Sword Art Online -Project Salvation-   作:青き勇者

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第一章 アウトサイダー -Outsider- 02

 人界暦三七二年七月二十一日

 

 夏になり北に位置するルーリッドの村でも日中はそれなりに暑くなってきた。ソルスの光を直接浴びればそれだけでも暑いが、僕には農夫という天職があるおかげで重労働も加わってくるから汗だくである。

 天職を与えられてからもう一年と少しが経ったから、流石に畑を耕す練習をしている訳ではないが、虫が付かないように見張ったり雑草を延びる前に除去したりとやることは沢山ある訳だ。これがリアルなら薬とかでやることはもう少し減るんだろうけど。

 

「おはよー」

「おはよう」

 

 いつもと変わらない時間に井戸で顔を洗っているユージオを見つけて挨拶をする。そして、いつもの様にユージオへ抱きつくと温かさを肌で感じる。改めて、ゲームの世界というか電子でできた世界でも生きているんだなというのが実感できる。

 

「夏でも夜は冷えるから、もう少しだけ」

「いいよ。そう言えば最近そわそわしてるけど何かあるの?」

 

 この辺りは夏でもお腹を出して寝ていたらお腹を壊すくらいには冷える。熱を貯めるコンクリートなんてないからね。そして、ユージオの質問に肩が跳ねる。

 七月だってのは思い出したんだ。だからいつの安息日なのか、毎回朝にユージオと顔を合わせて予定を聞いていた。もう安息日は二回過ぎた。となるともう二回の内どちらかで、恐らく今日ではないかとも予想を付けている。

 緊張した面持ちで今日どこかに行く予定はないか聞いてみる。

 

「うーん。実は果ての山脈に氷を取りに行こうってキリトとアリスが」

「えっ、禁忌目録で禁止されているんじゃ?」

 

 アリスが解釈を垂れて説得していること、それが実際間違っていないことを知りつつも白々しく聞いてみる。

 

「アリスが果ての山脈を越えてはならないだけで越えなければ大丈夫だって」

「そう、僕も行く。心配だから」

「僕としては嬉しいけどキリトが呼びたくないって」

「強引について行く。僕はユージオが心配だよ」

 

 キリトとの不仲がここにきて障害となってしまったがそれくらいなんのこと。どれだけ嫌と言われようがついて行くさ。

 ユージオが死んでしまう物語なんて必ず変えてみせる。固い決意を示すようにユージオへ抱きつく手を少し強めた。

 

 

 

 

 少々機嫌のいい僕と、僕が散々に今回の冒険を中止するように言ったことで不機嫌なキリト。そんな二人に挟まれてユージオは困惑したように左右を見てる。僕の右手とユージオの左手は繋がれていて、それが機嫌のいい理由だったりする。キリトは僕がここにいることに不満があるようだ。

 

「ふんふんふー」

「楽しそうだね」

「うん、楽しいよ」

 

 この日のために用意してきたリュックの中身に気を遣いながら、鼻歌を歌って歩く。緊張を誤魔化している面が大きいが、ユージオと手を繋いで歩けるなんて滅多にないから楽しいと言うのも嘘じゃない。

 人が通ることのない道は砂利やら草やらが無造作に配置されていて、踏み固められた街道とは違い歩くのに多少の体力を使う。それでも楽しさが上回っているのか、先頭を行くアリスは随分と軽やかだ。

 

「そう言えば、どうして氷を取りに行くの? というか氷なんてあるの?」

 

 何も聞かずについてきたことを今更ながらに気付き慌てて質問する。何も知らない筈なのに全部知っていると言うのは明らかに不自然だから聞いておかなければならないと思ったのだ。

 この質問には不機嫌なキリトが少し胸を張って答えた。

 

「弁当の天命は夏だと減るのが早いだろ? んで、冬は遅い。つまりは寒ければ天命は長持ちするし、長持ちすればおいしく食べられる」

「なるほど、それで氷を。確かにギガスシダーまで行く間に天命はどんどんなくなるよね」

「そうだ。そこで、北の洞窟に行くわけだ。英雄ベルクーリの武勇譚は知ってるだろ?」

「知ってるよ。ユージオのお爺さんから聞いたことある」

 

 話している内に機嫌がよくなってきたのかキリトは淀みなく揚々と話を続ける。

 ユージオのお爺さんの話を、ユージオと一緒に暖炉の前で聞くのは楽しみだった。冬は暖炉の温かさと、お爺さんの優しい声でよく話の途中にユージオと寝てしまったものだ。

 ユージオのお爺さんが話してくれた幾つもの昔話の内の一つであるベルクーリの武勇譚とはこうだ。

 ある夏の日。ベルクーリは村の東を流れるルール川。ちょうど今沿って歩いている川だ。ここに大きく透明な石が浮き沈みしていることに気が付く。拾い上げてみればそれはなんと氷の塊で、不思議に思ったベルクーリは川沿いを上流へと歩き続けた。やがて、果ての山脈に辿り着き、更に川を追っていくとそこには巨大な洞窟が口を開けていた。

