ヒロアカに転生して炎の個性を得たけど、俺のせいで平行世界化したんだけど 作:孤狼 龍
保須市にやって来たエンデヴァーと紅煉と凍火とその他サイドキック。敵の襲来に向かおうとすると紅煉は踵を返し別の場所へ、そこに向かうとヒーロー殺しに襲われてる緑谷と飯田とプロ。そこで救いに戦うが本気を徐々に出してくるヒーロー殺しに対応するため紅煉は隠し玉を使う。
ヒーロー殺しに対応するため隠し玉を使った紅煉はヒーロー殺しに勝てるのか!?
保須市内の裏通り。そこで今、一人の雄英生徒が三人の友と一人のプロを助けるためヒーロー殺しと対峙していた。
「ハァ……貴様、本当に子供か?その力の使い方、普通は思い付かないぞ?」
「失敬な。俺が老け顔とでも言いたいのか?」
ステインが紅煉の個性の使い方を見て子供とは思えない何かを感じた。事実紅煉の年齢は15だが、前世からの記憶で精神年齢は三十路と言ってもおかしくないのだ。頭脳も悪くないものの個性の使い方を人一倍理解してると言ってもおかしくない。それを悟らせぬようあえてボケをぶちかます。
「ハァ……だが、やはり子供、武術の構えに見えたが……ただ構えただけか」
「……」
ステインは“裂蹴拳”の構えを知らない。つまりこの拳法は通じるとわかった。なので紅煉は何も言わない。
「沈黙は肯定と見るぞ……失せろ、正しき社会の卵よ」
そう言って刀を振りかぶって突進し振り下ろす。だが……
「なにっ!!?」
「えっ?!」
「馬鹿な!!刃物だぞ!?」
「嘘だろっ!?」
ステインも、緑谷もプロも飯田も驚く。紅煉は炎の手を軽く前に出すと刀をいとも簡単に捌いたのだ。
そしてそのままステインに蹴りの一撃を与える。刀で受け止めようとしたが折られて脇腹に蹴りがめり込む。
「ぐあっ!なんだ、その速さ、なんだ、その力!」
「敵にタネを簡単に明かすと思うか?」
「ぐっ……おのれ、はやく
「火群君!!もうやめてくれ!!君には関係ないだろう!!」
ステインが動揺と苛立ちを隠せないでいると飯田が紅煉に話し掛ける。だが、飯田のその言葉は紅煉の怒りに触れた。
「ア?なんて言った。飯田天哉」
「「「「「っ!!!!?」」」」」
冷たく放たれた言葉に当事者の飯田だけではなくステインやプロヒーロー、そして緑谷と凍火まで背筋が凍る。
「関係ない?関係ないだと?巫山戯るな。兄を殺されかけて復讐に心を奪われた哀れなヒーローの卵が……お前の目指すヒーローは復讐の為に動くのか?憧れのヒーローは憎悪を煮えたぎらせながらヒーローをしてるのか?違うだろ……ヒーローはいつだって誰かの為に動く。ヒーローがヒーローを助けちゃいけないなんて、誰が決めた?友達が友達を助けちゃいけないって、誰が決めた?確かにヒーローだって復讐心に囚われる。だがそれに呑まれたらそいつはヒーローとは呼ばない。そいつは“
「っ!?」
紅煉の言葉に目を見開く飯田。ステインもプロも黙って聞いてる。
「だから、その過去を、後悔を自分以外の誰にもさせないために戦うんだよ。それが、ヒーローってもんだろうが……私利私欲ではなく、誰かの為に戦うのが、ヒーローじゃないのか!?飯田天哉!!」
「あ……」
「………素晴らしい。貴様、生かす価値があるどころの話ではない……その言葉の重み、まるで歴戦の覇者のごとく……ハァ…やっと見つけた。
紅煉の言葉に飯田は何を目指していたのかを思い出し、ヒーロー殺しは紅煉の言葉の重みを理解しそして笑った。本物になりうる存在を見つけたと……
「ハァ……いいぞ、貴様のようなヒーローを、俺は探していた!!」
