葵side
8時40分。殺せんせーが教室内に入ってくる。今日も一日暗殺の始まりだ。
──ガラッ
「おはようございます。それではHRを始めましょう。日直の人は号令を」
今日の日直は面倒な事にボクだ。カルマや渚ちゃん達と居たかったのになぁ。まぁいいや、1度みんなを見渡す。皆、自分の銃をちゃんと持っている。よし、じゃあ始めよう。
「きり、つ...」
ボクのそんなに大きくない声でもガタっ!という音と共にみんな一斉に立ってくれる。瞬間、教室からはジャキと言う銃の音が成り始める。
「気を、つけ...」
みんなの意識が殺せんせーの方に向き始める。しっかりと構えいつでも撃てるように・・・ボクは一度ゆっくりと深呼吸をしてから、始まりの言葉を言う。
「.....礼ッ!!!」
その言葉を聞いたみんなは同時に射撃を始める。アサルトライフル、ハンドガン、みんなが構えた銃から対先生BB弾が飛ぶ。いつも通り殺せんせーはそれを憎たらしいようなにやけ顔のまま避け始める。
「発泡したままで構いませんので出欠を取ります。」
今日も命中弾ゼロ。ボク達の手入れがされた日から1本も取れてない。速すぎる...さすがは殺せんせー。ボク達のターゲット。
「さ、銃と弾を片付けましょう。理科の授業を始めますよ。秋月さんは、お手伝いお願いします。」
「...片付けて......?」
「ええ、勿論。」
「今回は昨日話した通りお菓子から着色料を取り出す実験をします!お菓子持ってしましたね?」
「勿論持ってきたけど、どうやるんだよ?殺せんせー」
ポッキーを持ってきた前原君が殺せんせーに対して質問をする。そりゃそうだろう、唐突にやるなんて言われてもどうやればいいかなんてわからないし。
「ええ、当然説明します。まず、各自お菓子を砕きましょう。着色料を使ってるチョコ菓子に関してはチョコごと砕いても大丈夫です。そうしたら、この液体とこの粉末を混ぜ合わせたものに入れてください。入れたら、少し掻き回して放置するとあっという間に色が変わります。」
その言葉を聞いて各自やり始める。ボクが持ってきたのは朝コンビニによって買ってきたクッキー。まぁこれが美味しいんだ。カルマは別のものみたいで後でひとくち欲しい。そうして、実験が最後のところまで行き各自の液体の色が変わる。ピンクや赤、オレンジや黄色なんて色から青にまで変わる人もいる。実験が終わり、レポートを記入していると授業が終わる。
「お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!!余ったお菓子は先生が回収しときます!」
殺せんせーが自慢の超スピードを使い皆のお菓子を回収して、教卓の上に置く。まさか、生徒の金で買ったお菓子を食べる気かなぁ?
「給料日前だから授業でおやつを調達してやがる。あれ買ったの俺らだぞ」
「地球を滅ぼすやつがなんで給料で暮らしてんのよ」
そんな話をしていたら三つ編みの女の子。奥田さんが何か緊張したような様子で殺せんせーの前に歩いていく。
「あ、あの、先生・・・毒です!飲んでください!!」
えぇ・・・・まさかの直球。そんなやり方ある?みんなも転けてるし、先生も固まった。いくら殺せんせーでも飲むわけないと思うんだけど
「・・・奥田さん。これはまた正直な暗殺ですねぇ」
「あっ・・・あのあの、わ、私みんなみたいに不意打ちとか上手く出来なくて・・・でも、化学なら得意なんで真心込めて作ったんです!」
「真心・・・」
「いくらなんでも・・・・」
みんなも(それを渡して飲むバカはさすがに・・・・)みたいな表情してんじゃん。ほんとにいくら殺せんせーでも飲まないと思うんだけどねぇ
「それはそれは、ではいただきます。」
((((飲んだ!?))))
飲んだ途端、苦しみ始める殺せんせー。今まで1度も聞いたことの無い呻き声を上げながら、体を折り曲げ顔から汗みたいなのが出てくる。
「・・・!こ、これは・・・・」
─────にゅ
なんか、角生えた・・・なに?なんなん?なんで角生えたの?
