ダシマ式BanG!Dream「全バンド一貫! バンドリ学園!」   作:ダシマ

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第39話「時には昔の話を」

 

 ある日の昼休憩

 

飛鳥「たまには学食でも食べようかな」

 と、飛鳥が食堂を訪れた。

 

飛鳥(それにしても、フードコードもあるって凄い金持ちだな…)

 

 そう、このバンドリ学園はいろんな店が出展されていたのだ。テレビでは一回はCMで流れているであろう大手ハンバーガーショップや、うどんショップ、ラーメン屋も出店していた。飛鳥がそう思いながら、ハンバーガーショップに並んだ。

 

飛鳥(今日は久しぶりにハンバーガーにするか)

 

「いらっしゃいませー。ご注文は如何ですか?」

飛鳥「えーと…チーズバーガー2つに、ナゲット15個入りを1つ。マスタードとバーベキューソース2人ずつ。あと…ポテトのL2つ。持ち帰りで」

「はーい。畏まりましたー(めっちゃ食べるなこの子…)」

 

 と、店員さんは心の中で飛鳥の食欲旺盛ぶりに驚いていたが、オーダーを受ける事にしていた。

 

「出来上がるまでこちらにどうぞ」

飛鳥「はい」

 と、飛鳥がふと横を見ると、Roseliaの氷川紗夜が少し固まって飛鳥を見つめていた。

 

飛鳥(氷川先輩だ。挨拶だけしとこ)

 飛鳥は不思議そうに見つめていたものの、挨拶をした。

 

飛鳥「あ、こんにちは」

紗夜「こ、こんにちは…」

 

 と、飛鳥が一言だけ挨拶すると、注文の品を待つ事にした。すると紗夜が困った様子で飛鳥に近づいた。

 

「…あの」

飛鳥「あ、はい?」

 

 紗夜が飛鳥に話しかけてきた。

 

飛鳥「何でしょうか?」

紗夜「…よく食べるんですか?」

飛鳥「あー。今日は特にお腹空いてるんですよ」

紗夜「そ、そうですか…」

飛鳥「氷川先輩もポテトを食べに来たんですか?」

紗夜「ち、違いますっ!!////」

 と、紗夜がそっぽを向いたが、皆が飛鳥と紗夜を見ていた。

 

飛鳥(マズイ事になったな…)

 下手したらいつものように絡まれるので、飛鳥は困っていた。

 

「お待たせしましたー。ご注文の品ですー」

飛鳥「ありがとうございまーす」

 飛鳥が荷物を受け取ったその時、

 

「氷川さん!!」

「!?」

 

 男子生徒5人が突然現れた。紗夜は驚いている。

 

「僕と一緒に昼ごはん食べませんか?」

「オレと食べようぜ!」

「いや、僕と食べよう」

「オレとだ」

「オレを食べて!!」

「一人おかしい奴がいるし、お前が食われるんかい!!」

 

 5人が一斉に紗夜を誘い出したが、1人おかしい奴がいたので皆が突っ込んだ。ちなみにこの男子生徒にいたっては美少女だったら誰でもいいらしい。

 

飛鳥(氷川先輩はどうするのかな…)

 紗夜は飛鳥をじーっと見ていた。

 

飛鳥(めっちゃ助けてって顔してるー)

 

 紗夜はストイックで寡黙でクールビューティーと呼ばれていて、周りにも厳しいと噂されているが、実は男性とのかかわりはそんなになく、このように押しの強い男性はあまり得意ではなかった。無視しても逆に付きまとわれるためである。

 

飛鳥「あ、すみません。湊先輩たちが待っているのでごめんなさい」

「!!?」

飛鳥「行きましょう。氷川先輩」

紗夜「えっ…」

飛鳥「いいから。先輩方が待ってますよ」

 と、飛鳥が紗夜を急かしてその場を去っていった。

 

 何とか食堂まで去っていった。

 

飛鳥「すみません」

紗夜「いいえ…。こちらこそ助けていただいてありがとうございます…」

 紗夜が困惑していた。

 

飛鳥「もし宜しければこれ食べますか? ジャンクフードなんですけど」

紗夜「いいの…?」

飛鳥「ええ。折角ですので。ちょっと移し替えますね」

紗夜「あの」

飛鳥「?」

 紗夜が飛鳥の顔を見た。

 

紗夜「一緒に食べませんか?」

飛鳥「噂になりますよ」

紗夜「…大丈夫です」

飛鳥「分かりました」

 

 そして中庭で一緒にお昼ご飯を取った。

 

飛鳥「…ジャンクフードがお好きだったんですね」

紗夜「そ、そんな事ありません」

飛鳥「いいえ」

 飛鳥がポテトを食べた。

 

飛鳥「ポテトにソースをディップして食べるの好きだったりします?」

紗夜「…そ、そんな事ありません!/////」

飛鳥(テンション高くなってる…)

 

 紗夜の意外な一面を見て飛鳥が驚いた。

 

 暫くして…。

 

紗夜「…一丈字くん」

飛鳥「はい、何でしょう」

 

 紗夜が飛鳥に話しかけてきた。一体何だろうと飛鳥は驚きながらも紗夜を見つめた。

 

