よう実世界に転生したらなんか知らないキャラいるんだけど..... 作:ぱいんパイン
堀北の話し方って現実の女の子じゃ見たことないんで難しいです。
「ゆ、祐天寺さん!? ど、どうしてここに……」
「勉強するためですよ。今日は隣の帆波くんと勉強会の予定でしたので。それより、今質問してるのは僕の方ですよ、脇山くん」
祐天寺と呼ばれた男は、須藤よりも若干大きい身長を使って脇山に圧をかける。
「す、すみません、実はこいつらがあまりにもうるさかったので注意したんですが、逆ギレしてきたんです」
「嘘つくんじゃねぇ! てめぇから煽ってきたんだろうが!」
須藤は自分の拳が止められたからなのか、祐天寺を注意しながら脇山に言い返す。
それにしてもこの祐天寺ってやつ、脇山の態度からしてCクラスでも結構上の人間だろう。だが、よう実にこんなやつは少なくとも1年編には出てこなかった。まさかこの世界はよう実本編とは違うのか?
……まあ、正直俺という存在がいる時点で本編とは違うんだけどさ。
「なるほど、図書館ですので他の人がうるさかったら注意するのは当たり前です。ですが脇山くん、あなたもかなり声が大きかったですよ。注意する側がそれでは、余計うるさくなるだけです」
「うっ……すみません、今後はこのようなことがないようにします」
「分かればいいんです。では、先に教室に戻ってなさい」
「は、はい! 失礼します!」
「逃げんのか!!」
どうやら須藤は相当頭にきているのか、脇山を追いかけようとした。が、行く手を阻まれた。
「これ以上ことを大きくしても互いにメリットはありませんよ。ですが、まだ暴れたいのなら、僕が相手をしますよ」
鋭い視線、先程見せた力の差に、須藤すらも1歩引いてしまった。
「いえ、こちらもこれ以上ことを大きくするつもりはないわ」
堀北が返事をする。
「それは良かったです。では、僕もこれで。貴方たちも図書館ではお静かに。あとは頼みましたよ帆波くん」
「うん、またね祐天寺くん」
そう言った祐天寺はスタスタと図書館を去っていった。
くそっ、すぐ冷静に戻れたはいいけど、後半この場にいないも同然だったじゃないか!
「えっとー、なんか災難だったね。あっ、私は一之瀬帆波、1年Bクラスだよ。よろしくね」
1年の聖女である一之瀬からのフォロー&自己紹介である。
だが、堀北はそんなことよりも聞きたいことがあるようだ。
「堀北よ。一之瀬さん、さっきCクラスの人がこの問題はテスト範囲外と言っていたのだけれど、本当かしら?」
「どれどれー、……うん、たしかにこの問題はテスト範囲外だよ。この間テスト範囲が変更されたらね」
堀北は驚き、少し絶望したような表情をしている。テストまで後1週間。今から教えるとなると基礎ができてないこいつらじゃかなり厳しいだろう。
「教えてくれて助かったわ一之瀬さん。私たちは急いで行かなければならない所があるから、これで」
「う、うんまたね」
昼休みが終わるまで約8分といったとこ。
俺たちは急いでテスト範囲の確認をするために職員室へ向かった。
「そんなに急いでどうした、お前たち」
茶柱先生はあくまでシラを切るようだ。理由などわかっているだろうに。
「先生、確認したいことがあります」
「昼休みが終わるまであまり時間がない。手短に頼む」
「先週伺ったテスト範囲に間違いはありませんか? 先程、BクラスとCクラスの生徒から範囲が違うと指摘を受けましたので」
「……そうか、中間テストの範囲は先週の金曜日に変わったんだったな。お前たちに伝えるのを忘れていた。ほら、これが新しい範囲だ。他のやつらにも伝えておいてくれ」
「なっ────」
まるで始めから俺たちが職員室に来た理由を知っていたかのように、茶柱先生は手に持つファイルの中から新しいテスト範囲を渡してきた。
「いくらなんでも酷いぜ紗枝ちゃん先生!」
「すまないとは思っている。だが、まだ1週間もある。むしろここで気づけたのはよかったことじゃないか?」
「そんなっ──」
「行きましょう。これ以上ここで話していてもなんの解決にもならないわ」
範囲が変更されたことを急いで知らせるため、俺たちは教室へ向かった。
放課後、Dクラスの教室には高円寺意外の全員が揃っていた。テスト範囲が変更されたことを知らせると、皆驚きを隠せていなかった。
「ほ、本当なのかい? 雅治くん。テストの範囲が変更されたっていうのは……」
「ああ、残念ながらな」
全員で赤点を回避し、少しでも良い点数を取ろうと毎日Dクラスは勉強会を開いていた。中には部活を休み、勉強に励んでいたやつもいる。
そうしてコツコツと努力を重ね、ようやく希望の光が見えてきた時にその努力が水の泡となった。相当くるものがあるだろう。
教室の空気は最悪だ。泣いている生徒もいる。こいつらは、まだ高校生になったばかりだ。こうも絶望を立て続けに味わってしまえば心が折れてしまうだろう。
多分俺もこのテストの攻略法を知らなければこいつらと一緒に絶望していたと思う。
でも、どんなに絶望しても、立ち止まるわけにはいかない。だからこそ、俺はこいつらを奮い立たせる必要がある。
「なあ、お前ら悔しくないのか?」
クラス全体に聞こえる声で、そう呼びかける。
「俺は今すっごく悔しい! 昼休みにCクラスのやつに俺らDクラスは不良品だとバカにされて、茶柱先生は範囲の変更を伝え忘れたくせにすまんと一言だけで! 見返してやりたいと思わないか!?」
俺はこの学校に入ってから変わった。その事に今日、ようやく気づけた。
教室の何気ない日々を思い出す。池たちがバカして、それを篠原たちが注意して、そんな日常が俺にとってとても大切なものになっていた。
俺はこいつらと一緒にAクラスで卒業したいんだ。
この学校にの門を潜ったからには、3年間戦わなくてはならない。だから、こいつらには心で負けて欲しくない。
「残り1週間、全力で勉強して、俺は皆でテストをのりきりたい! もし、悔しいとか、見返したいとか、少しでも思うのなら俺の我儘を聞いて欲しい!」
俺は深々と頭を下げた。
「顔上げて、雅治。皆気持ちは一緒だから」
「そうだよ、雅治くんの我儘なんかじゃないさ」
「やってやろうぜ駿河!」
どうやら、皆のモチベーションを取り戻せたようだ。早速勉強会を開始している。
それにしても、久々にこんな感情的になったな。ちょっと恥ずかしいかも……ってまだ俺の仕事は終わってないんだった。
「綾小路、ちょっといいか?」
「どうした?」
「明日の昼休みって空いてるか?」
「まあ、一応」
「良かった。あとポイントってまだ結構残ってるか?」
「残ってはいるが、まさか昼飯を奢って欲しいのか?」
「違う違う」
「じゃあ、何に使うんだ?」
「買うんだよ。このゲームの必勝法をな」
そう言った俺は、綾小路にドヤ顔をかました。いくら原作と変わっているとはいえ、テストの内容まで変わっているとは思わないからな。
祐天寺亜樹(ゆうてんじ あき)くんの登場です。彼は男女問わず名前の後に「くん」をつけることが特徴的ですね。基本揉め事は止めるほうですが、加勢するときもあります。かなり気まぐれな性格で、「面白そうだから」という理由で行動します。