「この味は水酸化ナトリウムですね。人間が飲めば有害ですが先生には効きませんねぇ」
「・・・そうですか」
「あと2本あるんですね、それでは」
「うっ・・・うぐぁっ・・・・・ぐぐぐ・・・」
──────バサッ
((((今度は羽生えた!?))))
((((無駄に豪華な顔になってきたぞ))))
「酢酸タリウムの味ですね。では、最後の1本」
「にゅっ・・・ぐぁっ・・・・・ううっ・・」
((((どうなる!?最後はどうなるんだ!?))))
───────スンッ
((((真顔になった・・・))))
((((変化の法則性が読めねーよ!!!!))))
「王水ですねぇ、どれも先生の表情を変える程度です。」
「・・・はい」
「てから先生顔薄っ!」
「顔文字みてーだな!!」
「先生のことは嫌いでも暗殺のことは嫌いにならないでください」
「いきなりどうした!?」
毒薬を飲んで苦しむのはともかく表情を変える程度って何?それも王水みたいなのならともかく、羽が生えたりツノが生えたりするのは表情が変わった範囲なの!?
「それとね、奥田さん。生徒1人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ。」
「・・・はい、すみませんでした・・・」
「放課後時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう。」
「・・・は、はい!」
いや、騙されてるんじゃないのかなぁ?あれ。ターゲットがわざわざそんなことするとは思えないし、バレないように自分が有利になるようにするでしょ普通。
「ねぇ、葵?どうなると思う?」
「......良、い...結果...」
「だよね〜 後で成果聞いてみる?」
次の日、奥田さんが嬉しそうにフラスコに入ったいかにも怪しそうな液体を持って登校してきた。
アレが例の毒薬?ないと思うけどなぁ。渚ちゃんや茅野ちゃん、杉野くんが成果を聞く為に奥田さんの元に集まる。ボクとカルマはそれを席を1つ2つ離れたところで見ていた。
「・・・で、その毒薬を作って来いって言われたんだ」
「はい!理論上ではこれが一番効果あるって!」
「毒物の正しい管理法まで漫画にしてある。相変わらず殺せんせー手厚いなぁ」
「きっと、私を応援してくれてるんです。国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」
裏切られたと思うんだろうねぇ、殺せんせーの真意に気が付かないから。ここで引き停めれば暗殺確率は上がるだろうけどそれでは意味が無い。奥田さんが体感するしかない。国語がどれだけ大切なのか。言葉がどれほどの武器なのか。
「あ、来たよ。渡してくれば?」
「はい!!・・・先生、これ・・・」
「流石です・・・では早速いただきます。」
クラス全員が毒物による殺せんせーの変化を見ていたから、今回の奥田さんが作った毒物でどう変化するのか楽しみそうに待っている。今回はどうなるんかなぁ。あのせんせーが自分に不利になるようなものは作らせないと思うけどね。
「・・・ヌルフフフフフありがとう奥田さん。君の薬のおかげで先生は新たなステージへ進めそうです。」
「・・・えっそれってどういう・・・・」
唐突に殺せんせーになんかやばそうなオーラを纏い始め、変化を始める。あの、毒液を飲み込んだ直後はかなり苦しんでる様な感じで呻き声を上げながら悶えていたのに少し経つと笑みを浮かべ始めた。
「グォォォォォ!!!!」
「「「「うわぁっ!!!」」」」
殺せんせーを中心にとてつもない衝撃と風が放射状に襲ってくる。完全に気を抜いていた為、ちょっと後ろに押され下がる。目も開けられられないだろうけどカルマが動いたボクに気が付き回収してくれる。完全に気を抜いていたとは言えボクが動いたって事は最前に居た奥田さんとか結構やばくない?皆、腕で顔を覆いながら衝撃に耐える。衝撃と風が落ち着いた時には
───────ふぅ・・・
((((溶けた!?))))
