よう実世界に転生したらなんか知らないキャラいるんだけど..... 作:ぱいんパイン
「ねぇ雅治、付き合わない? 私たち」
言ってしまった。普段の私なら絶対に自分からは言わないだろう、こんなセリフ。多分、焦ってるんだと思う。
傍にいたいしいて欲しい。これが彼に対する私の感情。いつからこうなったのか、私は覚えている。
そこそこの優良物件である彼に狙いを定め、いろいろアタックをしてきた。そんなある日、私は彼を試すように誰かの愚痴をこぼした。それも少しキツめに。
すると彼は、『新たな松下千秋が知れて嬉しい』って顔をしていた。今まで狙ってきた男子はだいたい少し距離を置いたりしてきたのに。
だからいろいろ試してみた。それでも楽しそうにする彼との時間が、いつの間にか大切なものになっていた。
けど彼って結構人気なんだよね。私の他にも、狙う女の子はいっぱいいた。だから少し焦っちゃった。ただそれだけ。私もまだまだ恋愛経験が浅いってことだね。
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ど、どどどどうしよう。前世も含めて初めて告白されちゃったよ。まさか千秋から告白されるなんて。
まあ、こんなに2人で遊びに行ってるんだし良い印象は持たれいると思ってたけど。
消えていた周囲の色も声も静かにゆっくりと、本来の姿を取り戻す。そういえば、周りの人には聞こえていたのだろうか。確認するために少し見てみるが俺たちを気にした素振りをする人はいなかった。
「ほ、本気?」
思わず変な返しをしてしまった。こんな経験今まで1度もないから許して欲しい。
「うん、私は本気。雅治は?」
そう言った彼女の表情は、真剣そのものだった。
俺は.どうなのだろうか、少なくとも意識はしている。
思えば前世の記憶を取り戻してから俺は自分を高めるためにずっと自分だけを見ていた。そんな自分だけの世界に強引に入ってきた1人の少女。
彼女以外にも俺の世界に入ろうとしてきた人はいが、ここまで強引に入ろうとしてきた人はいなかった。だからこそ、いつの間にか彼女の存在が大切なものになっていった。
ならば、俺がだす答えは1つなんじゃないのか?
「俺も…付き合いたい」
「……本気?」
「もちろん、本気」
沈黙がしばらく続いた。千秋の真剣な顔が、だんだんと緩み始める。
「あー良かった!」
そう言った彼女は笑顔だった。いつもの揶揄う時の様な笑顔ではなく、心の底から嬉しそうな、そんな笑顔だった。
千秋と付き合い始めてからはや数日、今日は5月1日。そう、Dクラスにとっては楽園が地獄となる日。
今月も10万貰えると思い思う存分ポイントを使ったの者たちには、支給額0は地獄以外の何でもないだろう。
「ほんとだ、雅治の言った通りポイント配られてない。あれから節約しといて良かったー」
現在時刻午前7時12分
俺は今、千秋と俺の部屋にいる。え? なんで朝早くから同じ部屋にいるかだって? 察しろよ! 泊まっただけだ! なんもなかったけどな!
「正確には配られてんだぜ。0ポイントだけど」
「知らなかったらほんとにやばかった。ありがとね」
「おう」
「でも、どうして他の人にも教えなかったの?」
「1度地獄を味あわないと、Dクラスは前に進めないからだよ」
「そっか」
何かを理解したように彼女はそう呟いた。
準備を終えた俺たちは教室へ向かう。1年生フロアからは、負の空気が漂う。Dはもちろん、A,B,Cもだが、Dはその比ではなかった。
「どうなってんだよ、毎月10万貰えるんじゃなかったのかよ」
「1ポイントも入ってないじゃん。今朝ジュース買えなくて焦ったんだけど」
教室からそんな声が聞こえる。中に入ると少し慌てた様子の洋介から声をかけられる。
「おはよう雅治くん、来た早々でわるいんだけど今月分のポイントって支給されているかい?」
「おはよ洋介、ポイントは支給されたぜ。0だけどな」
俺の言葉の意味がわからない洋介は、どういう意味か尋ねようとするが、その声は茶柱先生によってかき消される。
「席に着け、これより朝のホームルームを始める。が、その前に質問はあるか? 気になることがあるなら今聞いておいたほうがいいぞ?」
「今朝確認したらポイント振り込まれてないんですけど、毎月1日にポイントが支給されるんじゃなかったんすか?」
「本堂、前にも説明しただろ、その通りだ。ポイントは毎月1日に振り込まれる。今月も間違いなく振り込まれたことは確認されてる」
「え、でも…振り込まれてなかったよな?」
茶柱先生の発言によってクラスがざわめき始める。が、それを止めたのも彼女の発言だった。
「お前たちは本当に愚かだな」
「愚か…っすか?」