紗夜「あなた…兄弟いますか?」

飛鳥「いませんねぇ」

紗夜「そう…」

 

 紗夜が俯いた。

 

飛鳥「どうされたんですか?」

紗夜「何でもありません」 

 

 紗夜の様子を見て、飛鳥が口角を下げた。

 

飛鳥「…分かりました」

紗夜「……」

 

 紗夜が飛鳥を見た。

 

飛鳥「…日菜先輩と何かあったんですか?」

紗夜「!!」

 

 飛鳥の言葉に紗夜が目を大きく開いた。

 

紗夜「今はありません。ただ…」

飛鳥「今は?」

紗夜「昔はそうでした。私が一方的に避けててたんです。皆が取り持って仲直り出来たんですけど」

飛鳥「避けてた?」

 

 飛鳥の言葉に紗夜は俯いた。

 

紗夜「…日菜は昔から何でも出来る子で、私とは大違いでした。あのPastel*Palettesだって、オーディションを何となくで受けて合格したんです」

飛鳥「それはすごいですね…」

 飛鳥がそう相槌を打つと、紗夜は更に元気をなくした。

 

紗夜「私はずっとギターをしていて、私にはもうギターしかないと思っていました。そう思っていた時でした。Pastel*Paletteが結成されて、日菜が私と同じギターをやり始めたのは」

飛鳥「……」

紗夜「案の定、あの子はすぐに上達した。それが悔しくて仕方がなかったんです。私がどれだけ頑張って覚えたギターも、あの子はすぐに覚えてしまう。双子なのにどうしてこんなに違うんだって」

飛鳥「氷川先輩…」

 

 紗夜の悲しそうな表情を見て、飛鳥も困った顔をした。

 

紗夜「…ごめんなさい。こんな重い話をして」

飛鳥「いえ、むしろ話してくださってありがとうございました。ですが、何故私に…」

紗夜「あなたはこんな私をどう思うのか、聞いてみたかったんです」

 

 紗夜の言葉に飛鳥は目を大きく開いた。

 

紗夜「…まあ、あなたが困るだけでしょうけど」

飛鳥「家庭の事に首は突っ込めませんが…。日菜さんはどうだったんですか?」

紗夜「どうだったって…」

飛鳥「才能がある事をひげらかして、紗夜先輩に酷いことを…」

紗夜「ううん。あの子はいつも通りよ。昔からお姉ちゃんお姉ちゃんって慕ってくれて…」

飛鳥「ならもうそれで良いと思いますけどね。私は」

「!」

 

 飛鳥の言葉に紗夜は飛鳥を見た。

 

飛鳥「どう思うのかと聞くのであれば、多少厳しいお話をしますが、如何致しますか?」

紗夜「…続けてください」

飛鳥「ありがとうございます」

 

 紗夜の覚悟した目を見て、飛鳥は言葉を続けた。

 

飛鳥「あなたがどれだけギターに情熱を抱いて努力しても、どうしてもまだ上には上があります。たとえそれが双子の妹でも。それはちゃんと受け入れないといけません」

紗夜「…そうね」

 紗夜が俯くと、飛鳥は言葉を続けた。

 

飛鳥「私には兄弟はいませんが、人と比べられるのは辛いという事は理解できます。でも、妬んだりしても得るものは何もないんです。ただ苦しいだけですよ」

 飛鳥の言葉に紗夜は何も言えずにいた。

 

飛鳥「人の良さを妬み続ける人生よりも、人の良さを認められる人生の方がずっと楽しいですよ。自分に足りなかったものも見つかりますし」

紗夜「!」

 紗夜が飛鳥を見つめた。

 

飛鳥「それに、あなたはギターしかないって言ってましたけど、それは絶対に違う」

 飛鳥は紗夜を見て慈しむように笑みを浮かべた。

 

「あなたには妹さんも、Roseliaもある。そしてあなたを応援してくれるファンもいる。あなたは沢山の人から愛されてる。とても羨ましいです」

 

 飛鳥の言葉に紗夜は困った顔をした。

 

飛鳥「だから自信持ってください。もう大丈夫ですから」

 すると紗夜は笑みを浮かべる。

紗夜「ありがとうございます」

飛鳥「いえ…。あ、少々喋り過ぎましたね。早く食べてしまいましょう」

 

 そして、食事が終わると、飛鳥と紗夜が別れようとしていた。

 

紗夜「そういやお金…」

飛鳥「結構ですよ」

紗夜「そういう訳には…」

飛鳥「またそのうちに。それでは」

 

 飛鳥が去っていった。

 

紗夜「……」

 紗夜は飛鳥の言葉を思い出した。

 

『あなたには妹さんも、Roseliaもある。そしてあなたを応援してくれるファンもいる。あなたは沢山の人から愛されてる。とても羨ましいです』

 

 その言葉を思い出し、日菜達の事を思い出した。今までギターしかないと思っていたが、自分にはこんなにも人に恵まれていたのだと。そう思うと、紗夜は涙が止まらなくなり、口元を覆って嗚咽した。

 

 

 

 

おしまい

 

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