 吹き出してくる、凍えるような風に逆らって洞窟へとベルクーリは進んでいき、様々な危険を乗り越えて最奥の大広間へと辿り着く。そこで彼が見たのは、人界の東西南北を守護すると伝えられている巨大な白竜だった。大小無数の財宝の上で体を丸めた竜が、どうやら眠っているらしいと気づいたベルクーリは、忍び足で近づく。そして宝の中に一本の美しい長剣を見つけて、どうしてもそれが欲しくなったベルクーリは白竜を起こさないようにそっと剣を手に取り、さて逃げ出そうとしたその途端──というのが大まかな筋だ。題は、『ベルクーリと北の白い竜』。

 改めてその話を聞いて、一つ疑問が出た。

 

「ねぇ、東西南北を守護する白竜って話には出て来るけど、東西南北それぞれに竜がいるのかな? それともその白竜が一匹でぜんぶ守ってるのかな?」

「さ、さぁ、それはわからん」

 

 思ってもみない質問だったのか目を瞬かせて首を傾げるキリト。

 

「でも、仮に四匹も竜がいるなら最強だね! それに財宝の山も一杯だ!」

「そうだな! もしそうなら全部行ってみたいな!」

 

 なんだかキリトと息が合った気がして笑い合うと、先頭で大きなため息が聞こえた。即物的な考えで意気投合する僕たちに投げかけられた呆れが、何も言われずとも伝わってくる。だけど、夢のある話だ。竜が四匹もいるとなれば……。そこまで考えて、仮にそうだとして、その竜たちは生きているのだろうか。これから目にする亡骸(なきがら)を前にそんな夢は砕け散ってしまうかもしれない。

 まだ何も見ていないと言うのに諦念が大きくなっていくのを感じた。

 

 

 

 

 双子池を越えて、なだらかな峠を越えた先、果ての山脈が大きく見えるようになって来た頃、ユージオは不安げに僕たちへ呼びかける。

 

「ねぇ、ちょっと」

「どうしたの? 具合悪い?」

 

 僕が心配そうに尋ねれば頭を横に振って、不安の正体を話す。

 

「もう結構村から離れたけどさ……この辺って、危ない獣とかでたりしないの?」

「僕は聞いたことないなぁ、二人は?」

「さぁ?」

「私も知らないわ」

 

 ユージオの少し脅かそうとする言葉に僕は若干不安になって二人に聞くが、帰って来るのは大して危機感もない返事だった。

 

「あぁ、そういえば、ドネッティのとこの爺さんがでかい長爪(ながつめ)(くま)を見たってのは、どの辺の話だっけ?」

「東の黒リンゴの樹のあたりでしょ。しかも、十年くらい昔の話よ、それ」

 

 キリトが思い出したかのようにアリスへ尋ねると、そんな昔の話を持ち出してどうするのよ、とでも言いたげな表情をして直ぐに前へと向き直った。

 

「このへんじゃ、出ても四ツ耳狐くらいだよなあ。まったく、ユージオは怖がりだな」

 

 馬鹿にするようにキリトが笑うから、僕はユージオの懸念も正しいと言おうとしたところで、慌ててユージオが反論した。

 

「ち、違うよ。別に怖がってるわけじゃなくてさ……。僕たちみんな双子池の向こうに行くのは初めてじゃないか。少しは気を付けた方がいいって言ってるんだよ」

「そうだよ。僕もそう思う」

 

 便乗した様な形にはなってしまったが、ユージオの言うことはもっともなので頷いておく。

 すると、それを聞いたキリトがにやっと笑って、ユージオの脅かしへ対抗するように話はじめた。

 

「なぁ、知ってるか? この村ができたばっかりの頃は、たまに闇の国から悪鬼……ゴブリンだの、オークだのが山を越えて来て、羊を盗んだり子どもを(さら)ったりしたんだぞ」

「何よ二人して。知ってるわよ、最後には央都から整合騎士が来て、ゴブリンの親玉を退治してくれたんでしょ?」

「それからというもの、晴れた日には果ての山脈のずっと上を飛ぶ白銀の竜騎士が見えるようになったのです」

 

 キリトはまるで紙芝居を読むような大げささでおとぎ話の最後の一節を声に出すと、北に向き直って顔を上へと向けた。それにつられて僕も、ユージオもアリスも随分と近づいていた山脈とその上の青い空を仰ぐ。

 一瞬、雲間に小さな光が(きら)めいたような気がしたが、眼を凝らしてみてももう何も見つかりはしなかった。三人は顔を見合わせると、ついつい空を見上げたことを照れ隠すように笑った。