「そうかよ。俺は一般論を述べただけだ……ヒーローとしてのな」
再びステインと対峙する紅煉。その背中は飯田がUSJにて聞いた、立派とは言えないが確かなるヒーローの後ろ姿と一致していた。
「さぁ、第2ラウンドといこうか……ヒーロー殺し!」
「ハァ……来い!」
紅煉が宣言し突っ込むと笑いながら応え突っ込むステイン。刀を折られたからかナイフで攻撃を始め、紅煉はというと《ディアブロ・フォース》と“紅炎裂蹴拳”でステインのナイフを炎を纏った腕で捌いて炎を纏った脚で強烈な一撃を与えてく。だがだんだんステインの動きが素早くなっていき傷を付けられる。その度に“爆血”で血を舐められないようにし、不死鳥の個性で傷を癒す。だが不死鳥の炎も体力的にもキツくなってきたのか精度が落ちる。不死鳥の癒しの炎は使うと大きく体力が減るという……
「くそっ……ヒーロー殺しめ、ここに来て本気を出してきやがった……」
「どうした……?ハァ…動きが遅くなってきてるぞ」
「うるせぇ。俺はヒーローの卵といえど子供だ。自分の力量が相手に届かないくらい見て明らかだろ」
「なら何故戦う?なぜそいつらを庇う?」
そう言いながら飯田とプロヒーローを見るステイン。それを聞いた紅煉は嘲笑うように告げる。
「友達を捨てて逃げる奴が、ヒーローになれるかってんだよ」
「ハァ……やはり良い」
そうしてまたぶつかり合う。すると、現状を見てた緑谷が紅煉の異変に気づく。
「火群君の動きが鈍くなってる?」
「なに?」
「どういう事?緑谷」
「炎と熱を操る個性。でもあの姿は熱エネルギーを体内で爆発的に上昇させ身体能力を上げてる。つまり……」
「「熱は体内に保ち続けるから熱が篭もる!!?」」
緑谷が解説すると凍火と飯田も気付く。
「そう。それがあの《ディアブロ・フォース》の弱点なんだ。多分あの姿だと火群君の体力を沢山持っていかれる。さらにそこに熱を籠られたら……動きはすごく鈍くなる。短期決戦型の姿なんだ」
「ふぅ……」
「!」
紅煉は一息つくと緑谷にアイコンタクトする。緑谷はそのアイコンタクトを見て紅煉の思惑に気づく。
そのままステインの猛攻を捌く紅煉。
「飯田君、轟さん。作戦がある」
「「作戦?」」
緑谷が紅煉の思惑を伝えてる間、紅煉はステインと対峙している。
「ハァ……見た事ない武術だ。なんだ?それは」
「……“裂蹴拳”という拳法だ。上半身を相手の攻撃を捌く盾に、下半身を強力な蹴りを放つ矛にすると言ったらわかりやすいよな?いわゆる近接最強拳法だ。それに俺の個性と身体能力向上のドーピングをしてるから動きに鋭さが増している」
「ハァ……なるほどな。だが動きが鈍くなってるのを見ると諸刃の剣のようだな」
「
「ハァ……いいだろう。では、容赦せん!!」
[今っ!!]
そう言って突っ込んでくるステイン。それを見た紅煉は少し笑い立ち止まる。そして、ナイフを紅煉の肩に突き刺してステインは驚く。
「貴様!?なぜ避け無かった!!」
「こうでもしねぇと、捕まえられないんだよ」
「なに!?」
そう言ってステインの腕と頭を掴む。そして炎を頭を掴む腕に纏わせる。
「ぬっ!?」
「喰らえ……《
そのまま腕を爆破させステインを壁にふきとばす。
「グッ、なんという火力……っ!?」
ステインはなんとか意識を保ち前を見ると左右から緑谷と飯田が飛び出していた。
「いつの間に!?」
「ヒーローはいつだってピンチを切り開いていく!!」
「僕らはそれを気付かされた!だから!!」
「「トドメは僕らがさす!!」」
「インゲニウム!?」
[感化されたと言えど、ここまでの強いヒーローへの意思は一体!?]