教卓の上には溶けた殺せんせーがべちゃぁとなっていた。なんか、某はぐれ何とかみたい。はぐれ殺せんせーとでも言えばいいのかな?溶けた先生が一息ついていた。
「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです。」
────シャッ
教卓から溢れ始めたと思いきやいつも通りのスピードで片岡ちゃんの机の中にスポッと入っていった。
「液状ゆえにどんな隙間でも入り込む事が可能に!!」
「......入った...」
何時もの3m近くある身長では入れない場所である机の引き出しの中に収まった殺せんせー。ボクのカーディガンの中に触手を突っ込んだ事もあったし、片岡ちゃんの机の中に収まったし、殺せんせーってかなり犯罪に近いことしてるよね。通報されたら危ないと思うけど。
「しかも、スピードはそのままに!!さぁ殺ってみなさい!」
「ちょっ・・・無理無理これ無理!!床とか天井に潜り込まれちゃ狙いよう無いって!!」
「なんだこのはぐれ先生!!」
次の瞬間、殺せんせーが教室中を液状の身体のまま飛び回り、跳ね回り始める。みんな急いでハンドガンを取りだし、構えて狙おうとするけどいつも以上に的が小さいから狙いづらいし狭い所にも入り込んで来るから誰も撃てずに立ち往生している。そんな中、茅野ちゃんが奥田さんの元に行き質問を投げかける。
「奥田さん・・・先生あの薬、毒って言ったんだよね」
「だっ・・・だましたんですか殺せんせー!?」
「奥田さん。暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」
「えっ・・・」
天井の隅に集まった殺せんせーが頭だけ出してニヤリと笑う。殺せんせーは、わかってたんだろうなぁ。奥田さんが騙されて液状化する薬を作ることも、狙われて撃たれてもいつも以上に避けやすいことも。
「どんなに優れた毒を作れても・・・今回のようにバカ正直に渡したのでは、暗殺対象に利用されて終わりです。渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」
「え・・・うーん、先生の好きな甘いジュースで毒を割って・・・特製手作りジュースだと言って渡す・・・とかかな」
壁にくっ付いたまま渚ちゃんに毒の盛り方に付いて質問する殺せんせー。渚ちゃんの意見の様にやっぱり毒を盛るなら国語力は必要なんだろう。いや、毒を盛るだけじゃない。普通に何をするにしても国語は必須なんだけどね。そしてそのまま自分の脱いだアカデミックドレスの所まで戻ってから言葉を繋げていく。
「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫する必要がある。上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語力です。君の理科の才能は将来皆の役に立てます。それを多くの人にわかりやすく伝えるために・・・毒を渡す国語力も鍛えて下さい。」
「は・・・はい!!」
「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね〜」
「ん...以前.......」
渚side
殺せんせーの力の前では・・・猛毒を持った生徒でもただの生徒になってしまう。まだまだ・・・先生の命に迫れる生徒は出そうにないや。それにしても、何時になったらあの二人は恋人である事を言うのかな?一応二人に合わせて僕も言わないようにしているけど、僕がこのクラスで一番仲いいからなんだろうね、皆が揃って僕に聞いてくる。そろそろ限界に近いんだけど。
烏間side
「・・・・・・しかしながら本部長、それは生徒たちに不安を与えはしないでしょうか」
『烏間君、君は生徒の不安と地球の不安どっちが優先だ』
本部から送り込まれる暗殺者の情報を聞き、確認の為に連絡をしたが生徒たちのことは何も考えていないのか?地球が大事なのはわかるが、いくらなんでも生徒たちを蔑ろにしてるのではないか?
『国の決定だ。もとより素人の子供達に殺れるとは思っておらん』
「・・・それで、その人物はどのような」
『手練だよ。世界各国で11件の仕事の実績がある。正真正銘・・・プロの暗殺者を送り込む』
「表情....」
「殺せんせーの表情もメモしとかないとね」
「っ...!」
「そんなキラキラとした目で僕を見ないで・・・」
「頑張れー渚君」
悩みの話数調整。多分文字数しだいで決まるんで割とぐちゃぐちゃになると思うんですよね。