ママのバカバカバカバカバカバカバカ!オタンコニンジン!!虎の前であんなこと…も、も〜〜〜〜〜〜〜〜〜う!オタンコタイガアアアアアアアアアアアアアア!!」
ポカポカと駄々っ子パンチが巨大な岩…白虎岩を叩く。なんで余計なこと言うのママ!あ、アタシと虎は付き合ってないのに段階何個もとばして結婚式?…ま、まだデートも告白もは、ファーストキスも、処女もあげてないのに…で、でもいつかは…
「……〜い…アリ……お〜〜い?」
さ、最初のデートはやっぱり映画…あ、プラネタリウムのペアシートで…虎の好きなものって
「ふう…しかたねえ……ふうぅ~~~~~~~」
「ひゃん!?…って虎!?」
耳に息を吹きかけられたアタシにバツが悪そうに虎がガシガシと髪をかき乱しながら見てた…え?ていうかなんでココにいるの?アタシだけの秘密の場所なのに?って考えてたら手を掴んできたんだけど!?
「アリス、とりま話はつけたからさ…一緒に戻るぜヴァルキリーズに」
「え、えええ!?ママが納得したの!あのママが!?」
「…お父さんはどうかわかんねぇけど…にしてもデッカイ岩だなああ、白に黒がキレイにならんで混じったの初めてみたぜ」
なんか話を逸らされた気がしたけど、虎が白虎岩に手を触れながら聞いてきた
「この岩は”白虎岩“っていって1000年前、日本に渡って来たばかりの私の御先祖を護ってくれたみたい、ホントかどうかわからないけど…アタシのお気に入りの場所よ」
「そうか…てかすごい伝説だな(白虎岩……なんかわかんねぇけど懐かしい気がする……こんな感じ前にも何処かで…)…ん?」
“にゃああああああああ”
「猫ちゃん?」
アタシがココにいると良く現れる小さな友達、白い毛に黒縞が目立つ猫ちゃんが虎のあしもとで鳴いてる…なんか手を伸ばしてよじ登りたいって頑張ってる。虎がしゃがむとピョンと跳ねて肩に器用に飛びついた…な、なんか可愛らしい…
”ニャニャ、ニャ!!ニャニャ!!“
「え?オレに何か?…わ、ワリィな良くわかんねぇや…まじ悪い」
“に、にゃにゃああああああああああああああああ!?”
片目をつぶり謝る虎に毛を逆立てる猫ちゃんが鳴き声を上げた…な、なんなのこれ。うなだれたように肩にへたり込む姿は少し可愛いい…そんな空気を払うように聞き慣れた呼び出し音が手首からなりスライドし開く
「どうしたの?」
”ティグリス隊長、鬼が現在、神奈川県100キロ圏内に出現!上陸予想時間は30分後です!!第四、第二小隊が現在先行し向かってます。ティグリス隊長は現地で合流をお願いします!!
「わかっ…「少し借りるぞ…チーム虎主任城田虎次郎だ。いまから空輸じゃ間に合わねえ……アレを使えば速くつく!今から用意すればお釣りが来るぐらいにな」…ちょ?アレってナニよ?」
「司令とアキツキと共同開発した新しいメカさ…そいつならば手っ取り早くつく…ぶっつけ本番上等だが、細かい調整は現地でやらあ…さ、いくぜ、そろそろ来るだろうし」
「え?」
白虎岩の向こうから躍り出た影…アタシの前に静かにアイドリングしながらとまった。流線的カウルと左右に鋭角さが目立つサイドカウルが目立つ白と黒に塗り分けられたバイク。虎は迷わず跨るとアタシにヘルメットを手渡す…
「早くのんな…うし、しっかり掴まれよアリス」
「う、うん…て、待って虎、バイクの免許持ってたの?」
「…………飛ばすから舌を噛むなよ…いっくぜええストオオオオオオオオオムッタイガアアアアアアアアアアアアア!!」
「ま、まさか…む、無免許おお?き、きゃああああああああああああああああああああ!?」
“に、にゃあああああああああああああああああああああああああああ!?”
いきなりエンジン全開で疾走りだした!木々を抜けた先には崖…その側面を一気に降りていくストームタイガーを操る虎の腰に力いっぱい抱きしめながら、いつの間にかついてきた猫ちゃんと叫ぶしかなかった
//////////////
/////
//
半ば崩れ落ちる赤レンガ倉庫、山下公園…その先にある中華街街、関帝廟に隣接する学園に迫るは将鬼十体、雑鬼三十機。開かれた胸部装甲から撃たれた荷電粒子砲を見を盾に街が焼かれながらも防ぐ、第三小隊、第四小隊、タロウ、アイギス、機神獣らが水際で食い止めるも戦機人数体が弾かれ吹き飛ばされた
『く、くそ、合体さえできれば!!』
『アイギス、どうしたら…』
”いかんのせめて、この纏わりつくものさえなければどうしょうもならんて……“
歯ぎしりしながら耐え苦戦する機神、戦機人…その背後にある街を守るために踏み止まるも窮地を脱せない…徐々に押されかけたその時だった
“ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!”
荒れ狂う巨大な嵐とともに虎の雄叫びが木霊し横浜…横浜中華街に中華街に轟き現れたは巨大な”白き虎“だった
第三話 嵐纏う白虎“後編”
了
悪しき者の誘い
鬼は街を焼く
苦戦する戦乙女、機神、機神獣…その時
次回 白虎乱舞!
荒振る風が全てを祓う!