 

「……おとぎ話、よね。洞窟にすんでいる氷の竜ってのも、きっと後から作った話なのよ、ベルクーリが」

「おいおい、村でそんなこと言ったら村長の拳骨が落ちるよ。剣士ベルクーリはルーリッドの英雄なんだから」

 

 ユージオの言葉にアリスは澄ました笑みを浮かべてから、歩みを早めた。

 

「行ってみればわかるわ。ほら、のんびり歩いてると、お昼までに洞窟に着かないわよ!」

 

 ただ一人、僕だけはあの(きら)めきを見てから顔が強張っていた。物語は着実と進んでいる。

 

 

 

 

 川幅が狭くなりはじめ、暫くして直ぐにその洞窟は姿を現した。なだらかな山肌ではなく切り立った崖にぽっかりと口を開けたその洞窟に武者震(むしゃぶる)いをする。準備は万端、何があってもアリスを止める。そんな覚悟を知ってか知らずか、呆然と突っ立っている三人を見やる。

 

「もう着いたのか……? これが、果ての山脈……なのかよ? 少し早すぎないか……?」

 

 キリトは想像していたよりも近くにあった人界最果ての場所に、信じられないようで戸惑いの色が窺えた。

 それはユージオもアリスも同じらしかった。唯一僕だけが違った感想を持っていた。

 

「じゃぁ、北の峠ってどこだったの? 私たち、気付かずに通りすぎちゃったわけ?」

 

 村の人たちにとっては絶対的な境界線である北の峠が、それと知らずに通過してしまうほどなだらかなものだなんて僕以外は誰も思ってもみないだろう。

 

「あれが果ての山脈なら、あの向こう側が、闇の国ってことなの? だって、私たち、もう四時間くらいは歩いたけど、でもその程度じゃザッカリアの街にだって着かないわよ。ルーリッドって本当に、世界の端っこにあったのね」

 

 感慨深げに呟くアリスの言葉はどこか、まだ現実を認識できていなさそうだった。そうだ、村から出たことのない人にとって、ザッカリアの街も、央都も他の四帝国すらも話で聞いただけで、その存在を確かめた人なんてそうはいない。

 

「どうかした?」

「う、ううん、なんでもないよ」

 

 思案気に顔を俯かせたユージオに話しかけるがはぐらかされてしまう。

 

「とにかく、ここまで来たならもう、中に入ってみるしかないわよね。その前に、お弁当にしましょう」

 

 そう言うとアリスが僕の手から(とう)(かご)を取り、砂利を避けて少し先の草が生える柔らかい地面に腰を下ろす。それに続いて、お腹が空いていた僕たちも草の上にどさっと疲れた体を休める意味でも座った。

 篭を開けると良い匂いが漂って来て、いつもの様に我慢できず手を伸ばすキリトとユージオの手をパシパシと叩き落とすと、アリスはステイシアの窓で料理の天命を確認する。僕は毎度のやり取りに苦笑しながら、アリスと共に料理の配分とコップへシラル水を注ぐ手伝いをする。ようやくお許しが出ると、二人は急いで食べ始めた。

 僕はそんなユージオを眺めながら食べるのが好きだ。

 

「あんたたちねぇ、テオを見倣(みなら)いなさいよ」

「まぁまぁ」

 

 料理へ手を付ける前に溜息混じりにそう言うアリスを僕は宥めつつ、おいしいパイを口に運んでいく。横目で亜麻色の髪を揺らしながら幸せそうにパイを頬張るユージオを見てると、料理で摂取するカロリー以上のパワーが体に(みなぎ)ってくる気がしてくる。

 

「そこの洞窟で氷がたくさん見つかれば、明日の昼飯はこんなに慌しく食べることも無くなる訳だ」

 

 キリトが口の中に食べ物を詰めたまま喋るから聞き取りにくかったが、それを聞いてユージオは首を傾げた。

 

「でもさ、よく考えてみると、うまく氷を手に入れられても、その氷自体の天命はどうやって保たせるんだい? 明日の昼までに溶けてなくなっちゃったら何の意味もないだろ?」

「あ……」

 

 そこまで考えが及んでいなかったのかキリトは眉をひそめた。僕は特に口を挟むでもなくもくもくと、恵方巻きを食べる時の様にユージオ一点を見つめて食べていたが、アリスは考えがあったらしい。

 

「急いで持って帰って、うちの地下室に入れておけば一晩くらいは大丈夫でしょう。まったくあんたたちは、それくらい最初に考えておきなさいよ」

 

 ピシャリと指摘されて、誤魔化すようにキリトとユージオはパイにがっつき始めた。そんな二人とは対照的な僕をみてアリスが今まで疑問に思っていたのか口を開いた。

 