ステインは飯田の目の変化に気付く。さっきまで復讐に囚われていた目は全てを吹っ切った目をしていた。
「人間は変わる生き物だ。例え復讐に囚われても、助け出せば全部どうでもよくなっちまうんだよ」
「なにっ!?」
紅煉は意地悪そうに言うとステインがそんなバカなと言いたげに見てくる。だがその隙が油断を生んでしまい、避けられるはずの二人の攻撃を受けてしまった。
「《SMASH》!!」
「《レシプロ・バースト》!!」
「ぐおっ!!?」
そのままステインは吹っ飛んで壁に激突し緑谷と飯田は落ちる寸前に凍火が氷を展開して2人は滑り落ち、ステインは気絶する。
それと同時に紅煉は《ディアブロ・フォース》を解く。
「なんとか、勝てたか……気絶してるっぽいな」
「そうみたい、拘束して表に出よう」
「僕はあのプロの方を見てくる」
「……」
飯田は信じられないとで言うようにステインを見てる。
「飯田」
「っ!」
紅煉が飯田に話しかけると飯田は体を強ばらせる。
「そう身構えるな……最後、悪に立ち向かうヒーローになってたな……カッコよかったぜ…インゲニウム」
「……あ、ありがとう」
「……お前の兄さん。動けるようになるかもしれない」
「っ!!?」
「体を休めた後、会わせてくれ」
「あ、あぁ!」
数分後にはステインをゴミ捨て場を漁り見つけたロープで縛り、プロと共に路地裏から出ていく。その間プロの方は少し落ち込んでいたが……
そしてほかのプロの方々も応援に来てくれた。その中にはグラントリノが居た。グラントリノは即緑谷を叱っていたが……
その後、ステインの引き渡しの為、警察と救急車を呼ぶ事にした。すると、急にグラントリノが叫び出す。
「お前ら伏せろ!!」
なんと、上空から脳無が飛んできたのだ。
「えっ!?」
「なにっ!?」
原作通り緑谷を攫おうと掴む脳無と、もう一体は紅煉を掴んだ。
「チッ!!《
炎の槍を形成し1本を緑谷を掴む脳無へ向かって投げ翼に穴を開け落下せる。もう1本を自分を掴む脳無に突き刺そうとした瞬間。
「ッ!!?ゴホッ!ゴホッ!!かはっ!」
「紅煉!?」
「火群くん!?」
急に咳き込み喀血する。凍火と飯田はそんな紅煉を見て驚く。
そして黒い脳無は紅煉の首に軽く爪を突き刺す。
「なに、しやがる!!」
「あれじゃあダメだ!力が入ってない!!」
「どうにかしないと!!紅煉が!」
急に首を刺され抵抗の為蹴り上げるが効果はない模様。全員が為す術がないまま呆然と見てるだけかと思われた次の瞬間だった。
「氷を張れ、そこの女。あいつに届くくらいの、氷を」
「は、はい!!」
急に凍火の耳に男の人の声が聞こえ咄嗟に返事をして巨大な氷を張る。
「轟さん!?」
「あなた、何してるの!?」
「えっ?」
だが、緑谷やプロの方々は驚いていた。すると全員の横から通り過ぎる影が……全員がそちらを向くと、ヒーロー殺しステインが氷を駆け上っていた。
「礼を言う。これで届く!」
「「「「「ヒーロー殺し!!?」」」」」
「偽物が蔓延るこの社会も…」
全員が驚く中、ステインは素早く氷を駆け上がり黒い脳無に追いついてジャンプし脳無の横に並ぶ。
「
そのまま隠し持っていてロープを切ったそのナイフで脳無の頭部、剥き出しの脳を刺す。
「粛清対象だ……ハァ…ハァ」
そのまま紅煉を脇に抱え降り立つ。
「全ては、正しき社会のために」
「ヒーロー殺し……」
紅煉は脇に抱えられたまま動けないでいた。まさか自分がこんな風に助けられるとは思ってもなかったからだろう。
「助けた……!?」
「バカ、人質とったんだ」
「躊躇なく人殺しやがったぜ」
「いいから戦闘態勢をとれ! とりあえず!」
ザワザワしだすプロヒーローたち。
「何故一カタマリでつっ立ている!!? そっちに逃げたハズだが!!?」
「エンデヴァーさん!あちらはもう?!」
「多少手荒になってしまったがな! して…あの男はまさかの……」
エンデヴァーはそこまで言って視線をソッと動かす。そこには脇に抱えられた紅煉が……
「ヒーロー殺し!その子を離してもらおう!!」