「座れ本堂。2度は言わん」
明らかにいつもとは違う茶柱先生の口調に、本堂は腰が引けていた。
「ポイントは振り込まれた。これは間違いない。このクラスだけ忘れられたなどということも無い。わかったか?」
「ははは、そういうことだねティーチャー。理解出来たよ。この謎解きがね。簡単なことさ、私たちDクラスは1ポイントも支給されなかった、ということだよ」
「はあ? なんでだよ。毎月10万振り込まれるって言ってたじゃんか」
「私はそう聞いた覚えはないね。そうだろう?」
「態度には問題ありだが、高円寺の言う通りだ。全く、これだけヒントをやって自分で気づいたのが数人とはな」
「先生、振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ僕たちは納得できません」
「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の携帯を触った回数391回。ひと月で随分とやらかしたものだ。この学校では、クラスの成績がポイントに反映される。その結果お前たちに振り込まれるはずだった10万ポイントを全て吐き出した。それだけのことだ。入学式に説明したはずだ。この学校は実力で生徒を測ると。そして査定の結果、お前たちの評価は0ということになった。それだけに過ぎない」
衝撃の発言にクラスのほとんどは動揺を隠せない。しかし、リーダー的存在である洋介は先生に対抗する。
「茶柱先生、僕らはそんな話、聞いた覚えはありません」
「なんだ、お前らは説明されなければ理解できないのか?」
「当たり前です」
「それは不思議な話だな平田。確かに私は振り込まれるポイントがどのようなルールで決められているかを説明した覚えはない。しかし、お前らは学校に遅刻するな、授業中に私語をするなと、小学校、中学校で教わってこなかったのか?」
「それはっ」
「もういいだろ洋介。俺たちの負けだ、文句を言ったって何も変わらない。それより今はどうやったらポイントが増えるとか、そういうことを考えるべきだろ」
「……うん、そうだね。ごめん」
思わず声が出てしまった。ごめんな洋介。
「すみません先生。続けてください」
「すまんな駿河。よし、そろそろ本題に移ろう」
先生は白い厚手の紙を黒板に貼り付ける。ここで各クラスの成績発表することまでは予定通り。が、クラスポイントを見て俺は驚愕する。
Aクラス940
Bクラス690
Cクラス550
Dクラス0
おかしい……原作よりもBとCのポイントが多い。どういうことだ。
「こんなのあんまりっすよ! これじゃ生活できません!」
「よく見ろバカども。他のクラスは全クラスポイントが振り込まれている。それも、1ヶ月生活するには十分過ぎるほどのな」
「なぜ…ここまでクラスでポイントに差があるんですか」
洋介は綺麗過ぎるポイント差に疑問を持つ。
「段々理解してきたか? お前たちがなぜDクラスに選ばれたのか」
「そんなの適当じゃないの?」
「この学校では、優秀な生徒たちからクラス分けされるようになっている。最も優秀な生徒はAクラスへ。ダメな生徒はDクラスへとな。つまりお前たちは最悪の不良品ということだ」
自分たちを不良品呼ばわりされ、各々思うことがあったのだろう。クラスのほとんどが悲しみや怒りの表情をしていた。
「ちっ、これから俺たちはバカにされるってことかよ」
「なんだ須藤、お前にも気にする体面があったんだな。だったら頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」
「あ?」
「クラスのポイントは金と連動しているだけじゃない。ポイントの数値がそのままクラスに反映されるということだ。そしてお前たちのクラスポイントが他のクラスよりも上回れば上のクラスに上がれる。そういう仕組みだ」
その後先生は「もう1つ残念な知らせがある」と言い小テストの結果を見せてきた。そして次赤点を取れば退学になるということを知らされる。ちなみに赤点は7人だった。
俺は85点。最後の3問、ひとつくらいは正解している自信あったんだけどな。あー計算ミスか、詰めが甘いな。
そして最後に3週間後の中間テストを楽しみにしている。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法があると確信している。とだけ言い教室をあとにした。
その日の放課後、洋介主催のどうすればポイントを増やせるかの会に出席したが、出た案は中間テストで高得点を取るために勉強会をしようというものだけだった。
次回かその次のあたりでCクラスのオリキャラは出したいところですね...