「テオは、どうしていっつもユージオを見てるのよ」

「え? どうしてって、ユージオが……ユージオを見てたら元気が貰えるから?」

 

 ユージオが好きと言いかけて、慌てて訂正したが聡い子なら余裕でばれてしまうような大して修正もできていない返答をしてしまった。おまけに疑問形である。

 

「そう?」

「元気が貰える、ねぇ」

「ちょっと、みんなしてやめてよ」

 

 僕の答えで一気にユージオへ視線が集中して恥ずかしいのかそっぽを向いてしまった。どんな表情も可愛いんだから目は離せない。納得したのかしてないのか微妙な表情で食べ進めるアリスにホッとしつつも、ユージオをずっと見ていても怪しまれない理由ができたから一先ずはよしとした。意識してしまったのか背中を向けられてしまったけれども。

 ユージオの背中が動いたと思ったら立ち上がり、同じくしてキリトも立ち上がると、シラル水を一気に飲み干した。どうやらパイは食べ終わったようで、それからしばらくして僕とアリスも食べ終えた。

 アリスが(とう)(かご)へとパイを包んでいた布を片付けている間にシラル水を入れたコップを全員分預かって川の水で洗う。

 

「冷たっ!」

 

 もう洞窟が近いからか流れ出てくる水は真冬の水のよう冷たさだった。全員分あらい終えてアリスへとコップを手渡すと、みんなに赤くなった手を見せた。

 

「川の水すっごく冷たいよ。これは洞窟の中、期待していいかもね」

 

 なんて白々しく言ってみる。すると、ユージオが僕の手を取ってその冷たさを確認しに来る。正直いってこれだけでもう手だけでなく顔も真っ赤である。しかしこのチャンスは逃すまいとこちらから握り返した。

 

「ユージオの手はあったかいね。ちょっとだけこうさせて」

「う、うん。いいよ」

「はぁん」

「ふぅん」

 

 箱庭ゲームの村人みたいな声が聞こえて振り返ってみればニヤニヤしているアリスとキリト。そこでようやくさっきの誤魔化しが無駄になったことを悟った。開き直った僕はむしろ堂々と手を繋いで二人の元へと歩く。一方のユージオは耳に熱が集まっていた。

 洞窟の入り口までくると、左側に川より少し高い位置に岩棚が伸びていて、そこを歩いて行けそうだ。

 全員が洞窟の影へと足を踏み入れて少し進んだところで、暗闇で前が見えないことに気が付いた。

 

「しまった……僕、灯りを持ってきてないよ。みんなは?」

「僕は持ってないよ」

「お前が気付かないことに俺が気付くわけない!」

 

 僕の答えに落胆し、次いでキリトの自信にあふれた返事を聞いて呆れた。ユージオは洞窟の中は真っ暗という当然のことに気付けなかった自分が情けなかったのか大きな溜息をついていた。

 僕は神聖術で明かりを作ることもできるが、ここは伏せておいてアリスに花を持たせよう。

 

「あ、あのねぇ……あんたたちは……」

 

 もう指摘する気力もないのか本日何度目かの呆れ声をアリスは絞り出すとエプロンのポケットに手を差しこんで何かを取り出した。出発地で摘んだ草穂である。僕は個人的に猫じゃらしと呼んでる。

 右手に持った草の先端に左の掌を添え、アリスは目を閉じた。小さな唇が動き、僕もよく知る神聖語による術式句を並べていく。

 

「システム・コール・ジェネレート・ルミナス・エレメント・アドヒア」

 

 そして、丸く膨らんだ穂の先に優しい光が灯った。それは数瞬で強くなっていき、洞窟の暗闇をかなりの距離まで照らして見せた。二十メル手前くらいだろうか。

 

「うおっ」

「わあ……」

「……おお」

 

 キリトとユージオが同時に嘆声を漏らすと遅れて僕も声を漏らす。自分自身が神聖術をできるので驚きは少ないが、他人が実際に使っているところを見るのは初めてである。

 

「ア、アリス、こんなことに術を使って、平気なの? 罰が当たったりとか……」

「ふん、この程度で罰が当たるなら、私なんか今ごろ十回くらい雷に撃たれてるわよ」

 

 内心同意しつつも、僕だったらもう十回じゃ足りないだろうなと練習するために何度も神聖術を使ったことを思い出す。

 少し思い出している間に光の中心はアリスからユージオに移動していた。

 

「ぼ、僕が一番前なの!?」

「当たり前じゃない。か弱い女の子に先頭を歩かせる気? ユージオは先頭、キリトは後ろ。テオはどこがいい?」

「僕はユージオの後ろにいるよ。安心して、僕が後ろにいるから、ね」

「う、うん。ありがとう」

 

 僕としては一番前でもいいんだけど、それだとユージオが視界から外れて不安なんだよね。

 

「決まったらさっさと先に進むわよ」

「わかったよ……」

 