我が子を守る親のような目でヒーロー殺しに襲い掛かろうとするエンデヴァー。
それをグラントリノが止める。
「待て、轟!!」
グラントリノがそう言うと同時に主にエンデヴァーに向かって、ヒーロー殺しから殺気が向けられた。
USJの時に感じた悪意・害意・殺気なんて比較にならないほどだった。
「
そこまで言って動かなくなるヒーロー殺し。そのあまりの迫力に腰を抜かしているプロヒーロー。さらにはあのエンデヴァーですら後ずさったのだ。
だが、それ以上ヒーロー殺しが動くことは無かった
「気を、失っている…」
後から聞いた話だが、原作通りの大怪我をしていたそうだ。そんな満身状態の体で、誰も血を舐められていないのに……誰も動けなかった。あの場のあの一瞬。唯一確かに……ヒーロー殺しは相手に立ち向かっていた。
その後、ヒーロー殺しは気絶したので紅煉は不死鳥の個性でヒーロー殺しの傷をある程度治した。細かい傷は残ってる理由は大きい怪我を治すのにヒーロー殺しの体力を大幅に消費したらしい……だから細かい傷は残ったが大怪我してる部分は完治させた。
「なんでそいつの……ヒーロー殺しの怪我を治した?スルト」
エンデヴァーがそう話しかけてきた。とても怖い顔で……ほかのプロヒーロー達も何でこいつ犯罪者を助けてるの?という目で見てる。それを見て紅煉はエンデヴァーの方を向いて言った。
「相手が凶悪な犯罪者だから……怪我は治すなと言うのですか?相手が人を殺したから、治るなと言うのですか?飯田にも言いましたが、それは勝手な復讐心によるもの……ヒーローとは呼べない悪の一面です」
「……」
「「「「っ!」」」」
エンデヴァーは黙って聞き、ほかのプロヒーローたちはバツが悪そうに顔を背ける。
「確かにヒーロー殺しのしてる事は悪です。ですが、俺達も同じことをした。悪を倒すために暴力を振るう。これはどう見ても悪ではありませんか?」
「なに?」
「「「「えっ?」」」」
「ヒーローだから暴力は許される……そんな世界に俺らは立ってるんです。ならそれは正義というのか?否。正義とは言えない。血みどろな道の上を歩いて得た称号が綺麗なはずないでしょう?だから俺は悪を倒すために悪をなす……だから俺はたとえ相手が犯罪者でも、傷を癒し続けよう……それが俺の出来る事だから。それに、理由はどうであれ助けられた事に変わりは無い……」
そう言うとプロヒーローたちは何かを考えるように俯き、エンデヴァーは黙って頷く。
「そうか。たしかにもっともだな……とりあえず病院に行きたまえ、君も体力がないから大怪我をしてるんだろ?あの脳無に体を掴まれてから動きが遅いとフレイシアから聞いてる」
「あ、バレてました?」
その後、現場はエンデヴァーとプロヒーローたち、そして警察に任せて今回の戦いで負傷したプロ1人含む5人は最寄りの病院へと搬送された……
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古びたBARの中。そこでは一人の男が笑っていた。
「くくくっ、そうか、裏切ったか」
「何を笑ってるんだよ……あいつ、絶対いつか殺す」
プルトンは笑いながら酒を飲み、それを死柄木がキレる。黒霧はそんな二人を見つめながらグラスを拭いている。
「しかし、あの脳無はよろしかったので?」
「あぁ、あれは使い捨てみたいなもんだ。一刺しでもすればもうおしまい。あの脳無はもう戦力にならん」
黒霧の問いに笑いながら返すプルトン。
「さぁ、計画の発動まであともう一押しだ。雄英高校に絶望を与え、プロ達にも絶望してもらう……あと少しでそれが達成する!その時が!俺達の新たなる日の出となるぞ!」
古びたBARの中で豪快に笑うプルトン。その笑い声は周辺を、夜中まで木霊させた。
死柄木と黒霧はそんなプルトンを見て悪寒を感じたと言う。
という訳でヒーロー殺し戦終了しました。
次回は後日談ということになります。最後、紅煉が炎を使えなかった原因も明らかになります。
それではまた次回!!