 アリスの勢いに押されて、ユージオはおそるおそる暗闇へ向かって歩き始めた。

 洞窟は一定の広さでずっと続いており、曲がりくねったり多少の勾配はあるが洞窟探検のテレビで見るような過酷な道程ではない。時たま虫のカサカサと歩き回る音が聞こえる度にユージオへ抱きついては進行を遅らせていた。虫は苦手だ。

 

「ねぇ……確か、洞窟に入った直ぐの所に氷のツララがあるって言ってたよね?」

「言ったっけ、そんなこと」

「言った!」

 

 とぼけるキリトにユージオは詰め寄ろうとするが間には僕とアリスがいるので少し遠い。鍾乳石みたいなのは見えるが、氷柱(つらら)はまだ見えてない。

 アリスはユージオを止めると、灯りを近付けるように言った。言われた通りにユージオが灯りを近付けると、アリスはほうっと灯りへ向けて息を吐き出した。すると息は冷やされて僕たちの目に見えるように白くなる。

 

「あっ……」

「ね、見えたでしょ? 冬みたいに息が白くなってる」

「うぇ、ほんとかよ。どおりでさっきから寒いと思ってたんだよ」

 

 キリトの呟きを無視して僕たち三人は顔を見合わせて頷いた。

 

「外は夏だけど、この洞窟の中は冬なんだわ。きっと氷だってあるはずよ」

「そうだね。もう少し頑張ろう」

「うん。もう少し、進んでみよう」

 

 僕とアリスの言葉に、ユージオは力強く頷くと前に向き直ってまた歩き始めた。

 かなり寒いからか、虫の音は聞こえなくなった。今聞こえるのは四人分の靴の音と、衣服が擦れる音、そして小川のせせらぎだけである。

 

「もし、船があったら帰りは楽だよなぁ!」

「うるさいなぁ」

「大声出すなよ」

 

 僕とユージオが同時にキリトへの不満を口にする。こっちは前列で気を張って進んでいるというのに呑気な声が後ろから聞こえれば苛立ちもする。

 

「ねぇ、ほんとに白竜に出くわしたら、どうするの?」

「そりゃ、逃げるしか……」

 

 ユージオの疑問へぼそりと不安げにアリスが答えれば、対照的に能天気で楽観的なキリトの声が響く。

 

「だいじょーぶだって。ベルクーリが白竜に追っかけられたのは、宝剣を盗もうとしたからだろ? いくらなんでもツララを取るくらい許してくれるさ。うーん、でもなぁ、できれば剥げたウロコの一枚くらいほしいよなあ……」

「おい、何考えてるんだよキリト」

「だってさ、本物の竜を見た証拠を持って帰ったら、ジンクたちが死ぬほど羨ましがるぜ」

「冗談じゃないよ! 言っとくけど、もしお前が竜に追っかけられたら、僕たちは見捨てて逃げるからな!」

「おい、声が大きいぞユージオ」

「キリトがおかしなことばっかり言うから……」

 

 一連のやり取りを僕は静かに聞いていた。ユージオが声を荒げるなんて珍しいし、指摘されて声が小さくなるユージオも素直でかわいい。でも、これ以上キリトがユージオをいじめるようなら口を挟もうかなと思ったところで、今までにない音が響いた。

 ぱりん、という小気味よい音に、視線を下へやるとユージオの足元でひびの入った氷が灯りを反射していた。

 

「これみてよ」

 

 キリトとアリスが屈んでユージオの足元を注視すると、それを認めたユージオがつま先で氷を動かし、割れた氷の中から薄い氷を一枚指先で挟んで掌に乗せる。そうするとあっというまに水滴へと変化した。それを見て氷であると確信した僕たちは笑みが漏れる。

 

「間違いない、氷だよ。この先にもっとあるはずだ」

 

 ユージオは確信を得たのか暗闇に覆われた前方へ灯りを(かざ)すと、所々にある氷が青く光を反射して輝く。

 そしてさらに奥の方で足元の氷なんて比較にならない青白い輝きが見えた。

 

「あ……なんか、いっぱい光ってる」

 

 アリスの言葉に全員が奥の輝きへ気づいた。それからは大広間にいるはずの白竜のことなんてすっかり忘れたようにキリト、ユージオ、アリスの三人は我先にと駆けていく。つられて僕も走りそうになったところで気を取り直した。

 ここでついて行ったら計画が台無しである。落ち着いて歩きながら背負っていたリュックの中から縄を取り出す。本当はかさばるから縄よりも灰を撒いて目印にしようかとも思ったんだけど、それだと氷の上で消えてしまうかもしれないと思ったのだ。何よりここは現実と間違えるほどに精巧な世界であるが、プログラムによって動く電子の世界でもある。灰を撒いても天命が直ぐに尽きて消えてしまう可能性があった。

 出口に木でできた杭を堅い岩の間に突き刺してそこに縄を縛る。それから顔を上げると、広大な空間が広がっていて見入ってしまった。ドーム状の空間そのものが青く、地面は氷が張っているからというのはわかるが、壁や天井までも青いのは神秘的だった。

 地面からは無数の氷柱(つらら)が突きだしていて、その高さは僕たちを優に超えるものが多い。二メルくらいはありそうだ。中心部にかけて氷柱(つらら)の数は多くなっており、白竜がいると思われる場所は遮られてよく見えない。

 暫くの間、僕たちは白息を出しながら呆然と眺めていた。そして最初に口を開いたのはアリスだ。

 

「これだけ氷があったら、村中の食べ物を冷やせるわね」

「それどころか、暫く村を真冬にだってできるぜ。なあ、奥の方に行ってみよう」

 

 キリトはそう言うや否や、分厚く張った湖の氷の上へ足を乗せ、体重をかけると大丈夫だと判断したのか両足を乗せた。そのままキリトは先に進んでいき、ユージオもアリスもついて行く。僕も仕方なくロープを伸ばしながら進んでいく。

 何度か氷柱(つらら)の道を曲がると、その先でキリトは足を止めた。それに気付かず鼻先をキリトの後頭部にぶつけてユージオは顔を(しか)めた。

 

「おい、急に止まるなよ」

 

 キリトはユージオの文句に応えることなくぽつりと呟く。

 

「なんだよ、これ……」

「え?」

「なんなんだよ、これ!」

 

 ユージオとアリスが首を傾げてキリトの横から前方を覗き込む。僕も少し後ろから全体を見渡すようにして広間を見た。

 

「いったい、どうしたって言うのよ……」

 

 それを見た瞬間にアリスの語尾は消えていった。

 骨の山である。大きな生物の骨の山ができているのだ。

 わかっていたこととは言え、実際に見ると凄まじい迫力だった。いつかの恐竜博物館で見たティラノサウルスの骨と同等、いや、今は骨が積み重なっているだけだから復元してみればそれを優に超えそうだ。

 骨の山の中でも一際大きな塊を見て四人は初めて何の骨なのか認識した。その塊は頭骨だった。虚ろな眼窩(がんか)、細長い鼻孔(びこう)、そして頭頂部から後頭部にかけて線が走り、それは角のような突起として後ろへと長く伸びていた。何トンものパワーを生み出しそうなアギトには剣のような牙が無数に並んでいる。

 

「白竜の……骨?」

「死んじゃったの……?」

「ああ……。でも、ただ死んだんじゃない」

 

 キリトが骨の山に歩み寄って、足元から竜の前足のものであろう巨大な(かぎ)(づめ)を拾い上げると僕たちに見せる。剣によってつけられたであろう傷が交差する(かぎ)(づめ)は見事に先っぽが切断されていた。

 

「ほら、いっぱい傷がついているし、先っぽも綺麗に欠け落ちてる」

「何かと戦ったの……? でも、竜を殺せる生き物なんて……」

 

 答えを知っている僕はまるで空気の様に三人の会話を見守った。不用意な発言をするのはあまり好ましくない。

 

「これは、獣や他の竜と戦ってできた傷じゃない」

 

 キリトの確信めいた物言いに、ユージオは純粋な疑問をぶつける。

 

「え? じゃあ、何が……」

「これは剣の傷だ。この竜を殺したのは……人間だ」

「で、でも……だって、央都の御前大会で優勝した英雄ベルクーリでさえ、逃げることしかできなかったのよ。そこらの剣士じゃ、そんな大それたこと……」

 

 何かに思い至ったのかアリスは口を閉ざして黙り込んだ。そして、暫くの静寂の後、口にするのも(はばか)られるようなことを畏れながら零した。

 

「整合騎士……? 公理教会の整合騎士が、白竜を殺したの?」

 

 ありえない。そうユージオの目は語っていたが、反してキリトは混乱している様だった。

 そもそも公理教会とは絶対的な法を僕ら平民に課す、絶対的な存在である。そしてそこに仕える整合騎士もまた民にとっては絶対的な存在に等しく、ダークテリトリーからの侵略を防いでいる彼らはまさに善の塊のように思われている。

 それは一度も疑ったことのないであろうユージオにとって、その実態の一端が目の前の事実と結び付けられるような仮説は到底うけ入れがたいものだろう。

 助けを求めるようにユージオはキリトへと視線を動かした。

 

「……わからない」

 

 しかし、キリトもまた混乱している様子で、ユージオの望む答えは返ってこない。

 

「もしかしたら……闇の国にも凄く強い騎士がいて、そいつが白竜を殺したのかもしれないし……。でも、そんな事があったなら、今までに一度くらい闇の軍勢が果ての山脈を越えてきたりしててもおかしくないはずだ。少なくとも、宝を狙ってのことじゃないみたいだけど……」

 

 最後まで言わず、キリトは骨の山へと歩みより、(かぎ)(づめ)をそっと元に戻す。その代りに半分ほど財宝の山に埋もれていた何か長い物を引っ張り出す。

 

「うお……めちゃくちゃ、重いな……」

 

 ふらふらよろけながら全体が見えるまで引き摺り、僕たちに見せる。

 それは、白革の(さや)と、白銀の(つか)を持つ一振りの長剣だった。(つば)の中心には精緻な青い薔薇が一輪ほどこされている。その美しさと、長年こがれた青薔薇の剣に思わず僕は魅入ってしまった。

 

「あっ……これ、もしかして……」

「ああ。ベルクーリが、寝てる白竜の懐から盗み出そうとしたって言う青薔薇の剣だろうな。竜を殺した奴は、どうして持って行かなかったのかな」

 

 そう言いながら腰を屈めると、キリトは(つか)を両手で握って床から持ち上げようとした。しかしどれだけ力を入れても床から浮いたのは僅かに十センばかり。

 

「……だめだ!」

 

 キリトが叫ぶと、長剣はまるでそこだけ超重力でもあるように床へ吸い込まれていき、分厚い氷にひびが入った。いくら重いと言っても長剣の範疇に収まるサイズだ。まずこんな事は普通ならあり得ない。

 さすがにここまで来ると僕が参加しなくても進んでいく物語に不快感というか疎外感を覚えて、長剣の(つか)に僕も手を掛けた。好奇心が(まさ)ったとも言うかもしれない。

 

「ふっ……! おもっ!」

 

 全力で持ち上げた青薔薇の剣はしかし、キリトが持ち上げた時の半分ほどまでしか持ち上がらず、ギブアップしたのだった。

 

「俺より上がってないぞ」

「ちょっと手が滑っただけだ」

 

 キリトの挑発的な言葉に僕が白を切ると、虚勢を張っている事はバレバレなのか嘲笑を浮かべてくる。汚い言葉を並べて罵倒してやりたいくらいには怒りが沸々と湧いてきたが、事実は事実なので羞恥心の方が(まさ)って顔を背けることしかできなかった。

 

「これ、どうするの?」

 

 ユージオの言葉に僕は立ち上がって頭を振った。

 

「ここに置いて行こう」

「そうだな。俺たち三人がかりでも、とても持って帰れないよ。あんな木こり斧ですら、毎日ひいこら言ってるんだから。他にも、骨の下にはいろいろお宝があるみたいだけど……」

「うん、なんだか、持って帰る気にはならないわね」

 

 アリスの声にみんなは頷く。

 この場所から持ち出すのは禁忌目録違反ではない。盗みをしてはいけないのは人相手の場合だけだからだ。しかし、わざわざ墓荒しのようなマネをするのは禁忌目録違反でなくとも進んでするものではない。

 ユージオは納得したのか、僕たちに呼びかける。

 

「予定通り、氷だけ貰っていく事にしよう。それなら、もし白竜が生きてたとしても許してくれたよ、きっと」

「優しいね。ユージオは」

 

 ただの屍になった竜にすら思いやれるその優しい心に、ただ素直に言いたくなった。素直な称賛にはめっぽう弱いらしいユージオは照れを隠すように背中を向けると大きな氷柱の前まで行き、その根元にある小さな氷の塊を蹴とばして欠片を作った。砕けた氷を拾い上げるとアリスに渡し、空の篭の中へと入れてもらっていた。

 しばらく、無言で篭の中が一杯になるまで氷を集めていた。もちろん集めている最中もユージオから視界を外さないように気を配っていた。改めて思ったんだけど堂々としてるだけでストーカーとやってることは同じような気がしてきたよ。

 

「よい……しょっと」

 

 掛け声とともに(とう)(かご)を持ち上げたアリスは、篭に差してい草穂の光を間近で反射して(きら)めく氷に目を奪われていた。

 

「……きれい。なんだか、持って帰って溶かしちゃうのが勿体ないわね」

「それで、俺たちの弁当が長持ちするならいいじゃないか」

 

 乙女な心を無視する即物的な考えに、アリスは顔を(しか)めて篭をキリトへ押し付けた。

 

「え、帰りも俺が持つの?」

「当たり前じゃない。これ結構重たいんだから」

「テオに持たせろよ。なんもやってないじゃんか」

「何言ってんのよ。テオは弁当の時に自分から手伝ってくれたじゃない。キリトとユージオは、特にあんたは私が頼まなきゃ何にもしないでしょう。自主性が足りないのよ、自主性が。まったく」

 

 僕の肩を持ってくれるのはありがたいけど、憤慨するアリスの正論に打ちのめされているキリトも少しは見てやって。まぁ、僕の言えたことじゃないけど。

 慌ててユージオは二人を宥めて、提案をする。

 

「交代で僕も持つよ」

「ユージオがそう言うなら僕も持つよ」

「ほら、こういうところが足りてないのよ、あんたは」

 

 アリスの追撃が止めを刺したのか、開き直って「二人ともよろしく!」なんて若干潤んだ目で言われてしまった。

 

「そ、それより、そろそろ戻らないと、夕方までに村に帰れなくなりそうだよ。もうこの洞窟に入ってから一時間近く経つんじゃない?」

「ああ……ソルスが見えないと、時間がよくわからないな。神聖術でなんかないの? 今が何時だか教えてくれるようなの」

「ありませんよーだ!」

 

 相当ご機嫌が斜めなのか、便利屋扱いするキリトからアリスは勢いよく顔をそらした。

 そのあと、正反対の方に向き直ったアリスは首を傾げながら言った。

 

「ねぇ、私たち、どっちから入って来たんだっけ?」

 

 ユージオとキリトはすかさず、それぞれがもと来た方向と思う方を自身ありげに指さした。ここまで綺麗に意見がわかれるんだなと思いながら、正解はキリトだったので不本意ながら拍手を送った。

 

「キリト、正解だよ」

 

 急に拍手をし出した僕に視線が集まると、少し離れた場所に放置していたまだ余裕のある縄を三人に見せた。

 

「こんな事だろうと思って、出口に縄をくくって来たんだ。まったく、道が今まで一本道だったからよかったものの、たくさん分かれ道があったら一体どうしたんだよ?」

「うっ、そ、それは……」

「テ、テオの言う通りね……」

 

 流石のアリスも自分が説教される側に回って今までの威勢を無くしてしまった。偉そうに言う僕も(あらかじ)め知っておかなければここまで気が回らなかったに違いないからこれ以上言うのは止めて、(ども)る三人に帰ろうと呼びかける。

 これでもう安心だ。帰り道さえわかればもうそれでダークテリトリーに近づく事なんてなくなるんだから。アリスがまかり間違ってもダークテリトリーの土を触ってしまう事もない。

 

「さ、氷の溶けないうちに」

「おう、テオなかなかやるな。アリスですら気づかなかったことに気付くなんてよ!」

「なによ、あんたは何も考えてないでしょ……」

 

 アリスがしょげているのは珍しいのかこれ幸いと煽るキリトと、ぼそっと呟くアリス。僕としてはアリスの肩を持ちたいのでキリトを睨みつける。

 

「キリトは考えて行動してよね」

「んだよ、褒めてやってんのに」

「まぁまぁ、明日のお弁当楽しみだね」

 

 褒めた相手に強くあたられれば不貞腐れるのも無理はないので、口を尖らせるキリトを見てユージオは話題を変えようとしてくれた。

 氷柱(つらら)の道を抜けて、氷から固い岩の地面へと変わる出口付近にある岩の隙間に突き刺した杭を抜き取り、杭と縄をリュックにしまった。いつの間に杭を刺していたんだと言う三人の小さな驚きに苦笑して、さあ進もうという時だった。

 人っ子ひとり寄り付かないようなこの洞窟で、足音のようなものが響く。それは止まっている僕らのものじゃない。洞窟の先、入り口からこちらへ向かってくるのがわかる。それはのっしりとしていてゆっくりとこちらへ向かってくる。

 

「だ、誰よ」

「ま、まさか、竜を殺した……?」

 

 僕の知らない展開にその場にいた全員が混乱し、ユージオの一言で緊張が走った。竜殺しの人間が向かってきている。そう考えただけで背筋は凍りついたようになる。禁忌目録に人を殺してはならないとある。しかし、竜を殺すような人間が果たして禁忌目録通りに人を殺さないとは言えるのだろうか? 

 物語を知っているだけに僕はその疑念をほぼ確信に近いような形で受け入れて、それを核として思考を巡らす。だが、竜を殺したのは確か……。

 しかし、思考にあまりにも時間を使いすぎたのか、止める間もなくユージオが叫んだ。

 

「誰ですか!?」

 

 相手が人間であれば危害を加えられることなんて絶対にないと疑わないユージオだからこその行動だった。しかし、その叫びに帰って来たのは洞窟で反響して鼓膜を破る勢いにまで増幅された獣の咆哮(ほうこう)であった。

 

「くっ、に、逃げるぞ! はやく!」

 

 いち早く我に返ったキリトが光る草穂だけ抜き取ると、氷の入った(とう)(かご)を放り出してユージオとアリスの背中を押して逃げるように促す。それに続いて僕も全力で走りだす。一体なんだと言うのだ、こんな展開は知らない。道さえわかればそのまま帰るだけだったというのに。

 

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